とあるオタク女の受難(魔法少女リリカルなのはVivid編)。 作:SUN'S
ヰ月ゑ日
私はベルリネッタさんのフックを回し受け、ベルリネッタさんでも受け止められる早さで崩拳を放つ。どれだけ緩やかな打撃だとしても踏み込みの強さで威力は何倍にだって変わる。
それは、どのストライクアーツにも足腰を使って打撃の威力を底上げする方法があるように私の教えるストライクアーツにもある。
今のベルリネッタさんに必要なのは足腰の生み出す打撃の爆発力だ。こうやって密着された状態でも破壊力のある打撃を作れるようになればベルリネッタさんの目指す強さに繋がるはずだ。
私の説明にベルリネッタさんはコクコクと頷き、地面を踏み抜くつもりで前に出てくる。さっきの打撃より貫通力は有れど突きの速さが失われ、無駄な力みを作っている。
まあ、これも反復練習かしら?と考えながらジルに相談されたベルリネッタさんの試合の日を確認し、いつでも出場させられるベストな状態に変える。
ヰ月#日
こっちを見ているリナルディさんのセコンドから顔を逸らしながらベルリネッタさんを応援する。
よし、ベルリネッタさんはリナルディさんとの間合いを保ちながら的確に相手の蹴りを受け流し、その反動を利用して肘打ちを叩き込んだ。
そのまま投げられれば倒せたんだろうが、流石にナカジマさんがセコンドについていると簡単には勝たせてくれないか…。
なによりベルリネッタさんは、さっきの烏牛擺頭で足を折り掛けたのを気にして上手く攻撃を捌けなくなっている。
ゆっくりで良いから呼吸を整えて、さっきの技の効果でリナルディさんの動きも鈍い。私とジルの教えた技なんて使わなくていいんだ。
私の声が聞こえたのか。
ベルリネッタさんは自分の知る技の中で相手を傷つけずに立たせなくする岬越寺"鼓打磨合わせ"を放ち、リナルディさんの脳を揺らした。
本来は兜を被った相手に用いる技だが、それをベルリネッタさんは咄嗟の判断で魔力と魔力の打ち合わせによる波でやって見せた。
ヰ月↑日
早朝、私の家に押し掛けてきたナカジマさんにフロンティアジムの特別顧問を務めている事を話したら「私の方には来てくれないのか?」と言われ、気がつけば行きますと高らかに宣言していた。
私って男の人が好きだったよね?と不安を感じながらナカジマさんの経営するジムの奥にある格闘技施設で話す高町さん達に久しぶりと挨拶する。
なぜかリナルディさんは「やっぱり、お姉さんは理子さんの言った通りに来ましたね!」と喜ばれ、昨日の試合で痛めた膝の関節を施術するわねと伝え、コキッと関節を元の場所に戻す。
よし、あと十四回ほど繰り返せばリナルディさんの蹴り技のキレは元通りだ。なにも心配しなくていいのよ、この施術はベルリネッタさんも受けているから問題なんてないのよ。
そんなことを言っているとナカジマさんに「はじめて会った頃と比べると振り切れてるように見えるんだが、なにかあったのか?」と聞かれ、ちょっと仕事で大変なことがね。
私達の調べていた古代ベルカの壁画から溢れるように現れたゴーダマスの怨念と一ヶ月も寝ずに死闘を繰り広げたのよ。
あいつってば口から熱線を吐いたり、地面を突き破って巨大化したり、本当に真のマルスは人間の出来る範疇を越えすぎていたわ……。