歩いてる最中にふと思い出した事が有り、千冬を連れてデパートに入って行く…
「何を探してるんだ?」
千冬が急かして来る…まぁ、あまり長居したくないんだろうね…今私たちが居るのはおもちゃコーナーだし…あ、有った。
「ほら千冬、コレ見て。」
「何…お前な…」
ドイツはSteiffがとにかく有名だけど、実はテディベアを作ってるメーカーはまだ存在する…それがHERMANN TEDDYとClemens spieltiere…最も、Steiffと違ってこの二社はフランクフルトに専門店が無い模様…ただ、デパートでは売ってるとか…そう、この二社の商品はSteiffの限定品何かに比べるとリーズナブルなんだよね。ただ、その愛らしさは決して勝るとも劣らないと思う…
「と言う訳で千冬、買ってあげるから好きなの選んで♪」
「何がと言う訳だ、全く…」
悪態こそ吐いてるけど、その視線はちゃんとテディベアに固定されてる……あ~…やっぱりこういう時の千冬、最っ高に可愛い…
「じゃあ、コレとコレを頼む…」
「あれ?一つずつで良いの?」
「ああ…」
結局千冬は二社の製品を一品ずつ選んで来た……遠慮しなくて良いのにな…
「おい…もうホテルに戻らないか?」
「分かってる、ちょっと待って。」
本屋を通り掛かったら店先で気になった広告が有ったので中に入る……千冬はテディベアを二つ抱えてるせいで注目浴びてるから早く帰りたいみたい…
「それ、買うのか?」
「うん、そのつもり。」
私が手に取ったのは英語で書かれた小説……そう言えば、一夏君へのお土産は本でも良いかもね…彼、英語は読めるし。ま、今日はもうあんまり選ぶ時間無いし…自分のだけ見よう。
「ドイツまで来て買うのが、英語で書かれた本だけか?」
「まぁ、私にとっては数少ない趣味だしね…後は食べ物だけで良いかなぁ…」
「お前、貰ってばかりの私の気持ち考えた事無いだろ…」
そう言われても…私の場合、ほとんど千冬と一夏君の為に働いてる様な物だしねぇ…実際、本当は兄さんにお金の事で色々言えないんだよねぇ…私も二人に色々貢いじゃってるしさ…それに…
「私としては、もう十分に代価を貰ってるよ。」
「私はお前にそこまで何かをした覚えは無いぞ…」
う~ん…私はさ、千冬から物やお金によるお返しを求めてる訳じゃないんだよねぇ…
「こう言う時、私が欲しい物は一つ…笑ってよ、千冬。私は千冬の喜んでる姿が見たいだけなの。」
「全く…本当に物好きだな、お前は…」
「こう言うの嫌かな?」
「嫌じゃないさ、今なら…お前の気持ちは素直に嬉しくも有る…」
そう言って笑う千冬の姿がとにかく可愛くて、私は…
「見たいって言って何だけどさ…その笑顔にも私はお金払うべきかなぁって思うんだけど…」
「いい加減にしろ…大体、それは何の金だ?」
「拝観料?」
「人を文化財扱いするな、全く…こんなので良ければいくらでも見せてやる。」
「無償でなんて勿体無いなぁって…」
「ふぅ…こっちはお前と居るのが本当に楽しいんだ…何回笑顔なんてするか分からん…お前、破産するぞ?」
だってさ、いくら払っても惜しくないって思っちゃうんだもの…仕方無いじゃない…この笑顔を見れるなら、何でも頑張りたいなって…本気で、そう思えちゃう…