取り敢えず千冬の希望通りに一度部屋まで戻って来た。
「……良し、行くぞ。」
「あれ?もう良いの?」
「お前な…コイツを眺めてるだけで一日終わったら、わざわざ海を渡った意味が無いだろうが。」
意外にも、部屋でテディベアを幸せそうに数分程眺めた後…千冬の顔は普段通りに戻った……う~ん…ちょっと残念…
「お前は私の顔見ててそんなに楽しいのか?」
「正直に言えば、滅茶苦茶楽しいかな…」
「お前のそう言う所は今でも良く分からん…」
いや、好きな人の顔だし…私的には凄く満たされるんだよね……今日みたいなデレッデレの笑顔なんて見せられたら特にね…
途中で買った飲み物片手にツァイル通りの方まで戻って来た。まぁ、ここまで来て買うのが千冬のテディベアだけってのも確かに問題…皆へのお土産も見繕っておかないとならないし…まぁ、三日有るんだから今日焦って買う事も無いけどさ…
「■●さんには何を渡すべきだろうな?」
「……ん…この瓶、とか?」
「それは今お前が飲んだ空き瓶だろ…」
「これ、日本の店舗だと売ってないし。」
「さすがにもうちょっと真面目に選べ。」
「え~…?」
「何でそんなに嫌そうなんだ…?」
「まぁ、色々とね…」
今朝のアレはまだ根に持ってる……確かに保存はしたけど、それとこれとは話が別。
「お前はともかく、私も一夏も色々世話になってるからな…ちゃんと選ばないといかん。」
「う~ん…じゃあ真面目な話。あの人ってデザインの好みとかは私たち以上に無いし、元々物欲自体が極端に薄い…多分何渡しても大体喜んでくれると思うよ?」
「だとしてもゴミ渡して良いって事にはならんだろ…」
…って言うけどあの人…完全に無趣味だし、妹の私でも何を貰ったら嬉しいのかも実際良く分からない…う~ん……あ。
「あー…有ったよ、兄さんが欲しがりそうな物。」
「おっ、本当か?」
「うん、間違い無く喜ぶと思う。」
「おい、それをあの人に渡すのか?」
「何か問題?」
「これは婦人服だろ…」
「大丈夫、あの人女装願望有るみたいだし。」
「……本当か?」
「正確には…あの人よっぽど他人になるのが好きみたいだね…男女問わず、声だけじゃなくて姿も真似たくなったみたいでさ…あの人もメンズ服に関してはさすがに分かるだろうし…なら、レディースはこっちで渡せば良いんじゃないかって…」
「お前はそれで良いのか?」
「私を巻き込まない分には、もう好きにしたらいいんじゃないかって思ってね…」
正直、わざわざ色々言うのももう面倒臭い。
「まぁ、お前がそれで良いなら良いが…一つ良いか?」
「何?」
「……お前■●さんのサイズ、分かるのか?」
「あ…」
そう言えば兄さんのサイズ、知らないなぁ…
「じゃあ、今回服は却下するしか無いな。」
「仕方無い、か。」
つまり真面目に考えないと駄目と…あー…面倒だなぁ…とは言え…
「食べ物で良いんじゃない?」
「結局それが一番無難か。」
まぁ、それが一番楽。父さんと母さんに関してはちゃんと好みは分かるから真面目に選ぶけど…一夏君に関しては大会の日に兄さんとこっちに来る事になってるし、本人に選ばせた方が良いかも。束は……別に何でも良いか。
いや、兄さんと束は本当に何を贈ったら喜ぶのか…まぁ、束も食べ物で良いか…
「お前な、それは何だ?」
「ハリボー…日本で見た事無い?実はこのグミ、ドイツ発祥なんだよね。」
「そうじゃなくてだな、それを二人の土産にする気か?」
「まさか。これは兄さん用だよ。」
「……いい加減にしろ。」
「はーい…」