相変わらず一般科目にしては難しい内容の授業に辟易しつつも何とかこなして、私自身は初になるISの実習へ……ちなみに、今日の授業はこのISの実習が終わればそれで終了になる。
それはそうと、私は初回に出られなかったからどうなる事かと思ったけど…元々場所をきちんと提供されて、学園に入る前からずっと訓練を積んでいたセシリアの様な代表候補生と違い…ほとんどの生徒は試験の時に初めてISに触れ、学園に入ってからも授業の他、放課後は自由に訓練施設が使えると建前上はなっているけど…
実際には学園の生徒全員が使える程の広さは無い上、基本的に使用権は専用機持ちに優先され一般生徒は予約待ちが出る程で、使えたとしても年に何回か有れば良い程で…下手すると一度も使えないまま一年が経過したり、何ならそのまま退学や卒業も有り得てしまう…
……なのでその格差を考慮して、少しでも生徒間の習熟度を揃える為に…学園に入ってしばらくはIS実習時は基本的に全員纏って、歩くまでだけをやるんだそう…
千冬がそう説明するのを聞いて、ほっとしたのも束の間…
『おい、十秋…』
『ん?何?』
いつの間にか私の近くに居た箒が小声で声を掛けて来る。
『……安心するのはまだ早いぞ。』
『え…「では、専用機持ちはこっちへ来い…他生徒は出席番号順にそいつらの前に並べ」……は?」
思わず普通に困惑の声を出してしまった……え?専用機持ちって事は、私もって事?
「とまぁ、そう言う事だ…頑張れよ?」
「え…どう言う「私たち、専用機持ちたちは一般生徒の補助をする必要が有るのですわ」は!?いや、本当にどう言う事!?」
元々訓練積んでるセシリアならまだしも…私と一夏は一般生徒とそんなに変わらないと思うんだけど!?……いや、そりゃ…前世での知識が有る私がそんな風に言うのは変だとは思うけど…
「大丈夫だって。俺らが動くのって多少説明するのと…ちょっとしたアクシデントが有った時くらいだから。」
「いや、アクシデントって「早く来い」ハァ…」
元はと言えば、最初の授業休んだ私が悪いよね…
とは言え、クラスのほぼ全員が一夏の前に並ぼうとして『何をやっている!バラけて並べ!』と千冬が怒鳴った以外は二回目と言う事も有ってか特別、問題は起こらず(後から聞いたら、初回も同じ事が有って千冬が怒ったらしい…)順調に列も消化されて何度か列の入れ替えも起き…そろそろ授業も終わりかな、と…私が呑気に思っていた所で問題が起きる…
「あ…」
「ん?…あー…」
思わずちょうど今、ISを纏おうとしていた静寐と一緒に困惑の声を出す…私たちの様に待機状態だとアクセサリーにしている専用機と違って、学園に有る貸し出し用のISは装着時も解除する時も形はそのまま…解除するとそのまま地面に普通に降り立つ事が出来るので前の人が忘れちゃったんだろうけど…ISの頭身は元々かなり高いので、解除する時は一度屈んでから解除してくれないと次の人は纏う事が出来無くなるのだ。むぅ…これは、ちゃんと見てなかった私が悪いね…
「う~ん…仕方無いか。静寐、ちょっと良いかな?」
「え…わっ…とっ、十秋?」
「よいしょ…わわ…ちょっと静寐、危ないから暴れないで…」
私は静寐の後ろで屈んで、背中と膝裏に手を置いて抱き上げる……思いの外驚いたのか、腕の中で静寐が少し手足をバタバタさせる。一応私はISの補助有りで持ち上げてるんだけど…そんなに不安?置いてあるISまでの距離も別にそんなに遠くないのに…大人しくなったと思ったら今度は私の首にがっちり腕を回して来るし…
「しっ、静寐?」
「……」
ISの前に着いたのに、彼女は黙って私の顔を見詰めるばかりで私の首に回した腕を離そうとしない……そっ、そんなに怖い…?さすがにIS纏ってて、落とす事は無いと思うんだけど…
……まぁ、心做しか…私を見ている静寐の頬が段々淡く色付いて来てるのは気の所為だと思いたい……そう考えてる内に、チャイムが鳴ってしまう…
チャイムの音で漸く我に返ったのか、静寐が私の首から腕を外してくれたので…授業も終わった事だし静寐をそのまま地面に下ろしたんだけど…
「あー…あのな、十秋姉?」
「え、何?」
一夏が私の所まで来て、声を掛けて来る…
「……そのままIS片付けると他のクラスの奴が使う時に困るから…取り敢えずこの場は、一旦鷹月さんに着けさせるしか無いぞ?」
まぁ確かに、この状況で他の人にやらせるのも変だもんね…
仕方無く静寐をもう一度持ち上げる私…今度は静寐が暴れる事も無く、普通にISを身に付けさせる事が出来た…
……ISを片付けてる最中、静寐からの視線をずっと感じていたのは…また私の気の所為だったと思う事にする。いや、見られていたのは間違い無いんだけどね…用が有るんだったら話し掛けてくれれば良いのに…ただ見詰められたって私は…どうする事も出来無いし…