親友の妹に転生しました   作:三和

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「……」

 

携帯の呼び出し音が耳に届く……十回目の呼び出し音が終わったところで私は電話を切った。

 

「ふぅ……」

 

「束様、出ませんか…?」

 

「うん…多分、まだ母さんに…」

 

さて…どうやって帰れば良いんだろう…この分だと、どうせ母さんの携帯に掛けても出ないんだろうしなぁ…

 

「…では、私が転移処理します…」

 

「…はえ?そんな事出来るの?」

 

「ええ…私の"黒鍵"なら…まぁ、転移先のロケットの現座標が分かるのが条件では有りますが…」

 

「…今ロケットの飛んでる場所、分かるの?」

 

「多少のズレは有るかと思いますが…現在、私たちがここに来る前とほぼ同じ地点にステルス状態で静止してる筈ですから…」

 

クロエが眼前に自分の手を持って来て何やら動かし始める(空中ディスプレイだね…)…それにしてもオートパイロット、ステルス機能まではまだ私も分かる(と言うか、あんな怪しい飛行物体見付かったら最悪領空侵犯で撃ち落とされかねないし…)ただ…同じ地点で静止って、ホバリング飛行でもしてるの?アレ一応ロケットなんだよね?それって結構凄い事なんじゃ…今まで深く考えた事無かったけど、アレ色々機能ヤバいのかも…まぁ、束がとんでもないのはもういい加減分かり切ってるし、今更って感じもするけど…

 

「!…見付けました…荷物を持ってください、五秒後に転移開始しますので…」

 

「あ…うん…」

 

私は一旦地面に置いていた袋の持ち手を掴む……束の作った黒鍵が凄いのもそうなんだろうけど、いくら何でも早過ぎる…優秀だなぁ…束はクロエの将来とかはどう考えてるのか知らないけど、彼女なら選択肢は多そう…そう言う話も後々する事になるのかなぁ…仮に未来に対して明確にイメージ出来ていたとしても、そこに至るまで必要な物が何なのか…世間知らずの束がちゃんと把握してるとは正直思えないしね……まぁ、自分の後継者として育てるつもりとかならまた話は違って来るけど。

 

「…着きました。」

 

「え…あ、もう?」

 

考え事してる間にもう転移は済んでいたらしく、既にそこは外では無く…少し前に見た室内…以前も自宅に居た時束から突然転移させられた事は何度か有るし、今更とは言え…未だに慣れないんだよね……ま、さっさと頭を切り替えないとね…

 

「ふぅ…取り敢えず先に…クロエの部屋、案内してくれる?服置きに行きた…あ、それとも自分でやる?」

 

割と重い荷物なのは確かだけど、それでも…相手は同性とは言え、クロエも年頃の女の子…さすがに他人を自室に入れるのは抵抗が有るかも…

 

「…あ、いえ…案内しますので…出来れば、■■様にお願いします…」

 

…あ、そう言えばまた説明してない…

 

「えっと…クロエは私を部屋に入れるのは良いの…?」

 

「?…ええ、構いませんよ。」

 

……あ…これは、多分そう言う事自体が分からないって反応だ…んー…まぁ、クロエが良いって言うなら良いのか…

 

「そう…じゃあ、案内して貰える?」

 

「はい、こちらです…」

 

 

 

 

 

「…ここ?」

 

「ええ。」

 

一見、他の部屋と変わらないタイプの自動で開くドア…ただドアに…『クーちゃんのお部屋♪』…と、書かれたボードが付けられてるので…まぁ、間違え様が無いね……ん?

