親友の妹に転生しました   作:三和

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「…ま、尤も今言ったのは半分冗談だけどね…」

 

自分でも色々思い詰めてるなぁと、自覚し始めた辺りで刀奈のそんな言葉が耳に入った…

 

「…半分?」

 

「ええ。だって、ここら一帯は十秋ちゃんもさっき言った通り色んな人が行き交う繁華街…偶然その手の店が有る辺りに入り込む可能性はゼロじゃないし、と言うか…割とそうね、例えば…別に探偵の素質とか無くてもざっと調べれば、その手の店が有る場所の候補は普通に割り出せるでしょうね…そして、丹念に…虱潰しに当たれば誰でもいつかは自力で辿り着けるわ…もちろん店には入れて貰えないけどね…」

 

「……」

 

「だからね、実際利用する人たちにもそこまでしなくて良いと言われてるし…何より以前、実際にウチの近所の人と遭遇しちゃった事有るし…」

 

近所、と聞いた辺りで自然と何人かの候補が私の頭の中に浮かんで来た…いや、別に好奇心旺盛な人とかじゃなくて本当に…私が更識家に匿われていた頃に知り合った、特に何の変哲も無い普通の人たち…

 

「それで、どうしたんですか?」

 

「…仕事相手の方に遅くなるって連絡して、その人に声を掛けたわね…話を聞いたら単に隠れ家的レストランを探して迷い込んだだけで、私がたまたまその店を知ってたからお店まで案内してあげたわ。」

 

「つまり、一般人も入れる"そう言う店"を探していただけで…間違って近くまで来てしまう人も居るって事ですね…」

 

「そう言う事よ。」

 

……本当にもう、何で私はこんな話を聞かされてるのかなぁ…後戻り出来無くなるじゃない…

 

「だから、私にそんな事話して良いんですか…?」

 

「っ…その、十秋ちゃん聞き上手だから…つい、ね…」

 

「ついって…」

 

私が聞き上手かどうかはともかく、そんな大事な事…聞かれるままに簡単にどんどん話してしまうのはどうなのか…本当に彼女が暗部の長で大丈夫なのかなぁ…ちょっと、心配になって来た…

 

「ハァ…私だってこんな話、そう簡単に人にベラベラ喋りませんけど…ここは繁華街なんですよ?誰が聞いてるか分からな……あれ?」

 

「?…どうかした?」

 

……気付けば周りに人気は無く、少なくとも普通のファミレスやゲーセンなんかが有る様には見えない通りを私たちは歩いていた…と言うか、この独特のネオン看板はもしや…

 

「刀奈さん、ここ…ホテル街ですよ?」

 

「え!?」

 

一般的にここはそう、ラブホテル街とか言われる辺り…私は当然、こんな所に来ようと思った覚えは無い…恐らく、表通りをいつの間にか外れたんだろうけど…まぁ、この場合…

 

「そう言う事ですか…」

 

「十秋ちゃん?」

 

「刀奈さん、無意識に"そう言う店"が有る辺りまで来ちゃったんですね…」

 

「…そうみたい、ね…」

 

ラブホテル街と呼ばれる辺りは基本…"そう言う目的"のカップルしか寄り付かない…ただ、こう言う所には意外と有るそうなのだ…さっき刀奈の話にも出た、所謂…隠れ家的レストランの類が。そして、更に言えば他にも存在する物が有る…さっき話に出てた一般人利用禁止の会員制のその手の店の一軒が…多分、この通りの何処かに有るのだ。

 

…ま、それはこの場では置いておくとしてだ…

 

「ごめんなさい、私…そんなつもりで「良いですよ?」…え?」

 

「ここまで来た理由はどうあれ、刀奈さんは…私とそうなりたいんでしょう?」

 

本気の刀奈には失礼な話にはなるけど、おあつらえ向きと言えばおあつらえ向き…

 

「良い、の…?」

 

「さっき言ったじゃないですか…"今日だけは"私たちは恋人同士なんでしょう?」

 

今日だけ、それは刀奈には非情に酷な話では有る…それでも私は…彼女の気持ちにはどうしても応えてあげられないから…でも、本当に今日だけで良いなら…私は、受け止めてあげられる…

