平衡より来たれり   作:月侍

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アクナイのメインシナリオはMPではなくHPがゴリゴリ削られていきます。面白いんだけどな……


防衛

「グフッ……お前たちは……ウルサス……人じゃ………な……」

 

「……うん。敵意の気配は、これで全部だね」

 

 ()の上にあるのは、味方と、怯えるような気配のみ。とりあえず、この辺りのレユニオンは一掃したようだ。

 

「どうやら、仲間を呼ばれずに済んだな。悪くない戦果だ、ドクター。客観的に見ても、十分評価に値すると言えるだろう」

 

「評価は受け取ろう」

 

 ドーベルマンはドクターのことを評価し、ドクターは照れ隠しかなんだか知らないが、そう言った。

 

「……あれ、アーミヤさんは……どこへ……?」

 

 医療オペレーターがそう言ったのを聞いて、アーミヤが視界内にいないことに気がつく。

()の上の気配を探せば、瓦礫の影に隠れていた母子の元にいることがわかった。

 

 

「あの……大丈夫ですか?」

 

 心配そうに、アーミヤは声をかけた。

 

「えっ?あ、はい。ありがとうございま……す!?」

 

 すると、母親はアーミヤの腕章を見て、ヒッと小さな悲鳴をあげた。

 

「……あ、あなたもまさか感染者なの?」

 

 みるみる、母親の顔が青ざめていく。母親は子供を守るように抱きかかえ、必死に口にする。

 

「何するつもりよっ……!わ、私の子供は……この子はやめて……何もしないで……!」

 

「……どうか、安全な場所を見つけて……」

 

「アァァァ……どうかお見逃しください……どうか……」

 

 錯乱しきってか、話が通じない様子だ。アーミヤの表情が曇る。

 ……見ていられないな、流石に。

 

 

「アーミヤさん、すこし、僕に任せてください」

 

「?」

 

 この母子は、()の上にいる。ならば、()を与えることは簡単だ。

 優しく、柔らかな()をそっと、母子に与える。精神干渉だが、これは自死させるようなものとはまた違う。むしろ、味方に与えて苦痛を緩和するためのものだ。

 

「こんにちは。言葉……伝わっていますか?」

 

「……え、は、はい……」

 

 できるかぎり優しく微笑みながら、ゆっくりと言葉を伝える。

 

「大丈夫。僕たちは、あなたも、御子さんも傷つけません。……それに、そのままでは、御子さんの命が危ない。どうか、少しの間だけ僕たちを利用してくれませんか?」

 

 ね?と言えば、おそらく勢いに呑まれたのか、それとも()が効いたか、ゆっくりと頷いてくれた。よし。

 

 

「アーミヤさん、僕、先にこの御家族を避難させてきます!」

 

「え……?は、はい!よろしくお願いします、ロミオさん!」

 

 よし、許可が来た。言い出した以上、きちんと遂げなければ。

 

「お母さん、しっかりと御子さんを抱いていてくださいね」

 

「は、はい」

 

 よっこいせ、と子供ごとお姫様抱っこをする。えっ、力ないんじゃなかったのって?

 ……一応、放浪とロドスでの生活の中である程度パワーはつきましたよ、ええ。腕相撲はロスモンティスにも負けるけど……。

 

「後程追います。道筋は分かっているのでご心配なく。それでは!」

 

 ビルとビルの間の道へと入り込む。

 

 ところで、行く間際。アーミヤが呟いたことを、僕は聞いていなかった。

 

「……ロミオさん、チェルノボーグは来たことないと言っていたのに何故分かるのでしょうか……?」

 

 

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