世紀末転生ダービー伝説はちみー味   作:それがダメなら走っていこう

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面白いかどうかはわからない。
俺は雰囲気と勢いで話を書いている。


激流に身を任せどうかしている。

「……危うく赤ちゃんにされるとこやった」

「とうに手遅れでぃ……」

 

這々の体でマ魔王から逃げ出したタマモクロスだったが

その恰好は黄色のキンダーガーデンキャップと青のスモックだ。

 

「園児服着てりゃ説得力の欠片もありゃしねえよ……」

 

げんなりした顔でイナリワンが突っ込んだが

いつものトレセンの日常である。

 

「なんやてイナリ!?お前は赤ちゃんにされて

尊厳と精神を破壊されたことがないから

そないな呑気なこといえるんや……」

 

「こちとらいつもの漫才やってる暇ねえんでい!

ちっと同室のターボに妙な頼みを受けちまってな」

「なんやかんやでイナリは面倒見ええよな……

ターボの頼み?」

「ああ、これを届けてほしいんだとよ」

 

イナリワンがターボからもらった手紙をひらひらさせた。

 

「えらく深刻な顔して、しかもこれを直接南坂Tに渡すんじゃなく

北原か沖野か黒沼の男性トレーナーに渡して、

そこから南坂Tに渡してほしいってさ、回りくでぇよなあ」

 

「いつものカノープスのスパイごっこちゃうん?」

 

「手紙は見てもいいけどカノープスだけには見せるなって。

トレーナーに渡してくれっつったら

アタシもラブレターかなって思ったけど……

ターボらしい近況報告しか書いてねえでやんの」

 

「ちょっと見せてもらってええか

ほんまや、これやったら直接渡せばええのにな」

「ウインディちゃんにも見せるのだ!」

 

 

『ツインターボのお手紙』

南斗聖拳サウザートレーナーはあたまおかしいもん。

坂路コースは登りがきつくてクタクタだもん。

逆噴射しないようスタミナつけるためだもん。

ぴええってるテイオーもがんばってるもん。

よい結果をレースでも出したいし。

いい感じにライブも決めていきたいもん。

さとの家がトライアルやってた、名家はお金持ちだもん。

れーすでも勝ちたいもん、レースは血統じゃないもん。

るどるふ会長はダジャレとオグリをスケートに誘うのはやめるもん。

裏でエアグルーヴのやる気が下がってるもん。

社畜見たいなお愛想笑いがつらそうだもん!

会長もこれさえなければだもん、食堂の

にんじんプリンおいしいもん。

逃げはまだ形になってないけどターボは

げんきだもん!

ていおーにだって負けないもん!

 

「ひいっ!! 師匠も南坂Tもお労し過ぎるのだ!!

イナリもタマモもこれはわからん方が幸せなのだ!!」

「マヤ分かりたくなかった……

メーデー!メーデー!」

「ど、どうしたんでぃ!急に正気値下がっちまってらぁ!」

「トレセン学園はいつの間に世紀末になってもうたんや……」

 

「世紀末と言えば、ライスも激流に身を任せ

どうかしてしまったのだ……

あれを見てほしいのだ……」

 

「明日がぁ~……トレセンの風紀がぁ……」

ライスシャワーは種もみの入った袋を手に

よろよろとしている。

心労で極限にまでそぎ落とされてしまった

体に種もみソウルが宿る。

 

「ライスちゃん三千円貸してください!あとその種籾ください!」

「スぺちゃんももう駄目なのだ……」

「た、助けて!ライスはどうしても

この種籾をダートに埋めなきゃ……この種籾が実れば

スぺちゃんにも分けてあげるから……それまで待って!?」

「……猶更お腹がすいてきました、あげません!」

 

「はぁ、はぁ、今あるトレセンの食料は

オグリちゃんとスぺちゃんにいずれは消されてしまう……

だけど、だけど種もみさえあればコメが出来る……」

「ライスは今日はヒールでも明日はヒーローなの!

今日よりあしたなの!」

 

「なんなんやあの茶番は!」

「なにごとでいっ!?」

「マヤもうわかりたくない!」

 

「いい空気を奪われ

ライスちゃんは種もみちゃんに

なってしまったのだ……!

ライスちゃん一人にしないで、過労死しちゃうのだ!?」

 

「うっららー!!やめて!その種籾ちゃんを離してあげて!?」

「ウララちゃん!?ライスは種もみじゃないよ……

ライスは種もみだった……ヒーローになれないヒールだから種籾?」

 

「水と…それを、ちょうだい……それも1台や2台ではない……

全部、全部だよ!!スぺちゃん、種籾とトレセンの水を掛けて

模擬レースでウララと走ろう!

ケンシロウトレが水を欲しがっているの!

北斗神拳の前にはウマ娘などとまった棒立ちにすぎない!

