チルドレンズ   作:晩舞龍

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Perfection

「さなちゃん連れてきたよ!」

「……へぇ、あなたが……」

 私はちいちゃんが連れてきた、3人目のメンバーの姿を見た。

「よろしく」

 ぶっきらぼうに手を差し出す、さなの手を私は乱暴に握りしめた。

 ちいちゃんの紹介を通して、ここにPerfectionが結成された。

 私たちはアイドル戦国時代に生まれ、そしてこの時集った。

「あなたたち、私とグループを組むからには世界を目標にしてもらうわよ」

「もちろんだよ!」

「そんなの、当たり前」

 私はこのアイドル業界を生き残り、世界を獲る。

 私のパーフェクトステージを実現させ……そして、私の完全な世界を実現させてみせる。

 しかし、私はこの時まだ気づいていなかった……私たち3人にはそれぞれ、世界を目指す目的と手段を持っていたことを。

 たとえ、メンバーを蹴落としてでも目指したい、そんな狂気的な情熱を……

 

 

 

 Perfection。それは、第1次アイドル戦争を終結させた英傑的アイドルグループである。

 だが、同時に解き放ってはいけない災厄でもあった。

 

 彼女たちは、後世に語り継がれるべき存在だろう。

 そんな彼女たちのことを知らない者にもわかるよう、簡単な解説をしよう。

 

 まずは、第1次アイドル戦争について。

 アイドルが増え続けていたその時代において、ファンの数は有限であり、アイドルたちはそれを奪い合うことで生き残ってきた。

 しかし、戦争は過熱し、ついに大きく2つの陣営に分かたれた。

 どちらの陣営にも属さなかった3人組ユニット・Perfection。

 そのメンバー3人にはそれぞれ特殊な力があった。

 

 任意の存在からの影響を受けないよう遮断できる能力をもつCrescent V Sanarlain(くれっせんとごせいさなーれーん)。

 自分を認識したすべての存在を支配下に置く少女・出羽次郎子(でわじろこ)。

 そんな二人の能力を無意識下で妨害していた少女・春田ちあも。

 

 3人は、第1次アイドル戦争のさなかで命を落とした。

 そのあと、第1次アイドル戦争は水を打ったように静かに終結した。

 

 3人と戦争終結の関係性が見えない、と経緯を知らない者は言うだろう……。

 だがその時、世界の命運を揺るがす大きな野望が進行していたのだ。その結果が戦争の終結へとつながった。

 

 Crescent V Sanarlainは能力で地球に介入しようとしていた。

 出羽次郎子はすべての人間を影響下に置こうとしていた。

 春田ちあもは化学が完全に支配する世界を目指していた。

 

 少女たちはアイドルとしての顔の裏に、恐ろしい企てを隠していたのだ。

 戦争が終わった理由はただ一つ。相争う人間たちの考えが一つに統合されたのだ。

 戦争で死んだはずの少女・出羽次郎子によって。

 

「でじちゃんって読んでね♡」

「でじちゃーん!!!」

 

 出羽次郎子は、自身の能力で敵対ファンだけでなくアイドルまでをも支配した。

 しかし、それは彼女の能力のほんの一部に過ぎなかった。

 彼女は、支配した相手の肉体に"侵食"できるのだ。

 彼女の肉体は、戦争のさなかでその活動を停止……。死んだのだ。

 だが、彼女の精神、いや怨念のようなものはファン、つまり支配下にある者たちに受け継がれた。

 彼らは、残された出羽次郎子の映像や歌を使って、眷属を増やしていった。

 その結果、戦争は終結し、そこには出羽次郎子を神とさえ崇める狂信者カルトが残ったのだった。

 

 

 いったい、彼女たちの持つ力とは何だったのか。そして、3人の少女たちはなぜ、アイドル活動の枠組みを大幅に逸脱する世界を揺るがしうる望みを持つに至ったのか。すべては謎のままである。

 

 ただ、我々の前には問題だけが残っている。

 

 その狂信者カルトは、現在も活動を続けているという問題が。

 彼らはネットを使い、出羽次郎子という存在を拡散するだろう。そうすればもう、止めることはできない。

 地球は出羽次郎子という一つの精神体に統合されるほかないのだ。

 誰かが、過去を変えたりしない限り……。

 

「み~んなアイドル」

 それは、誰が言った言葉だっただろうか。それが今、現実のものになろうとしていた。

 

 

 

 

 つづく

 




VTuberでじちゃんの二次創作小説。
この小説はでじちゃん第11話時点での情報をもとに執筆しております。

補足(元ネタ)
原作:でじちゃん動画シリーズ

春田ちあも:本編動画第04話より
Crescent V Sanarlain:本編動画第05話より
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