織斑十秋…私の現在の護衛対象の一人であり、同性とか…そんなハードルを全てすっ飛ばして、私が本気で愛してしまった女の子…
「無理、させちゃってるわね…本当にごめんなさい…」
そんな彼女と、遂に一線を越えてしまった今日…ううん…もう日付けも変わってしまってるのよね…
「どうして、貴女はいつもそうやって…何でも耐えようとするの…?」
彼女との付き合いはまぁ…長いと言えば長いし、短いと言えば短い…過ごした時間はともかく、今問題なのは…寄りにもよって、護衛する側の私が守るべき存在で有る彼女に邪な願望を向けてしまい且つ…彼女にそれを受け入れる事を強いてしまった事…加えて…
「…他に好きな人が居るんでしょ?どうして、私を受け入れてくれたの…?」
彼女は今、市販の風邪薬がちゃんと効いたらしく…起きる気配は無い…その安らかな寝顔を見ていると、さっき彼女にしてしまった事を忘れてしまいたくなる…
「せめて、突っぱねてくれたなら…ハァ…やっぱり、言い訳かしらね…」
歳下で、身体も決して強い方では無い彼女…それでも彼女は言葉通り、確かに私の劣情を受け止めてくれたのだ…これ以上を求めるのは贅沢だろう…それでも、支離滅裂なままの思考が続いているこの瞬間でも…どうしても、納得の行かない事が有る…
「どうして…?何で貴女はいつも他人の事を優先するの…?」
思えば出会った時からそう…いつも私に限らず…多くの人の…それこそ、単なるワガママとしか思えない事でも笑って受け入れる彼女のその在り方…それが私が彼女に護衛対象、家族…そんな関係すらも超えて私が好意を持ってしまった理由であり…そして、時に受け入れられない彼女の悪癖…私自身、立場上色んな人物と関わって来た…その上で思ってしまうのは、彼女のそのスタンスが…どうしても…
「貴女は…一体何を見て来たの?」
彼女のソレはとても普通の十代の少女のモノとは思えない…不自然な程、彼女は我慢をしつづける…苦しい筈なのに弱音を吐く事は…有るのは有るんだけど、それでも…自分以外の誰かの為なら、明らかにキャパを超えていても無茶をする彼女のソレは…やはり端的に言って異常…
「思えば、思った以上に私は貴女の事を知らないのかもね…」
今までちゃんと確認した事は…と言うか、半端に踏み込んでも貴女はいつも話を逸らすから…そして、その度に見え隠れする貴女のその…すぐにでも消えてしまいそうな儚さ…ハァ…ホントに困った子…
「受け入れてくれないならそれでも良いわ…でも、だからと言って貴女をそのままにするのも嫌なのよね…」
私が貴女を好きになる切っ掛けとも言えるその性格…直せとは言えない、それは貴女の個性だし…何より、人を優先するその姿は貴女の優しさの現れとも言えるのかも知れないから…でも、その為に自分を切り崩して最後はすり減って消えて行く未来しか見えない貴女を放っておくのも私は嫌なのよ…
「お姉さんを本気にさせた、貴女が悪いんだからね…絶対、貴女を幸せにしてあげるんだから。」
貴女が好きな相手が私でないならそれでも良い…でも十秋ちゃん、貴女を愛してる人間として…不幸に直進して行く貴女にちゃんとした道を示して、歩かせる…そうする権利は有るわよね……そう、思わせて欲しい。
「先ずは…原因を知るべきかしら…私と出会う前の貴女の事、探らせて貰うわね?」
ま、許可は求めて無いけどね…勝手にやらせてもらうから…だって私は貴女の家族で、護衛だから…