 

「ただ、改めて一つ聞いても?」

 

「…何、かしら…?」

 

「どうして、私なんですか…?」

 

以前、冗談めかして私への気持ちを告げられた時…刀奈に向けた問い…あの時は流されたけど、私はあの時から何となく思っていた…きっと、刀奈の中でもう少し深い想いが有るのだと…

 

「……私ね、子どもの頃は…絵本で見た様な恋愛をして…普通のお嫁さんになる夢が有ったの。」

 

「……」

 

黙って続きを促す…

 

「でもね、有る時知ったの…"更識家"と言う隠密の仕事をしている家に長女として産まれ、男児の居ないウチでは私は当主候補で…少なくとも、普通の恋愛なんて出来無いんだって…聞いたら、父と母も恋愛結婚じゃなかったみたいだしね……まぁ、幸い仲は良く見えたけど。」

 

「刀奈さん…」

 

「当主候補として、同年代の子と遊んだりする時間もほとんど取れないまま…家の仕事を学んで行く内に私は悟った…このまま私はこの家で、当主としての生涯を全うするか…大して好きでも無い人と婚約して、その人を当主として…夫して仰ぎ、仕えて…共に家の為に生きるしかないんだって…そう、思ってた…そんな時、貴女と一夏君に出会った…」

 

「……」

 

「私もね、当主候補としての勉強だけじゃなくて…同年代の子と接する事の出来る時間は…何もゼロだった訳じゃない、時に一般人の中に溶け込む事も出来る様に…ちゃんと交流する時間は与えられてたの…それでも、私は馴染めなかった…簪ちゃんも虚ちゃんも無理だったみたいね……まぁ、本音の方は色々上手い事やってたみたいだけど。」

 

"更識家"の暗部としての教えの本当にほんの一部…それを私は…あくまで自衛の為、そして大切な人を守れる様になる為に習った…私もだから、内容全てを知っている訳では無い…それでも思う事は有る…"あんなモノ"を幼少期から、それも…一投足、生活態度、その行動全てに…仮に無意識だったとしても、表に出てしまう程に身体に染みつけられるくらいに身に付いているなんてのは…到底普通の状況じゃない…

 

刀奈は…それが出来てしまっていた…一夏に追い抜かれたと本人は言っていたけど、それはあくまで"武力"の面でしかない…刀奈は、普段の行動全部が暗部としての"ソレ"なのだ…彼女の、想像を絶するだろうその苦しみを私は…実際に想像する事は愚か、そんな資格だって無い。

 

「そのね、私はあくまで護衛でしか無かったけど…それでも、特に十秋ちゃんの置かれていた状況を考えたら必要なのは肉体的、精神的ケア…だから、線引きはしないとならないけど…せめて目一杯優しくしてあげよう…そう、思ってた…でも、会ってみて…話してみて驚いたわ…」

 

「何がですか?」

 

「…だって、十秋ちゃん誘拐されて…怪我まで負わされたのに…精神的にはビックリするくらい元気なんですもの…気を使っているこっちが引いちゃったわよ…」

 

「あー…」

 

まぁ、そもそも私の場合は前世で二回も誘拐されてるしねぇ…と言うか、仮にも"前世の記憶"が有る以上…見た目通りの子供とは…自分でも言い難かったしなぁ…

 

「それでもね、やっぱり危うさは感じてたし…その、始めは私も義務的に十秋ちゃんのお世話をしてたんだけど、あまりに無防備だから…気付いたら皆して、貴女はこっちで絶えず見張ってないと何するか分からないってなったわね…ホント、手の掛かる子だった…その癖、子供の癖にこっちの苦労を見抜いて心配までして来るし…変に一々こっちに気を使うし…もう、何か色々考えちゃった…」

 

「子供って…刀奈さんだって子供だったじゃないですか…」

 

と言うか、今だって結局そうでしょ。

 

「ハァ…そこよ!」

 

「はい?」

 

「誘拐されたのよ!?腕の骨が折れたのよ!?おまけに、自分の家に帰れなくなったのよ!?にも関わらず、護衛でしか無い私たちに気まで使って…ボロボロの身体で無茶してばっかり…そんな子供、一体何処に居るって言うの!?」

 

「…少なくとも、ここに一人居ましたよ。」

 

そんな事言われても、別に…腕の骨なんて適切に治療受ければ時間は掛かるけどいつかは治るでしょ…私も滅茶苦茶時間は掛かったけど一応治ったし。まぁ、粉砕されたとかなら…さすがに再生も難しいけどさ…と言うか、何で今になってこんなに怒られてるの…私?

