怪獣のせいで世界終了   作:小説七つ球

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『絶望』の場合

 かつて……この世界に『絶望』が現れた。彼の存在は、青い霹靂を以て全てを焼き尽くし、トータスを滅亡寸前にまで追い詰めた。それをトータスの唯一神、エヒトが撃退した……そんな話がトータスに伝わっている。

 

しかし、誰かが言った。

 

「死せる定めの儚きものが、身の程を忘れ、栄華を謳う時、其は天を揺るがし、地を砕き、摂理の怒りを知らしむる。必定たる、滅びの具現…。この災厄を忘れ、身の程をわきまえず再び栄華を謳えば、破壊の王は、再び現れるだろう」

 

と……。

 

 この言葉は誰から聞いたわけでもないのに誰もがいつの間にか知っていたそうだ。この言葉が誰が言い出したのかを探ろうとする者もいたが、結局分からず仕舞いで、いつの日か記憶の彼方に追いやっていた……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――

―――

――――

 

 

「あー…、だるいな…」

 

月曜日。それは殆どの人間が前日までの天国から一気に地獄に突き落とされる日である。まぁその殆どに当てはまらない奴が現在オレの隣にいるが。

 

「もー、昨日夜遅くまで起きてたからだよー」

 

「余計なお世話だ。全力で一時間寝れば済む」

 

こいつは中村恵里。ちょっと(四年)前に橋から落ちようとしていた所を気まぐれで助けたらかなりのお節介焼きになった。まぁ飯がうまいのでよしとする。たまに媚薬が入っているのが気になるが。

 

「また授業中に寝るのー?」

 

「お前が後で見せに来るんだから別にいいだろう」

 

「そうだけどさー」

 

「ならいいじゃないか」

 

「むー…」

 

プクー、と頬を膨らませる恵里。可愛いなこいつ。小動物みたいで。

 

――

―――

――――

 

 時を進めて昼休み。

 いつものように恵里が弁当を持って来て、一緒に食べる。うん、美味い。

美味いけどまた媚薬入ってる……。そして何故か恵里の眼が怪しい光を放っている…怖ぇ。若干逃げるように目を逸らすと、ある意味いつも通りの光景が見えた。

 

「あー…またハジメ君天之河に絡まれてるよ…」

 

あいつ(天之河)は何がしたいんだろうな。白崎が南雲のことを好いてるのは皆知ってるだろうし」

 

「だね。坂上ですら気づいてるってのに」

 

 天之河…本名天之河光輝。スポーツ万能、成績優秀、おまけに顔立ちも良い。が、その実思考回路は自己中心的でご都合主義変換認識者。そして子供じみた正義感に従って動いている。なまじ碌な失敗や挫折を味わうこともなくここまで来たらしい。

 

 因みに現在進行形でその天之河に絡まれている南雲とは友人だ。前に虐められていた所を助けてから割とよく話すようになり、現在に至る。似たように経緯で清水とも友人になっている。最近はブラックコーヒーを常飲しているらしい。

 

他にもいるが…まぁ後でいいだろう。

 

 

と、お?

 

 突然現れた白く輝く見覚えのある魔法陣(・・・・・・・・・)が天之川を中心に広がりついには教室全体を包みこんでから強く輝き、次の瞬間―――。

 

 俺達は教会の祭壇の様な場所に一塊になっていた。もちろんクラスメイトの奴らは皆一様に困惑しており、キョロキョロと周りを見ている。恵里はここぞとばかりに引っ付いている。白崎も南雲に引っ付いている。

 

そして俺はあの魔法陣とこの世界の意思とリンクして確信した―――――。

 

ここは俺を生んだ世界、トータスだと。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 で、今は晩餐会でもするような広間でオレ達が何故呼ばれたのかを教皇と名乗った爺が説明している。まぁ俺が止めを刺すので関係ないが(詳しくは原作か他の二次創作を読んでくれ)

 

「あなた方を召喚したのは『エヒト様』です。我々人間族が崇める守護神、聖教教会の唯一神にして、この世界を創られた至上の神。おそらくエヒト様は悟られたのでしょう。このままでは人間族は滅ぶと。それを回避するためにあなた方を喚ばれた。あなた方の世界はこの世界より上位にあり、例外なく強力な力を持っています。召喚が実行される前に、エヒト様から神託があったのですよ。あなた方という『救い』を送ると。あなた方には是非その力を発揮し、『エヒト様』の御意志の下、魔人族を打倒し我ら人間族を救って頂きたい」

 

 エヒト、エヒトか…お前は何度我の、世界の怒りを買えば済むというのだ…ッ!今度こそは逃がさんぞ……!!

