「何も言わないで…作者の場合、浮かんだらさっさと書かないとメモしてもその存在自体忘れるんだよ…寧ろ、本人も今書いてる番外編が終わってから書くか結構悩んだって話だし…」
「…と言うか、今更だが…作者はこう言う楽屋ネタ、嫌いなんじゃなかったか?」
「…普通に今も自分で書くのは嫌いだけど、この作品に関しては説明入れないとさすがに分からなくなるだろうって……まぁ正直、そこまで気にして読んでる人…誰も居ないだろうとも思ってるみたいだけど…まぁ、念の為って事で。」
「…で、今回のテーマは?」
「えっとその…千冬が亡くなって、私だけがそのままIS学園の教師になって…て言う話だって…ま、あくまで短編で時系列上も…既に一夏君たちが二年に上がって、漸く色々落ち着いて来た頃なんだってさ…」
「…なぁ?」
「何?」
「…どう考えても、そちらのお前は真っ当な精神状態じゃないと思うが?」
「支えとなる千冬が居ない状態…でも束は原作より丸い…それでもやっぱり事件は起こる…そして、私は一夏君に執着してる上…何だかんだ、私は彼とその周囲の人たちに普通の好意とかは抱けない癖に頑張って"優しい先生"を演じて…そして、何とか無事…一夏君たち皆に感じる不安も減って来て……ま、そもそも一夏君がIS学園に入れてる時点で可笑しいけどね…」
「誤魔化すな。」
「う…どうせ結末なんてハッキリしてるでしょ?後は、見た方が早くない?」
「それはそうだが…と言うか、これも実際に有る世界と思うべきか?」
「残念ながら…ね。」
「どちらかと言えば、まともに書いた方が良い気がするがな…」
「実は全く内容が浮かんで無い訳じゃないらしいんだけど…まぁ、千冬無しでインフィニット・ストラトスと言う作品が成り立つとは到底思えないからねぇ…そりゃ、フルで書いてもそもそもつまらないと言う判断はするでしょ…と言うかまだ、原作読めて無いから書き切れないと言う問題がさ…」
「まぁ今更か…で、結局このままスタートするのか?……ハァ…教師としては何故か、お前の方が私より確実に表面上は上手く行ってそうなのが…お前の本来の性質を知ったと今となっては、色々な意味で悲しい所だな…」
「私としては…"やれ"って言われたら結局、何となくそれっぽい感じで演じるだけなんだけどね…ま、実際私に出来るのは実は優しい、じゃなくて単に甘い…だろうけど…ま、そこは置いておくにしても極端な話…一夏君に対する比重が他の私より重いだろうし、間違い無く…自分にやれるだけの事をやると思うよ。」
「……そうか。学園に務める前に既に私がこの世に居ないってなると、当然一夏をお前が引き取る事になるのか。」
「私は人並みの感情を持ってない…そして、人の寂しいって言う感情も正直理解出来無い…でも、千冬や一夏君が"ソレ"に苦しんでる姿を見るのは絶対嫌なの。二人は隠そうとするだろうけど…私には、ちゃんと分かるの。だから…仮にそうなったら、千冬が例え何も言ってなかったとしても…絶対、私は彼を支えるよ。」
「…自分をすり減らしてでもか?」
「さぁ…その辺も私は分からないし。」
「…まぁ、これ以上言っても無駄か。」
「そう言う事…後はあっちの私にバトンタッチって事で。」
「……向こうはこっちの存在を認知してないだろ。」
「比喩だよ比喩。じゃ、始めるよ…」
『マスター…』
すっかり長い付き合いとなった相棒の声が聞こえて、私の意識が覚醒する…
「……ん?シュナイダー…もしかして呼んだ?」
『…最近、何やらぼんやりしてる事が多い様に見受けられますが…』
「んー…最近、少し疲れてるだけだよ…」
『無理はしないでくださいね?』
「大丈夫…だから、休暇も取ったんだし…」
『珍しく、一夏様を誘ってないんですね…』
「フフッ…彼にはもう支えてくれる人が居るからね…寧ろ、私が下手な事すると邪魔になっちゃうよ…」
改めて、親友であり…愛した存在の弟の少年の事を思い出す…多分もう、あの子に私は必要無い。これから先、彼の人生はまだまだ続いて行くだろうけど…お金は十分に残している…うん、このまま私が居なくなっても…もう大丈夫。
「寧ろ、ごめんね?貴女を連れて行けなくて…」
『いえ…メンテナンスでは仕方有りませんから…』
「ホント、貴女には無茶ばかりさせたからね…大丈夫。そっちも束の所で休んで、また元気になって戻って来て?」
本当にごめん…もう貴女と会う事は無いけどね…今だけは、彼女と顔を合わせる事が無いのを嬉しく思う…今までは姿を見せる事は有ってもずっと後ろ姿ばかりなのを残念に思ってたけど…今だけは、うん…面と向かって会わずに済んで良かったと思う…多分、今の私じゃ隠せないだろうから…
「ま、今日を入れて三日は一緒だよ……ふぅ…仕事も終わってるし、もう帰ろうか?」
『はい。』
「■■さん…」
廊下を歩いていて声を掛けられ、私はそちらに顔を向ける…
「…何度も言ってるけど…ここでは先生、で…お願いしたいんだけどなぁ…まぁ、もう今更か…」
「…と言うか、もう授業も終わってますけどね…」
「形式上の話だよ、箒…身内だからって、あんまり特別扱いは出来無いからね…」
「…なぁ、■■さん?」
「ん…何、一夏?」
今では私は彼の事を呼び捨てにしている…まぁ、家族としてしばらく長く一緒に暮らしてたしね…ま、分かれて暮らす今も私は家族だと思ってるけどね…
「…ここ最近見てて思ってたけど、何か疲れてないか?」
「……そんな事無いよ。」
「結構間が有りましたね…と言うか、そっちは寮の方向ですけど…食事はどうするんですか?」
「んー…自分で何か作って食べようかなと「嘘だな(ですね)」……ありゃ?」
いやまぁ…確かに面倒だし、今日はこのまま戻って寝てしまおうとか考えてたけどさぁ…何でバレたかな…
「長い付き合いだから知ってるよ…■■さん、自分の分は基本的に作らないからな。」
「ま、正直…私の知る貴女もそんな印象ですしね…」
「そう…」
そう言われて私はどう言う反応をすれば良いのか…まぁ、良いか。
「うん、じゃあ正直に…面倒だから今日は抜くよ。一食くらいなら問題無「いや、それも嘘だろ?今日は多分、ほとんど何も食べてないんじゃないのか?」…え?」
あれ?本当に何で分かるの?
「いや…昔から自分で思ってるより顔に出るんですよ、貴女は…」
「……」
私って、そんなに分かりやすい…?
「ハァ…仕方無い、要は今から食堂行くのすらも面倒なんだろ?俺と箒で何か作るよ…」
「…え?そんな、悪いよ…」
実際、昔から一夏はこんな所が有る…決して子供らしく無く、普段から何処か大人びているのだ…まぁ、あのズボラな千冬と一緒に暮らしてたんだから当然と言えば当然と言う気もするんだけどね…
「一夏…」
「ん?何だ、箒は嫌…な訳無いか。」
「まぁな…いや、それは別に構わないんだが…この人の部屋の冷蔵庫、どうせろくに食べられる物入ってないんじゃないかと思ってな…」
「…あ、それもそうか。」
「……」
正直、私もちゃんと把握してないからハッキリとは答えられないけど、多分…そう。千冬が亡くなり、一夏とも分かれて暮らす様になってから…私は自分で料理はしなくなった。だって…せっかく作れても食べてくれる人が居ないとわざわざ作るの正直面倒臭いんだよね…自分の為だけに作るのは私的に基本、論外だし…以前は一夏だけにやらせる事が無い様に、私も結構頑張ってた筈なんだけどなぁ…
「…取り敢えず、先に私たちの部屋の冷蔵庫から食材を持って行こう…」
「箒…一応、鈴の部屋にも寄るか?」
「…確かに足りない気がするな…この人は普段平気で抜く癖に、いざ食べるとなると毎回大量に食うからな…と言うか確実に、凰の奴もついて来るだろうな…」
「いや、そんな大事にしなくても「駄目だ、だって■■さん…以前、栄養失調でぶっ倒れただろ?」う…」
確かに私は昔…実際にお店の中で倒れて、救急搬送…そのまま数日入院と言うやらかしの前科が有る…正直そんな昔の話しなくても!と言う反論をしたいけど、今の二人にそれを言うのはさすがに…と言うか、何かさっきからチラホラ人の気配を感じるんだけど…まぁ、ここ廊下だしね…にしても皆、遠巻きに見てないで邪魔だの何だの言ってくれれば良いのに……そしたら、全部有耶無耶にしちゃえるんだけどな…
「ああ…その話なら私も以前、姉さんに聞いてるな…と言うか、普段から何度も食事抜くのに本当にそれ一回こっきりですか?」
「…えっと…あ、あのね?にっ、人間はさ…結局、数日に一食とかでもどうにかなるもんなんだよ「「ならない!」」…二人してそんなに強く否定しなくても…」
「…と言うか、確か一夏と暮らす様になる前は一人暮らしって聞いてたんですが…良くそれでどうにかなりましたね?」
「いやその、最初はさ…自分の分だけの時も普通に毎日三食分自分で用意したり、時折出来合いの物を買ったりもしてたんだけど何かどっちもだんだん面倒になって来て…真っ先に手間掛かる"作る"と言う事をする事が無くなって…しばらくは買って賄ってたけどどうせなら買う量も減らせないかと試しててその内…そもそも三食食べてるのが無駄な気もして来て…何せお金も結構掛かるし…」
何で年下二人にこうも私詰められてるんだろう?…と言うかね、何より…自分に大量にお金掛けるぐらいなら…やっぱり千冬と一夏の二人の為に使いたかった…とは、さすがにこの場では言えない…
「…で、そうして試行錯誤する内…そもそも一日くらいなら食べなくて良いんじゃないかな?が…二日でも多分大丈夫そう…なら、三日も…うん、問題無しだね。じゃ、きっと四日目も行けるよね…とかなったとか言います?」
「えぇ…?何で当時の私と一言一句まで同じなの…?」
普通にあの頃の私の最終的に行き着いた思考は元より、内心の呟きまでほぼ完璧にトレースして来た箒にさすがに私もドン引き…いや、そこまで分かるのさすがに可笑しいって絶対…
「まぁ、一夏程長い付き合いじゃなくても私は貴女の事を結構"見て"まして…と言うか、結局それ関係無く貴女の行動が…とにかく分かりやす過ぎるだけなんですけどね…」
「……」
正直、彼女の姉の束はともかく…篠ノ之箒…彼女とは、諸々の事情で本当にこの学園で再会するまではそれ程特別交流が有ったとはちょっと言い難い…てか、あれ?