 

「おまけに、せっかく綺麗な顔なのに化粧一つする訳じゃない…顔に傷が付いてても気にしない…」

 

「はぁ…そう言われましても…」

 

別に治るんだから良いでしょうに…と言うか、今はもう治ってるのにそんな事今更言われても…

 

「ハァ…ま、貴女の事はこれくらいにするけど…問題なのは一夏君よ!織斑先生と貴女が捕まってる場所まで行ったって聞いた時から嫌な予感はしてたけど…案の定、こっちの心配なんて無視して突拍子も無い行動するし!挙句の果てに家で皆と一緒になって働くとか…こんなの、護衛対象としてなんて見れないわよ!」

 

刀奈の言ってる事は分からないでも無い…とは言えだ…

 

「…ま、私は当時の一夏の気持ちも分かるんですけどね…と言うか、今になって考えたら私もほぼ同じ気持ちになるでしょうしね…」

 

あの時…一夏がマスコミが取り囲んでる家に戻ると言った時、私は取り乱した…感情の制御なんて利かなかった…でも、今なら言える…逆の立場だったら、結局私も同じ事をしようとしただろうと…

 

「私たちには親が居ません…私たちを学校に行かせる為、食べさせる為…姉さんも家に居るのは極僅かな時間だけ…だから、二人で助け合って…何とか生きて来たんです。だから…今更他人に迷惑を掛けたくないってそう思っちゃうんですよ…」

 

ま、私はそれだけが理由じゃないけどね…だって、私は前世の記憶を持ってる…全てを覚えてはいなくても、確かに私は大人になるまで生きた…だから、大人の…年長者の苦労が分かってしまうのだ…だったら、少しでも負担を軽くしたいってそう思うのが普通だ……それが、例え普通の子供の生き方じゃなくてもだ…あ、もしかしてこれが理由?

 

「…刀奈さん、貴女が私を好きになったのは…貴女と同じ、子供らしくない部分を私に見たからですか?大人の期待や願いに応えようとしてる…そう見えたからですか?」

 

「…ええ、そうよ…貴女たちが私に似ていた…そこに私は惹かれて行った…でも、それだけが理由じゃない…そもそもね、最初は一夏君を好きになったのよ。」

 

「ま、一夏なら分かりますけどね…」

 

一夏の何が凄いって、前世の記憶を持つ私と違って天然でアレだからねぇ…一夏くらいの歳の男の子って、もう少しこう…その、バカっぽいと言うか…もう少し子供らしいものだと思うんだけど…一夏の場合それが全然無いんだよね…ま、女の子からしたら本当にカッコ良く見えるよねぇ…一夏とじゃ、同じ歳の男の子なんて比べる余地も無いと感じちゃうだろうし…

 

「でも…結局私も簪ちゃんも、そして…虚ちゃんも貴女を選んだ…危うくて、守ってあげたくなるのに守られるだけで終わろうとせず…こちらを慈しんで…そして、ちょっと目を離した隙にフッと消えてしまいそうな…そんな、儚さの有る貴女をね…」

 

「そう、ですか…」

 

だから…一体どうしてそこで私になるのか?それだけが理解出来無い…

 

「自分で戦える刀奈さんでも理解出来るでしょう?一夏は、強いですよ?きっと、貴女を守ってくれますよ?」

 

まぁ、私は何となく確信してる…一夏は、きっと刀奈たちを選ばないんだろうなと…箒を選ぶのかは別にして、一夏にとって…刀奈たちは結局家族でしかなくて、守りたい存在では有ってもパートナーに選ぶ事は無いんだろうと……それでも、仮に刀奈たちが本気で一夏が良いなら…一夏も応えようとするかも知れない。

 