 

「クロエ?どうかした?何かソワソワしてる様に見えるけど…」

 

何やらクロエの様子が可笑しい…どうも落ち着きが無い様に見える…

 

「その…束様の事が気になって…」

 

「あー…」

 

母さんの事を信用してない訳じゃないんだろうね…ただ、クロエが束に懐いてるのは確か…仮に、まだ母親と言う存在が良く分からないとしてもそれは間違い無い筈だ…

 

「…どうしても束の様子が気になるなら、服を仕舞ったりするのは私がやっておこうか…何て「すみません…お願い出来ますか?」…え?本気?」

 

「はい。」

 

さすがに冗談のつもりだったんだけど…確かに私も元々何か、変な事しようとか…別に考えてないけどさ…まぁ、良く良く考えると今のクロエならまだその辺分からないだろうからそう言うのは自然だとは思う…何より、比較的付き合いの長くなってる私にすらまだ…必要以上に気を使ってるクロエがそう言ってしまう程、束の事が心配とも言えるのか…

 

「本当に良いの?」

 

「はい…申し訳有りませんが、お願いします…」

 

「…まぁ、クロエが良いなら私も良いけどね…」

 

ま、結局の所…それだけ信用されてると思えば気は楽か…この場合、私の方が逆に気を使い過ぎなのかもね…

 

「分かった…じゃあ、こっちでやっておくから束の様子見て来なよ……あ、ちょっと待って。」

 

「何でしょう?」

 

うん、すぐ行きたいのは分かる…とは言え、母さんも束に物理的に危害を加えるとかは有り得ないから(甘やかされ過ぎて蕩けてるかも知れないけど)別にそう慌てなくても良いんだけどね(それでも気になって仕方無いのも私は十分に分かってるつもりだけど…)

 

「呼び止めてごめん…でもほら…この部屋、要はカードキーが必要なんでしょ?先にカード貸してくれないと入れないから…」

 

気付いたのは今だけど、ドアの横にカードリーダー有るからコレも間違え様が無い…と言うか、ここに来る度に私が借りる部屋もこうだしね…

 

「すっ、すみません…!」

 

「あ、いや…別に謝らなくても良いんだけど…」

 

慌てて頭を下げるクロエを宥め、私はカードを受け取る…

 

「…ありがとう。じゃあ、後は私やっておくから…束の様子、一度見て来なよ。」

 

「はい!」

 

クロエの後ろ姿を見送りつつ…私はカードリーダーにカードを通す…

 

「ん…OK。さてさて…どんな感じかな…」

 

さすがに邪な気持ちは無いつもりだけど…それでもまぁ…クロエの部屋の中が気にならないと言えば嘘にはなる…あ、開いた。

 

「…女の子らしさは…一応、有るかな。」

 

部屋の中は見た感じ、まぁまぁ広い(廊下のドアとドアの間隔考えると少し広過ぎる様な……ま、今更だし深く考えるのはやめようか…)一応、私がここで借りてる部屋と…私の本来の自宅のどちらよりも広い…ただ…

 

「んー…それでも普通、子供…それも女の子の部屋ってこんな感じじゃないよねぇ…」

 

一般的に子供の部屋ってなると…狭いかも知れないけど例えばおもちゃやぬいぐるみ…絵本とかが有ったりと…それでも子供が楽しめる物で溢れてるのが普通じゃないかと思う…まぁ、ハッキリ聞いた事は無いけどクロエは一夏君よりさすがに歳上だろうし…その手の子供向けのおもちゃは既に卒業してる頃と考えたら、それが無いのはまだ分かるし…何より、私もそう言う物の良さが分かる感性は元々無かったからアレだけどさ…

 

「それにしたって、これはさすがにねぇ…」

 

現状見た感じ…例えば本棚に詰められてる本は…タイトル見る限り、大人の私でも内容理解出来るか怪しい専門書しか無い様に見えるし…ベッドはシーツも含めて全てが白の無地…そして、机の上には多分…スペックも結構高いんじゃないかと思われるノートパソコン…まぁ、ハード自体束謹製か…それともソフトのみがそうか…あるいは完全市販のヤツなのかとかは分からないし…そもそも、一度電源付けてみるとかしないと…私もハッキリした事は言えないけどね…

 