「…箒、貴女が知ってる昔の私って結局学生時代の私だと思うんだけど「貴女は普通に学生時代も千冬さんに昼食の弁当分けてたとか聞いてますが?…と言うか最終的に千冬さんの分を別に作ってても自分の分を分けてたとか何とか…」…ハァ…束、何でも喋り過ぎだよ…」
「…と言うか、同じく学生時代に朝も早起きしてまで俺たちのところやって来て朝飯作ってた事も有ったよな?…まさかと思うけど、忘れてたのか?」
「……」
あー…確かにそんな事も有ったなぁ…私からしたら、普通に当たり前の事過ぎてろくに印象にも残ってない話だから正直言われるまで本当に忘れてたよ……あ。
「…えっと…取り敢えず、もうすぐ消灯時間だし…今日はちゃんと部屋に戻「「最悪そっちに泊まるから問題無いよ(ですね)」」…ハァ…」
一夏は元より、この二年で箒もかなり頑固な方なのを私は知ってしまった…多分、ここで何言っても引き下がらないと思う……もちろん、この後確実に二人について来るだろう鈴もそう…と言うか鈴の場合…
「二人して、こんな所で何やってんの?」
「あ、鈴…実はちょうど呼びに行こうとしてたんだ…」
声を掛けて来たのは鈴…うわ…まだ部屋に戻ってなかったのか…なら、渋ってないで二人連れてさっさと行けば良かった…二人に声を掛けた割に、私の姿を見付けるとそっちを無視して私に近付いて来る…ハァ…内心、溜め息を吐きながらも私は…彼女が私の前に立った所で彼女の身長に合わせてしゃがむ…!
「っ…」
僅かに声が漏れたが、正直それ以上の反応はしない…まぁ、千冬が亡くなった時は既に私と付き合って……まぁ、良くも悪くも…もう散々そう言う事をした後な訳で…ま、寧ろ…今目の前に居る彼女には千冬程の握力が無いから…実際されても、千冬の"ソレ"に慣れてる私からすれば正直新手のマッサージか何かの様なもの……ま、どうやら彼女の精神安定には一役買ってるみたいだから…程々なら好きにさせても良いかと基本、私は特に抵抗はしない(別に減る物じゃないし)ま、ただねぇ…
「…あのさ、無言でやらないで許可くらい取って欲しいんだけどな?」
「……揉んでも良いですか?」
「もうやってるし、それは最早頼む態度じゃないんだけど…ハァ…ま、良いけどね…」
要するに、鈴は昔から私に会う度に胸を揉む癖が有るのだ…とは言え、鈴の場合性的な"ソレ"とかじゃ確実に無いし…そもそもこんな顰めっ面だと、やられてる私としても色々複雑な気分にはなる(まぁ、最初の頃はまだ千冬と付き合う前だし…何とも言えない反応返した様な記憶が有る…)
「やっぱり私より…!」
「何度も言うけど…多分、そんなに変わらないって…」
まぁ、実際その通りだとしても鈴にとってはそうは思えず結果、何の慰めにもならない言葉なのは私も分かってるけどね…それでもAAからA…そしてAからBの差については普通に大きい人たちにとっては到底理解出来無い話になって来る…例え謂れの無い僻み、妬みと言われても彼女たちが嫉妬するのは最早仕方の無い話(それ以降は…それこそ越えられない壁みたいな話になって来るレベルなので、そもそも議論の余地も無い)
ちなみに…私だってそんなに大きくないよ、は…鈴にとっては何の慰めにもならないどころか、嫌味にしかならず逆上させるだけなので禁句…この場合は結局、ただ当たり障りの無い事を言う事しか私には出来無いのだ……と言うか、今更だけど客観的に見たら宜しくない絵面だよねコレ…基本、この学園にはこの光景も見慣れている一夏以外男子生徒は居ないからまぁ、大丈夫かもだけど(百合に目覚めてる人とか居ない事を祈る…)
まぁ、あくまで学園では放課後や休日…それから、寮内で出会った時以外はやらない様言い聞かせてる(食堂は人が多いので禁止)し…後、今回はこの場に日本人女性の平均サイズを遥かに超えてると言っても過言では無い箒が居るから…こうでもして、先ずは落ち着いて貰わないと普通に話すのも難しいと思う…後は…
「……そろそろ良いかな?」
「はい…その、すみませんでした。」
「うん、宜しい。…あ、鈴?」
「何ですか…?」
「大丈夫…?」
「…はい、もうだいぶ…吹っ切れましたから…」
正直、とても大丈夫そうには見えない…ただ、既にこの学園を去る事を決めてしまっている私には…もう、最後まで彼女のメンタルケアをしている時間は無い…ま、そもそもの話…結局私にとっては一夏の幸せが一番大事で…
「あの…?」
「ん?何?」
「…寧ろ、■■さんの方が大丈夫ですか…?何か、顔色が凄く悪いんですけど…」
「…うん、私は大丈夫。」
……とは言え、それでもこんなに優しい少女が傷付いてる姿を見るのは私としても何とも言えない所…尤も、彼女を不幸にする手伝いをしてしまった様な私には最早可哀想なんて思う資格は無いし、そんな権利も無い。何より私には…
「お前なぁ…いつまで揉んでる気だ?」
「ちょ!?箒!?指摘しなきゃバレなかったのに…!」
ありゃ?まだやってたの?言われるまで気付か無かったよ…ま、とは言え…
「えっと…何なら、鈴の気の済むまでやってて良いけど?」
「良いんですか!?」
……あれ?何か喜んでる?……んー…ま、良いか。
「いい加減にしろ!どっちみちそろそろ消灯時間だ!」
「許可出たんだから良いでしょ「いや、悪いけど…時間過ぎても寮の部屋戻らないならさすがに何か罰則付けるよ?」え!?」
いや、外ならまだしも…ここはあくまで学園で、私は教師で鈴は生徒なんだから……まぁ、この状態の鈴を放置して私は"ここ"を出て行こうとしてるんだから…さすがにそれは薄情かとは思う……とは言えだ…
「それはそれ、これはこれってやつだね。」
「うー…!」
私を睨みつけ、何か唸りつつも…何だかんだ鈴が離れない…う~ん…鈴のメンタルケアになるなら、そう思って許可は出したけど…このままだと本当に何か罰則付けるしかないんだけど…生徒のメンタルケアとルールを守る事って言うのは、結局別問題なんだし…
「ハァ…凰、ちょっと提案が有る…だから、一旦離れてやれ…」
「うー…何よ?」
鈴が漸く私から離れたので立ち上がる…う…さすがに膝が…運動不足か歳か…まぁ、前者は無いかとも思う…正直一夏が来てからがピークって感じはするけど…何か私、ここに来てから授業以外…それも俗に言う緊急事態とかで…シュナイダーを展開し、この身に纏う事が結構多かった様に思う……ま、最近はやっと色々落ち着いて来たし、そうでなくても私はシュナイダーを手放し…もうここを離れる…これからの事は考えなくても良いや…
「■■さん!」
「っ…何、鈴?」
鈴に声を掛けられて思考の海から私は帰って来る…
「■■さん、今日ご飯食べてないって本当ですか!?」
「うん、そう……あれ?」
そう言えば…最後に食べたのはいつだったかな?良く良く考えたら昨日も食べてないかも知れない…
「…今日だけじゃないんですね?」
「っ…なっ、何の話かなぁ?」
うっかりそう思ったのが運の尽きか…鈴にバレてしまった様でジト目でそう詰められる…歳の話はともかく、割と毎回…くだらない事で生徒に詰められる教師ってホントどうなんだろう…ま、その辺はやっぱり私には向いてない部分って事かな…ま、私は基本"怒らない"からこう、威厳の有る教師なんてハナから成れる訳も無い……ハァ…ホント、千冬が居てくれたら…まぁ、そう悩む事ももう無くなるんだけどさ…
「……三日は何も食べてないとみました。」
「っ!?」
割と素で驚いた…うん、完全に忘れてたけど改めて考えたら多分そのくらい…
『実際は今日で四日目ですけどね…』
『むっ…忙しかったんだから仕方無いでしょ?』
基本、二人きりの時は私は出来るだけシュナイダーとは口に出して会話をする様にしている…とは言え、シュナイダーの声は結局私にしか聞こえないし…何なら、私も別に声を出さなくても会話可能だったり…
「何やってるんですか!?ご飯はちゃんと食べないと駄目じゃないですか!?」
「……ごめんなさい。」
改めて二人が手心を加えてくれていたのだと思う…いやまぁ、"身内"としてはこの対応になるのが普通なのか…ま、そう考えてるのは結局現実逃避だったり…
『鈴音様が怒るのも当然かと思いますが?』
『忙しい且つ、疲れてて面倒臭いまで来ると中々ね…』
事件は無くても、普段から一日の仕事が全然無くならないのがこの学園の教師…と言うか、終わらせたと思っても翌日には大抵は何かやる事が増えてる…一応週休二日制で、その気になれば夏休みや冬休みだって取れるけど何となくブラック感は否めない…(私なんて要領良くないから、割と休日も仕事してる事が多々有るし…)
「とにかく!私も部屋行きますから!……で、その後泊まらせてくれたら嬉しかったり…」
「良いけど…その辺は二人と交渉してね?間違い無く、布団が足りないから。」
正直に言うと割と寮監室に泊まろうとする人が多いので、さすがに自腹で布団を買い足した…ま、それにしたってあの部屋は四人が寝るのはちょっと厳しいし、予備の布団だって二枚しか無い…さすがにちょっとねぇ…
「分かりました!」
そう言ってまた二人の所に戻って行く鈴……確認したら、もう消灯時間過ぎてるんだけど…まぁ、この場はさすがに大目に見ようか…にしても…
『元気だなぁ…』
『マスターだってまだ十分に若いかと…』
『…そうかも知れないけど、十代の女子と比べたらやっぱりねぇ…ま、歳を取る事に関しては悩むつもりは元々無いけど。』
だって、それが"人間"だから…ここに千冬が居てくれたらなぁって考えた事は有る…ま、仮にそうなってたらここまで私と生徒の距離が近いって事は多分無いだろうけど……そもそも、千冬が私を独占しようとするのが何となく想像出来てしまったり…
