「……ロドスで、ですか」
「はい。働いてもらう代わりに、衣食住の提供はします。勿論、報酬もありますし、休暇もあります」
そう言われて、考え込む。出来るなら、今すぐにでも2人を探しに行きたい。
しかし、ひとつ変な可能性を思い浮かべてしまって、それが離れなくて困っているのだ。
「異世界転移」……異世界、というのは少々変な話だが、そんな辺りなのでは無いのだろうか?と。
理由としては、2つ。まず、僕は天災によって降ってきた塊に潰されたはずだと言うこと。幾らロドスと言えども、潰された人を例え救うことが出来ても、五体満足で居させるのは至難の業だだろう。それに、僕は生徒2人と共に都市の外にいたのだから、都市の中で発見されたというのもおかしな話だ。
次に、アーミヤやケルシーの反応。自分はこれでも一応「ドクター」なのだ。あのマスクをしておらず素顔を出した状態なのだから、少なくとも、この2人は分かるはずだ。
あの石棺から失踪した「ドクター」が目の前にいる。だと言うのに、2人は初対面の人との対面のような反応だ。
……いや、ケルシーは何かを怪しんでいるような反応だけどさ。
バカバカしいと一蹴したいのは山々なのだけど、そもそも自分は『青年』の記憶を持っている、つまり異世界転生に近い状態なのだ。一蹴してしまうのは、自分の顔面に全力でラグナロクするようなものだ。
「それに、きちんと働いてくださるなら、サーシャさんとイーノさんを探すお手伝いをすることも出来ます」
最後のひと押しは、アーミヤのその言葉だった。
「……わかりました。よろしくお願いします」
◇◇◇
「……という訳で。今からテストを行います」
契約書に色々書いた後に、オペレーターのひとりに連れられて、また違う部屋に連れてこられた。
なんというか、近いものの表現が上手く見つからないけど……透明な壁で仕切られた部屋があって、そのうちシュミレーションルームのような方にいる。
そして何故か、壁の向こう側の部屋にケルシーがいる。とてもこちらを観察するように見ている。なんで?
「テストと言っても、能力測定ですから緊張しないでいいですよ」
ではまずは、と言われてテストが始まった。
物理強度や戦場機動、立案、生理耐性等々。とりあえず戦場機動が比較的悲しいことになってることは、言わずともわかってくれると思いたい。
ちょっと自分でも意外だと思ったのは、物理と生理の強度はどちらもかなり高かったということだ。
生理耐性はまあ分かっていたけど、物理耐性もそこそこあったんだ……と、謎の関心をしてしまった。
問題は、アーツ適正の測定で起きた。
「アーツ……使えるには使えますが……」
「では、アーツユニットを────」
そう言われるのを聞き終わる前に、僕は「アーツ」を使った。
目を瞑り、自身を中心として周囲に根を張るようなイメージで、その上にある全てを吸い上げるような、そんなふうに。
そして、アーツを測定するためにいた少しのオペレーターの気配を察知すれば────あとは、そこに
そうしていたら、耳をつんざくような警報音が鳴った。
その音に驚き、アーツの行使を中断した。開いた目に飛び込んだのは、焦った様子でオペレーターに駆け寄る医療班だった。
最初からなにやら書き留めていたオペレーターが駆け寄ってきた。
「な、何をやったんですか?!」
「えっと、だから、アーツを使っただけですが……」
「ただのアーツでああなる訳が無いですよ!!」
指さされた方を見れば、
「間違えた……」
与える
いや、言い訳してるバヤイではない。改めて「アーツ」を使って、ただしい
すると、オペレーター達は正気に戻ったのか自傷行為をやめた。
「……と、とりあえず測定終了です。お疲れ様でした」
半ば無理矢理、部屋から押し出されて宛てがわれた部屋へと放り込まれた。
その部屋の中に、一緒に見つかったものだとしてあの鞄が置いてあった。
中身のチェックはされてるだろうけど、少しだけ安心した。