 

 

 

 

 

 

 

 イシュタルはどこか恍惚とした表情を浮かべている。おそらく神託を聞いた時のことでも思い出しているのだろう。イシュタルによれば人間族の九割以上が創世神エヒトを崇める聖教教会の信徒らしく、度々降りる神託を聞いた者は例外なく聖教教会の高位の地位につくらしい。

 ハジメは、〝神の意思〟を疑いなく、それどころか嬉々として従うのであろうこの世界の歪さに言い知れぬ危機感を覚えていると―――

 

 

ズン…ッ!!

 

 

 空気が重くなった、と錯覚するほどの重圧。原因は…ハジメの隣に座っていた、"(ひいらぎ) 龍呉(りゅうご)"である。普段は深淵で穏やかな蒼い彼の瞳はいまや憤怒に染まっており、青雷がバチバチと迸っている。そのまま彼は重圧で動けぬクラスメイトを気にすることなくゆっくりと立ち上がり、イシュタルの方へ向かう。

 そして、イシュタルの元へたどり着くや否や彼の頭を掴み、リンゴのように一瞬で握り潰した。

 

 返り血で赤く染まる龍呉。その様を認識してようやく神殿騎士達が我に返り、各々の武器を構えて包囲、または魔法の詠唱を開始する。しかし、龍呉(破壊の王)には意味を成さない。柊のような背びれと樹齢何万年の大樹を彷彿とさせる太い尾を生やし、その先端を帯電させ、高速で振り抜く。そこから放たれたプラズマの刃は包囲していた神殿騎士達を真っ二つにしてしまい、辛うじて生きていた騎士もすでに死んでいた騎士も例外なく龍呉が頭蓋を踏み砕いた。

 

凄惨。

 

 周囲は鮮血で真っ赤に染まり、血の匂いが鼻に刺さる。臓物がぶちまけられ、頭が踏み砕かれて原型を留めていない死体がそこかしこにある。

その光景にある者は極度の混乱に陥り、ある者は耐えられずに失神、またある者は胃の中の物を吐き出していた。

 

しかし、これは序章に過ぎない。背びれが蒼く強く輝き、雷が迸る。

背びれから離れた青雷は輪を成し、それを鼻先に収束する。

 

そして――眼を焼く程の閃光。数秒遅れて、轟音。

 

 

しばらくして眩んだ眼が回復し、瞼を開けられるようになったクラスメイトが見た光景は、きのこ雲。そして、その手前にいる背びれと尾を生やした男がこれを生み出したとそこにいた全ての者が直感で理解した。

 ここにきてようやく我に返った天之河は、「なぜこんなことを」と問い詰める。が、龍呉はそれを無視し、再び背びれに青雷を纏わせる。

 先程よりも長く溜め、背を屈め、放つ。今度は、背びれから無数。先の一撃の余波で崩れかけていた教会の天井はこれで完全に消滅し、いつの間にか空に無数にいた神の使徒の悉くを焼き尽くし、消し去った。

 しかし、まだ終わらない。顔を上げ、天を睨み、背びれが輝く。蒼く、そして、紅く。

 

ゴォォア"ア"ア"ア"ァァン……!!!

 

咆哮と共に、口腔から解き放たれる、滅びの一撃。放たれた赤色熱線は、偽りの神の住まう領域を焼き尽くし、消滅させた。

 

龍呉は、偽りの神の消滅を確認すると、再び下界に目を向け、熱線で薙ぎ払った。

何度も、何度も、何度も。そして――――

 

 

樹海は焦土と化し、平原は溶岩の海となり果て、山は溶け爆ぜ、渓谷は原型もなくなるほど抉られ、雪国は地面を覆っていたものが雪から炎に変わった。

 

 

龍呉は、ゴジラは、この世界の人類に、偽りの神を滅ぼし、世界に勝利の咆哮を轟かせた。

 

 

 

 

ガォア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"アアアアアアアアァァァァァァァォォォォオオン!!!!!




余談:クラスメイトはあの後龍呉に強制的に元の世界に帰されたよ!
恵里だけはG細胞を取り込んで龍呉と一緒に残ったけど!え?G細胞は人間には制御できないって?愛の力でどうにかしたのさ!!多分!

恵里「いつまでも、一緒だよ?」

龍呉(重いなぁ…)
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