しばらく湯に浸かり、それなりに身体が火照って来てからお風呂から出る……っ…緊張して少し長湯しすぎたかも…あ…
「…大丈夫?」
「ええ、何とか…その…少し休んでからでも良いですか…?」
その場で、前のめりに倒れ込みそうになったところで後ろから刀奈の腕が腰に回されて受け止められる…危ない危ない…こんな所でそのまま倒れたら軽い怪我とかじゃ済まないよ……って…
「…あの、刀奈さん?」
「何かしら?」
「…もう大丈夫なんで、離して貰っても?」
刀奈が私を後ろから抱き締める形のまま、一向に腕を解いてくれない…
「……もう少し…このままでも良い…?」
…そんな切なげな声で言われたらやだとは言えない……と、言いたい所なんだけど…
「いや、あの…思いっ切り、当たってるんですが…」
こうね、背中に当てられて潰れている刀奈の……おっぱいの感触のせいで、ちょっと…変な気分になりそうなんだよね…私、別に女の子好きとか…見境無いって訳じゃないんだけどね…
「…一つ聞くけど。」
「はい?」
「…十秋ちゃんって、元々そっちの気が有るとかじゃないの?その…私、自分で言うのも何だけど…織斑先生程じゃなくても結構スタイル良い方だと思うんだけど…」
「……」
今、自分でも刀奈のその感触にかなり反応してる節は有るから…無いです、と…即答は出来無い…私って、たまたま好きになったのが自分と同じ女性だったんじゃなくて…単に元々同性が好きなだけだった…?……いや、仮にそうだとしても…
「そうなのかも知れません…でも、私があくまで姉さんを恋愛対象に見てるのは変わらないです…」
それが確かなら、私としては結局どっちでも良い話になる…
「そう…」
刀奈が私から離れた……まぁ、結果刀奈を傷付けている事には変わりないけどね…同性同士と言う最初のハードルクリアしてるのに脈は無いんだから、悔しさも一入だと思う…ホント、どうしたものかな…ある意味贅沢な悩みなんだと分かってはいても…自然と溜め息を吐きそうになる…贅沢を承知の上で重ねて言うなら、どうせなら普通の学生らしい事で悩みたい…前世の想いを引きずるにしても、千冬と関係無い所で生まれていたなら…私もいっそ、キッパリ諦めも着いたのかも……いや、結局駄目かも知れない…誰と付き合っても、無意識に千冬と比べる未来しか見えて来ないよ…
「…十秋ちゃん、風邪ひくから部屋に戻らない?」
「あ、はい…」
考え込んでいた所に声を掛けられて我に返る…いけないいけない、私が湯冷めして風邪ひく分には自業自得でも刀奈がそうなったらさすがに申し訳無い…まぁ、結局今考えても仕方無いし…この問題は丸投げしようっと。
……何せ、一番の問題がこの後に待ってる事だしね…
「さっき着てた服…そのまま着るとどうもしっくり来ないわね…」
「…コスプレでもしたかったんですか…?」
この手のホテルには所謂…"そう言う服"を置いてる所も有るそうな……ここは有るのか知らないけど。
「…フフッ…そう言う意味に聞こえた?う~ん…私としては、十秋ちゃんがしてくれたら嬉しいんだけど?」
「刀奈さんと違って扇情的な格好は私に確実に似合わないので着たくありません。」
「…うん、一切切らずに言い切る辺り…本気で嫌なのは分かったわ…」
いや、だって…似合わないの分かってて着ても気分出ないよ。正直、刀奈の気持ち無視してでも帰りたくなると思う。
「うん…もう言わないから帰らないで…」
「分かってますって。」