親友の妹に転生しました   作:三和

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決して狭くは無いグラウンドを走る…一周毎にどんどんペースを上げて行く…

 

「ハァ…!ハァ…!」

 

既に限界は近い…前世でもそこまで体力の有る方じゃなかったけど、今世の身体はもう虚弱と言って差し支えの無いレベルだと改めて感じる…チラッと腕に嵌めた時計を見れば、既に四時間近く走ってるのが分かった…一体何故、私がこんな事をしてるのかと言えば……

 

 

 

 

抱えていた不安を少しでも吐き出す事が出来たせいなのか、それとも睡眠のバランスが崩れてたせいか…私はベッドに横になり、目を閉じた辺りで完全に爆睡したらしい…ただ、まともに寝れたと言う自覚は無い…私の感覚としては、しばらくして何となく目を開け携帯の時計確認したら午前三時近くで…要は消灯からいきなり数時間経過してた感じだからね…時間の方が勝手に消滅したんじゃないかとすら思う…

 

「この時間に外出たらどう考えても怒られるよね……」

 

三時は怒られると思う…でも、今改めて寝る気にもちょっとならない…っ!

 

「う!?」

 

何故か吐き気を感じて慌ててトイレに駆け込む……いや、ホント何で…?

 

「ハァ…」

 

口元をトイレットペーパーで軽く拭いて、便器に放り込んで流し…そのまま洗面所へ向かう……もうとても寝てられないよ。

 

 

 

 

「……」

 

さっきまでの気持ち悪さは無くなり、体調そのものは安定してる…ただ、相変わらず心の中はモヤモヤしてる…もう見付かっても良い…そんな事を考えながらジャージに着替える……そのまま部屋のドアへ…

 

「んー…」

 

確認するけど廊下に千冬の姿は無ければ、気配も感じない。最も千冬の場合、基本的に気配は消してるんだろうけどね…大体、私の察知能力なんてせいぜい一般人に毛の生えた程度の物…感じ取れなくて当たり前と言えば当たり前か……まぁ、一夏なら読み取るんだろうけどね…

 

「ま、良いか。」

 

見付かった時は仕方無い…そう考え、私は外に出た。

 

 

 

 

「何事も無く来れちゃったね…」

 

グラウンドまで来れた時点で、もう千冬が来る事は無いと思って良いだろう…そろそろ私を泳がせる意味も無いだろうから。

 

「ふぅ…」

 

外の気温は少し肌寒くも、心地好くも感じる…まぁ、暑がり気味の私にはちょうど良い所。せっかくジャージも着て来たし…走ればちょうど良くなるでしょ…膝の屈伸をして準備を整える…

 

「良し。」

 

私しか居ないんだから当然合図とかは無い…取り敢えず十秒ほど頭の中で数えてから私はスタートを切った。

 

 

 

 

「ハァ…!ハァ…!」

 

……で、現在…私は休憩もせず走り続けている…良く考えたら、前世と違い虚弱とか言ってたけどそんな話じゃないよね…そもそも四時間休み無く、走り続けるのはさすがにほとんどの人はオーバーワークの部類だろう。でも何故か止まりたくならないし…と言うか止まれない。まるで何かから逃げようとしてるみたいな…

 

「もうやめろ!」

 

声が聞こえたと思ったら、後ろからお腹の辺りに腕が回されて動けなくなる…

 

「……少しは落ち着いたか?」

 

「ハァ…ハァ…箒、何で?」

 

「私の事は良い、お前…いつから走ってるんだ?」

 

「三時…」

 

「……もうそろそろ七時になるぞ…じゃあ四時間は走ってたのか…インターバルは取ったのか?」

 

「取って、ない…」

 

「お前…一体何がしたいんだ?」

 

「分から、ない…私にも、分からないの…」

 

「ふぅ……お前、今日千冬さんと話して休学届を出せ。」

 

「え?」

 

「一度、ここを離れて色々考えた方が良い。」

 

箒が私から離れる…

 

「え…嫌だよ、だって「ずっとそんな状態でいるつもりか?」……」

 

「今お前に必要なのは時間だ…落ち着いたら、また戻って来れば良い…」

 

「私は…でも…」

 

「取り敢えず、部屋まで送る。」

 

箒に手を引かれるまま歩き出そうとしたら、膝から崩れ落ちる…何で?今さっきまで走ってたのに…そう狼狽えそうになる私の前で、箒が後ろを向いてしゃがんだ。

 

「箒?」

 

「どうした?早く乗れ。」

 

「えっと…でも「歩けないんだろう?」そう、だけど…」

 

「早くしてくれ…私も、あんまり見られたくない姿だからな…」

 

「……うん、分かった。」

 

箒に背負われ、部屋まで運ばれて行く…午前七時ともなればさすがに色んな人が起きていて、当然私たちの姿は見られた……箒はとばっちりになるけど、私としては笑われる方がまだスッキリもしたと思う…でも、会う人会う人みんな生暖かい目で見て来るだけって…正直、私にはそっちの方が堪えるよ…

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