親友の妹に転生しました   作:三和

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二人しか入らない割には妙に広いバスルーム(何気に、私が以前使ってたシャワー室と別に有ったみたい…)に束に案内されて着いたまでは良かったんだけど…

 

「……束、先ず質問…どのくらい、使ってないの?」

 

ドアを開けて奥へ進み、風呂場に繋がるドアを開けた瞬間…思わず絶句…正直、かなり汚い…床や壁は元より、湯船も水垢だらけだし…二人の物と思われる髪の毛も結構落ちてる…と言うか、最早散髪でもしたのかと思うくらいの量(二人は普通の床屋や美容院は利用出来無いだろうから、やってそうでは有るけど…)

 

「えっと…二週間くらい…?」

 

疑問形…

 

「…いや、質問してるのは私だから…そもそもここ管理して、生活してるのも貴女になるんだから…部外者の私に聞いて分かる訳無いでしょ?…ハァ…クロエは分かる?」

 

「…多分、三週間近いかと。」

 

「……束…この場で正座「何で!?」良いからさっさとする……ハァ…束、貴女はクロエの母親なんでしょ?家事が出来無いのは仕方無いけど、その分一緒に遊んだり勉強したり…親子の時間って結構大切なんだよ?…で、こう言うのもその一環…食事は毎日一緒に摂る様にするとか、お風呂に一緒に入るとか…せめて普段、それくらいはやらないと…」

 

まぁ、この場合…生活サイクルの大半を不規則な束に合わせようとするクロエにも問題は有ると思う…ただ、その辺聞いてみたら…食事とかはさすがに一人でも食べるけど(まぁ、いつも部屋に籠りきりだと言う束なら仮に数日抜いたくらいですぐに影響出るとは思えないけど…最低限とは言え…動いてるクロエなら食べてないと普通に何度も倒れてると思うけどね…)入浴のタイミングとかは完全に束に合わせてしまってるとか…まぁ、そもそも勝手に使って良いのかも分からなくてとクロエが言った瞬間に私は束の頭を引っ叩いた……っ…手が痛い…まぁ、普通に生活してたら意外と人の頭叩く瞬間って来ないものだよね…

 

「■■様!?」

 

クロエが驚いた声を上げてるけど、今は構ってられないかな…私は基本…"怒らない"(そもそも"怒れない"が正しいけど)でも、コレは本気で言わないといけない。

 

「痛っ…何す「何するのじゃない…親になった事も無い私が言うのもなんだけど…束、母親として大事な事…全然出来て無いじゃない」う…」

 

「クロエの感覚が…最早"娘"じゃなくて、完全に"お客さん"のソレになってるよ?そう言う話すらしてないの?」

 

「さすがにしたと、思うんだけど…」

 

「……クロエ?…っ…ごめん、別に貴女を責めてる訳じゃないの…ただ、質問に答えて欲しいだけなの…」

 

クロエに視線を向けると…私はどうやら、自分で思っているより怖い顔になっていたらしく…クロエが怯えているのが分かったので一旦落ち着く事にする…ふぅ…

 

「えっと…改めて聞くよ…?貴女は束とそう言う話ってした事は有る…?」

 

「?…すみません、言っている意味が良く…」

 

あ、そりゃそうか…クロエ自身は別に極端に知能が低いとかは無さそうだけど(と言うより寧ろ、実は私より頭は良さそうに思う…)それでも感覚派の束が、クロエに普通の学校で習う様な教育なんてしてる訳無いし…考え方とか、理解力が育ってないのか…う~ん…そうなると、多少小難しくはなるかも知れないけど…それでももっと、詳しく言わないと駄目だよね…

 

「ごめん…貴女の立場について、ね…篠ノ之束の娘と言う立場を貴女個人はどう思っているかは一旦別にして「え!?」…今は黙ってなさい、話進まないから……で、クロエ…貴女の内心はどうだとしても、今の貴女は…ただ普通に生きるだけでも、経済力の有る大人の保護者の存在が絶対必要…それは分かる?」

 

「はい…」

 

「…そして、貴女は今…篠ノ之束と言う女性の元で生活してる…で、その上で私は一つ聞きたいの…保護者の束に、貴女はどう振る舞う様に言われてる?」

 

