危機契約が始まりましたね。レッドラベル許さん
「───ろ」
「───いえ────。」
何か、声がする。いつの間にか寝ちゃっていたのだろうか。それとも、僕、死んだ?死んだ覚えはないのだけども。
「────あ!」
ぼんやりと目を開けると、こちらを覗き込んでいたのか、アーミヤとドクターに目が合った。
「……大丈夫か?」「大丈夫ですか?!」
「えっ、えっ?あ、あ……はい」
状況が呑み込めないまま、起き上がる。空は雲だらけであるため、まだチェルノボーグ内ではあるようだ。
「よかった、ロミオさんも、よかった……ぐすっ」
「あ、あの……これどういう状況……?」
半泣きのアーミヤに、よく分からないドクター。
状況が分からず、周囲に助けを求めて視線を向けてみる。すると、目が合ったドーベルマンがため息をついた。
「今の今までお前は気を失っていたんだ。包囲網を抜けたところで、お前達が合流してきたからな。一息入れている間に目を覚ました……」
「……そうだ、Ace、Aceさんは無事なの?!」
タルラと対峙して、その後の記憶がかなり曖昧だ。何だかとてつもなく高揚していた気がするが、いったい何をしていたのだか……。
「落ち着け。Aceなら、そこだ」
その声に促されて顔をあげれば、装甲も体もボロボロのAceと、その隊員達がいた。
「………!」
よかった、本当に良かった!!ひとまずの目的は、達成されていた!よかった、よかった……!
「折角格好を付けたのだがな……」
ふふ、と笑いながら首を振るAceの姿に、『いる』ということが確実で、幽霊ではないことがはっきり分かって。
それでも、なんとか平静を装う。
「言ったじゃないですか、四肢がもげようが帰ろうって」
「……そうだったな。タルラのアーツが直前で消えたのが幸いした。ロミオの『アーツ』による足止めも、大いに助かった」
「そう、ですか……よかった」
とりあえず、立ち上がる。少しよろめいたし頭も痛いが、別に行動に支障はない。
「流石の耐久力だな」
「耐性は取り柄ですから。重装オペレーターさん達には劣りますが……」
「……本当に大丈夫なのか?合流時はボロボロだったが」
ふと、ドクターがそう言った。
「どういうことかな?」
「Ace……だったか。Aceがお前を運んで来た時、熱波などで肌が爛れた部分があったり、多くの出血を伴っていた」
「……まあ傷こそありますが、火傷跡はないですね」
言われて確認すれば、切り傷等はあっても火傷跡は見つからない。
もとから傷の治りは早いほうだから、あまり気にしてはいなかったが……。やはり(推定)エーギルは丈夫と言うやつなのだろうか?
「種族柄とかじゃないかな?僕も分からないけど……」
「そうか……」
どうやら納得がいかない様子だが、ドクターは今は追求するのをやめてくれた。正直助かる。僕も理由とかまったく分からないからだ。
「さて、それでは、そろそろ進もう。なに、もう少しだ」
二アールがそういえば、皆々頷いて立ち上がり、荷物を持ち始めた。
そういえばと思って近くを見ると、鞄は少し焦げたものの無事な様子で、そこにあった。
「ええ、皆さん、帰りましょう」
ロドスへ、家へと、帰ろう。
──────そういえば、Wを見かけなかったが……どうしたのだろうか?