「えっと…今更だとは思うけど、そんな汗だくで普通にスーツ着る気…?」
「そうは言ってももうシャワーなんて浴びれないぞ…」
現在開会式の始まる五分前…一応運営側の人に確認したらシャワーくらいはこの施設に有ると言う…ただ、当然今から浴びてる暇は無い…
「さすがにそのままは不味いでしょ…はい、これ。」
「ん?汗拭きシートか…持って来てたのか?」
「私の場合、夏場じゃなくても必要だからね…」
私は特別汗っかきって訳じゃないけど…向こうの血が入ってるせいかこう、油断するとどうしても体臭がね…千冬はそれが好きだって言ってくれてるけどやっぱり気にはなるんだよね…
「じゃ、私の控え室こっちだから「待て」何?」
「私にこれ渡したら、お前が困るんじゃないのか?」
「大丈夫、封開けて無いのまだ有るから「勿体無いだろ」んー…じゃあどうしろって?」
まぁ、何となく千冬が何言おうとしてるのかは分かるんだけど…
「二人で使えば良いだろ。」
「いや、お互い全身拭かないといけないレベルだよ?」
「今更隠す必要有るのか?」
「……そんなに私の裸、見たいの?」
正直、何か理由付けて見たがってるとしか思えないんだよね…
「見たいし、見られたいが正解だな。」
「駄目だって…確実に試合の事なんて頭から抜けちゃうでしょ?」
ちなみに…千冬は私の身体そのものより、どうも私の匂いに一番興奮してる節が有る…シた後とか執拗に私の首元に鼻埋めてる事も有るし…正直絶対臭いと思うんだけどなぁ…
「釣れないな…」
「いや、もうホントに時間無いからさ…」
取り敢えず開会式には出ないとならない。すっぽかすのは普通に不味い…てか、もう私たちが会場に居るの運営の人は知ってるし…
「別に見たければいつでも見れるでしょうに…私も今更隠す気も無いしさ…って、本当に時間無いからもう行くね?」
そこで時計見たら既に二分経過…着替えに関してはスーツを着るだけだから問題は無い…ただ、拭かなきゃいけないのと…移動時間も考慮したらこれ以上は本当に間に合わなくなる…
「じゃ、私は行くか「……」え…わっ!?」
千冬から視線を逸らした瞬間に手を引っ張られて…抵抗する間も無く私は部屋に引き込まれた…
「もう!結局時間無くなったじゃん!?」
「大丈夫だ、後三十秒有るからな。」
「バカ!」
部屋に引き込まれた私…いや、まぁ…今回は特に疚しい事はしていない…ただ千冬に全身を拭かれただけ…しかも結構念入りに。
「大体、今廊下に誰も居ないからまだ良いけど…結局また私抱えて全力疾走って…」
「嫌か?」
「汗拭いた意味無いじゃない…」
「まぁ、何とかなるだろ…」
「……」
私は口を閉じた。いや、もうホントに文句言ってる時間無いしさ…ハァ…千冬に求められるのは嬉しいけど、毎回だと身体もたないし…何より、もう少し時と場合を考えて欲しい…