「…その、私の自由にして良い…と。…ですが、私には"自由"と言う物がまだ良く分からなくて…■■様!?」

 

「痛ったぁ!?」

 

…うん、私は今…正座している束の後ろに居たんだけど…思わず束の腰辺りを蹴っ飛ばしたのはさすがに仕方無いと思う……私って、"怒れない"と思ってたんだけどねぇ…そうじゃなかったみたい…

 

「ちょっと■ちゃ「よいしょっと」…何で束さんのお腹の上に座るのかな?」

 

「…束、クロエとはもう結構長い付き合いなんだよね?」

 

「え…うっ、うん…そうだよ?」

 

「貴女が忙しいのは分かるし、どちらかと言えば…両親と上手く行かなかった貴女に普通の母親になれって言われても無理なのは分かるよ?それでも、貴女は貴女なりにクロエの事を愛してる…そう理解してたつもりだった……うん、分かってる…これが最早、貴女の所為だとも言い切れないのは…そもそも私が何か、言う権利が有る話じゃないのもね…」

 

「……」

 

「うん…それでも言わなきゃならないと思う……で、その前に…束、ちょっと…一回、本気で殴っても良いかな?」

 

握った拳を束の眼前に出す。

 

「ちょ…マジ…?」

 

「うん。貴女はもう正直、口で言っても理解してくれる気がしないから…」

 

と言うか、親としての心構えとかそう言う話なんて…元々口頭で言っても無駄な気もするけどね…

 

「その…さっきみたいにパーじゃ駄目…?」

 

ジャンケンの話はしてないんだけどね…ま、だったら…

 

拳を一度開き、今度は人差し指と中指だけを立て…束に向ける。

 

「…チョキの目潰しなら良いけど?」

 

「■ちゃんの指が、真っ直ぐ束さんの目に向いてるんだけど…もしかして、そのまま…?」

 

「この指を貴女の目に向かって突き出す……ただそれだけ、簡単でしょ?一瞬で終わるよ?」

 

「いや束さん失明しちゃうって!?「大丈夫♪貴女なら、ちょっと傷付くくらいで済むか再生するでしょ?」いやしないよ!?てか、そのまま行ったら虹彩傷付くから100%失明だって!」

 

「良いじゃない?要は、クロエとお揃いだよ?」

 

「っ…クーちゃんとお揃い…」

 

……いや、そこ悩む所じゃないでしょ…私もさすがに親友の両眼を潰すとか、やりたくないんだけど…と言うか、グーで殴られるの嫌なのにそこは良いとか…一生物なのにね…それだけ束が、クロエを愛している証拠なのかも知れないけど…

 

「■■様!お願いします!おやめください!」

 

「クロエ…」

 

「私が、いけないんです…束様を、責めないでください…」

 

「クーちゃん…」

 

……何か、私が悪い事してるみたいな気分になって来た…ま、でも…

 

「ふんっ!」

 

「ぶぎゃ!?」

 

「束様!?」

 

ここまで来て、私にやらないと言う選択肢は無い…取り敢えずクロエに気を取られてる隙に束の頬を思いっきりグーで殴る……今回も私にダメージは有るけど、引っ叩いた時よりマシでは有る…まぁ、十分に痛いけどね…結構痛かったらしく悶絶する束を後目に、私は立ち上がった。

 

「ふぅ…全く…取り敢えず、これで勘弁してあげる…私はこれから出来る範囲で掃除して来るから…束、クロエともう一回…ちゃんと話し合って。貴女がクロエを確かに娘として愛してるのは私にも分かる…でも、それは結局本人に伝わってないと意味が無いから…それとさ、研究に没頭するのも良いけどね…貴女にとってそれが仕事みたいなものなんだし…でも、貴女は普段クロエと同じ場所に居るの…子供が一人しか居ない一家でも、夫婦共働きで中々親子の時間取れない事も多い中…貴女は普段、クロエと一つ屋根の下にちゃんと居るの…せっかく側に居るんだから、これからはもう少し一緒に居る時間増やす事……出来る、束?」

 

「っ…うっ、うん…束さん頑張るよ…」

 

「クロエも…束は甘えても別に怒らないから…やりたい事や言いたい事が有るならちゃんとハッキリ言う事……分かった?」

 

