「十秋?夕飯出来たって。起きれる?」
「ん…えっ!?もうそんな時間?」
気が付いたらベットの上…私はまた寝てしまったらしい…
「勝手に入っていいのか迷ったけど呼んでも返事が無かったから…」
「ごめん、簪。」
「良いよ、気にしないで。」
「……うん。」
「ところで…起き上がれる…?」
「…うん…それくらいなら……」
さすがに自分で横になる所まで行ったのだ。それくらい……あれ?
「……」
「手伝おうか?」
「……お願いします。」
「別にそんな凹まなくても…」
いやいや結構凹むよ…
「案内要るよね?」
「……お願いします…」
「だと思った。行こう?」
部屋の案内はまだされてない…というか…
「覚えられそう?」
「……正直、直ぐには…」
更識家…本当に広いな…
「大丈夫。言ってくれれば何時でも案内するから。」
……これはしばらく簪に頭上がらないかも…うぅ。取り敢えずこの腕が憎い。
「着いたわね、食べましょう。」
屋敷の広さに反比例する様に食事をする部屋はそれ程広くは無い。
「久しぶりに腕を奮ったわ。せっかく娘が増えたんですもの。少しは母親らしい事をしなくちゃね。」
普段はお手伝いさんがご飯を作るそうな。こういう辺り庶民との隔たりが…まあ世間一般の感性で見たら前世の私もお嬢様らしいけど…
「食べ過ぎた…」
「大丈夫十秋?」
「何とか…」
更識母の料理は絶品で普段は作らないというのが勿体無く思える程だった…さっき抑えようって思ったばかりなのについつい食べ過ぎてしまうくらい……
「そう言えば、ごめんね…うちのお母さんが…」
「あー…うん。別に良いよ、何か新鮮だったし…」
食事中聞きそびれた更識母の名前を聞いたのだが彼女は少し考えた末に「お母さんと呼んで?」笑顔に圧力かけて言ってきました…正直めちゃくちゃ怖くて震えながらも「お母さん…」と呼んだら圧が消えて更に笑顔が深くなりました。
更識母が本当に怖すぎる…怒らせないようにしないと…こうなるといずれこの家に来る一夏が心配だなぁ……
「取り敢えず寝るには早いし十秋は寝てたからあんまり眠くないでしょ?私の部屋寄ってく?」
「うん…そうしようかな……」
「何か…凄いね…」
「えと、変、かな?」
「ううん、そんな事無いよ。」
簪の部屋の棚には特撮系やヒーロー系アニメのDVDがズラリ…
「…ちょっと…引いてる?」
「そんな事無いよ、私も割と好きだし。」
前世では子供の頃はこういうのは普通に見てたし今世でも一夏と良く家で見ている。
「ホント!?じゃあ今から一緒に見ない!?」
「うん、良いよ。どれがオススメ?」
簪の迫力に圧倒されながら何とかそう答えた……今夜はもう眠れないかも…
……結局夜中を過ぎ怒った更識母が部屋に乗り込んで来るまで私たちはDVD鑑賞を続けたのだった…