出荷される子牛の感覚を味わいながら私がやって来たのは純和風の大きな屋敷。
「わぁ…」
口を開けたまま思わず間抜け顔を晒してしまっただろう事実には目をつむって欲しい……いや、嘗ての私の家はお金持ちとは行ったけどそれ程大きな家に住んでた訳じゃないしこんな大きな屋敷に住んでる日本人の知り合いや親戚いなかったし。
「!…そうだ荷物!」
とまぁ急いで荷降ろしを手伝いに行ったら大人数の女性たちにやんわり断られてしまい断念…男の人だったら気にしたかもしれないけど運んでるのは女性だったしなぁ…ま、そもそも片手で運ぶのかって言われると、ね…出来無くは無いけど効率も悪くなるし…
「十秋ちゃんこっちこっち!」
「…あっ!はい!」
刀奈に呼ばれ向かう。彼女に手を引かれ…そう言えば何か自然に手を繋がれたんだけど…
「はい!ここが貴女の部屋よ!」
そう言って案内された部屋はやけに広かった…えっ!ここを私一人で!?
「広くないですか?」
「え?そうかな…そう言えば貴女お姉さんと弟さんと三人暮らしだったみたいだけど部屋はどう分けてたの?」
「姉と相部屋です。カーテンで仕切って隣が一夏の部屋で「あっ、うん。大体分かったわ」…そうですか。」
遠い目をした刀奈に言葉を遮られた…何か問題だろうか?一応部屋は仕切ってたし問題は無いと思うんだけど…というか私としては千冬と相部屋なのが一番の頭痛の種である。……抱き枕代わりにされていつもカチコチになりながら何とか寝てたから…あれ何とか睡眠取れるまで一年近くかかったなあ…
「取り敢えず十秋ちゃん、買い物行こう?」
「え?必要な物は大体持ってきましたけど?」
遠い目をしていた私に向けられた誘いにそう答える。…特に着いて早々買わなきゃいけないものは無いはずだけど…
「……十秋ちゃん用の化粧品や服を買いに行くの!」
……ああさっきの……あれ決定事項なんだ……
「でも服は大体揃ってますし第一お金は「貴女のお姉さんからちゃんと頂いてるわ」でも…」
「寧ろお姉さん凄く嘆いてたわよ…自分が不甲斐ないせいで妹にお洒落もさせてあげれず申し訳ないって。」
……千冬…私…別に気にしてないのに…というか別にお洒落に興味は…
「あっ!簪ちゃん!」
私が考え込んでる間に刀奈は部屋を出ると誰かを連れて来た。
「…何?お姉ちゃん?」
そこにいたのは気だるそうな顔をして眼鏡をかけた女の子…刀奈の妹さん?一瞬地味に見えたけど良く見れば刀奈に負けず劣らずの美少女さんだ。
「十秋ちゃん!この子は私の妹の簪ちゃん!簪ちゃん、今日からこの家に住むことになった織斑十秋ちゃんよ!」
「聞こえてたよお姉ちゃん…更識簪です。」
「織斑十秋です、宜しくね。」
姉に似ずダウナー系なのかなあ…でも姉の方は元気過ぎるしバランス取れて良いのかも。