「はい…分かりました…」

 

「…ハァ…で、お風呂用の洗剤は有るんだっけ?」

 

「えっと…こちらに…」

 

クロエが近くの棚らしきものを開ける(どう見ても壁だけど…良く見たら取っ手が付いてる…)

 

「どれどれ……あー…」

 

そもそも私一人で掃除しきれる広さじゃないし、汚れもその範疇じゃないけど…それ以前の問題…

 

「有るには有るみたいけど…うん、どう考えても足りないね「やっぱり、そうですか」…まぁ…この後荷物届く部屋行くし、買い物にも行くから…本格的に掃除するのは後で良いかな…」

 

取り敢えず、最低限だけはやらないと…コレ、本当に数日掛かるかもね…それに正直、束が"母親"として不安なのは今回改めて浮き彫りになったし…クロエの方も…私一人だと色々厳しいかなぁ…最悪、助っ人を頼む必要は有るかも…まぁ、あの人は束とクロエの事情伝えたらすぐにでも来るでしょ…忙しいだろうし、申し訳無いとは思うけど…仕方無いね…早速、メールしとこう……さて…さっさと服を脱いで、と…

 

「とにかく掃除して来るから…その間に、お互い言いたい事はちゃんと言うんだよ?「やっぱり掃除しないと駄目なの?」…このままでも入れない事は無いけどね…」

 

極端な話…水垢だけならすぐに健康被害が有るとか、そう言う事も無いので別に入れなくは無い…私も忙しくて掃除出来無かった時はそのままにして、シャワーだけ浴びる事は有る(休日に纏めて掃除するけど)ただ…

 

「じゃあ「例えばクロエが転けて、怪我しても良いって言うなら私もやらないけど?」…ごめん、お願いして良い?」

 

「うん、了解。」

 

それでも、万が一の事が有るからね…水垢が滑るのは本当だし…とにかく、床の水垢は最優先で擦り落とさないとならないし…当然髪の毛も不味い…

 

「その、手伝いを「良いから。貴女は束と待ってて」ですが…」

 

「下手すると…こう言う機会、あんまり無いかも知れないよ?」

 

"親子の時間"を増やす様に言った私に対しての束の返事は頑張る…まぁ、言った通りやってはくれるだろうとは思う。もちろん、私に言われたからって訳じゃなくて…束が、ちゃんとクロエの事を愛しているから…まぁ、その愛も…残念ながらクロエにはあんまり伝わってないのはいい加減束も分かっただろうし…とは言え、束は…昔からシリアスな話するのは苦手だから…深刻な話をしたいなら、多分チャンスはそう無いと思う…

 

「分かりました…」

 

「うん、不安だと思うけど頑張って……あ、脱いだ服はこの籠で大丈夫?」

 

まぁ、聞くまでも無いと思う…と言うか、良く良く見るとここの構造が完全に銭湯のソレなのは…束が日本人である故かと思わないでも無い(まぁ、この方が私も分かりやすいのは確かだけど)ま、なのでここも…完全に銭湯の脱衣所なのだ…と言う訳で、ここには棚と籠が有……いや、瓶の牛乳入ってる引き戸式の冷蔵庫はまだ良いとして…何で自販機有るかな…で、中身は瓶のコーラとか色々(ラインナップが正直古い様に感じるけど、一体何処から仕入れてるの?)まぁ、今は気にしてる場合じゃないけど。

 

「はい。」

 

「そう…あ、このブラシも使って良いよね?」

 

取り敢えず、風呂場へのドア横に立て掛けて有ったデッキブラシを手に取る…ふぅ…内装色々凝る前にやる事他に有るでしょうに…と言うか、ホントにどうやってここまで再現したのか聞きたくな……いや、絶対束の話長くなるからやめておこう。

 

「はい…すみません、お願いします…」

 

「ん、じゃあ行ってくるね…」

 

……とは言え、そうせざるを得ないと言っても…正直全裸で掃除と言うのは何かアレ…やる気が無いとは言わないけど、何か気合い入らないのも確か…ハァ…ま、今更文句言っても仕方無いんだけどさ…やると決めたのは私なんだしね…やれやれ…さっさと終わらせますか…

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