吉良吉影はトレーナーとして静かに暮らしたい   作:ボンゴレパスタ

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アナザーワン バイツァ・ダスト2

 

 

 

 

「うわっ!今何時だ、億康っ!」

 

 

 

 

「不味いぜ~、仗助!完全に遅刻だ!康一と承太郎さんも、もう先にトレセン学園に行ってるらしいぜ~!」

 

 

 

「ってことは間違いなく、露伴のヤローは先に行ってるぜ~。また小言の一つや二つ言われちまうな~」

 

 

 

昨晩東京に来たからとはしゃいでホテルで夜更かしをしていた仗助と億康は寝坊してしまい、待ち合わせの時間には間に合うかは五分五分の時刻になってしまっていた。

 

 

 

「――行くぞ億康!」

 

 

 

二人は学ランに着替え、急いで部屋を後にしたのだった。

 

 

 

ーー最悪な目覚めと共に1日が始まる。

メジロマックイーンは身体中に汗を流しながら目覚まし時計のタイマー音と共に目覚めた。

 

 

 

 

 

 

時刻は6時。

 

 

 

 

 

 

今日は夏合宿が始まる日――7時にはバスが出発してしまうためこの時間に起きたマックイーンだったが、とてもじゃあないがそんな気分にはなれなかった。

 

 

 

「――トレーナーさんは亡くなってしまっていた…もうあの声は聞けない。あの優しい顔を見ることができないなんて…」

 

 

 

トレーナーさんのことを思う涙が流れてくる…隣のイクノディクタスに知られないように枕に顔を埋めてあふれ出る涙を、嗚咽を懸命に押し殺すーーやがて涙が枯れると、マックイーンの頭の中には一つの疑問が浮かんだのだった。

 

 

 

 

――吉良吉影、全く表情を崩しませんでしたわ

 

 

 

昨日吉良がトレーナー室にやってきた時に、彼の本名を揺さぶるために呼んだーーしかし吉良は自身の本名を露わになっても、まるで私があの男を吉良吉影だとわかってたことが予め知っていたかのようにあの男はその表情を崩すことなく不敵な笑みを浮かべたのだった。

 

 

 

 

 

―――あの男は一体なにを考えているのでしょうか

 

 

 

いくら考えても、答えを出すことはマックイーンにはできなかった。

 

 

 

ため息を一つつくと、マックイーンは重苦しくベッドから起き上がったのだった。

 

 

 

 

 

 

結局マックイーンは、バスに乗り込むことはできなかった。

 

 

 

 

仮病の連絡を寮長のフジキセキに入れてバスが全て出発すると、マックイーンは胸のつかえを少しでも晴らすために近所で朝の走り込みを行っていた。

 

 

 

 

いつもの朝の風景が、何処か現実感のないものに感じるーー当然練習に身に入らないマック―ンが朝の走り込みを終えて学園に帰ると、時刻は既に8時20分を回っていた。

 

 

 

 

校門の前に着いたマックイーンは、顎に手を当てて少し考え込んでいたのだった。

 

 

 

 

「――吉良は一体何を考えているのでしょうか…?」

 

 

 

 

 

 

「――私にそこまでご執心とは、班目同様、見上げたやつだな…メジロマックイーン」

 

 

 

 

突然に背後から聞こえた声に、マックイーンは身構えて後ろを振り返るーーそこには渦中の人物、吉良吉影が腕を組んで立っていたのだった。

 

 

 

 

特徴的なオールバックに、白のスーツに髑髏の柄があしらわれたネクタイを身に着けているーー吉良は昨晩に見せたような不敵な笑みを浮かべながらマックイーンに声をかけたのだった。

 

 

 

 

「清々しい気分になったり、絶望で落ち込んだり…このところ色んなことで気分の差が激しいよ…でももう不安を感じることなんてない…成長したんだからね」

 

 

 

 

「ど、どうしてここに貴方がここに…」

 

 

 

「まだ業務が少し残っていたからね~。出る前に君が出発していないことを小耳に挟んだから、少し顔を見ておこうと思って…昨晩逆に私を脅したことに敬意を表してね…」

 

 

 

 

「――私を殺すおつもりですか?」

 

 

 

「殺す?私の秘密を知ったからかい…?その必要はない。私は成長したんだからね。」

 

 

 

吉良はマックイーンに顔を近づけると、笑みを浮かべたまま口を開いた。

 

 

 

 

「君が何処で何をしようと、私は無敵になったんだ」

 

 

 

 

そう言い残すと、マックイーンを置いて吉良は笑顔のままで歩き出したのだった。

 

「それじゃあ私は一足先に合宿先に向かうとしよう。ライスを待たせちゃあ悪いからな…あいにく君のトレーナーはいないからトレーニングには難儀するだろうが…まぁチームメイト同士で練習を見合うのも悪くないんじゃあないか?」

 

吉良がそのまま消えると、マックイーンは屈辱と怒りで懸命に抑えながら、校門から外に向かって出ていく吉良の背中を見たーーー正確には見ることしかできなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――これからどうするべきか。

 

 

 

 

マックイーンは頭を悩ましたが答えが出てくるはずもなく、小さくうなだれたのだった。

 

 

 

 

