親友の妹に転生しました   作:三和

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実を言うと私も一夏も、千冬とまともに顔を合わせたのは三年振りだったりする…と言うのも、私と一夏は三年前…私が誘拐されてからはそのまま更識家に匿われ…千冬も一年だけドイツ軍に出向、の筈が実は向こうが散々ごねたらしく…何だかんだほぼ二年間ドイツ軍で教官をしていた…

 

さすがにこの状況を見かねた束がドイツの方に手を回したらしく、千冬は何とか日本に帰って来る事が出来たそう…

 

で、千冬は私を助ける為に代表を降りてしまっている…変に大々的に報じられてしまったから、普通にバイト生活に戻る事も出来ず…結果、マスコミをシャットアウト出来て一応経験の活かせるIS学園に教師として就職したは良いけれど、就いて最初の一年間からもう忙し過ぎて千冬は家に帰れず…この頃には織斑家と更識家を普通に行き来出来るくらいには状況も安定していた私たちとも当然会う事は無く…

 

……とまぁ、久々の再会と言って差し支え無いんだけど…こうして会えたからと言って、実は積もる話なんて物はそんなに無かったりもする…いや、だって千冬と定期的に連絡は取れてたし(まぁ、IS学園の教師になってたのは聞いた覚えが無いんだけどさ…さっきの千冬の事情も、ドイツに二年居た事以外は改めて話されるまで少なくとも私は知らなかったし…)そもそも更識家での事に関しては残念ながら千冬にも言えない事は色々有る…(更識家側の事情)

 

なので、二人きりで話す機会を得た所で…改めて話す様な内容は特に無いんだよね…

 

最も…さすがに飲み物も無し、と言うのは…と、気にした千冬が自販機から購入して来たペットボトルのお茶を飲みながら千冬の顔を見てるだけで私の場合は妄想が色々捗ってしまうので、今みたいに話題が途切れて沈黙する時間も私は普通に楽しかったりする。

 

…ただ、千冬の様子を見る限り…明らかに成長した私とどう接すれば良いか悩んでるのが散々鈍いと言われた私でもさすがに分かる……いや、まぁ…小学生の頃とは言え、私の取り合いで争いが起きてたのに全く気付いて無かったんだからちょっと鈍くないとは言えないよねぇ…(と言うか、一昨日はアレだけ距離感バグってたのに何で今更そこで悩むの?と、千冬には言いたい…)

 

一昨日と違い、普通にテーブル挟んで向かい合わせになっているのが…仮にどれだけ仲の良い姉妹でも適切な距離だろう…妹の方が小さいならまだしも、私…もう高校生だしね…そもそも千冬も既に成人済み…

 

とは言え、離れられるとこう…ちょっと物足りなさを感じてしまう辺り私もどうなのか、と思う…かと言って今…私から距離を詰めよう物なら、千冬はこれから先私に対しての遠慮は全く無くなるんだろうな、と言うのは分かる…今ならほぼ毎日の様に顔を合わせるのにあそこまでなるほど追い詰められてる辺り…何だかんだ私と一夏…と言うより、今世では千冬の妹の…織斑十秋としての私が千冬の精神安定剤になってる部分は有るんだろうとも思う。

 

……さすがに成人済みの姉と高校生の妹の距離感として健全では無い上、そんな事になったら私が耐えられないだろうな、とは…本当に思う…いや、受け入れろって言われても…さすがに手を出せる訳じゃないし、私からしたら完全に生殺しだから…ハァ…何と言うか、難しいよね…大体において、一回タガが外れると距離感が完全にバグり…人目もはばからず妹の私にベッタベタになるだろう千冬と…大好き(もちろん恋愛的に)なのに千冬からの拒絶と、世間体を気にして距離感を保とうとする私って…あまりに皮肉が過ぎるよね…実際、今の千冬を見てると本当に良く分かる……今、千冬は…一昨日みたいに私にくっ付きたいのに必死で我慢してソワソワしてる…もう完全に会話が途切れてるのに、それに気付いて無いくらい…私との距離感に悩んでるね…

 

この場合…私から受け入れの姿勢を見せるか、いっそ私の方から抱き着きに行くの二択…では無く、本来それにプラスして…私からハッキリ拒絶するかの三択になる…

 

でも、私にはどうしたって三つ目の選択肢は選べないから…自然と(私にとっては)この究極とも言える二択しか残らないのが何とも悲しい所…

 

「十秋。」

 

「!…何?」

 

しばらく悩んだ後で…漸く会話が途切れていた事に気付いたのか、いきなり千冬が話し掛けて来た事で私は思索を打ち切る。まぁ、おしゃべりって名目で私はここに居るし…話題が有るなら私が会話に応じないことは無い。

 

「その…更識家ではどう「姉さん、その話もう三度目…さっきも言った通り、私から話せる事は大体話しちゃったし…これ以上は刀奈さんたちを含む更識家の人たちのプライベートな話になって来るか、更識家の根幹に関わるヤバい話くらいしか無いから…ちょっと私の一存だけだと話せないんだけど…」そっ、そうか…」

 

千冬、飲んでないよね…?酔ってる訳でも無いのに、何度も同じ話題挙げて来るくらい余裕無いの…?いや、まぁ…私の方もいい加減ネタ切れだったりするから千冬にどうこう言える訳じゃないんだけどさ…

 

……そして、千冬が口を閉じた事でまた会話が途切れる…話題が無くなった以上、私からもう部屋に戻るって言えば済むのかも知れない…まぁ、残りの時間潰すの面倒だけど…チラッと時計見た限りでは何だかんだ千冬の部屋に来て既に二時間以上経っている…もうちょっとしたら夜も明けるし、そのままランニングに出ても怒られない時間にもなって来る。

 

……ただ、この空気の中…私が帰ると言うと自分が話題を提示出来無いせいとか…千冬が凹むのが目に見えてるので下手に帰れない…ホント、もうどうしたら良いんだろうね…正直夜中じゃなかったら、一夏と箒をこの場に呼びたいとさすがに思う…いや、もう何で千冬はこう不器用なのか…

 

……ま、前世からまるで変わらない…そんな不器用な千冬が、私からしたら本当に可愛いんだけどね。結局の所、一緒に居るの自体は私も嫌じゃないから…何ならこのまま放っておいても良いんだけど。

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