「■■さん!」
「…鈴、もう消灯時間過ぎたからそろそろ声抑えて?」
と言うか、普通にコレ…私が怒られる案件だよね…
「あう…ごめんなさい……あれ?もう消灯時間過ぎたって事は…」
「ハァ…まぁ、今回は大目に見るから…」
と言うか、私の事を心配して…と言うのはさすがに分かるから、私もそこで罰則付けようなんて気にはなれない…
「ハァ…そろそろ行こっか…このままだと私も怒られるし…」
今更私が何言っても三人が帰らないのは分かるし、寧ろこれ以上増えなかったのを喜ぶ所だろう…ここに残りの面子が加わって来るとねぇ…元は鈴も含めてかなり手を焼かされた事も有ったけど…普通に全員根は良い子だから…ちなみに問題ばかり起こす面々と違って、箒は大人しくて当時の私にとっては完全に癒し枠だったりする……まぁ、癒しって言っても実際は色々注意された事の方が多い気もするけど(何でこう、私は毎回生徒に勝てないのかな…)
駄目だって言ってるのに声が大きくなる鈴にやんわり注意しつつ…(まぁ、普段の彼女を知る私としては十分に抑えてる方だとは思うし…あんまり言うと彼女の個性を潰してしまうからね…)四人で廊下を歩きながら私はシュナイダーを通して、とある人物にメッセージを送る…内容はこう…
"貴女が何で今、私を見張ってるかは知らないけど…貴女も寮生だからこのままだと私としては罰則を付けないといけなくなる…私は戻るから、そろそろ貴女も部屋に戻りなさい"
…送って少しして、彼女からの気配が消えた…私、だけで無く四人全員が一斉に同じ方向を見る…
「行ったか…」
「と言うか、コソコソ見張ってるとか…」
「いや…仕方無いよ、鈴…彼女の本業はそう言う仕事なんだし…」
尤も、そうだとしても緊急時でも無い平時の今…私としては彼女を一生徒としてしか扱えないし、そもそも特別扱いするつもりは初めから無い(もちろん何も無ければにはなるけど…後ろに居るのが日本政府なら私もさすがに、大っぴらに逆らおうとは思わない)
「と言っても、多分あの人…今回は個人的理由じゃないのか?」
「え?」
「仮に本当に政府からの命令って話なら、そもそも俺や箒を見張るのが正しいだろ?でも、最近はずっと■■さんの方を見てるぞ…」
「……」
私は口を噤む…まぁ、実を言うと本当は私が政府から狙われる理由はちょっと有ったり…ちなみに、箒には何も言ってないけど何となく気付いてるみたいで彼女も口を閉じたまま…
その内、今度は私にメッセージが届く…
"いつか、全部聞かせて貰いますからね?"
そのメッセージを送って来た箒に私は笑みを向ける…ごめん、その機会はもう訪れないよ……ま、後は束に聞けば分かるから…メッセージとしては送ってないし、口にも出してない…ま、それでも束が関わってたのは分かるだろうしね…
その後、結局三人は帰らず…一夏と箒はそれぞれ一人用の布団…そして私は鈴と同じ布団に入って寝る事に…まぁ、割とこっちに頻繁に泊まりに来る鈴は大体同じ布団で寝ようとするから今更では有るんだけどね…
「もう少し、良いですか?」
「ハイハイ…それで鈴が落ち着くって言うなら、好きなだけすれば良いよ。」
とは言え、ただ寝るだけならまだしも…普通に私は鈴に胸を直揉みされてたり…鈴は親が離婚してるとは聞いてるし、何より今はどっちも中国に居て…海の上とは言え、日本領内に有るここ、IS学園に入ってると中々会えないだろう…しっかりしてる様で、私の知る限り昔から結構脆い所も有る鈴…実を言うと、鈴が最初に日本に来た頃から妙に懐かれて普通に私の部屋まで泊まりに来た事も有るし、私が織斑家に居る時に鈴が泊まりに来た事も有って…まぁ、その当時からこんな感じだから私も慣れてしまってる節は有る(ちなみに、千冬相手だと鉄拳制裁が飛んで来るから…尚更ほとんど抵抗をしない私の所に来てたんだろうね…)
「…とは言え、落ち込んでるのも分かるけど「そうじゃないんです」鈴?」
「一夏は箒を選びました…そして、どちらかと言えば貴女が箒を後押ししてるのも分かってました…それでも、その事で私が貴女を恨んだ事は無いです…それに、その事自体ももうほとんど吹っ切れてます…もちろん、ショックは有りましたけど…でも、改めて考えて分かりました…少なくとも私が一夏に向けてる"コレ"は箒程強くない…フラれても惜しくは無いかもと…と言うか、あんなの絶対勝てませんよ…■■さん、箒に一体どんな魔法を使ったんですか?」
「私…箒にそんなに大した事はしてないんだけど…」
寧ろ、一夏が自分を選んでくれたのは私のお陰とか…事有る毎に感謝の気持ちを向けられて、困惑してるのは私だったり…もちろん、全く何もしなかった訳じゃない…私が最初に出会った頃の篠ノ之箒と言う少女は…とにかく荒れていた…束と言う絶対存在が姉である事から、肥大した劣等感…それをそのまま自分のクラスメイトたちに"暴力"として向け、八つ当たりしている状態だった…
親友の妹で、そもそも師匠の娘で有る彼女を私は放っておく事が出来無かった…殴って分らせようと(まぁ、普通にあしらってるとは言え…一応一夏も被害に遭ってたから…)する千冬を当時何とか押し留め、根気良く…貴女には貴女の良い所が絶対に有ると言い聞かせ…やがて心を開いてくれた彼女は私の家に良く遊びに来る様になって…その後彼女とは別れてしまったから、当時の私の教えられる事はもう大体教えたとは言え、どうなってるかは正直不安だった……だから、このIS学園にやって来た彼女に再会して…私は本当に安心した。
「結局の所…当時束との事で苦しんでいた彼女に対して…私は彼女の僅かでも突出した部分、特に束には絶対無理な部分を見付けて、それを伸ばして行くのに少し手を貸しただけ…実際に私が彼女と関わる事が出来たのも小学生時代の…密度はそれなりに濃かったかも知れないけど、客観的に見たら…本当に極僅かな時間だけ…本来だったら本人の印象にだって残りづらい…つまる所、最終的に彼女が今の様な状態になったのは間違い無く彼女自身の努力によるもので…私は、ほとんど何もしてない…更に言うと、この学園でも手を貸したと言っても…私と別れてからも既に本人の弛まぬ努力によって、ある程度完成されていた彼女に…今の私が出来たのは本当に簡単なアドバイスだけ…彼女個人に一夏との事で積極的に手を貸していたかと聞かれれば頷く事しか私には出来無いけど…極端な事言えば、結局私が貴女にしていた事とそう変わらないんだよ…鈴。」
ま、だからああも大袈裟に感謝されても正直困るのが本音なのだ…実際、彼女が私を師匠と仰いでくれると言うなら…鈴だって当然弟子の一人みたいな物だし、何なら妹弟子の鈴の方が長く私の近くに居て…当然こちらからも関わり、目を掛けた時間だって箒より普通に多い…と言うか、間違い無く人として欠けてる部分の多い私が…こうも二人に敬われて、慕われるのは何ともむず痒いし…色々もどかしくも有る…単純に人として能力的には、そろそろ私を超えて行きそうな領域に二人は間違い無く居る…そんな事を考えつつ、もう一人の弟子の事も頭に浮かべる…彼女に関しては、ある意味二人より素質が有る…それでもまだまだ、鈴以上に甘えた盛りな所も有るけど…うん、彼女もきっと大丈夫…私が居なくなっても頑張って行ける…
「本当に私と変わらない…?」
「今は箒と仲も良いみたいだし、その辺チラッと聞いたりもしてない?…あ、結局は才能がどうのって言うなら…それはまた違う話だよ、鈴。」
「違う…?」
「貴女たち二人は…実はそれぞれ微妙に得意分野と苦手分野が異なるからねぇ…私は基本、苦手分野を徹底的に潰す…みたいな、千冬の様なやり方は正直出来無いし…やれるとしたら、本人も気付いて無い様な得意な部分をどんどん見付けて…それを只管に伸ばして行って…とにかく、"武器"を増やす事…別にさ、総合的に見たら貴女が箒に劣ってるなんて事は絶対無いんだよ…それでも、一夏は箒を選んだ…厳しい言い方にはなるかもだけど…結局は、そう言う話…」
「そう、ですか…」
「う~ん…そうだね…貴女に私から言える事はもうあまり無いけど…大丈夫。今の鈴なら、これから先何が遭っても貴女は貴女の思う通り生きれば良いの…結果は自ずと勝手に付いて来る…貴女の見てる世界は全て貴女の物…後は全部貴女次第なんだよ?腐らず、これからも努力を続ければ…貴女はきっと、何でも手に入れられるよ。」
これが…鈴に出来る私からの最後のアドバイスだろう…残り一人の弟子に関してはまだ卒業証書はあげられないけど…彼女は、それでももう自分の足で歩いて行ける…私の存在はもう必要無い……それは、この学園で関わった他の生徒たちだってそう…少なくとも、私が受け持った生徒に関してはもう自分で歩んで行ける筈だから…
千冬…これで、良かったんだよね…?もう今更何をしたって、貴女に会えるとは思わないけど…出来れば答えを聞きたいよ…
「…!」
「ん?どうしたの、鈴?」
私の胸を揉んでいた鈴の手が止まり、そのまま私に抱き着いて来た…
「分からない、です…でも、今…貴女が消えてしまいそうな気がして…」
「!…そう。」
「貴女は…居なくならないですよね…?これからも、側に…居てくれますよね…?」
う~ん…
「そう言うのはさ、"私"に言っても駄目だって…探しなよ、鈴を本当に大事にしてくれる人を…間違い無く、この世界の何処かに居るよ…断言する。」
「私は…今、貴女に側に居て欲しいんです…!」
「……いや、居るけど?さっきまで貴女は私の胸を揉みしだいてたし…今も、こうして抱き着いてるじゃない?」
さすがにジト目を向けたくなった…今これだけ至近に居て、これ以上どうしろと?