――とりあえず、合宿先に向かいましょう。

 

 

 

電車で向かえば、午後からのトレーニングには参加できるだろうーーもっとも真実を知ってしまったマックイーンは、班目トレーナーの死や吉良のことをどう伝えればいいのか分からなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

重い足取りで駅に向かっていたマックイーンだったが、唐突にとある男が彼女を呼びかけたのだった。

 

 

 

「――君。メジロマックイーン君だよね?」

 

 

 

声をかけてきた男は20代くらいの男で、特徴的なヘアバンドを頭につけており、耳にはペン先の形をしたイヤリングをつけていたーーその男は値踏みするかのようにマックイーンを見つめていた。

 

 

 

「――えぇ。その通りですわ」

 

 

 

 

「僕の名前は『岸辺露伴』。漫画家さ…週刊少年ジャンプで「ピンクダークの少年」を連載してる…ちょいと君に確認したいことがあって声を掛けさせてもらったよ」

 

 

 

 

「…一体何の御用でしょうか?」

 

 

 

 

 

「僕らは「とある男」を探しているーーその男を探すために僕らはM県から来たんだ。情報収集のためにその辺を歩いてた用務員を能r…いや、聞いた話だと君の所属するチームのトレーナーが数日前から行方不明になっているみたいだね?何か知っている人がいるんじゃあないかと思ってほかの奴らを探そうとしたが、全員合宿に行っちまったらしいじゃあないか」

 

 

 

 

 

「――だが偶然君に出会ったーーどうだろう、何か知っていることがあったら話してくれないか?」

 

 

 

――吉良吉影は恐らく誰かに追われて川尻浩作に成りすましている

 

 

 

 

 

ということは、この男が吉良を追っていた人たちの内の一人だということだろうかーー現に彼は「僕たちが探している」と言っていた。

 

 

 

 

――あの男を倒す為には私じゃあ力不足ですわ。同じように能力を持つものじゃあないと…

 

 

 

 

この男を試すためにマックイーンはついに決心し、口を開いた。

 

 

 

「――あなたは能力を持ってらっしゃいますか?――露伴先生」

 

 

 

 

その言葉を聞いた露伴は目に見える形で驚いたーーなぜそのことを知っていると言わんばかりに。

 

 

 

 

「――何か知っているんだな」

 

 

 

 

やはりこの岸辺露伴という男、能力者のようですわ…だとしたらこの方を信じるほかありませんわ。

 

 

 

「――えぇ。このトレセン学園で働くトレーナー…川尻浩作は、吉良吉影ですわ」

 

 

 

 

 

 

 

―――岸部露伴は遂にたどり着いた。杜王町から忽然と姿を消し、のうのうと生活を送る殺人鬼…吉良吉影の正体を遂につかんだのだった。

 

 

 

 

 

「吉良吉影だって!?それは本当かい!」

 

 

 

 

「――えぇ。私のトレーナーさんもあの男に殺されました」

 

 

 

 

苦痛に顔を歪ませながら言葉を紡ぐマックイーンを静かに見つめ、露伴は言葉を続けた。

 

 

  

「――やはりあの男、他人に成り代わっても殺しをやっていたのか」

 

 

 

 

「あの男は一体何者ですの?」

 

 

 

 

 

「…あの男の名は、知っているだろうが吉良吉影。杜王町で15年もの間、手の綺麗な女性を自分のどす黒い欲望を満たすためだけに殺し続けた最低最悪の殺人鬼だ…」

 

 

 

 

――吉良吉影という男の恐るべき全貌

 

 

 

 

マックイーンほどの淑女も、吉良ほどの醜悪さには吐き気を覚えずにはいられなかった。

 

 

 

「―――ありがとう。これで奴の正体をつかめた。早速承太郎さんにーーー」

 

 

 

 

携帯電話を取り出した露伴だったが、違和感に気づいた。

 

 

 

 

――開いた画面にノイズが走り、唐突に禍々しい姿をしたスタンド…キラークイーンが姿を現したのだった。

 

 

 

「キラークイーン 第3の爆弾『バイツァ・ダスト』!!」

 

 

 

 

目の前に現れた吉良のスタンド、キラークイーンに攻撃するべくヘブンズドアーを出現させた露伴だったが、その攻撃はまるで幽霊にするかの如くすべてすり抜けてしまった。

 

 

 

 

「岸辺露伴、キラークイーンを見たということは、既に瞳の中に入っている!第三の爆弾「バイツァ・ダスト」も既に作動している!」

 

 

 

――唐突に露伴の背中から血しぶきが吹き出すーーその光景にマックイーンは恐怖のあまり後ずさった。

 

 

 

 

 

「い、一体何が起こっているんだ…?」

 

 

 

 

 

口から血を吹き出しながら露伴は空を見つめたが、やがて班目のように、爆発が全身に広がり露伴は跡形もなく消し飛んだ。

 

 

 

 

 

「きゃああああああああああ」

 

 

 

 

その光景を見て、マックイーンは恐怖の叫び声をあげたーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――気がつくと、マックイーンは街路樹にいた

 

 

 

「…ここはいつものランニングコース…?」

 

 

 

 

時計を見ると、時刻は7時25分を指していたのだった。

 

 

 

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