「そうね、彼なら…皆を守るんでしょうね…そして、そんな彼を私が守り、支えて行く…それも良かったのかも知れない……でも、十秋ちゃんは?」

 

「え?」

 

「この世に三人切りしか居ない家族で、何より…一夏君は貴女にとって産まれた時から一緒に居る双子の片割れ…云わば半身…それでも、私は…貴女が、自分と一夏君との間に壁を作ってる気がするの…まるで、いざって時は自分を見捨てて…もう一人の家族である織斑先生を守って欲しい…そう思ってる様に感じるの。」

 

「……」

 

そこまで言い当てたのは…貴女が初めてだよ、刀奈。箒でさえ、私は守られるだけなのが嫌なだけなんだと…そこまでしか、到達出来無かった…

 

「だって…私なんかより、姉さんと一夏の方が大事なんですよ、私にとっては…」

 

前世から想い続けてる…この命をすら捧げても構わない程大好きな人と、私にとっても可愛い弟分な想い人の弟…二人が、幸せに生きていて欲しい…私の様な異物なんて構わず、ずっと幸せに…そんな風に考えてしまうのは、やっぱり間違いだろうか?

 

「そんな…とにかく不器用で、可愛くて…尊くも思う貴女を私に守らせて欲しい…私がそんな風に考えちゃうのは、可笑しいのかしら?」

 

「それは…」

 

私に、その想いを否定する権利は無い…だけど…

 

「それでも私が好きなのは「織斑先生ね」っ…どう、して…?」

 

「さっきの貴女の答えを聞いて何となくね…でも、薄々…そうじゃないかと思ってた…やっぱり、そうなのね…」

 

「刀奈さん…実の姉を恋愛対象に見ている私を、どう思いますか…?」

 

刀奈が仮に何て答えたとしても…私にこの想いを捨てる事は出来無いだろう…それでも、彼女には否定をされたくなかった…

 

「…別に引いたりしないわ、私もそうだったもの。」

 

「っ…え?」

 

「貴女たちに会わなかったら私は多分、簪ちゃんを選んでたからね…まぁ、あの子も多分…私の気持ちには応えてくれなかっただろうけどね…」

 

「それはまぁ、そうでしょうね…」

 

刀奈の恋愛観を可笑しいと言う権利は私には無い。そもそも、普通の家の生まれじゃないんだからまともな恋愛観を持てる訳も無いし…そして、私が前世では千冬との関係が姉妹では無く、赤の他人で…その時の想いを今も引き摺っているだけで、実の妹に邪な想いを抱いていた刀奈と同類では無いと言う面を差し引いたとしてもだ……まぁ、好きなのはともかく盗撮はやり過…あー…前世で束から千冬の盗撮映像や写真を提供して貰ってた以上、そこも結局私には何も言えないのか…でもま、簪の事を考えたら…そのままって訳にも行かないかな…

 

「…と言うか今の内に言っておきますけど、一つ良いですか?」

 

「何かしら?」

 

「…簪に嫌われる前にいい加減盗撮は止めた方が良いかと…恋愛対象では無くなっても、嫌われるのは嫌でしょう?てか、多分…簪も薄々勘付いてると思いますし…」

 

「っ…えっと、やっぱりそう思う…?」

 

…それはどっちに対しての答えかな?盗撮を止めないと嫌われるって事?あるいは…簪が気付いてるって事?……まぁ、前者に関してはそこ疑問に思う程…さすがに刀奈もポンコツじゃないと思うし、後者についてだよね…ま、推論でしか無いけど…

 

「簪は次女で、当主候補からは実質外れてたでしょうし…したがって刀奈さんの様に暗部として、ガチガチの教育受けた訳じゃないでしょうけど…簪だってそう言う家の生まれなんですよ?そんなの、もう気付かない方が可笑しいと思いません?」

 

「う…確かにね…」

 

「今の内に謝った方が良いと思いますよ?今なら多分…簪も許してくれるでしょうしね…」

 

私が更識家に居た頃…中々に簪に対するボディタッチと言うか、スキンシップの激しかった刀奈…その時点では色々ボロクソに言ってたけど、簪と二人切りになった時本人から聞いたから私は知っている…簪にとって、姉からのスキンシップが満更でも無かった事を……まぁ、あくまで…普通の姉妹愛として姉の刀奈が好きと言う意味の話だけどね…