「……」
暗闇の中…鈴が目を閉じ、無言で私に顔を近付けて来る…いや、まさかそっち?
「ハイ、ストップ。」
「ひぶっ!?」
鈴の顔面に張り手をかます……うわ…何か結構面白い顔に…ま、この場で笑う訳には行かないし…と言うか、言うべき事は言わないとね…ハァ…締まらないなぁ…最後のアドバイスはもう終わったつもりだったんだけどね…
「コラ…私みたいなの選んだら駄目だって…貴女にはちゃんと素晴らしい出会いが待ってる…と言うか、同性を選ぶ事について私から言える事は特に無いし、何なら鈴の好きにすれば良いと思うけど…取り敢えず、相手はちゃんと選ばないと。」
と言うか、異性同性どうの以前に…教師と生徒の恋愛とか普通にアウトだし…そうでなくても、"私"を選ぶなんて…結局鈴が不幸になるだけだしね…千冬だから、ああもどうにかなっただけだし…
「やっぱり私、千冬さんには勝てませんか…?」
「…それは結局勝ち負けの話じゃないかなぁ…私自身、今も彼女を忘れられないのは確かだけど…」
「悔しい…」
「だから、そもそも私を選んだら駄目だって…っ…また揉んでるし…」
正直、彼女は下の妹弟子よりヤバいかも知れない…まぁ、見た目はともか……いや、見た目もどっこいどっこいかも知れないけど…正直、あの子の方がしっかりしてる感じはする…何せ、元は軍人だしねあの子…いや、扱い上は鈴も軍属だっけ?…ま、正式に軍人として動いた事はほぼ無きに等しいみたいだから…その辺は言っても仕方無いかも知れないけど。
「せめて…せめて…!」
「ハイハイ…そんなに必死にならなくても今この場で逃げるとかはしないから、もう好きにしたら良いよ…」
とは言え、そろそろ日付けも変わる…一夏と箒ももう寝てるし、いい加減彼女にも寝て貰わないと…一応明日は(もう今日の話だけどね…)平日で、まだ授業有るし…
「……あれ?」
気付けば疲れたのか、両手が私の胸を掴んだまま鈴が寝息を立てている……寝たフリの感じは無い。
「やれやれ…やっと寝てくれたね…」
取り敢えず鈴には申し訳無いけど指を外し、抱き抱えた鈴を布団の上に下ろし、掛け布団を掛ける(てか軽っ…見た目も幼いし、心構えとか色々当時の内に鈴に叩き込んでおいて良かった…変な奴にそのままお持ち帰りされかねない…)さて…
「取り敢えず、見回り行かないとね…」
忘れ掛けてたけど、寮監で有る私の本日(もう日が変わってるけど)最後の仕事は実は今から始まるのだ(鈴が寝てくれて助かったよ…)ま、多分今回も何人か注意しないといけないんだろうなぁ…割と反発して来る人未だに居るし、正直結構憂鬱…
「ハァ…文句言っても仕方無い、か…」
予想通り、数人の生徒と廊下で出会う……当たり前って言えばそうかも知れないけど大半が正当な理由なんて無い…千冬なら、きっとその場で罰則や減点付けるだろうし…それで刃向かって来る人が居ても即鎮圧可能だろうけど…正直、私は面倒なのでやりたくない。まぁ、そもそも…私は余程で無ければその場で注意は有っても罰則は付けない(千冬なら違反見付けた時点できっと即座に両方なんだろうけどね…)
……とは言え、何度もやるとか…そもそも普段から私をナメて、試してる様な悪質な人は別。大体において…
「せいやぁっ!」
「攻撃が見え見え…おまけに、遅い!」
「きゃあ!?」
振り被った拳を手で流し、そのまま投げて即座に寝技に移行…極端な話になるけど…私は"相手によって身体能力の違いとか、打たれ強さの強弱有るから加減するのが面倒"なだけで別に"出来無い"と言う訳じゃないんだよね…如何に武道に覚えが有る人が相手でも、学生相手に負けるんじゃ…仮にも"織斑千冬がライバルと宣言した"と言う事実に傷が付いてしまうからね…
「クソッ…!」
後ろでISの展開音……うわ、正気?…じゃないか、彼女の様子を見る限り…ハァ…面倒臭いなぁ…引っ込みつかなくなったのは分かるけど何もそこまでしなくたって…
「!…ちょっと!?生徒を盾にするんですか!?」
「それは貴女の相棒に言いなさい!と言うか、そもそも私を撃とうとしてるのも生徒だし…何より、丸腰の相手にISを展開して狙うとか最早犯罪のレベルだから!…さぁ、どうするの!?」
「う…わぁぁぁぁぁ……!」
あ、撃った…盾にした生徒を適当に床に放り捨てる…本当に盾にする訳には行かないしね…
『シュナイダー…お願い!』
『了解!』
シュナイダーを展開…取り敢えず槍でミサイルの信管を切断し、次にミサイル自体を両断する…ハァ…何で夜中にこんな事しないとならないのか…全く、千冬なら、こんなに生徒にナメられないんだろうけど……てか、今ので床に色々散らばったんだけど…被害はそれだけとは言え、掃除は私がしないと駄目なの?
『ハァ…シュナイダー…彼女はパニックを起こしてる…危険だから、さっさと向こうのISを破壊するよ。』
未だ、彼女はミサイルを撃ちまくっている…そろそろどうにかしないとこっちの集中力が切れて、廊下の被害が…!
