魔法科高校の劣等生〜我が世界に来たれ魔術士〜 作:ラナ・テスタメント
再び半年程空いてしまいました……いやリハビリでガンダムの小説とか書いていましたが(汗)
申し訳ありません(汗)
再び見て貰えると幸いです。
ではオリエンテーション編その③
サブサブタイトル「だからお前はモブ崎なのだ」をお楽しみ下さい(笑)
ではでは――。
キースともかもか室の脅威のせいもあり、班決めを一年生全員は急いで行う。だが、やはり達也の予想通り、別クラスと班を組む生徒は居なかった。
無理も無い。ただでさえクラスと言う枠があるのに一科と二科なる大別もあるのだ。”まだ”入学して一ヶ月に満たない新入生ではこれが常識だろう。達也もそうだ。もっとも、自分の場合はただ単に目立ちたく無いだけであるが。
班決めの初っ端からこちらに来た深雪にもこれは伝えてある。彼女は、ほのかと雫と班を組んでいた。……その上でこちらを恨めし気に見て来たので、肩を竦めるしか無いが。エリカも美月、そしてスクルドと班を組んでいる。後は――。
「タツヤ、後一人どうする?」
レオに言われ、達也は振り向く。彼とは早々に班を組んだ。親しいと言うのが理由だが、もし親しくなくとも彼の身体能力を考えれば是非組んで起きたい。そして後一人だ。この一人が問題だった。
達也は周りを見渡すも、クラスメイト達は即座に班を組み終わっている。キースともかもか室の件もあってか、殆どが迷わずに班を決めていたのである。最後の一人は適当に決めればいいと思っていたのだが。
(出来れば後の事も考えて男子生徒と組みたい所だ)
そうでなくても女子と班を組んだら深雪がサマンサ化しそうで怖い。ちなみに例のサマンサスーツだが、彼の知らない内に部屋から消えていた。深雪に問い詰めたのだが、彼女は知らぬ存ぜぬを貫いている。そんなにアレが気に入ったと言うのか――閑話休題。
時間もさほどある訳でも無いので達也は改めて周りを見渡す。今回のオリエンテーションのルール上、男子生徒はどの班でも人気だ。それを考えればあまり贅沢も言ってられないが、とそんな風に考えていると一人の男子生徒がこちらへと歩いて来ていた。中肉中背、どちらかと言えば痩せ型の体格をしている少年だ。目元の黒子が印象的である。確か、彼は。
「やぁ、司波君と西城君」
「ああ、吉田」
「……名前、覚えてくれてたのか」
挨拶を交わした生徒、吉田幹比古がちょっと驚いて目を見開く。それに達也は微笑した。
「吉田も俺やレオの名前を覚えているだろう?」
「君達は目立つからね。それにエリカと仲良くしてるようだし」
「……? エリカと関係あるのか」
「まぁちょっとね。それより、良かったら僕と班を組んでくれないかな。あぶれてしまったんだ」
ちょっと苦笑しながらそう誘ってくる彼に、達也が思い出したのはつい先程の光景だ。彼は他の男子にも女子にも班に誘われていた筈である。だからこっちに来た時意外だったのだが。
(最初から俺達と班を組むつもりだったか)
「どうかな。ダメだろうか?」
「いや、渡りに舟だ。よろしく頼む」
吉田の意図は図りかねるが、どうでもいいと達也はあっさり彼の提案を飲んだ。今はオリエンテーションが優先である。そんな達也の考えに気付いてか気付いてないのか、吉田は表情には出さずに頷く。
「よろしく、司波君。西城君」
「おう、それと俺はレオでいいぜ。苗字で呼ばれるの堅苦しいからな」
「うん。分かったよ、レオ。僕も幹比古でいいから」
「なら俺も名前で呼んでくれ。司波だと妹と被るしな」
「分かった。達也も僕は名前で」
三人はまるで決まっていたかのように互いに名前で呼び合う。それを確認して達也は頷いた。これで班は決まった。後は、ちょっとした打ち合わせをしたい所だが……。
「大体班は決まったな。残っている奴はいないか?」
(そんな時間は無いか)
オーフェンがもかもか室なる手足の生えた家屋をちらちらと気にしながら、急くように問う。無理も無い。もかもか室は今にも動き出さんと手足を微妙に震わせていたから。
キースが止めるとも思えない。すぐ襲い掛かって来ても不思議は無かった。
