親友の妹に転生しました   作:三和

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「束、起きて?」

 

「束様、起きてください…」

 

「んー…すー…すー…」

 

現在、私たちは束を何とか起こそうとしてる所…いやでも…ホント、駄目だねコレ…予想はしてたけど、全然起きて来ない…

 

「参ったなぁ…」

 

「逆に、このまま寝かせておくのは駄目なんでしょうか…」

 

「束の事だから…まぁ、どうせ…既に三日は徹夜した後なんだろうと思うし、そうさせてあげたいけど…うん、今回それは無理だね…母さんのモットーは規則正しい生活をする事だから…例えどんなに忙しくても必ず、最低三時間は睡眠を取る事…そして、軽めでも良いから食事は三食ちゃんと食べる事…この二つに関しては、あの人絶対譲らないから…」

 

今回、母さんはもう…束を生徒と看做してる…つまり…

 

「結局この後の説教の時間がどんどん長くなるからねぇ…このままだと、束が辛い目に遭うだけなんだよ…」

 

「ですが、束様は…っ…」

 

そこでクロエが言葉を止める…まぁ、束は束なりに色々頑張ってるのは確かで…それは結局、自分の為では有るけど…巡り巡って、クロエの為でもあるのは確かだろうと思う…それでも、現状束が送る生活が人として…決して、正しいものでは無いのも彼女は分かってるんだろう…何とか反論したいけど、彼女としても擁護しきれないんだろうねぇ…そこで貴女がハッキリ言ってあげれば束ももう少し改めると思うけど…さすがにまだ、クロエには難しいかなぁ…

 

「!…とにかく、今は何とか起こさないと駄目…いい加減、母さんが非常手段に出かねないし…」

 

現在腕に嵌めてる時計を見れば…この部屋に来てから既に、十五分程経過してる…本当にそろそろ何とかしないと…滅茶苦茶、ヤバい…

 

「その…■▲様は、こう言う時…何をなされるんですか?」

 

「あー…えっと…」

 

クロエは母さんの事は結局名前呼びで行く事にするみたい…何かまた面倒臭い事になるかも……それはそうと、それを聞かれると…私としても、ちょっと歯切れは悪くなる…いやまぁ、本気で束が傷付く様な事はしないだろうけどね…ちなみに、子供の頃寝起きが悪かった私が良く母さんにやられた事が今ちょうど…頭に浮かんで来てたり…

 

「うん…その、何と言うかね…母さんのアレは…」

 

「…そんなに、酷い事を…?」

 

「あ、いや…束を物理的に傷付ける事は無いから安心して?…まぁ、精神的にはアレだけど「見せてあげましょうか?」…あ、来ちゃった…」

 

背後で聞こえる声…あー…間に合わなかった…

 

「■▲様、束様は「うん、束ちゃんが頑張ってるのは全て理解してるとは言い難いけど…それでも、私はちゃんと分かってるわ…でも、娘の貴女に毎回心配を掛けてる様じゃ…母親としては駄目なの」っ…」

 

「母さん…本当にクロエに見せるの…?アレ、絵面的にはちょっと…」

 

「見せないと変に誤解されるでしょ?私、これでも人を痛め付けるの…嫌いなのよ?」

 

……まぁ、嫌いなだけで…出来無い訳じゃない人では有ったり…一応、万が一の時の最終手段として色々会得はしてても…話し合いで済むならそれが一番良いと思ってる人でも有ったり……ま、幸い…今回使うのは"そう言う手段"じゃないだろうけど。

 

「どっちにしろ、さっき束ちゃんの身体に触れた時に分かったのよ…あちこち駄目になってるって…ちょうど治さないとって思ってた所だったのよ……あ、■■ちゃん?貴女も後でするからね?」

 

「っ!…ハァ…分かったよ…」

 

嫌々ながらに返事…まぁ、この人のアレは…何だかんだ結構効くのは確かだからねぇ…あ。

 

「母さん…先に説明しないと、クロエが怯えてるから…」

 

「あら?」

 

「やめてください…お願いします…」

 

クロエが完全に涙目(無意識なのか、瞼を開けてる…)それでも、母さんにそう言える辺り芯は強いね…そして、やっぱり優しい…んー…このままだと、色々良くないかなぁ…

 