『!…アレを…使うんですか…?』
『仕方無いでしょ!?私と貴女じゃ…千冬や一夏みたいに発動して、当てさえすれば即座にSEをゼロにする零落白夜みたいな単一能力は無いんだから!…ま、有ってもどうせ使いこなせないけどね!』
この状況、一夏を呼ぶ訳には行かない…一夏が彼女と戦う事になれば一夏にも処分が下る…私がやるしか、無い。
「最悪少し痛いのを覚悟しなさい!」
そして、私の手に嘗て千冬と戦う時に使った"あの剣"が転送されて来る…結局名前すら付けてないけど…ここの生徒は私が何度も使ったせいで見慣れている筈だ…
「行くよ!」
「今回の事は特別に見なかった事にしてあげる…この後は早起きして、ここの掃除をする様に……分かった?」
「はい…」
「……」
「…今は眠ってるその子にもちゃんと伝えてね?」
「はい、申し訳有りませんでした…」
「うん、宜しい…じゃ、今日はもう行って良いよ?」
ISを纏っていた子を背負って部屋に戻るその子を見送る…ハァ…やれやれ…
「…束、夜中にごめんね?もう良いよ?」
『あいつらって…■ちゃんがそこまでする価値有るの?』
束には廊下の監視機器を纏めてハッキングして貰っていた…これでさっきまでの騒ぎは記録には残らない……まぁ、何人か生徒が見てたし、人の口に戸は立てられないとも言う…てか何せ、一人はISを私に完膚無きまでに破壊されてる…加えて、二人はここの掃除もしないとならない…私が出来るのは結局ISを使ったと言う記録を消すだけ…そもそも他の人には見られてるし、これから…二人は苦労するだろう…
「価値とかそう言う話じゃなくてね…私は先生なんだから、一応生徒を守る義務は有るから…」
『束さんにも分かるけど…ちーちゃんだったら良くて停学か、下手したら即時退学の措置を取ろうとするんじゃない?』
「まぁ、ね…」
千冬なら、間違い無くそうすると思う…
「仮にここに居たのが千冬だったら…ここまでの騒ぎにならない…と言うか、そもそもこんな状況にもならないだろうし…生徒にナメられてるのは結局私のせいでも有るから…やっぱり、これくらいの責任は取るべきかなって…」
と言うかまぁ…ちゃんとした本音を言えば…
「私、もうすぐ休暇だからさ…その前に余計な仕事、あんまりしたくないんだよねぇ…」
『フフッ…ちーちゃんが死んじゃってから■ちゃんずっと元気が無かったし…無茶ばかりしてるからどうなる事かと思ったけど…やっと調子が出て来た?』
「そうだねぇ…」
嘘…本当はそんな事無い…今してる仕事も虚しさは有っても充実感は無い…てか、そもそも私は……ハァ…やっぱり貴女が居ないと私はどうにもならないよ、千冬…
「ま、とにかく…私はもう部屋に戻るよ……この埋め合わせはちゃんとするから…」
『え~!?良いよそんなの…』
「ま、そう言わずにさ…あ、重ね重ね申し訳無いんだけど…」
『何?』
「当日の天気は大丈夫なんだよね?」
"最期の場所"を厄介な場所に指定したとは自分でも思うけど…それでも、場所と日付けは私には絶対譲れなかった…
『何せ山奥だしねぇ…幸い、目立ったヤバそうな雲とかは今の所観測出来て無いけど…』
「そう…なら良いよ。後は当日…シュナイダーの事、お願いね?」
『そっちは任せといて!綺麗に仕上げちゃうから!万全の状態で■ちゃんの元に返してあげる!』
「……ありがとう。」
予定通りに行けば、もう私が"彼女"を受け取る事は無いけれど…本当にありがとう、束。
『そう言えば■ちゃん、腕は大丈夫?』
「ん…少し痺れるくらいかな?あの剣を使った割には負担が軽……あ、シュナイダー!貴女は大丈夫!?」
『ええ…大丈夫です。』
「…また以前みたいに、負荷の大半を受け持ったとか言わない?」
『いえ…以前散々言われましたから…ちゃんと半々の割合にしました…私の方はほとんどダメージが有りません。』
「そう…なら良かった……信じるよ?」
『ええ。』
『シュナイダーも大丈夫だったの?』
「うん…ま、どうせ束にメンテして貰うんだし…本人が仮に異常に気付いて無かったとしても、ちゃんと見付けてくれるでしょ?」
『もちろん!』
「ふぅ…さてと、私は少し一服してから部屋に戻るよ。」
『……またタバコ?』
「そう怖い声出さないで…もうすぐやめるつもりだからさ…」
あの山小屋に行く日…その日がもう最後のタバコだから…
『ホントに?』
「うん、ホント。」
『…なら良いけど…まぁ、いっか…またね、■ちゃん!』
「うん、またね…束。」
当日…一度くらいは連絡する事になるかな…そして、予定通りなら…残念ながらその先はもう二度と貴女と出会う事はもう無いけどね…
「ふわぁ…眠っ…」
さすがにアレは大変だった…まさかISを展開されるなんて…早くタバコ吸って帰ろう…
ちなみに戻って来たら三人が起きていて…見回りに行ってたと言えば三人は納得してくれたけど…それでも鈴に服に付着していたタバコの匂いと火薬の匂いに気付かれて問いただされそうになって、誤魔化すのに非常に苦労したと言う一幕が有ったり…ホント、私の周りは皆鋭くて苦労するよ…最期の日は邪魔されたくないし、私を見張ってる例の彼女の事も何とか撒けたら良いんだけど…
…でまぁ、それから本当に色々有った(一応休み前だって言うのに私、何か色々働き過ぎじゃない?)後の休暇開始当日…
「ふぅ…さてと…」
『■ちゃん!』
「…おはよう、束…今日は宜しくね?」
『……本当に入り口までで良いの?』
「ま、自分で登るのに意味が有るからね……それと、悪いけど…私が向こうに居る間遊びに来るとかは今回はやめてね?」
『う~ん…分かったよ…身体には気を付けてね?』
「分かってる…学園に居る時とは違うからね…」
千冬の命日まで…後数日有る…私は、その時まではちゃんと生きてないとならない…
「重ねて言うのも何だけど、シュナイダーの事も宜しく…」
『お願いします、束様…』
今回は私の頭の中だけに響く声とかじゃなくて、ちゃんと通信…こう言う状況見てると…やっぱり私の聞いている声は幻聴とかじゃないんだなと改めて分かる…
『うん!任せて!…で、すぐ行くの?』
「う~ん…休暇取った事はもう伝えてあるけど…取り敢えず一夏、それから箒と鈴…後は、ラウラには挨拶して行くよ…てか、船の時間も有るしね…」
ま、ラウラに会うってなると必然的にシャル(現状、彼女をそう呼ぶのはほぼ一夏と私だけに…)にも出会うけどね…こうなると本当はせめて、セシリアや簪…それから刀奈(彼女自身から私と二人きりの時や、他に周りに自分の本名を知ってる人しか居ない時はこう呼んで欲しいと言われてる…)の所にもちゃんと顔を出すべきかも知れない…ただ、正直したくない…付き合いの時間の長さに関わらず、今言ったメンバーは多分…色々な事情で私とは絆が深い…自惚れで無ければ、全員慕ってくれてると思う…特に刀奈…正直、人生経験の話なら間違い無く彼女の方がその密度は濃い…にも関わらず、私は彼女に明らかに尊敬の念を向けられてる…ちなみに、彼女も私の弟子を名乗ってるつもりの模様(許可はしてないし、そもそも彼女には私の助力なんて必要無いだろう…)
「■■さん!」
「っ…ノックくらいしなさい!後、脱ぐな!」
朝からいきなり部屋に飛び込んで来て、そのまま何を思ったか制服に手を掛けて脱ぎ出す刀奈の顎に掌底…普通に流されて威力を殺されたから、即座に刀奈の股間の辺りで下から足を振り上げる……俗に金蹴りなんて言われるこの攻撃…実は攻撃目標が存在しない筈の女性でも、角度や力加減にも寄るけどまぁとにかく…骨盤に直接響くこの一撃…実はかなり痛いとの事…ま、何せ私もやった事は有ってもやられた事は無いからどれくらい痛いのかは知らない…ちなみに、大体はこうして私に対するスキンシップが過剰な刀奈が標的になる…だって、正直微笑ましくも思える鈴のそれと違ってあまりに彼女は欲望に忠実過ぎるから…千冬ももう居ないし、身持ちが固いつもりも無いけど…それでも彼女の"ソレ"はさすがにそのまま受け止めてあげる気にはならない。
「~~~~~!」
よっぽど痛いのか、股間を手で押えて声にならない悲鳴を上げてのたうち回る彼女の前で私はこう告げる…
「良し、これで刀奈に会うノルマは達成…と。」
『■ちゃん、さすがに容赦無さ過ぎ…』
あ、束ですらそう思うんだ?でもねぇ…
「一応出来る範囲にはなるけど加減はしてるし、後…感触で分かったよ。刀奈、サポーター付けてるでしょ?そろそろ演技やめたら?」
「いや…それでも十分に痛いんですけど…」
相変わらず股間を押さえながら立ち上がる刀奈…そんなに、痛かった?
