学園を出る前に話が有ると言われ、千冬に連れられ寮長室へ……と言うか、私の知る千冬って結構時間にルーズな印象有るんだけど…門限の有る学園の寮の寮長って、正直似合わないよね…
中に入っていきなり絶句する…
「……姉さんって、昔から整理整頓下手だよね…」
「すまんな…今片付け「廊下で待ってて、私がやるから」いや、しかしだな…」
「良いから、待ってて。」
千冬を強引に追い出し、改めて部屋の惨状に目をやる……千冬の言う片付けって、大抵はスペースを作る為に無理矢理退ける事なんだよね…と言うか、どう見てもコレ本当の意味で足の踏み場が無いから、移動出来無い様な…
先ず、朝脱ぎ着したと思われる服がそのまま床に…と言うか、すぐ側にビールの空き缶転がってるし何なら紙く……アレ?
「これ、書類じゃない?」
手書き文が用紙の下隅に書かれてるけど、上に整然と印字された文章が…
「折れ曲がってるけど、それでもコレ…捨てて良いのかも判断付かないね…」
取り敢えず保留、と。何処かにお…けないね、テーブルの上も空き缶とコンビニ弁当やカップ麺の空き容器が占領してる……
「何処から手を付ければ…」
千冬を追い出してなんだけど、ここまでの規模だと私一人じゃ厳しいなぁ…まぁ、何とかやるしかないか……取り敢えず、刀奈に部屋に戻るの遅くなりそうとはメールしておこう…
「お~…綺麗になったな…」
「お願いだから、一週間くらいはもたせてね?」
この部屋、そんなに広い訳じゃないのに…普通に片付けるだけで一時間近く掛かるなんて…
「ほら、ゴミ分別しておいたから自分で捨ててね?」
「ああ、助かった…」
……布団も埋もれて、床は少し歩くのがやっとのスペースしか無いのに何処で寝てたの、とか…片付けてる最中何度かゴキブリの姿見たけど千冬は苦手じゃなかったっけ、とか(私も好きでは無いけど仕留めるのに躊躇いはほとんど無い)
……色々聞きたくなった事は有るけど敢えて聞かない事にした…と言うか、本当に大変だった…ゴキブリに続いて出て来たワラジムシはさすがに私も触れない程苦手だけど、それ以上に千冬の下着がポンポンゴミの山から出て来るのは別の意味で心臓に悪い…(と言うか、この状況で興奮出来る私も相当アレだよね…)
「今洗濯機回してるから、乾いたら後でタンスに仕舞うのもやるよ。」
寮の洗濯機は乾燥機能付きだから便利で良いよね。
「ああ、本当に助かる…」
それにしても…もしかして部屋片付けさせる為に私呼んだ?確かに弟とは言え、この時間に教師の部屋に異性の生徒居るの問題でしか無いから一夏は呼べないの分からないでもないけど……ハァ、考えても仕方無いか…
「えっと、話があるんだっけ?」
「ああ、そう「先、ご飯作るよ…何か冷蔵庫に有る?」あー…あんまり大した物は無いな…」
冷蔵庫を開けてみるが…キャベツに封の開いた丸い六等分チーズが……あ、コレ期限切れてる…まぁ、チーズって元々発酵食品だし、数日程度なら食べれなくは無いか……いや、上の段これ以外はビールの缶しか入ってないよ。下は…あ、冷凍餃子と冷凍ピザ有る。
……大したどころか、全然入ってない…いや、まぁ私にはちょっと物足りないくらいで十分おかずにはなるけど…と言うか、何でキャベツ?
「姉さん、何でキャベツなんて買ったの?」
「ツマミになるかと思ってな。」
「……一切手付けた形跡無いんだけど、いつ買ったの?」
「一週間前だが?」
キャベツ1玉が丸々入ってる……一週間前、か。冷凍餃子や、ピザの方開けても良いけど…コレも使わないとそのまま腐っちゃいそうだね…他に全然食材無いし、アレにしちゃおうか。幸い、調味料も少しは有るみたいだし。
水洗いしたキャベツを手でちぎって未使用のゴミ袋に放り込んで行く…全部使うのもったいない気もするけど、千冬の場合結局使わずに腐らせそう…と言うか、ここ本来食堂有るからね…
袋にごま油、塩、胡椒…う~ん…最低限の調味料しか無いなぁ…後、唐辛子も少し入れようか…
袋を上下に振ったり、揉んだりしながら調味料を馴染ませて行く……うん、こんなもんかな…さて、皿に盛りつけようか……全部は入らないね、買ったの千冬だし余った分は自分で消費して貰おう。
さて…次は餃子、と。
「お、美味そうだな。」
「ごめんね、一夏と違ってあんまり凝った物出来無いけど…」
まぁ、そもそも食材揃わないと一夏でも厳しいだろうけど…
「いや、十分だ。少なくともお前が作ってくれただけでな。」
「そう?なら、良かった。」
ふぅ…お腹減った……いや、好きな人と同じ空間に居るのに出て来る感想がコレって…まぁ、先ず食欲が先に来るのが私だし仕方無いか…それにしても、突然私呼んで何の話が有るんだか…まさか、本当に片付けの為に呼んだって言わないよね?……何か有りそうで困る…それなら、やっぱり一夏も呼んでくれたら楽だったのに…