千冬にああは言ったけど…実を言えば、ちょっと興味は有った…アルコールを摂取したこの人は一体どうなるのか…で、結果は…
「えっと…酔ってないの?」
「元々、お前たち二人でいくらか飲んだ後の上に…その残りを更に三人で分けたら大して量を飲める訳無いだろう…要は酔っ払う程じゃない。ま、と言うかだな…会社の付き合いで何度か同僚や取引先の人間と酒を飲んだ事は有るが、実を言うと私は今まで一度も酔って醜態を晒した事は無い。」
……つまり、これから先一緒にまた飲む機会が有ったとしても…この人が酔う姿を私が見る事はほぼ無いんだろうね…むぅ…何か悔しい…
「そんなに期待をされてもな…そもそも、今の今まで私と酒を飲む機会も無かっただろう?」
「…いや、誘われた事も無いんだけど。」
「私は自分から飲む事は基本的に無いからな。ただ…誘ってくれれば忙しくなければ普通に応じたぞ?」
そんな事言われてもねぇ…ぐっ!?
「楽しそうだな…」
横に座っていた千冬が私の首に腕を回して抱き着いて来ていた……ちょっ…苦しい…締まってる…!
「千冬、少し腕の力を緩めてやってくれ…それ以上はこいつが死んでしまう…」
「……」
「いや、ごめんって…!本当に苦しいから勘弁…!」
「……全く…お前は本当に…」
千冬の腕から力が抜ける…ふぅ…本当に命の危機を感じたよ…構って貰えなくて拗ねる千冬は可愛いとは思うけど、こう言うの毎回続くとこっちの身体がもたない…
「私が邪魔なら言って欲しいんだが?」
……本当にそう言って欲しいわけ?てかそもそも…
「いや、言わないよ。私は一緒に居れるだけで嬉しいんだから…」
「寧ろ、この場合邪魔なのは私だな。」
「あ、いえ…」
千冬が狼狽え始める…まぁ、いくら二人きりで居たかったとしても…恋人の兄に邪魔だから帰れとは言えないよねぇ…そもそも今回部屋に呼んだのもこっちなんだし…ま、最も…
「いや、この人が邪魔なら邪魔って言っていいんだよ?そう言うの全然気にしない人だしね…」
「……その通りでは有るが、本人の前で良く言えたな?」
「今更、そんなの気にするの?」
「別にしないがな、私以外にはさすがに気を使えよ?」
「分かってるよ。」
ま、それでも…正直他の人にはしないと思う…この人の場合、空気読めてても無視する癖が有るから…こっちもついついこう言う対応になるんだよねぇ…
「どっちみちもうシャンパンは残ってないし、私のグラスも空だ…一夏が心配だし私はそろそろ部屋に戻るぞ?」
「あ、うん…」
まぁ、実際こう言われると追い出したみたいで…何か気分は悪い…
「さてと、私はもう行くが…明日に響くから程々にな?」
「どう言う意味かな?」
「私に言わせる気か?」
「……何も言わなくて良いから、もう行ってよ。」
まぁ、千冬がもう出来上がっちゃってるしねぇ…まだ外も明るいんだけど。
「じゃあな、明日はしっかりやれよ。」
兄さんが部屋から出て行った……ふぅ。
「ほら、もう兄さんは出てったから…で、どうするの?」
「……」
無言で顔を近付けて来る、と…何をして欲しいのかは分かるけどさ…もうちょっと、ねぇ…私は微妙に呆れつつも千冬の唇に自分のそれを重ねた…