手や足先は巨大な蹄で覆われ、頭部には巨大な大角が発現。
アニマル星人の潜在的DNAを最大まで活性化させるトンア星の技術・リアライズによって、マトンよう子の体はまさに羊の獣人そのものへと変化した。
さすがのうさ子もこれには驚いた。しかし、今まで生物兵器ともいえる改造人間と戦ってきた彼女にとっては、それが宇宙人に変わろうと問題ではなかった。
「行くぞ」
再びチェーンソーを構え、うさ子が飛び掛かる。
「ふーん……」
その様子を、ジャクズレあけ美は加勢するでもなく眺めていた……。
ヤケクソうさ子 第二部 獣人編
第三話 「マトンよう子」
よう子の角は揚々とチェーンソーを弾き、うさ子を地面に叩きつける。
「うさ子!」
11子が加勢しようと駆け寄る。
よう子は大角を前に突き出し、その構えのまま突撃!
必殺のホーン・タックルだ!
11子は腰に装着した四連スラスターで空中に退避し、シャチの牙を備えた巨大な右腕でよう子の背後を狙う。
「甘い!」
よう子の首筋を11子の腕が捉えたその瞬間、よう子の体全体が大量のウールに包まれた!
衝撃を吸収しながら回転力を増して進むウールの塊となり、11子を弾き飛ばす!
「うさ子ちゃん! 11子ちゃん!!」
遅れて春田ちあもがやって来る。状況は呑み込めていないが、危険な様子を感じ取った彼女の目つきが変わる。
「ちあもちゃん……?」
必至にウールをチェーンソーで刈り取っていたうさ子がちらと見ると、ちあもの腕がみるみるうちに銀色に変わっていく!
うさ子たちからは距離があって正確には視認できなかったが、ちあもの両腕は肩から指の先に至るまで、銀色の機械の腕へと変形していた!!
ちあも自身、その腕について覚えていることは何もない。ただ、危機にある二人を見た瞬間に自然と腕が変形していたのだ。
「やるしか……ないよね」
覚悟を決め、よう子に向かって走り出す。
よう子は餌が来たとばかりにウールから自身の体を脱出させ、巨大な大角で迎え撃つ!
その二本の角を、ちあもの銀の両腕はがっしりと掴み、そのままぐいぐいと開いていく。
「あがっ!! いたたっ!?」
角をあらぬ方向に曲げられ、根元である頭頂部が悲鳴を上げる。
「とったぁ!」
当然、背後から迫るうさ子のチェーンソーに抵抗することなく切り付けられ、赤い飛沫を散らすこととなった。
「ちあもちゃん、その腕……」
「わたしにも分からなくて……体が勝手に」
「それも記憶喪失の秘密と関係あるかもしれない……」
11子はそう零し、もう一人のアニマル星人の方に意識を向ける。
マトンよう子は撃破した、しかし彼女と共にやってきたジャクズレあけ美……彼女もまた、よう子と同様に地球の破滅を狙う宇宙人の手先なのだろうか?
あけ美はよう子が倒されたことについて、無反応だった。ただたおやかな微笑を浮かべているだけだ。
「ジャクズレあけ美、あなたは……」
うさ子が問いかけようとすると、あけ美は逆にこちらに提案してきた。
「君たちの仲間に入れてくれないか? 私を」
「あ……えっ!?」
同時刻 森
「わん子、かう奈。帰ったか」
待機していたうさ美、とら子、ねず美、ドラ子のもとに、わん子とかう奈が帰ってきた。傍らには、一人のアニマル星人を連れて。
「連れてきたぞ、うさ美! 紹介する。ヤケクソうま子!! 私たちの新しい仲間だ」
わん子とかう奈の後ろを歩いてきたうま子が、緊張した様子で四人の前に出る。
「よ、よろしくお願いします! わたし頑張ります!」