オーフェンはぐるりと見渡すと頷き、続けて小冊子を配分した。この森の地図らしい。中を見てみると、チェックポイントが記入してあった。
「不帰の砂漠に獅子千尋の谷、魔霊の廃墟って……」
「オーフェン先生質問が――」
「不帰の砂漠には大砂虫がいて獅子千尋の谷には巨大怪鳥がいて魔霊の廃墟は致死性の毒ガスが出てる。他に質問は? 無いな。では開始!」
ツッコミ所満載の答えを返し質問を無理矢理終えるなり、オーフェンは後ろへと一気に飛びすさった。そこをもかもか室の手が通過する。ちっ――と舌打ちが聞こえたのは気のせいか。
「てめぇキース! やっぱり俺を狙ってやがったな!?」
「それは誤解です、黒魔術士殿! このもかもか室は勝手に動いているのです! ああ、もかもか室が、勝手に! 勝手に!」
「ならさっきの舌打ちはなんだ!?」
「いえ単に惜しいなと」
「こ・い・つ・はぁぁぁぁぁぁぁ……!」
ずしん、ずしんと迫るもかもか室にオーフェンは恨み節全開の叫びを上げながら全力で走る。その先には案の定と言うか、真由美が居た。
「ちょっと、こっち来ないでよオーフェン!」
「反対側行くと俺が捕まるだろーが!」
「だからって何でこっちに……! また盾にする気ね!?」
「そんな訳無いだろ」
「ほ、本当に?」
疑うような真由美の問いにオーフェンはやけにいい笑顔で頷いた。そして。
「ただ偶然足が引っ掛かって偶然お前が転んで捕まって、偶然時間稼ぎになったらいいなとか考えてない事も無い」
「嘘付くならもっと信じられる嘘付いてよ――!」
台無しなオーフェンの台詞に、悲痛に真由美は訴えるも、彼ははっはっはと笑うだけである。しかも目が笑っていなかった。あれは、マジだ。
「大体嫁入り前の娘があんな所に入れられるのを分かってて良心が痛まないの!?」
「良心で生き残れたら世話無いわい! 言っとくがな、あん中に入れられたらガチで死にかけるんだからな!? お前こそ年長者を敬って率先して尊い犠牲になろうとか生徒会長として思わないのか!」
「死んでも嫌よ! オーフェンこそ元々私のボディーガードでしょ!? なら貴方こそ盾になるべきよ!」
「ボディーガードの仕事にあれから庇うなんざ入るか! それに――」
罵り合いながら駆けるオーフェンと真由美。そして二人を追い掛けるもかもか室を唖然として見ていると、唐突にぴたりともかもか室が止まった。同時に、ぽんとキースが手を叩く。
「おっと。つい黒魔術士殿とマユミお嬢様を追い掛けるのに夢中になってしまいましたな」
「てめぇ、やっぱわざとか!?」
「キース本当に後で酷いからね!」
「そうおっしゃらずに。仕事はこなしますとも」
言うなり、もかもか室がくるりと反転する。意外に小回りが利くなと思った瞬間、生徒一同は我に帰った。あれの本来の目的は――。
「では、参ります」
『『逃げろ――――――――――!!』』
誰かが叫ぶと同時にわっと皆が全速力で走り出し、もかもか室も地響きを上げて追い掛け出す。
ついに、今年度新入生オリエンテーションが開始されたのであった。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
一斉に駆けて行く生徒達の中で達也はレオと幹比古と離れず固まって走る。もかもか室はさほど速く無いのか、まだ誰も捕まっていない。だが、チェックポイント等を考えるとそれ程余裕は無さそうだった。
「で、どうするんだい達也。このまま行くのかい?」
息切れしないように適度なペースを保ち、幹比古が問う。何気ない風な問いだが、その目に試すような光を見て苦笑した。
「このペースを保てば、あれに捕まる事は無い――だが、あの執事だからな……」
このままで済む筈が無い。そう確信し、達也は首を振る。あの執事の事だ、何らかをやらかすのは確実であった。
ならチェックポイントを素早く抜ける必要がある。そこで問題となるのがオーフェン曰くの課題だ。どのようなものを用意しているかは知らないが、まずまともな課題では無いだろう。ついでにキャンプ用品やら食料、飲料も確保しておきたい。いくら達也と言えど、こんな訳の分からない所で食料やら飲料を調達したくは無かった。しかし、達也たちの班は魔法力に問題がある全員二科生だ。いくらオーフェンと言えど、魔法力を試さない課題が無いと言う事はありえまい。ならどうするか? 答えは簡単、”ルールの裏をかけばいい”。
