この状況で二人揃って出て来てるのは私たちくらいだろう…まぁ、私に関しては元々国の代表じゃないし…ちなみに、実況の人が改めて私の紹介した時(昨日もされた)私に関しては観客の反応が明らかに微妙だった…まぁ、立場を考えるとブーイングが飛ぶよりは遥かにマシ…と言うか、私はそもそも無名だから反応無くて当然なんだけどね…千冬と匹敵する実力って言ったって、それだって所詮は学生時代の話だし…てか、どうにも千冬が誇張して話してるのが説明で分かったから…余計に半信半疑なんだと思う。
……ま、それは今は良いや…何せ私は、いきなり試合だからね…
「You are her equal...(貴女が彼女に匹敵する実力者…)」
「Please don't raise the bar so high...I will do my best, but...(そんなにハードル上げないでください…全力は尽くしますけど…)」
「Very untrustworthy...(とても信用出来ませんね…)」
当然の事ながら、私の実力は疑われているらしい…と言うか、私もさすがに千冬みたいな人間離れした動きは出来無いんだけど…うう…視線が凄い…あ。
ブザーと実況の人の合図で試合が開始された…いけない、気を抜いてたから対応出来無い…って、良く見たら相手の武器はロングソード…?え、近接武器?
「ハアッ!」
……ただ突っ込んで来ての振り下ろし?…正直パッと見、彼女に剣の素養が有る様には見えない…
「せいっ!」
「っ!?」
取り敢えず槍で受け止め…ずに、剣の勢いに逆らわず槍を滑らせつつ…私自身も足捌きで位置をずらして彼女の右を取って、槍を袈裟に振り被った…!
「きゃあ!?」
「……へ?」
そのまま避けもせず、ダイレクトに顔面に食らって吹っ飛んだ…え~…これはさすがに予想が…あれ?
「えー…」
起きて来ない…てか、もしかしてこの人…気絶してる…?
「すみませ~ん!相手選手が気絶した時はどうしたら良いんですか!?」
私としては、取り敢えずその場で声を張り上げるしかない…いや、本当にどうしたら良いのか…
「何か、納得行かない…」
「まぁ、お前にとってはまだ初戦だし…そう言う事も有るだろ…」
結局あの試合は彼女があのまま敗退扱いになり、私の勝利が確定…えー…
「と言うか彼女…受け身も取れないままモロに頭から落ちたし、そもそもどう見ても…剣を今までろくに扱った事が無い人の振り方にしか見えなかったんだけど…」
「控え室で見てたが、私の目からもそう見えたな…西洋剣と刀で扱い方は違うだろうが、それでも…アレはほとんど今日初めて振った様にしか見えなかったな…」
「千冬も、そう見えた?」
「大体、それもそうだが…IS着けてるんだから頭から落ちても痛みも何も無い筈なのにそのまま気絶。あれだと、まるでIS自体今日初めて身に付けたかの様だったな…」
「あー…成程ね、確かに違和感は有ったよ…」
……と言うかあの感じ…何か何処かで覚えが…あ。
「……千冬。」
「何だ?」
「あの人、本当に国の代表なの?」
「……何?」
「あの素人丸出しの感じ、合宿所で戦った人たちを思い出すんだけど…」
「…成程な…確かにそう考えるとしっくりは来る…しかし、それはさすがに無理だろ…選手に化けて会場に入り込んだとでも言うつもりか?」
「…いや、そうじゃなくて…そもそも大会開始前から入れ替わってたんじゃない?」
「……どうやってだ?」
「選手候補の人を拉致したり、あるいはその…殺して、とか…」
「そうは言っても、それは今確認出来無いな…」
「束に連絡してみる…?」
「…赤の他人がどうこうされた所であいつは動かん…あいつは昔と比べて確かに変わったが、他人に対して冷淡なのはそこまで変わってないからな…お前や私の頼みなら一応調べると思うが、どうせかなり片手間にやるから…調査結果が聞けるまで相当時間が掛かるかも知れん…」
「う~ん…」
「ま、何にしてもそろそろ私も試合の時間だ…あるいは、まだ怪しい奴が居るかも知れん…直接ぶつかって試してみるさ…」
「…と言うか、昨日の試合では居なかったの?」
「正直に言えば、意識してないから分からなかった…」
「あー…」
まぁ、相手が可哀想になるくらいの早業で一気に叩き潰してたからね…違和感を感じる暇も無かったか…
「まぁ、今回は敢えて試合を引き伸ばして妙な所が無い確認してみるさ…」
「うん…千冬?」
「何だ?」
「……気を付けてね?」
「ああ。」