目の前の光景を表す為の言葉は、僕の語彙では惨状と言う他なかった。
隕石が降り注ぎ、建物を崩し、人を潰す。流石に気分が悪くなってくる。
……が、そういうのを表に出す訳にはいかない。僕と同じ位置に退避しているオペレーターのためにもだ。
「ううっ、うう……」
「大丈夫、大丈夫だからね。誰一人として、チェルノボーグじゃ死なないから。……死なせないから」
子供を落ち着けるように、背中をさする。強い錯乱状態に陥りそうになっている子には、弱い
血のように赤い空から降り注ぐ隕石は、止まらず溢れる血液のようだった。
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「……先生、大丈夫かな」
メフィストは、ふと呟いた。
メフィストは『先生』が何があろうと生きている筈だし、少なくとも
しかし、そうだとしても心配する気持ちもある。相棒たるファウストは心配するまでもなく大丈夫なのだが、『先生』に関しては今現在は敵方……つまり、ロドスの方にいる。
ロドスが『先生』を捨て駒にしたりだとか、犠牲にしたりだとかしないだろうか?と疑っているのだ。
そんなメフィストに、話しかける影があった。
「先生?その先生って……先生って、あなたが気にかけていたあのエーギルのこと?……こと?」
所々単語を繰り返しながら、顔を隠したエラフィアの女性だった。
大きめの外套を羽織っており体型も分からないが、声色から女性とわかる程度だから、本当に女性かどうかは分からないが。
「そうだけど。何か悪いかい?アンフィテアトルム」
エラフィアの女性───『アンフィテアトルム』は、首を傾げた。
「何も、なにも、何も悪いとは言ってないわ。そんなに、そんなに心配なら、今すぐ迎えに行けばいいんじゃないの?……ないの?」
「そうしたいのは山々だけど、物事には全てタイミングがあるんだ。焦って動けば八割がた失敗するから、1度落ち着くべき……先生の教えだよ」
「そう、そう……そう?そうなのね。ええ、そう………」
そう言いながら、アンフィテアトルムはタルラの方へと向かっていった。
「……何がしたかったんだ?」
メフィストは、そう呟き、天災が収束に向かいつつあるのを見てその場を離れた。
そろそろ、頃合だと彼は思った。
◆◆◆
天災の波は収束に向かっている。しかし、それ以外の災禍が………瓦礫から這い出してきたレユニオンに足止めされていた。
「多すぎる……本当に、多すぎる!」
天災で大半が削れようが、レユニオンはなんの問題もなくその数の暴力でロドスに優位を取れる。
理解はできる。しかし、それを実行しようなんて、簡単には思えない。いや、それ以上に実現出来ていること自体がおかしい。
「どうやって、こんなに集めたんだろう……ね!」
あまりにも接近してきた構成員を蹴り飛ばす。多すぎて、
「どうやら、我々は奴らから相当実力を買われてしまったらしいな」
皮肉か冗談か、珍しくドーベルマンが言う。ああクソ、笑いたいけど余裕がちょっと無い。
と、突然、レユニオンの動きが止まった。
皆、何事かと警戒を強める。
「一人だけこちらに近づいてきます!」
誰かがそう言った。敵の使者か?それとも、命知らずか?
わからない。が、その姿が近付くにつれて、纏う焦げ臭い鉄と硫黄のような匂いと熱気と共に「何者か」がハッキリした。
アーミヤが、その
「彼女は……レユニオンムーブメントの──────タルラ」
────────世界の全てを燃やし尽くす火焔