「ハァ…ハァ…何処が"ジョギング"なのよ…!」
まだ薄暗い中、千冬と一緒にグラウンドに出て…一緒にスタートしたらゆるいペースで行こうとした私をいきなり置き去りにするスピードで走り去って行く千冬…何周とか決めてない上、明らかにアレは今の私の全力より一段は上のスピード……でも、やるからには早々負けたくない…少しでも食らいつきたい所…
……うん、やっぱり私…負けず嫌いだよね…
結局、千冬を全速力で追った私は早々に体力が尽きて…こうしてグラウンドに大の字に倒れ込む事に…
「こら、そんな所に寝っ転がるな…汚れるぞ?」
元凶の千冬が私の元までやって来る…もう、誰のせいだと思って…
「……私のせいだと言いたそうな顔をしてるが、別に競走じゃないんだ…自分のペースで走れば良かったんじゃないのか?」
「う…確かに。」
と言うか、前世に比べて今世の私…明らかに体力無いよね…運動量増やしても中々スタミナ増えて来ないし…ホント、前世ではいくら頑張っても千冬に追い付けなくてやきもきしてた事も有ったのに……良く考えたら試合だと千冬と半ば互角に持ち込めた時点で、追い付けて無い訳じゃなかったんだよね。いやぁ…前世の私は本当に贅沢だったんだなぁ…自分自身の事なのに、前世の私を羨ましく思うし…嫉妬もしてしまう…
「ほら、立てるか?」
「うん…」
千冬が差し出した手を掴むと、そのまま一気に引っ張り上げられる……ホント、この美貌じゃなかったら男性と勘違いしかねないよねぇ…
一応昔から千冬を見て来た私からすると、そんな男性的な部分が有るのも魅力の一つだと思う……男性的過ぎて色々大雑把な所も含めてね、可愛いと思う。
「……勝つ気が無いと言う癖に結局無茶するんだな、お前は。」
「いざやると、負けたくなくなるんだよねぇ…でも、普段は特に本気で勝ちたいと思ってないんだけどさ…」
そもそも私は諦めも早い方だと思う…実際、限界超えてでも勝ちたいと言うより、爪痕だけでも残したいって言うのが私のスタンスって言うのかな…やるからには本気…でも勝てなくて良い。
「まぁ、やる前から負ける前提でいるより良いと思うがな…」
「でも、大体限界超えるからこうなるんだよね…」
と言うか、更識家には千冬程じゃなくても格上の人ばかりで…もう凹む気にもならなかった…スタミナの面だけで見ても、下手したら簪や本音にだって負けるからね…
まぁ、元々プライドを高く持ってるつもりは無いけど…それでも折れる心も有るし、やる気も少なくはなる…もちろん、最低限体力付けないと来た意味無いから私なりに頑張ったつもり……結果、技術はともかくスタミナはあんまり付かないと言う事に…いや、ホント何で?
「そろそろ私は戻るが、お前はどうするんだ?」
「もう少し走るよ。」
いい加減スタミナくらいはもうちょっと増やしたい…
「そうか…ま、程々にな?」
「うん、分かってる。」
程々じゃ後々困る気も…何となくするんだよねぇ。何でかは分からないけど、私は無理にでも体力付けないと行けない気がする…