日本だと割とあちこちに有る自販機…何なら一箇所に三台、四台普通に並んでる事も珍しくは無い…
ただ、海外に行くとまるで事情が異なる…国にも寄るけど、大抵ほとんどの国の自販機は駅などの限られた場所にしか配置されておらず…観光に来た多くの日本人旅行者が最初に戸惑う事の一つだったりする…例えば散策中に喉が乾いても自販機が無いから、店で買う事になる訳だけどガイドを付けず単独で旅行してる場合は自分で店主とやり取りする事になるからね…最低限英語は話せないとやっぱり面倒な事にはなるかな…
まぁ、私の場合はフランスに時々行ってた事も有り…そこら辺は多少慣れてたり。それでまぁ…私の用はタバコの自販機…ドイツはとにかくタバコの自販機が多いと聞いていた…ただ、いざ見付けてみたら調査不足に気付く…
「う~ん…」
自販機を視界に入れつつ…観光情報を纏めたサイトを携帯に表示してそれぞれとにらめっこ……どうもドイツのタバコの自販機を使うには免許証か、国民に発行された専用のIDカードが要るらしい…要は日本で言うtaspo…アレって多分、ここドイツを含む海外が先駆の節が有るね……まぁ、今はそんな話はどうでも良い。とにかく今問題なのは…私はドイツの自販機でタバコを買う方法が無いと言う事だ。
「まぁ、店で買えば良いか。」
私は一応英語を話せるし、ドイツ語も少しは話せる…特別困る事も無いだろう……多分。てか、何もタバコだけを買いに来た訳じゃないのに自販機を優先したのがねぇ…私今、どんだけ吸いたいんだか…正直、良く考えたらほとんど無意識にタバコの自販機探してたから笑えない…思った以上に昨日のアレは私にとってストレスでは有った模様…まぁ、だいぶ引いては来たけど、今も身体中ヒリヒリするし…ハァ…
日用品に食料品など…正に痒い所に手の届く品揃え。何ならそこに売ってる商品だけで一月過ごす事も決して不可能では無い…加えてその多くは二十四時間フルタイム営業。そんな便利な店舗がコンビニエンスストア……残念ながらドイツにそんな物は無いんだけど、実は近い店舗は一応有る。
それがキオスク。日本人は駅に有る売店を想像するけど、ヨーロッパでは外に有る小さな売店の事を言う……と言うか、もしかして日本の方が後追いかも…品揃えもほぼ日本の駅に有るアレに近いみたいだし…
あちこちに有るこの売店…ちょっとした小売商店規模の様相だけど、まぁ…これがコンビニみたいなものと言われればそう(品揃えはコンビニの方が遥かに上だろうけどね…大体、ここも夜遅くには閉まっちゃうし…)
それでも…取り敢えずここなら食品の他、雑誌…そしてタバコも買える。まぁ…二日続けて私も千冬もアルコール入れちゃってる事だし、こんな朝から重い物ガツガツ行く事も無いでしょ…ここにある物だけでご飯は良いや……ありゃ、お店の人…多分年配の人かな?う~ん…実はドイツで英語通じるのって若い人が大半みたいなんだよねぇ…と言う事はドイツ語で声を掛けるしか無いのか……いや、駄目元で英語で声を掛けてみようかな…
「Excuse me, sir?」
……ほとんど無意識なんだけど、最初にすみませんから入る辺り私ってやっぱり感覚が日本人だよねぇ…ま、Excuse me自体は結構万能な単語だとは思うけどさ。
「Was wollen Sie?(何か用なのか?)」
……何か微妙に訛ってたけど、何とか聞き取れた…完全にドイツ語だ…と言う事は、やっぱり英語は駄目か…取り敢えず観光客向けのサイトにいくつか簡単なドイツ語が載っていたから、何とか受け答えは出来る…
「Kann ich eine Zigarette und ein Sandwich haben?(タバコとサンドイッチを貰えますか?)」
……これで合ってるのかな?あの手のサイトって鵜呑みに出来無い部分は有るからなぁ…さすがにドイツは仕事でも行く事無かったから、文法などのルールはちゃんと記憶してないし…と言うか、この人の発音自体が一般的なドイツ語の発音からズレてた感じもするから…余計に不安だったり…
「……Marke?(銘柄は?)」
……えっと…もしかして、私がドイツ語に慣れてないのが分かったから分りやすく言ってくれた…?と言うかそうだね、確かに私はタバコの銘柄は言ってない…少し焦り過ぎたかな…
取り敢えず、その後は落ち着いて話す事が出来…どころかちょっとした雑談まで出来た…ちなみに、観光客でわざわざドイツ語を覚えようとする人間は少なく…だから、拙くても頑張ってドイツ語を使おうとする外国人に多くのドイツ人は好感を持つと言う話を聞けた…まぁ、普通英語だけを覚える人がほとんどだろうしね…私みたいのは思いの外珍しいみたい……ま、それはそうと…
「ich mag dich…ね、いきなり好きなんて言われるとは思わなかったなぁ…」
ich mag dichは日本語訳すると君が好き、と言う意味…あの人一体私の何がそんなに気に入ったのか…まぁ、女性客になら誰にでも言ってるのかも知れないけど……どっちみち、私は千冬が居るし…と言うか、居なくてもさすがに断ってただろうけどね…あまりにも向こうが歳上な上、私は大会が終わったら日本に帰って当分ドイツには来ないだろうし…にしても、雑談の途中で初対面の相手にいきなりストレートド直球投げて来る辺り、積極的な事で有名なイタリア人よりガツガツしてる気はする……あ。
「ふぁ…んー…」
欠伸が出た…今頃眠気が来たみたい…う~ん…今なら寝れるかなぁ…キョロキョロと周りを見渡して座れる所を…って、海外でそれは駄目か…日本ですら無防備に外で寝てたら襲われる可能性有るし…しかし、仮に私襲う人が居るとしたら…一体どんな趣味の人なのか…どう考えても私は唆る体してないと思う。 まぁ、同じ襲うにしてもそっち目的じゃなく…金銭が欲しくての可能性も有る…と言うか、私を襲う人って大体目的はこっちか……いや、肉体的には襲われないなら仮眠取るだけでも…ハッキリ言って眠いし…
「うう…ホテルまでもう少し…」
千冬が起きるかも知れないし、せっかく買った朝食だけは彼女に届けてあげたい……寝るのは、それから…うー…こうなるなら昨夜無理矢理にでも寝たら良かったのかな…次に千冬と旅行行く時は睡眠導入剤持って行こう…昨夜みたいな事されたらまた寝れなくなっちゃうし……あー…ホテルまで遠く感じるなぁ…