良く良く考えれば、ファミレス行く時にはこの荷物持って行ったんだから…別に無理に預けなくても良いと思わなくも無い。
…とは言え、せっかく予算も有る事だし…どうせならお高いお店に行きたい…と言っても、私は多分…ファミレスとの味の違いなんてほとんど分からないだろうけど…一応前世では、二度も誘拐されるくらいにはお金の有る家に生まれた筈なんだけどね…基本、私たちは贅沢はしてなかったし…そうでなくても元々私は、変に格式高いお店苦手だから…(最低限のテーブルマナーくらいは家で教わったから、仮に行っても狼狽える事は無いけどね)
…ま、関係無い話は置いといて…比較的ちゃんとしたレストラン行くなら、やっぱりコレを持って行くのはねぇ…それに、帰るのが確定したタイミングなら仕方無いけど…ご飯食べた直後に荷物有るのは、やっぱり素直に嫌だ…
「…で、何食べるの?」
「刀奈さん決めて良いですよ?」
「…要するに、何も考えて無いのね…」
…そう、刀奈の言う通り…私から提案して何だけど、実際私は食べたい物の希望は特に無い。元々好き嫌いは少ない方だし、正直何でも良いのが本音。
「刀奈さん、馴染みの店とか無いんですか?」
「ハァ…そりゃ確かに、更識家当主として…それなりの身分の人と"お話し"する店の候補はいくつか有るけどね…私もプライベートでは使わないわよ。普段から余計な贅沢なんてしてたら、当主なんて務まらないもの。」
そこでふと気になった事が出来たので、私は刀奈に質問してみた。
「先に聞いたのは私ですけど、どちらかと言えば一般人の多く訪れるこの手の繁華街にも…そう言う格式高いお店有るんですか?」
「…有るわよ?最も、大抵は看板すら出してなくて…ある程度ステータスの有って、且つ…常連の紹介でないと入れない様なお店がね…」
……うん、何となく…聞かない方が良かった話の気がする…
「…ま、そうは言っても…ここは十秋ちゃんの言う通り繁華街だから…一般人にも顔の知られてる様な政治家の人とかは基本的に利用しないけどね…」
……いや、そこまで聞いてないから。その言い方だと…利用するのは確実に裏で権力持ってる人とかになるし。
「ええ、十秋ちゃんの思ってる通り…主に利用するのは"そう言う人達"が多いわね…ウチ自体、裏で暗躍するのが仕事だから…私たちにとってはお得意様なの。」
圧倒されてたけど、さすがに黙ってられる話でも無いので口を挟んだ。
「それって…私に話しても良い話ですか?」
「…お互いプライベートで突発的に会っても、挨拶一つしない約束だし…何より、十秋ちゃんは誰にも言わないでしょ?」
本当に聞かなきゃ良かった…そう思いつつ、私の中で有る事を聞いてみたくなった…
「もし今の話、私が誰かに話したのが発覚したらどうします?」
「その時は…十秋ちゃんの身柄を拘束するしか無くなるわね…ま、と言っても…あくまでウチで生活して、行動を逐一監視されるだけの話だけど。」
「…監禁とか、しないんですか?」
「…して欲しいの?」
「そうじゃないですけど…」
「…まぁ、十秋ちゃんに対してそう言う願望が有るのは否定しないわ…でも、せいぜいするとしても軟禁までよ…私は、十秋ちゃんを苦しめたくないから。」
「そう、ですか…」
「…何か残念そうに聞こえるけど、気の所為?」
「……さすがに監禁されたい願望なんて、有りませんよ…」
多分、ね…私自身…割ともう現実を生きるのに疲れてる感じはするから、全くそうじゃないとも言い難いけど。
「ま、万が一十秋ちゃんがそう言う立場になっても私は出来るだけ、不自由はさせない…でも、今の十秋ちゃんがその状態になったら…監視は確実に要るでしょうね…放っておくと、何をするか分からない危うさが有るから…」
……私に監禁されたい願望は無い。でも、刀奈にそうされるなら…悪くはないかも。不思議と私は今、そう感じていた…