私個人としては少々恥ずかしい今回の一件…胸の内にしまっておきたい所だけど、ずっと私の事を応援し、見守ってくれた束と一夏君…二人にはやっぱり言わないと駄目なんだろうな…特に一夏君には、これから色々迷惑掛けそうだし…兄さん?……私からは言いたくないけど、どうせ束が言うから。束はアレで兄さんにはベッタリだし…クロエは…本当はこう言うのは分からないでいて欲しい所…
ただ、束が何か言ったのかも知れないけどあの子…どうも私が千冬に抱いてた気持ちには最初から気付いてた様な節が有る…まぁ、そもそもクロエとは元々連絡先交換してないから…私も伝えようが無いんだけどさ…
取り敢えず一夏君に千冬と結ばれる事が出来たと言う事をメールで送る……あれ?もう返信来た…そっかそろそろ学校も終わる頃かな…
"あー…うん、おめでとう"
……首を傾げる。元々少し複雑そうな感じでは有ったけど一夏君、一応私の事は応援してくれた筈…これだと妙に投げやりで、一夏君の文面としては少し違う気もする…最も、今まで一夏君最優先だった千冬…でも、あの感じだとこれから先…私の方を優先する事も増えてしまうだろう…それに伴う自分の苦労を想像した事で、こう言う文面なのかも知れないと考えた…やっぱりしっくり来ない…更に突き詰めて考える事に……!もしかして…
"一夏君、千冬の方の気持ちも知ってたの?"
返信が来る…
"ああ、分かってたよ…俺は何度も千冬姉に言った…千冬姉の方から先に告白すれば良いだろって…でも、その度に"
メールが不自然に途切れてる…多分文字数制限を気にしたのかな…そうこうしてる内に続きのメールが来る…
"その度に…あいつはあいつで鈍感だからもう少し悩ませてやりたいとか言うんだ…結局お互い空回りしてるから俺はずっと呆れてたんだよ"
ちょうど読み終わった辺りで三通目が届く。
"ちなみに束さんは千冬姉の気持ちには気付いて無かったんじゃないかな…ま、とにかく…やっとやきもきさせられずに済むって思ったら気が抜けてさ…"
四通目…
"だから、ごめん…■■さんにとっては昔からずっと秘めてた想いが漸く成就した瞬間なのは分かるけど俺からしたら肩の荷が下りたとしか思えなくてさ…"
……つまり、こうして結ばれる前から私と千冬との事で…既に色々迷惑掛けた事になるのか…知らなかったとは言え、本当に悪い事したなぁ…とにかく私は彼に続けてメールを送る事にする…
"ううん、今まで色々ありがとね…"
……送ろうとしたらまた一夏君からのメール…まだ終わってなかったのか、何だろう?
"えっとその… そう言う事する時は俺居ない時か、■■さんの所でしてくれよ?…それと…"
六通目が届く…私はもう流れ作業の感覚で届いたメールを開く…
"それと、別に俺と千冬姉の時間減る事とか気にしなくて良いから。千冬姉は随分前から俺と二人で居ても、■■さんの事で頭一杯の時も結構有ったしな…"
……何かもう…どんな文を送ったら、彼の今までの苦労を労えるのか…私には分からない…この後しばらく待ってみたけど、これ以上続きのメールが来る様子は無いみたい…取り敢えず一夏君への返信は保留にする…だって、こうして千冬と結ばれた私から何送られても嫌味になっちゃいそうだし……う~ん…メールじゃなくて今度、一夏君と二人でちゃんと顔合わせて話した方が良いのかも…別に恋人の弟可愛がったら駄目って事は無いだろうしね…
「後は束と兄さんか…」
とは言え、一夏君に聞いた話は私には割とショックが大きく…最初に二人に送った内容は元より、その後のやり取りもどうにも適当になった感じはする……まぁ、あの二人に関しては良いや…
「ふぅ…」
携帯をしまう…実はもう出掛けられる状態にはなってたり…シャワー浴びれてないし、ちょっとアレだけど……私はベッドまで向かう…
「もう…私なんかより、一夏君優先しないと駄目だよ…たった一人の弟なんだからさ…」
爆睡してる千冬に、どうせ聞こえないのは承知の上でそう声を掛ける……ま、兄さんとは一時期絶縁状態で…今でも向こうに色々複雑な感情抱く事も有る私が言える事じゃないとは思うけどさ…
「ふぅ…じゃ、少し出掛けて来るね?」
私は千冬の頭を少しの間撫でてから、部屋のカードキーと財布を持って部屋から外に出た。