(元々オーフェン先生もその積もりだったろうしな)
苦笑し、今ごろ真由美とぎゃいぎゃいやりあいながらチェックポイントに転移でもしているのだろうなと見当を付け、達也は周囲に目を配る。自分と同じ事をしそうな者は――やはりと言うかいなさそうだった。
「レオ、幹比古、ちょっと耳を貸してくれ。頼みたい事がある」
「おう、いいぜ」
「頼みたい事か……うん、いいよ」
二つ返事でレオが。ちょっとだけ考えて幹比古が頷く。それを確認し、達也は周囲に聞こえないように小声で自分の作戦と頼みを二人に伝える――それを聞いた二人は、揃って感心したような、呆れたような顔となったのであった。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
この森――首狩りだがなんだか知らないが、異様に広大な森――をずっと走り続けるのは無理がある。例のもかもか室も大きさの為か、こちらを追うペースが遅くなっているようだった。他の生徒も走りから速足程度にまで速度を落としている。達也も合流したレオ、幹比古と共に速足でチェックポイントに向かっていた。
さりげなく『目』で確認した所、現在、中の上程度の順位であった。目立たず、しかし課題クリアの報酬を受け取れる順位だ。
(このペースを維持したい所だな)
あくまで達也は自分のスタンスを崩さない――まぁ余程の、例えば執事がやらかしたりしない限りは――目立た無い事を第一に考えていた。と、そこで見る先に生徒達の列が見えた。あれは――?
「はい。こちらの班の勝利です。こちらをどうぞ」
「よっしゃぁ!」
「……」
喝采を上げる班、一科生の班だ――に、負けたのだろう。二科生の班が諦めたような顔をする。そして勝敗を告げたのは生徒会会計、市原鈴音だった。どうやらここがチェックポイントだったか。見ると、いつかの魔法実技の授業で使った機材が置いてあり、そこに班の代表が、それぞれ進み出て、魔法起動速度を競っていた。
どうやらここは試合形式の課題らしい。辿りついた時点でチェックポイントは通過出来るようだが、勝敗の結果でキャンプ用品の報酬が受け取れるかどうか決まるようだった。そして。
「待っていたぞ、司波!」
「…………」
何となくそうだろうなとは思っていたが、やはり待っていたらしいモブ――じゃない森崎に、顔に出さずにげんなりとする。
レオと幹比古が怪訝そうに見て来たが、そちらには構わず森崎の相手をする事にする。無視しても良かったが、それはそれでろくな事にならない予感があった。
「モ……森崎。何の用だ?」
「おい今何で噛んだ」
「気にするな。それで?」
「……まぁいい。用件は一つだ、司波。俺と勝負しろ!」
ああやっぱりかと達也は小さく嘆息。まぁ予想していたと言うか確信していたので、別にいいのだが――こうも予想通りだと、逆に脱力してしまう。まぁ、どちらにせよ誰かと競わなければならないのは確かなので渡りに船ではあった。
「分かった。受けよう」
「……?」
やけにあっさり頷いた達也に、森崎が訝しむような顔となるも、すぐにふふんと嘲るような顔となる。諦めたとでも思ったらしい。そんな彼に、達也は胸中で十字を切ってやった。そして両者は機材の前に並び――。
「ほえ面かかせてやるよ! 司波ぁぁぁぁ!」
「はい。よろしくお願いしますね、森崎君」
勝ち誇った顔で振り向いた先には素晴らしい美貌で優しく優しく微笑む司波深雪が居たのだった。
(オリエンテーション編④に続く)
さん、はい。モブ崎――――――――!(咆哮)
ええ、皆で叫びましょう(笑)
何故ああなった……かは、次回にて(笑)
達也君のいやらしいいやらしい策略が展開します
こいつルールに違反してなけりゃ何やってもいいと思ってやがる……(真理)
ではオリエンテーション④でまたお会いしましょう。
ではではー。