「■■さん…」
「…ん…もしかして何か大事な話?…束、一旦これで通信切って良い?時間来て、学園出たらまた呼ぶから。」
『りょうか~い。そしたら後でね?』
「うん……さて、本当に何の用かな刀奈?…と言うか取り敢えず制服着てくれる?風邪引かれても困るし。」
彼女の制服の下は普通に水着…学園は空調もある程度一定に保たれているから、極端な話…仮に裸でいても寒いと言う事は無いだろうけど…それでも暖かいって程じゃないし、今はもう季節も秋に差し掛かる頃…さすがに心配。
「えっと…その水着を見せたかったとかかなぁ?…それなら寧ろ私じゃなくても…」
そこでさすがに言葉を切る…女子高生が学園内で教師の前で制服脱いで中の水着を見せるって言うのは字面だけ見たらヤバい…そしてそこに同性の、と付けると尚更不健全感が増す…かと言ってそこを同級生に変えても駄目…寧ろ、改めて考えると見せられるのは同性で普通に大人の私の方がまだマシな気さえして来る…
「…それも有りますけど「有るんだ…」…いやあの、そこで引かれたら話が進まないんですけど…」
「えっと…じゃあ聞くけど、仮に私が貴女の姿に興奮してたらどうしてたの?」
「もちろん、最後まで…」
「…それ、結局話が全然進まないやつじゃん…」
と言うか、受け入れたら駄目でしょそこは…抵抗しようよさすがに…ま、私は人の事言えない気もするからこれ以上何も言わないけど…
「取り敢えず座る?お茶くらいなら出すよ?」
制服を着終わった刀奈にそう声を掛ける…ま、多少出るのが遅くなっても良いか…本土への船が出るのはまだ先だし…元々その後は束に送ってもらう気でいたから…何なら、迷惑は掛かるけど私は船をキャンセルしてそのまま束に目的地に送って貰う手も有る(幸い調べたら、今日は元々休日と言う事も有り…生徒も何人か船を利用予定って話だから、私一人キャンセルしてもそんなに問題無い)
「いいえ。私は貴女に聞きたい事が有って来ました…」
「そう…ま、どっちにしても何か話が有るなら一回座りなよ…今お茶入れるから…」
「すみません…」
普段、大人たちとギリギリの立ち回りをしている刀奈の姿や学園で見せる自信満々な姿とは違う、女子高生らしく何かに悩む年相応の少女の姿…それを見るのは、私は初めてじゃないけど…それでも、今回はいつもより深刻に見えた…
「ハイ、お茶。」
「ありがとうごさいます…」
刀奈に湯呑みを勧め、私も自分の前に置いた湯呑みを手に持ち…口を付ける…さすが暗部の長と言うか何と言うか…刀奈は基本、相手が先に手を付けた物しか摂取しないみたいだからね…先に私が飲むしか無いだろう……ちょっと濃く入れ過ぎたかな…少し苦味が強い…
「……」
やがて、刀奈も湯呑みを口に付けてお茶を飲む……顔色を変えたりと言った事が無いので、更識家ではこれが普通か…あるいはもっと濃いのだろうか?正直これ以上濃いってなると私、かなり渋い顔になってる気がする…
「ふぅ…■■さん?」
「…ん…何?」
「貴女は、何をしようとしてるんですか…?」
「何って?」
「正直に言うと…政府からは貴女を警戒する様に言われてます…」
「…最近私を監視してるのはその一環?」
「!…いえ、寧ろ…政府からは貴女に一切手を出さない様言われてます…監視は、私の独断です…」
「うん、そう言う事なら…悪いけど先の質問に私が答える理由は無いね「■■さん!」騒がないで…と言うか、今回は完全にプライベートだし…政府直属の暗部組織の長としての貴女に口出しされる理由は無いんだけど?」
「それは、そうですけど「一応聞くけど何しに行くかは気付いてるんじゃない?」…千冬さんの命日が近いんですよね?死者を悼む…ですか?」
「そうそう…私、見た目はこんなだけど感性はほとんど日本人だからさ…最近忙しくてお墓にも全然行けて無かったし、ま…良い機会かと思ってさ…」
私は表向きの理由を語る…ま、実際は"それも有る"だから…丸っきり嘘でも無い。
「…本当ですか?」
「ん?」
「本当にそれだけ、何ですか?…ちゃんと、私たちの所に帰って来るんですか?」
「……」
こう言う時、嘘でも良いから笑顔で帰って来るよ…とは、何故か言えないのが私なのだ…ここまで核心を突いて来られると、私もいつも通りの態度が取れなくなってしまう…
「どうして、答えられないんですか?」
「…刀奈、もう…私の役目は終わってるんだよ。」
「!……何を…」
「一夏も箒も鈴も、他の皆ももう私の力は必要としてない…もちろん、貴女も。」
「そんな事…!」
「無いって言える?…と言うか、学園に来る前から貴女は元々実力が高く…元々、私の力なんてほとんど必要無かった筈だよ?」
「それは…!」
「ふぅ…ねぇ、刀奈?」
「何で、しょう…」
「これが最後だと、貴女は何となくだけど気付いてる…だったら素の貴女で話す事は出来無い?それなら少しは聞いてあげられるかもね?」
「私は…!」
「っ…刀奈…」
刀奈がそのまま抱き着いて来たので、私も彼女の背中に手を回す…ハァ…女子高生って皆こんなに脆いのかなぁ…ま、鈴や刀奈に関しては特別そうだって感じがしなくも無いけど…
「離れたく…無いです…!一緒に…いたいです…!」
「ごめんね、刀奈…」
気持ちは分からなくも無い…でも正直…もう"私"の方が無理なのだ…これ以上は多分、持たないから…
「大丈夫だよ。貴女なら、私なんて居なくてもこれから先もやって行ける「そんな気休めは…」うん、気休めじゃなくてね…少なくとも、総合的には貴女は元から私を超えてるから…元々、私の力なんて貴女は必要無かったんだよ…寧ろ、何でこんなに慕われてるのか…私、分からないんだけど?」
「私は…貴女が好き、です…!好きなんです…どうしようも出来無いんです…!」
「あー…」
いや、貴女も?私ってこうもモテるほ……いやまぁ今更感も有るけどね…学生時代も私、同性異性問わずにかなりモテてたって話だし…けど、今回そこまで好かれる程…私何かしたかな?……ま、その辺考えるのは今じゃないし…もう遅い。
「返事はやっぱり一つかな…ごめんなさい、刀奈…その、酷な話になるけど…理由は聞きたい?」
「…いえ、何となく分かります…それだけ、貴女にとって千冬さんが大きな存在なんですね…」
「まぁ、ね…」
「千冬さんに、会いに行くんですか?」
「ん…貴女にはバレてる訳だし、もう…言える範囲でなら全部言おうかな…そんなつもりは無いよ?」
「無い…?」
「あれから結構時間も経って…今更会える訳も無い…何より自殺なんてして、千冬に合わせる顔も無い。」
「なら、何で…!」
「ごめん…悪いけどこれ以上は言えないかな…」
貴女たちが見てた私の姿は全て"偽り"…そんな真実を告げる事がどれ程残酷か…そんな事は人でなしの私にだって、ちゃんと分かる…
「…どうしても、決意は変わらないんですね?」
「うん…もう決めたから。」
「なら…なら、せめて私も「うん、それは無理かなぁ…」何故!」
「何故も何も…貴女にはこれから先の人生がまだ有るでしょ?それに、貴女は自分の立場は捨てられない…責任感の強い貴女は、そんな事出来無い。」
耳元でゆっくりと囁く…これは一種の暗示…実際はそうでは無かったとしても、相手にそう思い込ませる事が出来る……彼女にはここまでする必要無い気もするけど…ま、念の為…ね。…と言うか彼女が冷静だったら先ずこんなの、通用しないだろうし…
「!…貴女は、本当にズルい…」
「大人だからねぇ…割と、大人は…皆一定のズルさを持ってるよ…と言うか、それを結局"貴女"が言ったら駄目じゃない?」
「っ…」
「…と、ごめん…これはさすがに意地が悪かったね…貴女は立場上、そうなる事しか出来無かっただけなんだし…ま、とにかく…今更私は止まれないよ……どうしても止めたいなら力ずくしか無いけどどうする?」
「ハァ…やめておきます…貴女は結局、手を抜いて死ぬ気でしょうから…」
「あ、あれ?」
あっさりバレた…そもそも、私はISを使った戦いで本気の刀奈に勝てる気がしないんだよねぇ……どちらも無手ならワンチャン有るかも知れないけど…
「私の気が変わらない内に…行ってください、もう…」
「うん、その前にちょっと良いかな?」
「…何でしょうか?」
「…本土への船が出るまで、まだ結構時間が有るからまだ私は外に出れないし…後、私がここに居ないのに貴女だけここに残ると言うのは悪いけどアウトだから…この後私は一夏たちの所に行くし、貴女も部屋を出て貰うしか無いんだけど…」
「……」
「いや、ホントごめんね…?」
「ハァ…もう少し居ても良いんですね?」
「時間的にも本来は普通に駄目なんだけど…ま、今更だし好きにしたら?」
「…じゃあ一つ頼みが有ります。」
「何かな?」
「その…貴女の胸に触れても良いですか「どうぞ」即答…」
「鈴を見てて羨ましくなったとかかな?まぁ、私としては別に良いんだよねぇ…減る物じゃ無いし。」
「じゃあその…良いですか?」
良く考えたら皆が起きるまで時間掛かるだろうし…(この場合、普通に午前五時過ぎと言う時間に私の部屋に入って来た刀奈が可笑しい…)
「もう良いって言ったんだけどな…」
「じゃ、じゃあ…!」
……ちなみに実は、一夏からも昔揉みたいと言われた事が有ったり…まぁ、アレは完全に寝言だし…起きてから一夏もパニックに陥ったみたいだけど…(覚えが無いのに、起きたら自分の両手は同居女性の胸の上…しかも直に…まぁ、そうなって当たり前と言う感じはする…)
「一応、船が出る前には出たいし…皆の所に顔出ししたいから…後そうだねぇ…二時間しないくらいには申し訳無いけどやめて貰うよ?」
「はい…!」
……そんなに嬉しい? ホント、良く分からないなぁ…
