「更識刀奈よ。宜しくね、織斑十秋ちゃん♪」
……生活力皆無の姉のドイツ滞在の準備を手伝う為仕方無くドイツに残った一夏。そして私は姉さんの私物を送る為と家の様子を確認する為一足先に日本に戻っていた……ちなみに怪我そのものは日本の病院で治療可能だそうな。片腕はまだ使えないから不便だけど。
何度も「何かあったら困るから帰るのは俺の方が…」という一夏の心配を振り切ったのはもちろん千冬の暴走を警戒してである。……というか…高々数日だけだとしても間に一夏がいない状態で残されたら私の方が持たないよ……嬉しいけど。
そうして我が家に戻って来た私の目の前にいる不審者…
「十秋ちゃん酷いじゃない…こんな可愛いお姉さん捕まえて不審者だなんて…」
「ナチュラルに心読むの止めて下さい。不審者じゃないなら貴女は何なんですか?」
お姉さんと言っても本人は精々私の一つか二つ上程度の年齢に見える。…知り合いじゃないよね…?少なくとも私には覚えは無い。
「…あれ?貴女のお姉さんから聞いてない?私の家更識家に貴女のお姉さんが依頼して来たのよ?自分がドイツにしばらく滞在する事になったから貴女と弟さんの護衛をして欲しいって。」
「事情は分かりました。でもそれで何故貴女が…?」
護衛という位だから普通はもっと強そうな人が来るのでは?女性ならISが使えるんだろうけどさすがに私とそう歳の変わらない少女は無いと思う…
「信じられないのは無理無いけど私、結構強いのよ?それに…貴女としても多少歳の離れた女性ならまだしも、例えば一回りも歳の差のある男性に四六時中ついてこられたら落ち着かないんじゃない?」
「それはまあ…」
それは護衛だと分かってても心情的にかえって襲撃者以上に警戒するかもしれない。
「貴女自身武術の心得はあるみたいだけど……どっちみちその怪我じゃ戦えないでしょ?それに生活にも支障が出る。私はその日常生活のサポートも兼ねてここに来たの。」
「……」
微妙に納得行かないが彼女の言う事にも一理ある。…一夏が戻るまでしばらくある事だし…何より、男性の一夏には補助をお願い出来ない事も出てくる…
「…そうですか…なら…宜しく御願いします。」
「はい♪お願いされました♪」
「それじゃあ…家に入りましょうか?」
「ちょっと待って、もしかしてこの家でそのまま生活すると思ってる?」
「え?」
「さすがにこの家に私が通うのは難しいから貴女と弟さんは家で引き取る事になってるんだけど…それも聞いてない?」
「……は?何ですかそれ!?」
そんなの聞いてない。私は護衛が付くことしか聞いてない…!私は携帯を取り出すと姉さんに電話をかけた…