平衡より来たれり   作:月侍

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プロローグがやっと終わりました。なげーよ。


プロローグ:平衡前夜④

 「レユニオン・ムーブメント」崩壊。ロドス・アイランドは今まで通り運営。

 

 

 その報せを聞いて、なんとも言えない感情になった。

 

 自分を助けに来たはずなのに自分はその場所にいなくて、それでも出来ることをできる限りした結果、数週間の大局面は『ドクター』抜きで終わったのだ。

 

 レユニオンも、『ファウスト』と『メフィスト』が居なかったが、問題なかったようだ。

 

 

「……センセ、大丈夫?」

 

「うん、とっても顔色が悪いよ……」

 

 生徒2人に心配されているが、言葉を返すことが出来ずに笑うことしか出来なかった。

 自分の感情がよく分からなくなっている。喜怒哀楽が入り交じって、ぐちゃぐちゃだった。

 

「……そうだ、せ、先生。あのね、僕、少しだけまた歌えるようになったんだ。だから、少し聞いてよ!」

 

 イーノが笑って、歌ってくれた。

 音程は所々外れているし、掠れたような音もしている。でも、出会った時よりも格段に上手くなっていた。

 

 イーノは感染したときに、喉をやられている。だから、大好きだった歌を歌えなくなっていた。

 それでも諦めるなと励ましながら、少しずつ練習していると、本当に少しずつ、歌えるようになっていた。

 

「けほっ、けほ……ここまでだけど……」

 

「ふふ……ありがとう、イーノ。少し元気が出たよ。サーシャも、心配してくれてありがとう」

 

 そっと2人を抱きしめる。きっとこの可愛くて利口で才能ある2人の生徒には、バレバレだろう。だけどもせめて、大丈夫なフリをさせて欲しい。

 目の端から数滴落ちた涙は、分からなくなってキャパオーバーした感情が溢れたものだから、きっと……きっと、悲しいとか寂しいとか、そういう訳では無いはずだ。

 

 

 

 数分して、一旦落ち着いた。

 

「ありがとう。落ち着いたから、ほら、あー……ほら、2人とも泣かないで!」

 

 ヨシヨシとふたりを宥めてから、空を見上げた。遠くに、飛行艇が見える。ロドスの飛行艇だ。

 

 ……もしもまだあそこで眠っていたら、今頃きっとアレに乗っていただろう。

 しかし、それなら、この可愛い生徒2人には逢えなかった上に、この2人は死んでしまっていた。

 

「……うん、そうだね。まだ、旅を続けようか」

 

「センセ、本当に大丈夫なの?」

 

「大丈夫だよ、サーシャ。色々と……色々とショックなことを知ってしまったけど、もう過ぎたことなんだ。だから、それは忘れて、君達と世界を見ていく方がいいんだ」

 

 そう言えば、2人とも怪訝な表情で互いに顔を見合わせたものの、頷いてからこちらを向いた。

 

「わかった。だけど、センセが無理しそうになったら俺は止めるから」

 

「僕も、先生とサーシャは楽しそうな方がいいから……!」

 

 そう言い、ぎゅっとまた抱きついてきた。僕は笑いながらまた撫でた。

 

 

「うん。わかったよ。……そうだ、次はシエスタに行こうか。確か、賑やかな場所だと聞いてるよ」

 

 

 そろそろ行こうか、と立ち上がった時だった。

 

 突如、地面が揺れた。

 

 

「な……」

 

「動くな!落ち着いて。ただの地震────」

 

 ドスン、と目の前に落ちてきたのは黒い塊。あれは……源石結晶。天災だ!

 

「───じゃない!なにかの陰へ!」

 

 

 少し向こうに、採掘所跡が見える。そこへ向けて、走り出した。

 

 

 しかし、逃げる途中、鞄が吹き飛ばされてしまった。自分はそれを、取りに戻ろうとしてしまった。

 

「先生、ダメ!」「センセ!」

 

「え?」

 

 真上から迫り来る、巨大な塊。

 

 

 意識は、そこで途切れた。

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