その後、何とか刀奈は離れてくれた…と言うか揉むだけならまだしも…口で吸い付くのはちょっと…さすがに自重して欲しかった所(鈴だってそこまでしないよ…結局、既にシャワー浴びた後なのに…また浴び直す羽目に…)
ま、結局護衛とか言って付いて来ようとするのを説得するのに骨が折れた(だから…こっちは死のうとしてるのに護衛も何も無いでしょうが…)
……で、完全に全部終わったと思おうとして、刀奈も帰り…部屋を出ようと思った所で…漸く、他にも問題が有る事に気付いた…
「シュナイダー…」
『束様には…何も言っていません…』
「ありがとう……その、もしかして…察してた?」
『……はい。』
まぁ、彼女には"私の本性"も悟られてしまったからね…とは言え、理由までは気付いてるのかどうか…
『もう…限界なんですか…?』
あ、分かるんだ…
「…"本来の私"と"今の私"のズレ…それがもう致命的な所まで来てるの…ま、要は…精神的に、さすがにもうキツくてね…」
多分、千冬が居ればもう少し耐えられたんだろうと思う…と言うか、本来この学園の教師と言う仕事も…千冬と二人でなる筈だったし…多分、私がここまで無茶する事も無かっただろう…
「肉体的には特別影響は無い…でも、私の事を知ってる何人かは極度の疲労に寄る顔色の悪さ…そんな感じで、見た目に変化は出てるみたいだね…」
『マスター…』
「今はまだ良いと思う…でも、これから先も同じ生活してろって言われたら…ねぇ…間違い無く、もう無理だから…」
多分、何処かで"私の本性"を隠せない時が来る…人らしい喜びとか悲しみ…そう言ったものが、ほぼ完全に欠けている私…そんな悍ましいモノを、今の私を知る皆には絶対見せたくない…だから…破綻が起きる前に私は死にたい…コレがもし、"感情"に寄るものなら…多分、この世に生まれた時から"ソレ"が無かった私に…漸く、今になって芽生えた事になる……でも、その感情の種火が大きくなるより先に…私が壊れるのが先になってしまうだろう…抑え付けていた"私"は…ほとんど別人格とか、そう言う所までもう…行こうとしてるから…
「ごめんね、シュナイダー…貴女を連れて行けないんだ…」
『…分かりました…全ては、マスターの思う通りに…』
「ハァ…ねぇ?もし、次のマスターにしたい存在が現れた時…その時は、貴女は本音を出来るだけ伝える様にして…後悔しない様に…」
本当は感情の無い私にも分かる…シュナイダー、彼女はもう"単なる機械"では無くなっている事(私は初めから、そう思った事は一度も無いけれど)
『はい…善処します…』
「…見付けてね、貴女を人と同じ様に扱ってくれる素敵なマスターを…」
私から出来るのはそんなアドバイスだけ…ま、実際は何とも思ってない事を考えれば…そう言う言葉を贈れるだけ、きっとマシなのだろう…
そして皆の所に顔出し…と言っても一夏、箒、鈴とはほとんどいつも通りのやり取りになる…(一夏は勘が良いから、もう私が戻って来るつもりがないの…分かってそうだけどね…)
セシリアは正直、あくまで先生と生徒の境界を超えてないから特別なやり取りは無い(嫌われてないどころか、明らかに慕われてはいるけどね…)
簪も同上…まぁ、彼女とは週末にたまに…部屋でアニメDVDフルローテをする事も有る仲の上、そのまま二人同じ布団で寝たなんて事も有るから仲が良いと言えば良いのだろう(距離が近い?…いや、この程度ならまだ普通でしょ)
刀奈には今朝もう会った…だから改めて会う必要も無い。
そして最後、彼女を私は今…ある意味最も、気に掛けていると思う…
「おはようございます教官!」
「おはよう、ラウラ…まだ朝早いから声抑え目でね?」
「はい!」
ほとんど声量変わってないな…遠慮してたけど、これなら中入った方がまだ良いかも…部屋の中なら多少マシだろうし…と言うか教官か…今更だけどねぇ…
「ねぇラウラ?」
「何でしょう?」
……今は声抑えられてるね…出来るなら初めからそうして、は…彼女にはまだ難しいかな…
「貴女を重点的に鍛えたのは千冬で、私はちょこちょこ手を貸しただけ…教官と呼ばれるのはホント、アレなんだけど…」
ま、コレは前から言ってる事でも有るので本当に今更…
「私にとっては、貴女は今も教官です。」
「そう…」
必ず訂正しないといけない程の事じゃないし、まぁ良いか…とまぁ、そんな感じでいつも私は最後は流す…ところで教官と言うのは、千冬が一時ドイツ軍の方に出向し…教官をやってたから…ちなみに、私も千冬に誘われる形で向こうに行った事が有る(あの時はほとんど拉致同然だったけど…)
そこで出会ったのがこの子、ラウラ・ボーデヴィッヒ…何気に、千冬が私を呼んだ理由の大元がこの子だったり…顔を見た瞬間にある事に気付き、その場で束に調べさせたっけ…要は彼女はクロエと同じ実験で生まれた子供、しかも失敗作の烙印を押されてしまったクロエと違って彼女は唯一と言っても良い成功例だった…彼女は軍でも最初はチヤホヤされたけど、インフィニット・ストラトス…ISが表に出た事で運命が変わってしまった…
ISを使わせるのはもちろんとして、寄りにもよって彼女はISに使われるセンサーを片目に移植されてしまった…結果として彼女の左目の視力が狂う…見えないならまだしも、彼女の左目は見え過ぎるのだ。両目の視力が揃わない為に日常生活すら儘ならなくなった彼女を…軍は出来損ないとして(当時、千冬と束も巻き込んでドイツ軍上層部の方まで殴り込みに行ったのが今でも忘れられない…まぁ、二人には迷惑を掛けたけど…)扱っていた…千冬に言われたのは戦う術を教え込む事は出来るが、心のケアは自分には出来そうも無い…だった(実は私もその辺は不適格だけどね…)
言い方は悪いけど、千冬に半ば押し付けられる形でラウラのケアを任された私…結局私に出来たのは、彼女を何処までも普通の女の子として扱う事だけだった…上層部に殴り込みを掛けて、比較的自由に動ける様になってからは束の所に彼女を連れて行った事も有る(諸々の後始末は全部千冬に押し付けた…ま、彼女を私に寄越して来たのは千冬なんだし…それぐらいの責任は取るべきでしょ)
そしたら、千冬に続き何故か私まで教官…と、呼ばれる事に…まぁ、何も教えないって言うのはなんだから…彼女が知る事が無い…軍の外での日常に付いて色々教えたりはしたし、今でも常識面とかを色々教える事は有った…と言うか、千冬が居ないから学園で再会した後は…自然と武力面の教えも私が担当する事になってたり…でもま、私も長年千冬を見て来たから…彼女の望む物を伝える事は出来る…そして、私はその歪さも何とか教えた…千冬の教えだけを実践するとどうしても力こそ全てな考え方になるからね…もちろん、この場合千冬が悪いと言うより…当時のラウラを奮い立たせるには、それだけ苛烈な教えをするしか無かった所為も有る…ま、そのケアも諸々全部私に押し付けられた訳で当時…本当に苦労はした…でも、いざ学園に彼女がやって来てみたら…ハッキリ言って少し口調が硬い所(直せなかった、こればかりはどうしても…)は有るものの…普通に真面目で良い子だった…そこしか褒める所が無いとかじゃなくて実際そうだったのだ…
『もし、私が人間として成長が見えたと言うなら…それは、間違い無く織斑教官と貴女のお陰です…■■教官。』
少しでも親しみを覚えて貰う為に、彼女には当時名前で呼んで貰う事にした…何なら呼び捨てでも構わないとまで言ったけど…彼女は結局私の名前に教官を付けるのはやめなかった…最終的に千冬と共にドイツ軍を辞してから、彼女がどうなってるか…それは非常に不安では有った…でも、学園で彼女に再会して…そんな物は吹き飛んだ…烏滸がましい言い方にはなるけど、千冬も私も…確かに彼女を変える事が出来ていた…まぁ、私が出来た事なんて本当に微々たるものなんだけど…それでも彼女はやっぱり今も私を教官と呼ぶ(せめて先生と呼んで欲しいけど、ね…)
「…ま、とにかく…私は一週間程居ないけど…身体には気を付けて…」
既にラウラが最後…だからこうして嘘も吐けてたり…どうしてだろう…私に罪悪感なんて無い筈なのに、何か身体の何処かがチクチクと痛む様な気がする…
「はい…あの、教官?」
「何?」
「……本当にただの休暇ですか?」
「ん?どう言う意味かな?」
と言うか、結局廊下で話してるんだよね…部屋にはシャルも居るし、ここまで来たらさすがに会うべきかなと思うけど…
「織斑教官の命日…貴女としては休暇を取る理由としては十分なのでしょう…私でも、お二人の絆が深いのは分かりましたから…」
「そう…」
自分以外の他人に目を向けられる様になった事…それは、間違い無くラウラ自身の努力に寄るものだ…私は細かい所まで教えられなかったし、千冬はその辺論外…まぁ、彼女が学園に来てすぐに色々と有ったけど…それでも彼女は、私と違って間違い無く人間だ…
「でも…何故今なのですか?貴女はずっと休暇など取っていないと…あ、いえ!それがいけない事だとは思わないんですが…」
「大丈夫。別に怒ってないから…寧ろ、そう思われても仕方無いしね…」
どうも彼女も気付いてしまいそうな感じ…とは言えここは廊下だし、他の人に聞かれてしまいそうだから…さっさと有耶無耶にしないといけないね…ラウラ、大事な話をするなら場所を選ぶ…そう言う配慮も覚えないとね…ま、後の事は…シャルがやってくれると信じよう…何だかんだ、二人の相性は良いみたいだしね…
「ま、寧ろ…忙しくてずっと取って無かったからね…良い機会かと思ってさ…」
まぁ、仕方無いとは言え…理事長にはかなり渋られた…正直、シュナイダーを使わなかったのを褒めて欲しいくらい…(ま、理事長がそう言う態度になるのも本当に仕方無い話では有るんだけど……いや、もしかしてもう私が戻らないのに気付いてた?…あの人なら有りそうだね…)
