「……」
「おい。」
「あうっ!?」
頭に衝撃を受けて目を覚ます……う~ん…結局本格的に寝そうになってたみたい…
「もうとっくに終わった…とっとと着替えろ。」
「あ、うん…」
良く見れば、千冬も格好こそラフだけど今はちゃんと着替えてる…私も取り敢えず着替え…
「……それは寝てる時に着てたやつじゃないのか?」
「いや、起きた後に着替えた服…」
さすがに、床に落ちてた服そのまま着たらそう言われるよね…
「何でお前は一度着替えてから、改めてシャワー浴びてるんだ?」
「あー…んー…」
アレに関してはちょっと話せない…本当にあの人余計な事してくれたなぁ……まぁ、結局保存してるんだから文句も言えないけど。
「……まぁ、言いたくないなら別に良いがな。」
「うん、ちょっと…あ、千冬ももうシャワー浴びたんでしょ?コーヒーでも飲む?…って言ってもインスタントだけどね。」
「ん?すぐ出来るのか?」
「私がさっき飲んだ時に沸かしたのがまだ残ってるから。」
ケトルは動力が電気な事も有って、大抵は保温機能付きだからね…千冬がいつ起きるのか分からなかったとは言え、一応もう一人分入れれるくらいはお湯残ってる筈…
「なら、貰うか…ところで朝食はどうするんだ?…まぁ、少々時間が経ってしまったが。」
この場合選択肢はいくつか有る…ルームサービスを頼むか、下のロビー行って併設されてるレストランで食べるか…後は外で食べるか。
「う~ん…」
「お前が飯で一々悩むのは珍しいな…」
「いや、日本に居るのとはまた勝手が違うしね…」
千冬にコーヒーを渡しながら思う……意外な話になるけど、そもそもドイツには所謂コンビニエンスストアと言う物が存在しない。と言うより、深夜も営業する店と…休日も営業してる店が少ないと言うのが正しい。ちなみに、実はフランスも似た様な状況…最も、両国はそれぞれ少し異なる事情でそうなってる…ドイツは労働者の為に閉店法が制定されており、基本的に日曜と祝日の小売店の営業は認められておらず…平日の営業時間も午前六時から午後八時までと割と厳しく定められてる…
最も今私たちが泊まってるホテルとか空港、後はガソリンスタンドなど公共性が高い所は夜遅くまで営業していたり…と言うか、夜間に空港やガソリンスタンド閉まってたら外国から来た人は詰むけどね…と言うかホテル閉まってたら到着するなり野宿が確定するからシャレにならない…
で、私たちは今ドイツに居るから完全に余談になるけど…フランスにもお店の営業についての法律は有るけど、夜間営業と日曜と祝日の営業が無いのは…どちらかと言えば大きいのは宗教上の理由…フランスは国民の大半はキリスト教、それもカトリック信者。カトリックでは日曜と夜間に労働するのが最早禁止されてるレベルだから…
とは言え、日本から旅行来たりすると多くの場合到着するのは夜遅くになるだろうから辛いものが有るだろうけどね…まぁ、同じく公共性の高い場所は営業してるのは救いか…後、フランスでは少ないけどイスラム教を信奉してる人たちのお店は夜間も開いてるから、そっちを利用する事になるのかな…ただ、商品の豊富さとは裏腹にそれなりに値が張るのが不便な点か……まぁ、私がフランス行く時って大抵は父さんの実家に行く時だから、あんまり夜にお店利用する事は無かったりする…
「まぁ、朝は色々お店も開いてるからね…結構目移りするんだよねぇ…」
「ドイツの店は夜は基本的に閉まるからな…ま、それなら今の内にぶらつくか?ここまで来てホテル内に留まるのも味気無いだろ?」
「そうだね、そうしようか。」
時間が有っても意外とそんなにやりたい事が浮かばないのが私たち…ま、せっかくの海外…一応色々調べては有るし、見るべき物は多いかな…ただ、急がないと見る時間がねぇ…
「最も、朝食は肉以外な?」
「分かってるよ。ドイツはソーセージが有名だけど、ちゃんと他にも有るから。」
「ドイツで他に主食って言うと…芋か。」
「厳密に言えば副菜だけど、じゃがいもを使った料理は種類も有るね…ソーセージよりはマシだろうけど、それでもカロリーは少々お高めかな…」
「元々芋にカロリー低いイメージは持ってないがな…」
「いや、じゃがいもは普通に野菜だし…本来は言う程、カロリーは高くないからね?」
この場合は料理として加工した事でカロリーが上がってるんだよねぇ…実際、ドイツではフライドポテトを店で頼むとマヨネーズが付いて来るみたいだし…
「ちなみにドイツの人は朝は大抵パンで、付け合せにチーズとかソーセージを食べるのが普通で…温かくて、ボリュームの有る料理を食べるのは昼だけなんだってさ。」
「ほう…なら、夜は何を食べてるんだ?」
「……実は朝とそんなに変わらないどころか、下手したら朝より更に軽く済ませるんだよね…もちろん理由もちゃんと有ってね、家事の負担を軽くして家族とゆっくり過ごす時間を作る為なんだとか。」
「そうか…普通平日なら、朝と夜は家に居るが…日中は仕事してて居ない上、朝が軽いなら昼の量が増えるのは必然か。」
「午後からもまだ仕事は続くしね…そして、その分夜もまた軽くするの…理に適ってるでしょ?」
「昨夜、あれだけ食ってた奴が言う事か?」
「私、ドイツ人じゃないもん。」
「いや、もんってお前…ハァ…ちなみにフランスだとどうなんだ?」
まぁ、千冬と一夏君は私と向こうに行っても日本の感覚で食べるから知らないよねぇ…
「フランスも朝は軽め…下手したら朝にソーセージは食べないからこっちよりも質素かな…昼は多く食べる人と軽めにする人と居るね…夜は肉を食べたりする事も有るけど…それでもそんなに多くは食べない。それに、夜でもあまり料理をしない家庭も多いかな…基本的にフランスって両親が共働きの家がほとんどだしね…その為、冷凍食品の専門店が充実してる…」
「要は全体的に質素、という事か?」
「フランスは元々質素倹約を掲げるカトリック信者の人が多いしね…ちなみに外食もあまりしないね。最も、家にお客さんが来る時はある程度豪華にするのが普通。」
「お前程、質素倹約と言う言葉が似合わない女も居ないだろうな…」
「食事以外は抑えてるんだけど「お前は単に、食事以外の事が雑なだけだろ?」むぅ…」
う~ん…否定出来無い。
「ま、グダグダ話してても仕方無いな…出掛けるか?」
「そうだね、行こうか。」
一応見るべき物は有る…まぁ、ドイツって特別華やかな観光地とかは無くて、基本的に古い建物が観光の目玉扱いだったりするから…その辺興味無い人にはつまらない国なんて言われたりする事も有るみたい…私と千冬はそう言うの割と好きだから、問題は無いけどね。