 

「あ…と言うか、今思い出したんだけど…十秋ちゃん、私が隠しておいた方のコレクション消したわね?」

 

?…えっと~…あ、もしかしてアレの事…?え、今更…?あれから結構時間経ってるけど…

 

「…例のSDカードの件ですか?怒られる筋合いは有りませんよ?あんな物残しておいて、万が一にも人目に触れたら不味いでしょう?」

 

「いや、だって…個人用で「だったら、SDカードは最初から肌身離さず持ち歩きましょう」そうだけど…」

 

「それに…アレだけじゃないですよね?」

 

「それは十秋ちゃんにも言えないわね…」

 

「まぁ、とにかく…早く簪には謝って、盗撮映像や写真は全部消してあげてくださいね「十秋ちゃんのは残しておいても良い?」……」

 

そっちも当然消して…そう言おうとして、私は考えた…ここで消せと言ったら彼女は相当に傷付くのではと…ハァ…こんな事ばかり考えてるからお人好しとか言われるのかな……う~ん…まぁ、減る物じゃなし…何より私は…刀奈の気持ちには応える事が出来無いのだ…だったら、刀奈が吹っ切れるまではそのままにした方が良いのかも…

 

「…他の人に見せないでくださいね「簪ちゃんや虚ちゃんには?」う…」

 

そっか…あの二人もそうなんだっけ…ホント、刀奈の気持ちは理解はしたけど…何とも納得はし難い…何でそんなに私みたいのが良いのかなぁ…

 

「…じゃあ三人だけで共有する事…それと、出来れば二人の気持ちに…私は応えられないと伝え「それは無理ね」…何故ですか?」

 

「何故って…それはさすがに虫が良すぎるでしょ?十秋ちゃんには迷惑な話かも知れないけど、あの二人…私に負けないくらいには本気なのよ?」

 

迷惑って程では無いけど…あー…そうだよね、確かにそれは失礼か…結局、自分で向き合うしか無いって事か…ハァ…大変だなぁ…

 

「分かりました、共有の件だけはお願いします…さてと、どうしますか?こんな事になっちゃいましたけど…デート、続けます?」

 

「……」

 

既に私の気持ちを聞いてしまった刀奈…でも、やっぱり…まだ納得し難いみたい…仕方無い、か…ま、元々…私はそれでも良いと思ってたしね…

 

「分かりました…じゃ、行きましょうか?」

 

「っ…えっと…何処へ?」

 

「私たちが今居るのはどう言う場所でしたっけ?」

 

「!…その、本当に良いの…?貴女が好きなのは…」

 

「先に言いますと私、元々もう姉さんに告白する気は無いんです…全部諦めてるんですよ…だから、もう良いんです…」

 

「!…それは…」

 

「私は…姉さんが、織斑千冬が好きです…でも、そんな事言えません…だからって、私には今更刀奈さんの気持ちに応える事も出来ません…そんな残酷な事、私には出来無いです…」

 

刀奈がどれだけ私の事を愛してくれていても、私の心にはずっと千冬が居る…そしてそれは今世では永遠に消える事は無いだろう…こうして、別人に生まれ変わっても消えなかったんだから…

 

「だからせめて、刀奈さんが私の事を諦められる様に…出来る事は何でもしますよ。」

 

そう言えるくらいには…やっぱり私は刀奈の事は嫌いじゃない…寧ろ好き…それでも、私には彼女を選べないから…

 

「本当に良いのね…?」

 

「貴女が、私を諦めてくれるなら…好きなだけ…」

 

まだ何処か戸惑い気味の刀奈の手を引いて歩く…何処が良いかな…正直に言うと、今世は元より前世でも縁の無かった場所だから…どう言うホテルが良いのかも分からない…まぁ、適当に良さげな所で良いかな…清潔なベッドが有って部屋も綺麗なら、刀奈の思い出にはきっとなるだろうしね……ごめんね、刀奈…でも、こんな最低な私を選んでくれて…本当にありがとう…

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