「レユニオン・ムーブメント」崩壊。ロドス・アイランドは今まで通り運営。
その報せを聞いて、なんとも言えない感情になった。
自分を助けに来たはずなのに自分はその場所にいなくて、それでも出来ることをできる限りした結果、数週間の大局面は『ドクター』抜きで終わったのだ。
レユニオンも、『ファウスト』と『メフィスト』が居なかったが、問題なかったようだ。
「……センセ、大丈夫?」
「うん、とっても顔色が悪いよ……」
生徒2人に心配されているが、言葉を返すことが出来ずに笑うことしか出来なかった。
自分の感情がよく分からなくなっている。喜怒哀楽が入り交じって、ぐちゃぐちゃだった。
「……そうだ、せ、先生。あのね、僕、少しだけまた歌えるようになったんだ。だから、少し聞いてよ!」
イーノが笑って、歌ってくれた。
音程は所々外れているし、掠れたような音もしている。でも、出会った時よりも格段に上手くなっていた。
イーノは感染したときに、喉をやられている。だから、大好きだった歌を歌えなくなっていた。
それでも諦めるなと励ましながら、少しずつ練習していると、本当に少しずつ、歌えるようになっていた。
「けほっ、けほ……ここまでだけど……」
「ふふ……ありがとう、イーノ。少し元気が出たよ。サーシャも、心配してくれてありがとう」
そっと2人を抱きしめる。きっとこの可愛くて利口で才能ある2人の生徒には、バレバレだろう。だけどもせめて、大丈夫なフリをさせて欲しい。
目の端から数滴落ちた涙は、分からなくなってキャパオーバーした感情が溢れたものだから、きっと……きっと、悲しいとか寂しいとか、そういう訳では無いはずだ。
数分して、一旦落ち着いた。
「ありがとう。落ち着いたから、ほら、あー……ほら、2人とも泣かないで!」
ヨシヨシとふたりを宥めてから、空を見上げた。遠くに、飛行艇が見える。ロドスの飛行艇だ。
……もしもまだあそこで眠っていたら、今頃きっとアレに乗っていただろう。
しかし、それなら、この可愛い生徒2人には逢えなかった上に、この2人は死んでしまっていた。
「……うん、そうだね。まだ、旅を続けようか」
「センセ、本当に大丈夫なの?」
「大丈夫だよ、サーシャ。色々と……色々とショックなことを知ってしまったけど、もう過ぎたことなんだ。だから、それは忘れて、君達と世界を見ていく方がいいんだ」
そう言えば、2人とも怪訝な表情で互いに顔を見合わせたものの、頷いてからこちらを向いた。
「わかった。だけど、センセが無理しそうになったら俺は止めるから」
「僕も、先生とサーシャは楽しそうな方がいいから……!」
そう言い、ぎゅっとまた抱きついてきた。僕は笑いながらまた撫でた。
「うん。わかったよ。……そうだ、次はシエスタに行こうか。確か、賑やかな場所だと聞いてるよ」
そろそろ行こうか、と立ち上がった時だった。
突如、地面が揺れた。
「な……」
「動くな!落ち着いて。ただの地震────」
ドスン、と目の前に落ちてきたのは黒い塊。あれは……源石結晶。天災だ!
「───じゃない!なにかの陰へ!」
少し向こうに、採掘所跡が見える。そこへ向けて、走り出した。
しかし、逃げる途中、鞄が吹き飛ばされてしまった。自分はそれを、取りに戻ろうとしてしまった。
「先生、ダメ!」「センセ!」
「え?」
真上から迫り来る、巨大な塊。
意識は、そこで途切れた。