親友の妹に転生しました   作:三和

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明晰夢と言う言葉が有る…要するに自分が夢を見ていると自覚している状態で見ている夢の事。で…大抵の場合、その内容は自分の好きな様に変化させられると言うのが良く言われる話だ(ま、現実に起きてる事じゃないし自分は自由に動けるんだから当然と言えば当然)

 

さて、何で急にそんな話をしたのかと言えば…今私は現在進行形でそう言う夢を見ているからだ…最も…

 

(身動きはほとんど取れないんだよねぇ…と言うか、もしかして私は実際にはこの場合に居ない…?)

 

今、私の置かれてる状況は映画の観客の様なものらしい…要するに制御出来無い以上、普通の夢とほぼ変わらない。そして私が見せられているのは…

 

(この子、何か私に似た雰囲気を感じる…と言うか、もしかして私…?)

 

私の視界にはソファに座り、何処かの学校の制服らしき物を着て…俯いている少女が一人写っている…場所は…あ、視点は動かせるのか…あー…ここ、織斑家だね…

 

……取り敢えず、視界に入ってる物からどう言う状況かを確認して行く(いや、現状目覚める様子が無いし…特に他に出来る事も無いし…)

 

(俯いているけどこの子の顔は分かるね…スカート履いてるし、髪も長いから女の子だと思うけど…この子の顔一夏君そっくり…でも…やっぱりこの子、私だ…)

 

正直、見た目だけなら一夏君が女の子の格好してるだけの様にも見える…でも、直感的に私はそう判断した。……まぁ、別にそれが分かったからって何だって話なんだけどさ…状況はどうあれ、私にとってはこれは所詮夢でしか無いんだし…でも…

 

(何か、放っておけないよねぇ…)

 

私自身、普段は赤の他人相手なら必要以上に干渉はしない方なんだけど…この子に関してはこのままにしておけない…ま、どう考えてもこの子は私だし…それに多分…今この子は一人で悩んで、心配してくれる周りの事も無視して自分から勝手に深みに嵌まって行く面倒臭いモードに入ってるんだと思う…私はもう、こう言う風に悩む事もあまり無くなったけど…経験上分かる…こうなると間に合わせでも良いから何か答えが出るまでずっと悩み続ける…それも相当長い時間。

 

(とは言え、どうすれば良いのか…)

 

私から"彼女"にしてあげられる事が特に思い浮かばない…一体何を悩んでるのかとか、そもそも私…この場で声すら出せそうに無いんだけどとか…諸々問題は有るけど、そう言う事じゃなくて…仮に私が実際にこの場に居たとしても…私が彼女に対して出来る事が無い様な気がするのだ…

 

(まぁ、そもそもそう言う考え自体が無駄なのかも知れないけどねぇ…)

 

いや、最初の話に戻っちゃうけど…やっぱりコレはただの夢なのだ…少なくとも、私にとっては。

 

(……って、アレ?)

 

気付けばいつの間にか彼女は顔を上げており、且つ…こっちを見ている…これ、勘とかじゃないね…目線は固定されてるし、そもそも…私は今、彼女とバッチリ目が合ってる…間違い無く、彼女はこの場に居る私の事を視界に捉えてる…

 

「……誰?」

 

彼女はしばらくこっちを見詰めていたが、やがて口を開いた…その声はとても夢とは思えない程、クリアに耳に届いた。……誰って言われても…どうやって答えたら…

 

『ッ…あ、声が出せる…?』

 

さっきまでどうやっても出せなかった声が今度はすんなり出せた…まぁ、少し篭もり気味の声だったし…出来たのもそれくらいだけど…後、頭を動かして見る方向を変える以外は出来無いみたい…

 

「……不審者とかそんな感じじゃないか。何か透けてるし…じゃあ私の見てる幻覚かな…」

 

あー…今私ってそんな感じなんだ…と言うか、こっちだって今の出来事を夢として認識してるけど…かと言って向こうに幻覚呼ばわりされるのもそれはそれで何か複雑…

 

『そう、私って貴女の見てる幻覚なんだ……ちなみにこの顔、見覚え有ったりしない?』

 

目の前に居る彼女は姿は私と似ても似つかない…でも…私の勘は、この子を間違い無く"私"だと認識してる…

 

「自己主張強いなぁ…見覚えって…全く覚えが無いんだけど…」

 

……"自分"から自分の顔に見覚えが無いと言われた場合、どう言う反応を返せば良いのだろう…普通、そんな経験した事有る人居ないだろうしなぁ…うん、実際何か言っててややこしいね…

 

『……貴女は■■って名前…あれ?』

 

んん?自分の名前を口に出したら、急に私の声に被せる様にノイズの様な物が入った。

 

「?…何て?もう一回言ってくれる?」

 

『だから…■■……駄目だ、言わせて貰えない…』

 

何で自分の名前が放送禁止用語みたいな扱いにされてるんだろう…ちなみにもう、私の中でこれがただの夢だと言う意識は消えている…

 

「えっと…取り敢えず、それが貴女の名前って事で良いの?」

 

そう言う意図で言おうとした訳じゃないけど、そこはその通りなんだよね…でも…

 

『……ここで肯定したら、貴女の中で私って宇宙人か何かの印象で固定されない?』

 

今はあまり見なくなったけど…そう、ビデオテープを早回しにした時に聞けるあの独特のノイズ…実際古いSF映画でわざと役者のセリフを編集で早回しにして宇宙人の名前とかを表現したりしてた様な…

 

「私からしたら、貴女が仮に私の見てる幻覚や幽霊じゃないんだったら…他にはそう言う物にしか思えないんだけど…後は、コレが私の見てる夢とかになるのかな…」

 

……訂正したくなったけど…良いや、もう…何か面倒になって来た…多分この後何度言っても同じ事になる気がするし…

 

『まぁ、良いや「いや、言った私が言うのも何だけど…それで良いの?」う~ん…何か面倒だし。』

 

「……」

 

『それでまぁ聞き取れなかったみたいだけど…一応私は自分の名前を言ったよ?貴女の名前は聞かせてくれないの?』

 

「……私、そんな約束してないんだけど。」

 

『良いじゃない?減るものじゃないし教えてよ…貴女は織斑家の子なの?』

 

「……ここが織斑家って分かるんだね…」

 

『まぁね…』

 

取り敢えず思わせぶりな事を言ってそこで言葉を止める…まぁ、具体的な説明をするのが面倒だからなんだけど。

 

「……ハァ…分かったよ、私は…織斑十秋。織斑家の次女で、織斑一夏の双子の姉だよ。」

 

彼女は私にそう名乗った…

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