「そう、ですか…」
「さて、と…話ならシャルも交えてしようよ…と言うか、そろそろ私も時間無くなって来たし…」
「っ!申し訳「いや、だから別に怒ってないって」しかし!」
これは治さないと軍でも苦労するだろうなぁ…今でこそ、当時と違ってそれなりの地位に居るみたいだけど…
「前にも言ったけど、少なくとも私相手ならそんなに固くならなくて良いから……この学園では他の生徒相手でもそうだね…」
「……」
「この学園に居るのは…良くも悪くも普通の家庭で生まれた、本当に普通の子が多いから…まぁ、確かにラウラはここに居る大多数とは相容れないかもね…」
とは言え、いくら学生向けと言っても募集要項はもう少しキツくして欲しいもの…何かもう、私ですら目に余る生徒も結構入って来るからね…ここは学校と言うより、ほとんど養成所のそれだから…生徒の方も最低限、もう少し覚悟決めてから来て欲しいと思う…正直私も、元々やる気の無い人を一人前にしろって言われても無理だからねぇ(千冬は出来たかも知れないけど)才能の有無は関係無く、それさえ有るなら私はいくらでも手を貸しただろう…でも、そもそも向上心が低いとかじゃなくて欠けている人をどうにかするのは私も本当に無理なのだ…ま、今年もそろそろ淘汰されて来る頃か…ちなみに割と、ここ辞めて一般高に入る子は多い…もちろん、普通の高校の方が向いている人も何人か居る…でも正直、何処行っても無理じゃない?としか言い様が無い人が結構居るのも確か……ハァ…ま、これは完全に余談で…今は関係無いけど。
「それでも…今のラウラにとって、成長を促してくれる人が絶対に居る筈だよ。」
ラウラはまだまだ、不安な所が有る(まぁ、ある意味もっと不安な姉弟子が居るけど…)それでも、彼女に必要なのはもう…私からの教えでは無く、人との出会いだと思ってる…これから先、出会いが彼女を成長させてくれるだろう…クラスではマスコット扱いにも、頼りにもされているみたいだから…誰も彼女を拒絶する事は無いだろう…
「はい!」
「うん、良い返事…じゃ、部屋に戻ろうか?」
その後三人でした話は特にとても盛り上がるとか無く(成り行きで色々手は貸したけど、シャルにとっても私は結局単なる先生だろうし…当たり前と言えば当たり前)
そして、漸く…私は部屋に戻って来た…
「ハァ…結局出港時刻ギリギリだよ…ま、用意は終わってるから良いけどね…」
昨夜の内に部屋の片付けも済んだ(片付けないといけないほど、ほとんど物も無いけど…)辞表と遺書は部屋の戸棚の中…まぁ、予定通り行けば…私の死体が見付かった後、この部屋が調べられて…その時にこの二通も見付かる事になるだろう…さて、後は…
「えっと…忘れ物は無し…もう出られるね…じゃ、行こっか…シュナイダー。」
『…考え直す気は無いのですか?』
「うん、無理かなぁ…このままでどうにかなるなら良いけど…どうも、そうも言ってられなさそうだし…」
余程親しい人でないと分からないくらい自分を偽り、演じる…言葉にするとただそれだけ…でも、私には結構キツイみたい…実際最近、結構集中力が切れる事が多い様に思う…このままだと、教師としての仕事は元より…日常生活にも影響が出かねない…その時、皆に迷惑を掛けるのは不本意だし…何より、"私の本性"を知られるのが一番嫌だ。
「私はもう止まる気は無い…ま、それでも…力ずくで止めようとする人でも出て来たら考えるけど…」
今の所、ハッキリ私の目的に気付いたと言えるのは刀奈一人…そして彼女は多分、私とは戦わない。
「一夏が気付かないのは正直意外だったなぁ…」
多分、改めて考えると気付いて無い筈…
『気付いて欲しかったのですか?』
「まさか。結局そうならない方が楽だからね…」
それでも、そう言った瞬間…胸の奥の何処かで微かな痛みが走った…感情の無い私には、当然罪悪感なんて存在しない…だから、この痛みはきっと気の所為。
「!…と、急がないと……あ、そうだ…」
部屋を出ようとした所で私は振り向いた。
「今までお世話になりました…」
この部屋は…最早第二の自宅と行って良いレベルで時間を過ごした…まぁ、一夏を引き取った時私は織斑家に移って…元のアパートは引き払ったし、実家にももう随分帰ってない…だからもう、ここが第二とかじゃなくて本宅と言っても過言じゃないかな。
「さて、行こうかな…」
自殺する為に行くんだから、明るく言うのは可笑しいのかも知れない…でも、私の声は弾んでいた…それはいつもの演技なのか、あるいは芽生えた感情に寄る本心からなのか…私には、それさえも分からなかった…
「おい…」
「何?」
「今までで最長どころか、これもう短編の長さじゃないだろ…こんなの誰が読むんだ?」
「作者的にはこれでも切った方だって…下手したらもっと長かったみたい…」
「そもそも本来なら、連載すべき話を一話で終わらせようとしてるから当然と言えば当然か…」
「一応、私が学園に勤めてから起きた事件とかで私の取った行動に付いてとかはかなりぼかされてるし…そこら辺ちゃんと書いてくれってリクエストが有るならやるかもとかって…そもそも、元は私が死ぬ所までやるつもりですら有ったみたい…」
「……まぁ、書かないのが正解かもな…作者の事だから、どうせハッピーエンドとかじゃないんだろう?」
「具体的に言うと…私に付いて確信には至れなくても拭えない違和感を感じていた一夏君、箒、鈴…それからラウラ…休日とは言え、元々特別予定が無かった四人は食堂で出会い…自然と私の話になり、四人で話せば話す程疑念は深くなり…食事すら手を付けられないでいる時…生徒の中で唯一気付くことの出来た刀奈が四人に接触して来て…とまぁ、そんな感じ…」
「……で、現場に辿り着いた時にはもう手遅れって寸法か?」
「そうだね…ま、どうせ本編で書かなかった訳だし…どう言う死に様とかはここに書かない方が良いでしょ?」
「そうだな……そんなに酷いのか?」
「ほとんど炭化してしまった、本来の私よりは遥かにマシな死に方かなぁ…」
「淡々と言うな…結局、お前の話なんだぞ?」
「ここの千冬にはもうバレちゃったし、言うけど…だから、そう言うの私は分からないんだって本当に…」
「…チラホラ、お前が感情が芽生えてそうな描写は…」
「まぁ、ね…奇跡は確かに起きてたって話だよ…でも、それが完全にモノになるより私自身が壊れるのが先だから…だから、醜態を晒すくらいならと…私が死ぬのは、例えその事実に気付いていたとしても避けられなかった…何よりもし、千冬が居たなら真っ先に私の変化に気付いて…当然私の本質に付いて話す羽目になっただろうし…その上で無かった筈のモノが芽生えたと言う事になれば本当に喜んでくれただろうねぇ……ま、正直結果は同じだった気もするけど。」
「…同じじゃないだろ?」
「え?」
「私が…お前を死なせる訳が無いからな…」
「ま、そうだよねぇ…」
「……ところで、一つ良いか?」
「何…と言うか、その様子だとそれが本題だね…で、何を聞きたいの?」
「私が居ないからって、身体を安売りするのはどうなんだ?」
「っ…いや言い方!その辺は、あくまで鈴や刀奈が安心するならと思っただけで!」
「…私的には、一夏以外に触らせてるのは気に食わん。」
「いや十秋は!?彼女も相当アレだけど!?」
「…アレは、中身はお前かも知れないがあくまで織斑十秋で…結局は別人だろう?」
「どんな理屈それ!?だからあの子も私だって…まぁ、彼女に関しては…正直、多くの私から間違い無く乖離しつつ有るけど…」
「!…そう言えばあいつ、普通に感情豊かに見えるのは気の所為か?」
「裏設定だけど…作者からは許可出てるから良いか…彼女は、実は自分の本来の姿を覚えてないの…朧気に覚えてる…演じてた、その姿を本来の自分だと思ってるの…幸か不幸か、そのせいか完全に"私の本性"が抑えられてるの…と言うか、痛みの有る無しに関わらず肉体が脆すぎて…仮に元に戻っても、そこの違和感のせいでもう色々滅茶苦茶になるのは目に見えてるからね…だから、本能的に記憶に蓋もしている状態なんだとか…」
「相も変わらず複雑だな…」
「前回も言った気がするけど…私と言うキャラクターは元々そう言う設定で作られているから、今更何だよねぇ…」
「ふむ…で、話を戻すが…」
「いや戻すの…?今この場で向こうの彼女とこの場に居る彼女はほとんど別人とか言っても無駄かなぁ…取り敢えず、一回ここ締めない?これ以上長くすると読んでる人発狂するかも…まぁ、こうやって書いても前書きや後書きなんて全スルーする人が大半だから意味無いかも知れないけどね…」
「単なる茶番じゃなく、説明含んでるから読んで貰わないと本当に意味が無い気がするがな…」
「重要な設定をこっちで語らせちゃう作者が悪い気もするけどね…ただ、このまま行くと本編書けてもいつこの辺の話出せるか分からないって話だから…それこそ仕方無いと言えば無いけど…ま、とにかく…もう締めようか。」
「そうだな……終わった後、ゆっくり話すか…そう言えば聞くのを忘れていた…お前、感情は無いと言う話だが、結局痛覚は有るのか?」
「…ま、聞きたくはなるよねぇ…結論から行くと普通に痛覚も…何なら快楽も感じてるよ…正確には…肉体に走る快楽の様なモノを感じてる、だけど…痛みと違って、それが"快楽"なのかどうか…結局、私にも分からないからね…」
「成程な…さて、締めるか。」
「……聞かれたから話したんだけど…真面目に聞いてた?」
「もちろん…さて…毎回作者的には正直目も当てられない内容らしいが、それでも読みたい奴はこれからも宜しく頼む…では、また会おう。」
「勝手に終わらせるし…」