追記:上級エリートじゃなくて爆発力のタグが消えてました。私はいったい何を見たんだ……?
上級エリートはイフリータちゃんが来ました
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「f3、e5、あの犬を抑えろ!c4、d5はあの盾男を動かせないようにね!」
メフィストが指示を出せば、おそらく対応する番号の構成員はその通りに動く。
ドーベルマンを狙って突撃する構成員の後ろから、射撃構成員がAceを動かさないように撃ち続ける。
「重装オペレーター2名と狙撃オペレーター1名を前へ!牽制をお願いします!」
「甘いよ、h2、h6、突撃!」
アーミヤが対応をするも、さらに、レユニオンの数名が突撃をかける。
Aceの号令によって突撃は受け止められるが、それだけではなかった。
「今だよ、術師、c7!敵のルークを飲み込め!」
突撃してきた敵を受け止めていた重装オペレーター達だったが、それに隠れるようにしてレユニオンの術師が飛び出す。
術師の手には、爆発力のあるアーツが準備されていた。
「間に合わない、伏せろ!」
ドーベルマンの怒号に、皆々伏せる。爆風が、戦場を駆け巡る。それは若干、敵も巻き込んでいたが……それに気付くことは、少なくともこの場では誰もできなかったようだ。
「……感染者とはいえ、みんな凶暴な暴徒なのに、彼一人だけで全員の指揮が出来るなんて……!このままだと───」
「逆に考えろ!奴さえ抑えればどうにかなる!」
少しの弱みも見せるな!とドーベルマンが言うが、それでもいくらかのオペレーターには恐怖が見え隠れしていた。
それはそうだろう。メフィストは、まるでチェスの駒を動かすかのように指揮をするのだ。しかも、年齢に似つかわしくない正確な指揮だ。
『ドクター』ほどとは言わないが、まるで優秀な指揮能力を持った者に師事したことがあるような、そうとまで思えてしまう。
つまり、ロドスは少しずつだが圧されていた。
「よし!それじゃあa5、e3、d1!畳み掛けるんだ!」
「なにか……なにか局面を打開する方法は……!このままだと、ドクターも皆さんも……!」
ダメ、どうすれば。いくら考えども、アーミヤには思いつかない。
レユニオンの凶刃が、数メートルまで迫る。その時だった。
「うわあああああああああ!!!」
「わあ?!っ………何が起きた?」
突如として衝撃が走り、レユニオンの構成員達が吹き飛ばされる。
何が起こったか分からない、と言った様子でメフィストはアーツユニットの杖を握りしめ、なんとか立っている。
「────道を開けよ!」
レユニオンとロドスの間に駆けつけたのは、金髪の女騎士。
輝かんばかりのその騎士は、襲い来る構成員を薙ぎ払った。
「攻勢に打って出る!敵に陣形を整えさせるな!」
「ニアールさん!」
カジミエーシュの耀騎士、ニアール。「ゲーム」が始まる前にドーベルマンが撃った信号弾を見て、駆けつけたのだと言う。
予想外の援軍に、メフィストは目を丸く見開いた。しかし、取り乱すことはなく、メフィストはニアールを観察する。
「………」
ニアールはメフィストの方にしっかりと目線を向け、構えたまま問いかける。
「───貴様。チェルノボーグの軍事拠点を占領したレユニオンの構成員は、機械のように効率的な戦い方だった。」
「そうだろうね」
「しかし、それに対して、貴様は半錯乱状態になった暴徒をのさばらせているだけだ。虐殺、放火、リンチ……この戦い方は、貴様の残忍な趣味を満足させるのが目的だろう?このタイミングでこの程度のことしかできぬやつが、都市全体を陥れる策が出せるはずがない」
メフィストは、めんどくさいなという表情を隠そうとせずに答える。
「惜しいなあ。違うんだよ、それ。僕たちは、撹乱するだけでいいんだ。なにも、倒すだけが賢いやり方じゃないってことは、そこの顔を隠した彼は特によく知ってるんじゃないの?」
諭すような口調は煽っているのか。
「それに、虐殺もリンチも僕の趣味じゃない。……勝手にやった奴については後回しにするけど、僕の趣味はそんなに悪くないよ?歌うことと、学ぶことだからね────ファウスト!」
メフィストがそう呼べば、南方の高台が一瞬光る。銃口か鏃が、光を反射したのだ。
「───ああ、分かってる」
高台にいた黒い少年……
途端、ニアールのもとへと超高火力の弾が放たれる。普通なら、盾で受けようものなら衝撃で腕がちぎれてしまうような衝撃だ。
─────しかし、ニアールは受けきってみせた。
「ゴホッ、ゴホッ……」
「ニアールさん!」
ニアールは、立っている。とはいえ、もう一度受けてしまえば防御どころではないのは明白だ。
だが、ニアール以外にあの弾を受けられる者は、この場にいない。だから、ニアールは下がれない。
「狙撃オペレーター、射撃準備!目標、南方高台、撃てッ!」
次の一撃が来るよりも早く、Aceとその隊が動いた。ファウストのいるであろう高台へと弾を放ち、時間を稼ぐ。
「なんだと!……違う、落ち着け。追い詰められた時こそ冷静にって先生は言ってた……!」
「敵に対応の隙を与えるな!奴らがE3小隊に手間取っているうちに……アーミヤ!」
「了解しました!E1小隊の狙撃手は私と共にレユニオンへ牽制を!E2小隊は最大火力でレユニオンの防衛線を破ってください!」
アーミヤの指示に、オペレーターたちは即座に動く。
追い詰めたはずの相手に勢力を取り戻されたことに、メフィストは少なからず動揺していた。いくら冷静になろうとしても、どうしてもそれは抑えられない。
その一瞬の動揺が、隙となった。ロドスは、この場所から強行突破していく。
「ッ────追えっ、アイツらを逃がすな!」
しかし、その指令も虚しく、ロドスはメフィストのもとから逃げて行ってしまった。