……とまぁ、他にも言いたい事は色々有るけど…結論を先に言えば、とてもここが子供の為の部屋とは思えなかった…

 

「と言うか…このとにかく実用性のみしか無い感じ…まんま、私の部屋を思い浮かべるね…」

 

尤も、クロエは私と違って…ちゃんと子供らしい感性は有る筈…その上でこの部屋の構成は…さすがにちょっと、頂けない。

 

「ハァ…部屋にもし、"コレ"が無かったから…私は多分、また貴女に怒ってたよ…束。」

 

机の上のノートパソコンの横とベッドの上に置かれた枕の隣…二箇所に有るデフォルメされた動物のぬいぐるみ(それぞれパンダとクマ)いくら束が親としてすべき事が分からなかったとしても…こう言う物すら無かったら…私、ちょっと抑えられた自信が無い…(ハッキリ自覚が無いとしても、ブチ切れちゃうのは容易に想像出来る)

 

「ま、改めて色々言わないといけないのは確定したけど…今はやめておこうかな。」

 

先ずは服を仕舞うのが優先……んー…取り敢えずクローゼットとタンス…一回両方開けてみよっか…クロエは自分で整理してそうだけど、さすがに一度見てみないと…何処に何が有るのか分からない…えっと…最初はタンスから行こうか。

 

「先ず一段目…これは、肌着かな。」

 

一段目に入ってるのはシャツやインナーなどの様…今回は外出用の服を買ってるからここじゃないね…

 

「…さて、二段目…下着か。」

 

二段目に入ってるのはブラやパンツなどの下着類…お風呂に入る時や、さっき見てしまった時も思ってたけど…やっぱり飾り気は無い。私も人の事言えないけど、もう少し可愛らしいデザインのヤツ着けても良いと思う…まぁ、この辺は一度クロエ連れて買いに行くのも良いかも…成長期なのを考えたら服以上にサイズの変動は有る筈だから…さすがに下着は本人居ないとちょっと厳しい……にしても、下着とかはタンスの一番下に入れる人が多い様に思うけど…まぁ、それはクロエの勝手かな…特に私が口出す話じゃない。

 

「さて…次の段…」

 

割と癖になってる自覚は有るけど…それでもさすがに…人の部屋に一人で居て、独り言言いながらこうしてどんどんタンス開けてると妙な気分になる…部屋の主の許可はちゃんと貰ってるわけだけど…それでも何か、悪い事してる様な…まぁ、私が気にし過ぎなだけなんだろうけど…ふぅ…さっさとやっちゃおうか…何か気が滅入って来るしね…

 

 

 

 

 

 

 

「ふぅ…」

 

取り敢えず買って来た服仕舞うのは終了…と言うかまさか…

 

「クロエも実用性重視なんだね…」

 

下着もそうだけど、思った以上に服の量が少ない…子供の内からこれはさすがにどうなの…?……いや、そうじゃないか…

 

「ハァ…束、もうちょっと考えようよ…」

 

まぁ、そもそも…現状クロエは母親の束が与えた服を着るしか無いんだから…結局、束が悪いのだ。

 

「!…そう言えば、クロエが戻って来ないね…」

 

あれから三十分程経過してるけど、今の所クロエが戻る様子は無し。とは言え…何故なのかは大体、予想が着く。

 

「母さん…ホント、頼むからちょっとは自重して…」

 

割といつもの事では有るけど…あの人、色々しょうがないよね…本当に。ま、いざって時は滅茶苦茶頼りになるんだけどね…

 

「ハァ…取り敢えず行こっか…」

 

正直面倒だけど仕方無い…最低でも、クロエの事は解放してくれないと買い物行けないから…今回はつい、余計な物を買ってしまった私が悪いとも言えるけど…それはそれとして、まだメインの買い物全然終わってないからね……あー…ハッキリ言って行きたくない…そろそろ、私まで捕まりそうだしね…ま、仕方無いんだけどさ…

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