親友の妹に転生しました   作:三和

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千冬も着替え終わり、出掛けようとしたらノックの音が聞こえた。

 

「ルームサービスでも頼んだのか?」

 

「いや、頼んでないよ?と言うか、これから出掛けるつもりだったじゃない?」

 

二人して首を傾げる…一呼吸くらい置いてから再びノックの音が響いた。どうせ出掛けるんだからドアは開けないとならないし、居留守使うのも妙な話…

 

「私が出るよ。」

 

向こうの用向きを確認する為に、私はドアに向かう…

 

意外とホテルのドアには覗き穴が付いてるパターンが多いと聞く…ここも普通にそう。

 

片目を瞑り穴を覗き込めば、ホテルの従業員の制服を着た男性が立っている…良く見ると、彼の横に何かを乗せたワゴンらしき物も有る……いや、何で?さっきの反応からして千冬が頼んでるとは考えにくいし、私も今日は少なくともルームサービスは頼んでない…考えてても仕方無いか…取り敢えず何の用かを早く確認しよう。私はドアを開けた…

 

「What do you want?(何の用でしょうか?)」

 

「Yes, I'd like to show this to our guest.(ええ、お客様にこちらを)」

 

「……Room service? I didn't order it.(ルームサービスですか?頼んでないですよ)」

 

「Oh, have you heard nothing?(何も聞いておられませんか?)」

 

「What is it?(何の事ですか?)」

 

「One customer wanted us to bring this to his room...(とあるお客様からこちらをこの部屋にお持ちして欲しいと…)」

 

そう言ってワゴンに乗っていた物を見せて来る…氷を入れた容器に入っているそれは多分…

 

「……Champagne?(シャンパン?)」

 

「Yes,I do.(ええ、そうです)

 

ご丁寧に二人分のグラス付き。まぁ、それは当たり前では有るけどね……一瞬どうしようかと悩んだけど、好意を受け取らないのも問題か…てか、従業員の人に怪しいからこのまま持って帰ってくださいともちょっと言いにくい…

 

結局断れず、シャンパンは部屋に運び込まれる事に…と言うか、誰からなのかくらいは教えて欲しい……それは一旦置いておくにしても、取り敢えず千冬に先に服着させておいたのは正解だったね…昨夜私は服着たまま襲われたからまだ良いけど…千冬はさっきまで全裸だったし、最悪服着るの間に合わなかったかも…

 

 

 

 

「…で、どうするんだ?」

 

「まぁ、勿体無いし…飲むしかないんじゃないかな…」

 

「……怪しさしか感じないぞ。」

 

「そうだよねぇ…」

 

実はこのシャンパン、ルームサービスのメニュー表に無いんだよねぇ……正確には、シャンパン自体は有るんだけど、今私たちの見てるこの銘柄がメニュー表に載っていない。つまり、その誰だか分からない人はわざわざ自前で用意したシャンパンを寄越して来た事になる…うん、まぁ…普通に怪しいよね…ホテル側は客同士の洒落たサプライズに協力したつもりだったのかも知れないけど、防犯意識について少し問いたくはなるかな…

 

「…で、コイツについての情報出たか?」

 

当然ながら基本的に焼酎かビール、あるいは日本酒なんてラインナップで飲む私たちはシャンパンの種類なんて全然知らない訳で…と言うか、色によってはワインとの見分けすら付かないだろうね…私も冷やしてるからシャンパンだと判断した位だし…

 

「一応ネットで調べてみたけどね…」

 

「歯切れが悪いな…見付からなかったのか?」

 

「クリュッグ・ロゼ…フランスに有るシャンパーニュブランド、クリュッグのシャンパン…」

 

「シャンパーニュ?」

 

「シャンパーニュはフランス国内でのシャンパンの呼び名…スペルは…」

 

私は部屋に備え付けてある内戦用電話の傍に有るメモ帳に"CHAMPAGNE"と書く。

 

「こんな感じ…これを英語読みしたのが日本でもお馴染みの呼び名、シャンパン。」

 

「成程な……どうした?顔色が悪いぞ?」

 

「……千冬、コレ見てくれる?」

 

私は携帯の画面を千冬に見せる…

 

「……コレは、本当なのか?」

 

「わざわざ嘘書く理由無いでしょ…それがこのシャンパンの取り引き相場だね…」

 

先ずロゼだけでも色々種類が有るみたい…で、今…私たちの目の前に有るシャンパンは日本でも手に入れる事は出来るみたいだけど、庶民感覚の私たちには、ちょっと笑えないお値段で売買されてる…まぁ、少なくとも…どんなお祝い事でも中々この額は出さないかなぁ…このシャンパン一本でこの値段はちょっと割に合わないよね…

 

私は千冬の為ならいくらでもお金出せるけど、それでも私一人で買うなら…お酒にこの額は絶対出さない…千冬が喜ばないの確定してるし…

 

「お前…こんな物貰う心当たり有るか?」

 

「有る訳無いでしょ?千冬はどう?」

 

「私だって知らんぞ…」

 

とても軽い気持ちで飲める様な物じゃない…何かの間違いだと思いたいし、仮にそうでなかったとしても…正直、失礼は承知の上でこのまま贈り主に突っ返したい…こんなの貰う理由が無いからね…

 

「う~ん「なぁ?」何?」

 

「味、気にならないか?」

 

「……興味が無いとは言わないよ。」

 

そりゃまぁ、自分では絶対買わない値段のお酒だし…

 

「飲んでしまうか?」

 

「う~ん…」

 

「不満か?」

 

「いや、調べたらさ…シャンパンの度数って低くは無いんだよね…」

 

「どのくらいだ?」

 

「度数11度以上からシャンパン、それ以下がワインの位置付けになってるね…」

 

「……ちなみにコイツの度数は?」

 

「12度。」

 

「……イケるんじゃないか?」

 

「と言うかね、この状態で渡された時点で…結局もう突っ返すか、飲むかしか無いから…本当は悩む意味も無いんだよねぇ…」

 

「……誰が寄越して来たか分からん、飲むしか無いだろ。」

 

「単に飲みたいだけだったりしない?」

 

「否定はしない。」

 

千冬はもう乗り気、と。じゃあ私だけ反対してても仕方無いか。

 

「じゃあ…開けちゃう?」

 

「ああ。」

 

ま、私も少し楽しみだったりはする……後が怖いけどさ…

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