「ハァ…母さん、やっぱりクロエ連れて一旦外に出るよ…クロエにはまだちょっと刺激が強いだろうし…こっちで説明しとくから。」

 

「そうねぇ…お願い出来る?」

 

「うん…ほら、クロエ…行こ?」

 

「ですが…」

 

「大丈夫…寧ろ、束の為でも有るから…ほら。」

 

「はい…」

 

まぁ、納得はしてないんだろうけど…それでも、私の言う事は聞いてくれるから本当に助かるよ…

 

「さて…久々ね。」

 

ドアが閉まる直前、腕捲りをする母さんの姿が見えて…つい、溜め息を吐いた…人に積極的に危害を加えるのは好きでは無いと本人は良く言ってるし、それも決して嘘では無いんだろうけど…多分あの人、多少S気は有る方なんじゃないかと思う事が多々有る…私にアレやってる時も割と恍惚とした表情浮かべる事有るしね…まぁ、どっちみち…当分クロエには見せない方が良いだろう…

 

 

 

 

 

 

 

 

「…整体師、ですか?」

 

「うん。実はあの人色々資格とか持ってるんだけど…その中の一つにね…」

 

整体師とは日常生活で歪んでしまった関節や骨格などを手や足による施術で矯正する人の事…職業としてはちゃんと認められてるけど、医者とかと違って所謂…難しい国家資格が要らない仕事だったりする…一応民間の資格は必要だけどね…特別取り柄が無いって人でも頑張れば取れるから、もしもの時に副業として出来る様に資格持ってる人も結構居るみたい…

 

「まぁ、だから母さん…今はそれで食べてる訳じゃないとは言え…実質、現在もプロとは言えるんだろうけど『~~~~!』あ…」

 

「束様!」

 

「あ、待って待って…大丈夫だから「ですが!」うん、ちゃんと説明するから…」

 

慌てて束の所へ向かおうとするクロエの手を掴む…いやぁ…ここからあの部屋まで結構距離有るんだけど…中々、悲鳴が響くねぇ…

 

「今言った通り、整体って言うのは身体の歪みを矯正する事なの…正常な状態から曲がってるのを正しい方向に直してるだけだから、特別痛みとかもほとんど無い筈なんだけど…直してる最中、今まで大人しかった細胞が老廃物を外に出そうと活発に動き始める事が有るの…それが原因で痛みを伴う事が有るんだよねぇ…」

 

私も人の事は言えないけど…束は今までそれなりに不規則な生活してた筈だから…身体に相当、悪い物が溜まってそうだよねぇ…と言うか、後で私もああなるのかと思ったら…さすがにちょっとなぁ…まぁ、自業自得と諦めるしかないけど…そもそも私は普段忙しくて整体院なんて行けないし、タダでプロの施術受けられると思ったら…文句言う方が贅沢って気がしないでも無い…

 

……いやまぁ、実はここまでの話はあくまで私もそう聞いてるってだけの事で…実際はアレ、結局痛いものは痛いけどね…そもそも子供の頃やられても相当だったから、本当に実は痛くないって言われてもなぁ…尤も、施術中の母さんの表情見てるとワザと必要以上に力入れてない?って思う事が何度か…アレで、昔は割と人気の整体師だったって母さんの友人から聞いた事も有るけどね…

 

「ま、だから…ここ乗り越えると…寧ろ、元気になる筈だから…」

 

『~~~~!』

 

「……本当ですか?」

 

「うん、それは…断言するよ。」

 

ちなみに束と箒に千冬、そして…一夏君も母さんがまだ日本に住んでた頃(現在は父さんと二人でフランス在住)は受けてた事が有ったり…束は『やられてる最中、痛くて仕方無いからもう嫌だよ!』…っていつも言ってたけど…千冬と一夏君からは『寧ろお金払って定期的に受けたい!』…って言われる程だったり(実は箒もこっち側)と言うか、千冬はまだしも…一夏君も大体いつも身体ガタガタだったのはねぇ…毎回終わった後、千冬が説教されてたっけ…ちなみに、母さんは当時四人から頑なにお金は取らなかった…ま、店ももうとっくに辞めてるし…貰う理由は無いって本人は言ってたけど……加えて言うと、兄さんはわざわざ定期的にフランスの二人が住んでる家まで行って…毎回やって貰ってるとか何とか…正直、私はさすがにそこまでしたくない…てか、忙しいし…フランスへの渡航費も馬鹿にならないからどっちにしろ無理。

