親友の妹に転生しました   作:三和

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「おい…と言うか、いつまで見てるんだ…カメラは切れと言ったろ…」

「分かってるって……はい、切ったよ。」

目の前のモニターが消え、代わりに声と音だけが聞こえて来る…しかし…

「あいつも、さすがに知らない奴に見られてるとなると…ショックだったか…」

「そりゃそうだろうねぇ…と言うか、■ちゃんの場合…人の悪意に鈍感と言うか何と言うか…」

「アレで警戒心は強いからな、そのせいか…逆に根拠も無く大丈夫だと思い込む癖が有るからな…」

……あいつの警戒心が強い…?

「不思議そうな顔だな…」

「まぁ、ちーちゃんは分からないかもね…」

「?…どう言う事だ?」

「あいつは一見すると人当たりが良いタイプなんだが、実は君に対してですら線引きしているんだよ…ほとんど、無意識だろうけどな。」

……ますます分からん…

「えっとね、■ちゃんはさ…基本的に人に嫌われるのが怖いから、誰に対しても優しい自分を演じてるの…」

「……」

「まぁ、今は理解出来無くても良い…」

……ふむ、そう言う事なら…一旦この疑問は置いておくか…

「…にしても、■くんはホントに凄いよねぇ…あの警備の中、カメラと盗聴器置いて来るんだから…」

束がそう口に出して来たので昨日の事を思い出す…確かに呆れる程、とんでもなかったな…

「運営スタッフと、警備員合わせて合計五十人…少なくとも、正気の沙汰じゃないな…」

会場になってる建物の規模から考えても明らかに過剰…どうするか頭を抱える私たちを尻目に、やる気満々だったあの人の姿が今も頭から消えん…

「あいつがどの部屋に案内されるか分からなかったから、選手控え室の方には手を出せなかったのは悔しいがな…ま、とは言え…警備そのものは私から言わせるとザルだったがな…」

「ふぅ…虫型カメラ、作っといて良かったよ…私のラボなら使えなかったけど、ここなら入って来ても別に不思議は無いし…」

……何をそのままスルーしようとしてるんだ…まぁ、昨日も口に出した話だが…

「いや、可笑しいですよ絶対に…何で素顔はそのまま、髪型だけ変えて…警備員の格好しただけで、違和感が完全に消えるんですか…?」

「千冬、良い事を教えよう…ああ言う連中はな、外から入って来る奴の顔なんて一々見てないんだ…結局制服着てれば、全員関係者だと思い込むんだよ。」

「……」

「無理に理解しようとしなくて良いよ、私も未だに訳分かんないから…」

「…と言うか、行った先で普通に警備員と雑談始めるから…何を考えてるのかと思いましたよ…」

「興が乗ってな…にしても、会話しても向こうはまるで怪しむ様子が無いから…本当に馬鹿しか配置されてないのかと思ったが。」

「あまりに堂々としてるから、私も本職の警備員かと思っちゃったよ…」

「別にやった事は無いんだがな…」

「いや、ぶっつけでアレだったんですか?」

「何度も言うが、真似るのは得意なんだ。」

「…■くんはさ、お偉いさんの集まるパーティーとかにもシレッと…関係者のフリして入り込んで食事出来そうだよねぇ…」

「……」

私は束の肩を叩いた。

「何「余計な事を言うな…あの顔を見ろ、どう見ても何れやってみたいって思ってるだろうが」…あれ?ちーちゃん、■くんの表情…読めるの?」

「?…お前は見てて分からないのか?」

確かにいつもの真顔だが、それでも一目瞭然だと思うが…

「うん…む~…」

「どうした?」

「何か、ちーちゃんは分かるのに私が分かんないの悔しい…」

……ほう、こいつが嫉妬か…中々珍しい物を見た…

「心配せんでも…お前からあの人を取り上げる気は無いから、安心しろ。」

「ホントに~?」

「ああ。」

「……それなら良いけど。…ところで、ちーちゃん?」

「何だ?」

「実際に■くんがパーティー会場に潜入してる所、見たくない?」

「っ…」

悔しいが、確かに何処まで気付かれないのか…試して欲しいと思ってしまった…

「いつか、本当にやってみよっか?」

「私を巻き込むな、下手すれば犯罪だぞ「ちーちゃん、結局バレなきゃ犯罪じゃないんだよ?」そんな理屈が通るか、馬鹿者が。」

束の頭を叩く。

「痛っ…何するのさ!」

全く、この二人と居ると退屈はしないが…気疲れが多くなる…


*103

「それじゃあ俺たちは戻るけど…その…」

 

「うん、大丈夫…」

 

多分、ね…

 

「一応、カメラと盗聴器は大体回収したが…まだ残ってるかも知れないから千冬にも言っておけ。」

 

「うん…」

 

気にしないようにはしてるけど、やっぱりちょっとショックだな…

 

「…さてと『そろそろ帰るわね、頑張ってね?』」

 

「……」

 

もう兄さんに何か言う気力も無い…何か、何もしてないのにどっと疲れた…と言うか、今日私は試合無いのに何を頑張れって…ハァ…

 

 

 

 

 

 

…で、それから少しして戻って来た千冬に…私はさっきの事を打ち明けた。

 

「……本当にカメラが有ったのか?」

 

「う~ん…あまりに小さかったからカメラには見えなかったけど…盗聴器は、多分本物だったよ…」

 

前にテレビで見た事有るやつだったしね…ハァ…ん?