ウララは走りのプロ、スぺちゃんには負けない!」

 

顔と澄んだ瞳、目の桜は変わっていないが

筋肉はバッキバキに仕上がってジャケットとサングラスをつけて。

異様なオーラを纏い、口調さえも変わったハルウララがそこにいた。

 

「ウワーっ!マヤもう何一つ理解したくなーい!」

「しかもトレセンの水と食料を独占する気なのだ!?

あれはもうハルウララじゃなくて核のフユフブキなのだ!?」

 

しかも種籾と水を賭けたレースではハルウララが圧勝していた。

終わった後、ライスから巻き上げた種もみをダートに撒いていた。

 

「そんなところに撒いたって実るわけないやろ!?」

タマモクロス、必死のツッコミ。

「実るよ!……下にスピカが埋まっている……」

 

澄んだ瞳でダートに種もみを撒くハルウララ。

犬神家の一族のようにダートに頭から突っ込んでいるスピカの面々。

死んだ目でそれを見つめるウマ娘たち。

 

「ハハハ……空はあんなに澄み渡ってるのに……

ジャスタ……助けてくれ……ゴルシちゃんちょっと

横になるわ……そうだ、これは全部夢なんだ……

目が覚めたらゴルシちゃんは

ステイゴールド家じゃなくメジロのお嬢様なんだ……」

 

【執念】

 

そんな惨劇から目を背けて練習にいそしむ奴らもいる。

 

「ユリア~~~!!!!」

「昔の女の名前を叫ぶなおばか!へっぽこ!」

 

サラッサラの金髪が抜群のインパクトを誇る色男が

泥まみれのウマ娘に猛トレーニングを施している。

 

「ククク……坂路ダッシュ何本目に死ぬかな~!?

執念が足りんぞ……!ナントゴクトケン!」

「はぁ……はぁ……足りてるわよ、このへっぽこ!」

 

「お前に冠をプレゼントしよう、いずれは一流もだ!」

 

金髪に白スーツのトレーナーがウマ娘を指さす。

 

「お前は女王だ、お前を女王にして見せる!

全ての人間とウマ娘がお前の前でひれ伏す!

そうすれば、お前の母も変わる、絶対にな……」

 

「言われなくてもやって見せるわよ……」

 

「フッ……母親を振り向かせんと

しゃにむに走るお前を大舞台に立たせたくなった」

「俺は結局最後まで、ユリアの心を

掴むことは出来なかった……」

 

「だから、昔の恋人の名前を叫ぶ癖はやめなさいへっぽこ!

……はは、お笑い種ね……

恋人に未練タラタラの新人三流へっぽこトレーナーと

家柄と執念だけが取り柄の三流ウマ娘でも……

絶対一流になってやるわ……!

ウララちゃんだって頑張ってるんですもの」

 

「あれを頑張っていると評していいのか?

悪い意味でのダートの暴凶星が誕生しただけではないか!?」

 

「私が首を下げるわけにはいかないわ。

何度泥を舐めようと、たとえ肋骨がえぐれようと……

お~ほっほっほ!げほっ、ごほっ……」

 

「KING」の総帥のヒミツ。

自称一流トレーナー。

ぱかぷちを作るのがやたらうまい。

キングヘイローの1/1フィギュアを作って蹴られた。

 

そんな極限の世紀末を眺めるのは

サウザーTチームであった。

 

「フハハハハ、一個言っていいか……シンじゃねーか!!」

 

あいつもこっちに来てたのかよ!

縁のある奴ら全員転生してきてるんじゃねえの!?

 

「眩暈がしてきました……キングさん、あんなトレーナーで

本当に大丈夫なんでしょうか……

黄金世代はもう目覆う惨状の気が……」

 

「グラス、それヒトのこと言えた義理じゃないよ……

ちなみに、サウザーTのヒミツは?」

 

「サウザー、26歳

身長181cm、体重98kg、チェスト140cm、ウエスト90cm、ヒップ102cm

首周り45cm 趣味はバイクツーリング 内臓逆位……

敵を知り己を知れば百戦危うからずですわ♡」

 

「なんでしってんのさ!!」

「えっ、何その詳細なデータ、知らん、怖っ……

いつどうやって調べたの、ねえ!?」

 

グラスワンダーはニコニコ笑うだけで何も答えない。

 

「ストーカーデース!」

「エル。」

 

親の顔より見た追いかけっこが始まった。

 

「……ねえ、サウザーT、ボク、思いっきり叫びたい気持ちなんだ」

 

「ほう……フハハハ、我慢する必要などはないのでは?」

 

テイオーは思いっきり息を吸い込んだ。

 

 

 

「ワケワカンナイヨー!!」

 

 

抜けるような蒼天に、トウカイテイオーの魂の叫びが響き渡った。

 




適宜改変改稿は掛けていくかもしれない。
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