世紀末転生ダービー伝説はちみー味   作:それがダメなら走っていこう

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初投稿です。
ネタが思いついてしまったから吐き出したくなった……
愛など要らぬ!!


もう一度、温もりを

神社の境内で石段昇降トレーニングをするウマ娘とトレーナー。

 

これだけであったらトレセン学園の日常。

 

どこにでもある風景であっただろう。

 

ただし、ウマ娘の方が巨大なピラミッドの頂点要石、聖碑を担いでいるのでなければ。

 

「ワケワカンナイヨー!! なんでこんなトレーニングしなきゃならないのさー!」

 

小生意気そうなポニーテールのウマ娘、トウカイテイオーが文句を垂れるのも当然といえよう。

 

 

 

ウマ娘の筋力であろうともわりかしハードトレーニングで、拷問ギリギリだ。

 

 

 

「フハハハハ、笑止! たとえ才気ある鳳凰の雛とは言え……

 

大地を切り裂く地の脚力なくば――

 

踏み込みの速さを求めたところであべこべに足の方が破壊されるのがオチよ!

 

その意味、一段一段噛みしめて登ってくるがいい!」

 

 

 

トレーニングもそうだがトレーニングを施すトレーナーもまた個性的だ。

額にほくろがあるプラチナブロンドのオールバックスタイル。

ガタイが良く、筋骨隆々。 

紫のタンクトップにベルトにジーンズ、黒の袖カバー。

 

眉間にしわが寄った彫りが深くて濃い顔。

自信も相まって暑苦しい。

トレーナーの名は、サウザー。

 

そして唐突に笑いを止め、真顔になってボソッとつぶやいた。

 

「ウマ娘の身体能力こわっ……何で平気な顔でシュウにやらせた拷問こなしてるの……」

 

「イマ拷問ってイワナカッタ―!?」

 

 

なぜ、このようなことになったのであろうか、時はしばし遡る――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お師さん……む…むかしのように……もう一度……温もりを……」

 

(――おかしい)

 

(オレは――ケンシロウに敗れ、わが師オウガイの墓標である)

 

(聖帝十字陵と運命を共にしたはず……)

 

何時まで経っても終わりは訪れなかった。

 

(朧気ながら光に包まれたと思ったら三人の女神に、会ったような……)

 

 

気が付けば聖帝十字陵ではなく、世紀末ではほぼみられない

豪奢な一室の前にいた。

サウザーの目の前には、猫を頭にのせた緩い幼女が扇子を広げている。

 

(いや、豪華さと言えば俺の居城も相当なものではあったが……)

 

「――採用っ!分野は違えど優秀な成績を収めた新進気鋭のトレーナーと聞いているっ!」

 

「これからはその格闘技経験を是非中央で活かしてもらいたいっ!」

 

「えっ……あ、ああ……はあ……」

 

勢いに押し切られ、困惑するサウザーをよそに話は進んでいく。

 

 

「中央トレセンの採用おめでとうございますサウザーさん」

 

「トレーナー室の鍵はこちらに……新人だとスカウトは大変だと思いますが」

 

「これから頑張ってくださいね」

 

緑の帽子を被った秘書のような女性に案内されるまま一室に到着する。

彼女はすぐに退出し再び、一人になった。

 

「ど、どういうことだ? これが話に聞くあの世というやつか!?」

 

窓の外を眺めてみると見慣れた荒廃した光景ではない。

遠景には健在なビルが立ち並び、木々に溢れている。

平和そのものな、サウザーが目にしたことのない確かな文明。

 

「今はいつで、何処なんだっ」

 

机の上にあった新聞を手にする。

 

(202X年だと? 199X年に核戦争が起こらなかった未来の世界なのかここは?)

 

新聞記事を読み進めていくと、見慣れない単語が踊る。

やれ、ウマ娘のレースがどうとか……

何もかもがウマ娘のレースを中心にした世界。

 

「ううむ……ではここは、核戦争が起こらなかったうえに

ウマ娘なる珍妙なる存在が跋扈する未来なのか……?」

 

サウザーは唸った。

文明崩壊後に暴力が支配する荒廃した世界と

ウマが人間になってレースに熱狂する世界とどちらが正気なのかは――

 

「甲乙つけがたい、オレには分からん……」

 

孤児であり、青春をサバイバルと南斗鳳凰拳の修行に費やしたサウザーは

核戦争前の世界を知らない。

昔はこうだったと、あるいは本来はこういう世界だったと言われても反論のしようがない。

昔はウマ娘なる存在もいたのかもしれないが、核戦争によって滅びたのかもしれない。

 

「だが、こうなると身の振り方が問題だ……」

 

サウザーのいた世紀末世界では、迷うことはなかった。

秩序も社会も崩壊し、暴力と無法が支配する世界では南斗鳳凰拳の出番は山ほどあった。

強ければ一大勢力さえも築き上げれた。

だが平和な世界で拳法家は活躍の場が少ない。

ウマ娘なるものに熱を上げるこの世界で、果たしてどうやって生きればいい?

 

「フッ……あの日、あの時、乱世に覇を唱える聖帝の夢はついえたか……」

 

(今更暴力の世界で生きることは出来ない)

(ケンシロウに完全に負けた以上、意味はない……)

(さりとて、オレに出来ることと言えば身に着けた拳法くらい……)

 

朧気ながら、あの先ほどあった秋川やよいとかいう幼女に何処かで会い

南斗鳳凰拳の速さを力説したような……

そうしたら、流れで中央のウマ娘にそのコツを伝授できないかという話になり……

 

「……これも長い断末魔と思ってやる以外あるまいか……」

「小娘どもに南斗鳳凰拳の歩法や走法を仕込む、か……」

 

サウザーの脳裏に、師であるオウガイの顔がよぎった。

 

「――それもいいかもしれんな」

 

決め手は師の影であった。

幼き日に師がしてくれたように……

 

乱世ではできなかったが、師の影をなぞるのも悪くはないだろう。

そうと決まれば弟子を探さなければ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――しかし、前途は多難であった。

サウザーはベンチに腰掛け、肋骨にケンシロウの一撃をもらったような

憂鬱な気分になっていた。

 

「何なのだこの世界は……」

 

ウマの耳が生えた小娘どもが巨大なタイヤを引いている。

パワーだけなら南斗の達人たちに勝るとも劣らない。

身体能力のスペックそのものが人類と根本的に違うとしか思えない。

 

「ウマ娘は世界中を監視しながら増殖し続けており、いずれ世界と人類を駆逐するのではないか……?」

 

そんな妄言が思わずついて出そうになる。

 

こんな奴らが一杯いたら拳法家の漢の出る幕がないではないか!

はっ、もしや核戦争が起こったのは危機を覚えた政治家どもが

こいつらを駆逐しようとしたせいじゃないか??

 

 

そんなことを思っていた時である。

 

サウザーがはちみーのガキである

 

トウカイテイオーに出会ったのは……

 

 

 

 




一応連載にしておいたけど気が向いたり評判が良かったら
続くかもしれない……
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