 

「すまなかった…」

 

「え…ちょっ!?やめてよ、千冬は知らなかったんだし…」

 

いきなり床に座り込み、土下座を始めた千冬…そうなる気持ちは分かるけどさ…

 

「いや、しかしだな「だからやめて…良いって、私の裸にそんなに価値が有るとも思えないしさ」…あのな…」

 

「え…」

 

千冬がいきなり立ち上がる…えっと…何か怒ってる…?

 

「価値が無いとか…そう言う言い方はやめろ…」

 

「いや、千冬の裸ならともかく私は「……」んむっ!?」

 

キスされた…いや、ホント何…急に…

 

「…お前はな、私の選んだ女だぞ?それともアレか?私の選択にケチを付ける気か?」

 

「……別にそんなつもりは…」

 

とは言え、本当は千冬が私を選んだ事自体…間違ってるんじゃないかとも思ってる…何でよりによって私なんかを選ぶのか…他に良い人はいっぱい居たでしょうに…

 

「ハァ…じゃあこう言って欲しいのか?お前を抱けるなら、私はいくら出しても惜しくは無いと。」

 

「要らない。私に出す金が有るなら、一夏君に使ってよ。」

 

勿体無いじゃん…

 

「何だ、お前が先に言ったんだぞ?私の笑顔に代価を払いたい、と…」

 

「そうだけど…千冬の笑顔と私の裸じゃ、釣り合わないでしょうに…」

 

そもそも比べるのが可笑しい…

 

「ハァ…まぁ良い…とにかく、束に連絡しないとな。」

 

「何で?」

 

「あのな…お前の裸がネットに流出しても良いのか?」

 

「む…それはさすがにちょっと嫌かも…」

 

「……ちょっとか?」

 

「まぁ、正直私の身体に興奮出来る人って…結局千冬ぐらいかなぁって…」

 

何せ、起伏の乏しい寸銅体型だし…

 

「じゃあアレだ、私がお前の裸を他人に見せたくないからだ…」

 

「……」

 

……まぁ、それなら分かる…かも?

 

「何と言うか、お前の反応見てると怒ってるのがバカバカしくなるな…」

 

「いやぁ…確かにショックは受けてるんだけど…実際大した身体じゃないし…」

 

「……お前、だんだん胸が大きくなってるの気付いてるか?」

 

「はぁ?」

 

いや、それは無いでしょ…とっくに成長期は過ぎてるだろうし…

 

「アレだな、私が揉んだ事で…その刺激に反応したんだろうな…」

 

「そんな…嘘でしょ?」

 

「散々触った…私の言葉を信用出来無いか?」

 

「……いや、さすがに有り得ない…」

 

「今度、束に測って貰うか…お前の学生時代と比べて、確実にサイズアップしてる筈だ…」

 

「まぁ、それは別に良いけど…」

 

実は束とも、一緒にお風呂に入った事有るんだよね…

 

「さて、カメラが残ってるかも知れないとなると…ここでするのはもう駄目か…」

 

「そもそも、こんな所でヤるのが既に可笑しいんじゃない?」

 

カメラ無くても誰かに見られそう…

 

「確かにそうなんだがな…最近、お前と二人きりだと我慢出来無くなってな…」

 

「……」

 

分からない…一体私の何が、千冬をそんなに興奮させるのか…

 

「…お前、もしかしてアレか?何で私が見境無く襲い掛かるのか…分からないとか思ってるのか?」

 

「うん…まぁ、そうだね…」

 

いや、ホントに分かんない…

 

「一応言っておくがな…寧ろ、私を挑発してるのはお前の方だぞ?」

 

「はえ?」

 

いや、全くそんな覚え無いんだけど…

 

「お前がそうやって無防備だから…いつだって、触れていたくなる…」

 

触れたいって言われてもねぇ…

 

「んー…今はさすがに脱げないけど、ハグなら別に良いよ…する?」

 

「……」

 

「わ!?」

 

両手を広げた途端、抱き着いて来るちふ…ちょっ!?

 

「ちっ、千冬!折れる!折れちゃうから!?」

 

これ違う、アレだ…そう、鯖折り……うっ!しっ、死ぬ!コレは…ホントに死ぬ…!

 

「…っと、すまん…」

 

「ハァ…ハァ…」

 

一瞬、意識が飛び掛けた…

 

「ゲホッ……ふぅ…えっと…私はさ、千冬に殺されるなら良いとは思ってるんだけど…ここではやめよ…?」

 

ここだと千冬…捕まっちゃうし…

 

「…どうしてお前はそう…軽々しくそんな事を口に出来るんだ…?」

 

「だって…本当に千冬なら良いんだよ?私は…」

 

「…痛いのも、苦しいのも…嫌な癖に…」

 

「他の人に殴られるたりするのと、千冬にそうされるのとは…全然違うの。」

 

少なくとも、私にとってはそう…

 

「私は、怖いんだ…お前を失うのが…」

 

「だから…私はここに居るよ?」

 

あの人には分かってるかの様に言ったけど、正直に言うと全然分かんないんだよね…結局何で、千冬はこんなに不安がってるんだろう…?

 

「……そろそろ次の試合か。」

 

「あ、もうそんな時間?」

 

まるで、誤魔化す様に紡がれた千冬の言葉に返事を返す…実際、時計見たらいい加減出ないと間に合わない時間…

 

「頑張って…今日最後の試合、応援してるからさ。」

 

「ああ、行って来る…」

 

「行ってらっしゃい、千冬。」

 

……何処か寂しそうな笑顔を浮かべる千冬の事を気にしつつも、私に出来るのは…ただ見送る事だけだった…

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