「んじゃあ、行って来るわ。」
「行ってらっしゃい、一夏…」
「そんな顔すんなって。元気になったら十秋姉も通えるだろ?」
「…うん、そうだね…」
一夏たちは学校である…刀奈たちと学校は違うんだけど車は一緒である……一夏は公共交通機関を使うと言ったんだけど……まあ、護衛される人間が一人で歩いてたら問題だよね…
「さて、出る「ごめん、一夏君…ちょっと待って」刀奈さん?」
刀奈が一夏に声をかけて来た……かなり険しい顔をしてる…何かあったのかな…?
「ちょっと居間まで来て…十秋ちゃんも。」
「?…はい。」
私と一夏は居間に向かった…
「えっと、どういう事ですか…?」
「ごめんなさい。私たちのミスよ…」
テレビは織斑千冬の身内の誘拐事件の報道をしていた……いずれバレるとは思っていた。だから報道される事については問題無い…でも…
「何で誘拐されたのが一夏になってるんですか!?」
そう。報道内容は織斑一夏が誘拐されたという事になっている…誘拐されたのは私なのに…
「ドイツから日本のマスコミにリークされたのは確かよ…でも今の世論だと…」
女性の私が誘拐されただと叩きにくい…から…?
「成程。なら、俺は学校に行かない方が良いんですね…」
「ごめんなさい。」
「…じゃあ代わりに家の近くまで送ってください。」
「!…何言ってるの一夏!?」
織斑家の前は今報道陣が詰めかけている。そんな所に行ったら一夏は…!
「十秋姉に責任がいかないなら都合が良いです。世間には俺が悪いと思わせておけば「駄目に決まってるでしょ!」何故です?」
「私たちは貴方たちの護衛を貴方たちのお姉さんに頼まれたのよ?一夏君を危険に晒せるわけないじゃない…!」
「今の十秋姉をあの場に出す訳にいきませんし誰かが話をしなければ拗れる一方でしょう?」
「駄目よ!…とにかくしばらくはこの家にいてもらうわ!」
「引きこもっても何の解決にもなりません!」
「貴方の覚悟は分かったわ。いずれ貴方が動く時も来るでしょう…でも今は駄目!」
「一夏、何で一夏が行くの?誘拐されたのは私だよ?」
「俺のせいだから。あの時会場を出たのが俺なら、多分誘拐されたのは俺だった筈だ。」
「だから一夏が行くの?そんなの可笑しいよ……!」
私の目から涙が零れ落ちる…前世でもそうだった…一夏はとても優しかった……何でいつも彼はそうなんだろう…
「落ち着きなさい、一夏君…」
「お母さん…一夏を止めて下さい…」
「すみません。俺はどうしても「十秋ちゃんを見なさい。貴方は彼女を振り切って行けるの?」……俺は…」
「一夏、行っちゃやだよ…」
「ごめん…分かったよ、十秋姉…行かないから泣かないでくれよ…」
「一夏君、十秋ちゃんは私が部屋に連れていくから。」
「……お願いします。」
私は刀奈に連れられ部屋に戻る事に…一夏、本当に行かないよね……?
……一夏の性格を考えると勝手に出ていきかねない…刀奈に伝え「大丈夫よ十秋ちゃん」えっ?
「一夏君の性格はもう何となく分かってるから。安心して…大丈夫よ、この家は伊達に暗部を名乗って「お姉ちゃん!一夏が…!」嘘っ!?十秋ちゃんは部屋で待ってて!」
……一夏、やっぱり…
私は追いかける事も出来ず部屋に籠るしか無かった…