親友の妹に転生しました   作:三和

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結局私は早々にヘロヘロになり、逆上せる前に退散…(私の状態が分からなかったのかも知れないけど、強引に私を引き留めて来る静寐には辟易した…必死で静寐を止めてくれた清香には感謝してる…今度何か埋め合わせしないとね……ふぅ、当分大浴場行きたくないな…あの時間は同じクラスの子しか居ないけど、結構騒がしくなったし…)

 

 

 

「刀奈さん?」

 

部屋のドアを開けてみるが、刀奈はまだ戻って居ないらしい…一応食堂はまだ開いてる時間だけど…止めた、面倒臭い。

 

「ふぅ…」

 

自分のベッドに寝転がる…そう言えば髪乾かして無いな…まぁ、良いや……ん?

 

「私って、ここまで面倒臭がりだっけ?」

 

今世…それも幼少期の頃から時折感じる違和感…前世の私と今の私とのズレ…もちろん、勘違いしてるって事も無くは……時々、何がホントか嘘か分からなくなる…と言うか、一番の問題は…

 

「私の名前、思い出せない…」

 

私は…前世での自分の名前が分からない…夢であの頃の夢を見ても…ほとんどの場面は結構鮮明なのに、何故か私の名前を呼ばれる時とかはピンポイントにノイズが混じって何て言ってるのか分からない…まぁ、その辺は兄さんに母さんと父さん…家族全員そうなんだけど。

 

「私って…誰なの?」

 

まぁ、今更意味の無い問いでは有る…どっちにしても今世の私は…"織斑十秋"でしか無いから。……でも気にはなって来る…本当に私は実在したのか…まぁ、今世の私が居るとして結局会った事が無いのも不思議と言えば不思議…"私"で有るなら、何だかんだあの大会には出て来ただろう…そう考えるのは、自惚れだろうか?

 

「むぅ…名前だけじゃなくて、顔も良く分からない…」

 

調べるにしても名前は元より、"私"の顔に関しても分からず…異国に住んでいる"私"を探すのは不可能としか言い様が…いや、一番確実な方法が有る…

 

「フランスに行けさえすれば…多分、探せ…いや、でも…」

 

それはあくまで私の記憶が全て正しいと言う前提での話…多分今の千冬なら、私をフランスに連れて行くのは不可能じゃない…とは言え、渡航費も馬鹿にならないし…思い込みかも知れない事で千冬の手を煩わせたいとは思えない…いや、と言うか…

 

「思い込みだったら…"私"ってそもそも存在しない…?」

 

……まぁ、元々こことあっちは似てる様で違う世界なんだろうと思う事は多々有る…本当に、誤差程度の違いだったりするけど…結局違う世界なんだから、そもそも私が居なくて当然と言われればそれまで。

 

「スポーツ雑誌、読めないかな…」

 

多分、思い出すのにいまいちピースが足りないのでは…と言う気もする…嘗て、これでも私はそれなりに名の知れた選手だった…と、思う…いや、色々有ってあまり大きな試合出る前に引退してるから(実際、第一回モンド・グロッソ準優勝者としての肩書きの方がまだ有名だろうね)正直、フランス程フェンシングが盛んとは言い難い…日本で発行してる様な雑誌に取り上げられる程の選手だったかと言われると…う~ん…

 

「でも現状、手掛かりってコレしか無いよね…」

 

いざ考えてしまうと気になって仕方無い…でも、そもそもこの世界に"私"が存在したとして…

 

「会って、どうしたら良いのか…」

 

向こうの"私"には当然私の事は分からないし…話を聞いてくれたとしても、到底信じられる話では無い…何より彼女は…千冬を知らないだろう…つまり、その話をしても全くピンと来ないし…困惑するだけ…

 

「いっそ、私が本当に"織斑十秋"だったと認識出来れば良いんだけどね…」

 

少しずつ抜け落ちてる様にも感じる前世の記憶…消えた方が楽に生きれると言う人も居るだろうけど、何だかんだ私は…"ソレ"を拠り所にして今日まで生きて来た節は有る…今完全に消えたら、きっと困るのは私自身…

 

「ふぅ…儘ならないね…」

 

この不完全な私が"織斑十秋"だと言い切れるならそれでも良い…でも、私はこうしてギャップに悩んでる……どうして私は、最愛の人の妹に転生したのかな…

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