結局一夏は更識家の方に確保され戻って来ました…追跡して見つけたのではなく念の為織斑家へ先回りしていた人たちが見つけたそうです…何が恐ろしいって一夏は仮にもプロの方々を煙に巻き誰にも危害を加えることなく逃げ出し、追跡を振り切って家に辿り着いたということです…
……前世に比べて落ち着いてるなと思ってはいたけどそんなレベルじゃありません。……もしかしたら中学生にして身体能力だけなら千冬を超えているのかもしれません…というかもしかしたら頭も相当良いのかも…
「一夏君!貴方何をしたか分かってるの!?」
さて、捕まり戻って来た一夏はご立腹の刀奈のお説教を聞いてる所です。……正座でもう三時間…
「もちろん良く分かってます「本当に分かっているの!?」軽率でした…すみませんでした…」
……あれは多分一応分かってるけど正直理解したくもないって感じかな…刀奈にもそれは分かっているらしくお説教は続きます…
「いいえ、貴方は分かってないわ。見てみなさい、十秋ちゃん、あれからも泣き通しだったのよ!?」
ちょ、刀奈!?私を引き合いに出さないで!?…私の頭は都合のいい事を忘れるように出来てるのか前世の歳は覚えてないけど単純に考えれば今世の歳と合わせて三十路は近かった筈だから年甲斐もなく取り乱したのを後悔してるんだよ!?
……あ~!一夏もそんな目で見ないで恥ずかしいから!?
「お姉ちゃん、十秋の事を言うのはそれくらいに…恥ずかしさで落ち込んでる。」
止めて簪!?言われると余計に恥ずかしいから!?
「悪ぃ、十秋姉…心配かけて…」
心底から申し訳なさそうな顔を向ける一夏…初めから別に怒ってはいない…もちろん心配はしたけど…
「良いよ、もう…」
というか部屋に戻りたい…さすがに泣き腫らした顔を晒すのは私もキツイ…
「十秋、行こう?」
助け舟を出してくれる簪…そう言えば分かるんだったね…何でもかんでもバレるのは困るけど言わなくても察してくれるのはこういう時は有難いかも…
「大丈夫、十秋…?」
「うん、大丈夫だよ…」
だから一人にして貰えると…
「……駄目。今の十秋を一人にしたくない。」
……うん…何でも察してくれるのはやっぱり不便だね…正直もう一回泣きそうなんで本気で一人にして貰えると…
「大丈夫。今ここには私しかいないから…」
人前でこれ以上泣きたくないんだけど…しかも歳下の前で…というか…何で前世についての関連事項を考えてる時は都合良くバレないんだろう…
「どうしても駄目なら私が部屋から出てようか?」
ここ、簪の部屋だよ?…あっ、もう限界…
「十秋…」
私は簪の温もりに包まれながらまた泣き始めました…これ、もう簪に頭上がらないよ…歳上の威厳が…