 

と言うか…『母さんが施術料を全く受け取ってくれないんだが、何か良いアイデアは無いか?』…って相談を兄さんからそれこそ頻繁に受けるの、いい加減どうにかならないかと思う…あの人、本当に全然受け取らないからねぇ…(友人の人たちも真面目に困ってるとか…)ま、正直な所…してる最中本人は楽しそうだし…結局、それで良い様な気がするけどね…(向こうはやるだけで既に代価貰ってる様なものだし…)……あ。

 

「悲鳴…止んでるね。」

 

「束様、大丈夫でしょうか…」

 

「大丈夫だってば…多少、顔色は悪くなるかも知れないけど…身体自体は元気になってる筈だから…」

 

うん、多分…束って、昔から物理的痛みには滅法弱そうだから…正直何とも言えないけど…改めて考えるまでも無く、一応実家に住んでた学生時代より酷い生活してるみたいだし……ま、でも…そうだね…

 

「そんなに気になるなら、来た時に慰めてあげれば良いよ。」

 

「!…私が、ですか…?」

 

「そう…貴女が、してあげるの。」

 

「その…どうすれば…?」

 

「…そうだね…何を言ったら良いのか分からないなら、ただ抱き締めてあげれば良いかな。」

 

「…それだけで、良いんですか…?」

 

「そう、それだけで良いの。」

 

ま、結局…何か色々言うより、それが一番効果が高いとも思う。

 

「…あ、来た……うわ、凄い顔してる…」

 

今のは、やって来た"二人"に向けた感想だったり…いや、母さん何か物凄い笑顔だし…私の目から見てもあからさまにツヤツヤしてる様に見えるし…やっぱり絶対、S気有るよねぇ…対照的に束は顔色がもう、青通り越して白く…と言うか、ほとんどもう真っ白って感じ…その癖、何か…姿勢と歩き方が綺麗になってるのは分かるから、間違い無く…効いてはいるんだよね(まぁ、足取り自体は凄いゆっくりで…フラフラしてもいるんだけど…)

 

「あー…束、何か今抱き着きに行ったらそのまま倒れそうだね…束の前まで行ってから、優しく抱き締めてあげて?」

 

「本当にそれで良いんでしょうか…」

 

正直に言えば、私にはその辺良く分からないけど…それでも…

 

「貴女がやるから束には効果が有るの…ほら、行ってあげて?」

 

「えっと…はい、分かりました…」

 

束がクロエを本気で愛してるのは、私の目から見ても確かだから…結局、そうしてあげるのが一番束が元気になると思う……あ、母さんがこっち来た…っ…

 

「…あのさ、何で私に抱き着くのかな?」

 

「二人を見て、羨ましくなったかと思って…」

 

「うん、正直…色々台無しかな…」

 

そこは普通にあの二人を見守る所でしょうに……あ。

 

「あー…あのね?別に嫌って訳じゃないから…」

 

「……ホントに?」

 

「ホントホント…」

 

ふぅ…セーフ。と言うか、こんな事で一々泣かれるのはさすがにねぇ…ハァ…本当にこの人面倒臭い…間違い無く、私はもう一緒には暮らせないね…(良く我慢してたな、子供の頃の私…)

 

「うん…あくまでも私たちは見守るボジションだと思うから…そろそろ、離れて貰えると「もうちょっと…」いや、ご飯!冷めちゃうでしょ!?」

 

さっきすぐ出来るとか言ってたじゃん!

 

「大丈夫…電子レンジ有ったから。」

 

……前来た時も思ったけど、束本人は料理出来無いし…クロエもまだまだなのに、何で調理器具だけ色々充実してるんだろうねぇ…いやまぁ、そこは置いといてだ…温められるから良いって…一体いつまで私、このままなの?もう二人は離れたんだけど…ハァ……本当にこの人と居ると疲れるよ…

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