「ちーちゃん固まってるね…」
「まぁ、両想いだった上に…向こうの自分があそこまで積極的に動くのは予想外だろうしな…」
「……このまま顔に落書きしてもバレないんじゃない?」
「面白い提案だ、是非私もやりたい。」
「おい、何をしようとしてる?」
「!…もっ、もちろん何でもな「ちゃんと聞こえてたぞ?未遂だし、今回は許してやる」ほっ…」
「残念だ…ちゃんと落としやすく、人体への害が少ないフェイスペイント用のペンを用意したのだか…」
「貴方も変な悪ノリしないでください…と言うかそのフェイスペイントセット一式何処から出したんですか…」
「私はISを使えないがな、代わりに拡張領域を使用出来る様になるアクセサリーを束から貰ってな…」
そう言って彼がフェイスペイント用の道具をその場から消しつつ…次に拳銃を出して来る…
「こんな物…使う予定が有るんですか?」
「落ち着いてくれ、これは麻酔銃だ。」
「まぁ、私たちと行動してるとこれから先…色々巻き込まれそうだしね。今は■くん用のパワードスーツも開発中なの。」
「私もそう言う物は嫌いでは無いからな、少し楽しみでは有る…」
「■くんは運動センスが高いからね、少し慣らしただけでISとも互角の戦いが出来ると思うよ~。」
「ま、しばらく観察する時間さえ貰えれば恐らく七割程は真似る自信が有るからな…」
日本では見取稽古と言う言葉が有る…要は武道や芸事の学び方の一つで、先輩や師匠の動きを見て、真似て…やがては自分の物にする事を言う…最も、今では大体そう言われるが…昔は先輩や師匠と生活全てを共にして…生活様式から仕草、思考を含め全てを観察し、真似ると言う意味が有った…まぁ、今ではそう言う教え方をしてる所は少ないな…有名なのは落語家だろうか。昔と違い、住み込みは少なくなった様だが…今現在も弟子は師匠の家に足繁く通い、寄席に出る師匠に付いて回り身の回りの雑用等をするそうだ。実際噺のネタや技術より先に…先ずは師の好物を覚える所から始まると言うから、筋金入りだな…
……まぁ、彼の場合…そこまでしなくても本当に少し見ただけである程度真似れてしまうのだがな…スーツが出来たら私が慣らしに付き合わされるのだろう…そして、篠ノ之流を彼も習得するのが目に見えている……正直、努力を否定された気がしないでも無いし…あまりやりたくないのだが…無防備なままで彼に危害が加えられるのも不本意だ、付き合うしかあるまい。
スーツのデザインや機能の話で盛り上がる二人を見ながら、私は溜め息を吐いた…
「あの…例の人たち、まだ居るの…?」
「ああ、全員居るな…」
「……ホントに?」
「ん?何だ、私を疑うのか?」
「疑うとかじゃなくてさ…その割にここから動かないから、何がしたいのかと思ってさ…」
「フッ…この体勢、嬉しくないのか?」
「……嬉しいけどさ、少なくとも二人は好奇の視線向けてるだけだと思うから…私たちがこの体勢やめたら居なくなるんじゃない?」
「駄目だな。」
「何で?」
「私がこうしたいからだ。」
「もう…」
店を出て少し歩き、見付けた公園…休憩しようと言う千冬の言葉に乗り、こうしてベンチまで来たのは良かった…ただ、まさか千冬が先に座った後…隣に座ろうとしたら、自分の太腿の上に座れと要求されるとは思ってなかった…断れなくて仕方無く座ったら、千冬が私のお腹の辺りに両腕回して来たから動けないし…
「重くない?」
「いや…あれだけ食ったのに、一体何処に消えたのかと不思議に思うくらいには軽いな。」
私、体重は大体…成人女性の平均より少し落ちるくらいで固定される事が多いから決して軽くは無いと思う…しかも私、さっきご飯食べたばかりだし…絶対、千冬の感覚は可笑しいと思う……っ!?
「ちょっと千冬!?何処触ってるの!?」
いつの間にか千冬の手が私の胸まで来ていた…
「何処ってお前の胸だが?見る度に思ってたが、お前何だかんだ少しは有るよな?」
「っ…千冬に比べたら無い、から…てか、揉まないで…ちょっと痛いから…!」
「起きてる時に触れた事は無いからな、もう少し堪能させてくれ。」
「いつぅ!分かった…分かったから、せめて少し優しく…本当に痛いんだってば!」
痛っ…!私、学生時代…寝てる間にこんな事されても起きなかったの…?鈍いにも程が有るって…!
「もう!これ以上は駄目!ここ、外なんだから!」
千冬の手を掴んで揉むのをやめさせた。
「ほう?では、部屋に戻った後は良いと言う事か?」
「もう好きにして…でも、本当に外ではやめて…後、もう少し優しくして…冗談抜きで痛いから…」
私が手を離すと千冬の手は私のお腹に戻る…結構力入れて揉まれたみたいで今もおっぱいが痛い…うう、指の跡付いてるかも…
「そんなに痛かったのか?」
「……だから、私の場合大きく無いんだから…そんなに力入れて揉まれたら痛いんだってぇ…!」
仮に千冬の腕力全開だったら…多分、潰れると言うよりもう破裂してるだろうし…と言うか、良い大人が胸揉まれたくらいで泣くのもどうかと思うけどね…
「悪かった…」
「分かってくれたなら良いよ…」
まぁ、こんな事をされてももう嫌いになれないくらいには…私は千冬に惚れてる。実際、死ぬ時は千冬に看取って欲しいのは嘘じゃないしね…
「ふぅ…と言うか、今更何だけど…」
「何だ?」
「……私たちを付けてる人が、仮に邪な目的だったら…寧ろこれ、その人を喜ばせてるだけだったりしない…?」
「かもな、だが…正直今はそんな事はどうでも良い。」
「どうでも良いって…」
「さっきも言ったが、結局私がこうしたいだけだからな…文句有るか?」
「ふぅ……無いよ、もう好きな様にして…でも、その代わり…タバコ吸っても良いかな?」
正直、このまま千冬に密着されてるとタバコでも吸わないと色々限界…
「一本だけな?」
「分かってるって…」