「参ったな…こうも綺麗に負けるとは…」
私たちの方にやって来てて、面を取った箒がそう零す…
「…えっとさ、箒には悪いんだけど一つ良い?」
「何だ?」
「…箒に試合としての意識がそもそも無いなら…もう今日は…いや、当分は一夏と戦うのは止めた方が良いよ。一夏、まだ本気じゃないし…」
「やはりそうか…ちなみにどれくらい差があるんだ?」
「私の主観で良いなら…正直大人と子供以上の差があるかな…そもそも私ですら修得しているのは試合で使える様な技術じゃないし…」
「そんなにか…」
「ISでやれって言うなら話は違うけど、一夏は竹刀ですら相手を殺す方法知ってるからね…」
「そう、か…」
諦めるのかと思った箒は私たちの前で面を被った。
「箒!?」
「悪いな十秋…これは私のワガママで…意地なんだ…勝てなくても良いから…せめて、全力の一夏とぶつかってみたいんだ…」
「…仕方の無い奴だ…やるからには悔いの無い様にやれ、私が許可する。」
「姉さん!?」
「ここで止めてもこのバカは納得せんさ…なら好きな様にやらせる…大丈夫だ、今の一夏は加減は分かってる様だし大きな怪我は負わせんだろう…」
「あのさ千冬姉…変なプレッシャーかけるの止めてくんない?」
そこで正座の体勢で目を閉じていた一夏がそう声をかけてくる…
「言っておくが…大事にして私の仕事を増やしたらタダじゃ置かんぞ。」
「勘弁してくれよ…」
「いや…今度はちゃんと口で言うけど…本当に良いのか?」
「ああ、私は本気のお前と戦ってみたい。」
「あのさ…正直怪我しても責任取れないんだけど…」
「いや一夏、そこは何とか取らないと…」
「どうやって?」
「……」
この辺、正直ワザとやってるのかってくらい一夏は鈍いんだよね…疎いって事はさすがに無いと思うんだけど…
「十秋…良いんだ。」
箒にそう言われ私は口を閉じる…そうだね、仮にそうなっても二人の問題だから私が口出す話じゃないね…
「え~っと千冬姉?こっからはルール無しだけど…本当に良いのか?」
「何言ってる…篠ノ之は始めからそのつもりだし、お前も受ける気満々だっただろうが。」
「いやそうだけどさ…ハァ…まぁ良いや…じゃ、始めるか…箒?」
「ああ、宜しく頼む…」
一応防具はちゃんと着けて向かい合う二人…正直防具がどの程度意味があるのか疑問…あ、動いた…!
「ハァァァァァ…!」
「ウォォォォ…!」
そのまま二人が交差して…っ!
「姉さん…見えた?」
「何とかな…取り敢えず篠ノ之は医務室に連れて行くか…」
交差して二人の位置が入れ替わった直後に、箒はその場に崩れ落ちた…一夏は箒の肘と膝…防具の無い部分に交差する一瞬で打撃を当て、箒の一撃は小手で受け止めていた…
「いや…俺が運ぶよ。」
一夏がそう言って箒から防具を外して、箒を背負って道場から出て行った…