親友の妹に転生しました   作:三和

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※直接的描写は出来るだけ避けましたが、一応閲覧注意です。

次の話はこの話を読まなくてもある程度問題無い構成にする予定なので、嫌な予感がした方はこのままそっ閉じでお願いします…

特に問題無いと思う方はこのままどうぞ。


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トイレから出てすぐに、私は思わず十秋ちゃんを抱き締めていた…

 

「十秋ちゃん…違うのよ、本当に私…こんなつもりじゃ…」

 

「刀奈は、こんな私は嫌…?」

 

十秋ちゃんのその言葉に私は口を噤む…嫌じゃない…確かに貴女がこんな風になった事…貴女と言う存在の行動全てがこれからは私の掌の上…彼女を生かすも殺すも、何もかもが私次第…私の命令一つで、大抵の事はしてくれる…恋焦がれていた存在が、例えすぐ側に居ても、簡単には触れられない…私の色には、染まってくれない…そんな存在だった筈の彼女が…今は、私に全てを委ねてくれていると言う事実に暗い喜びを覚えているのが自分でも分かる…

 

このまま、自らの本能の命じるままに…彼女をとにかく滅茶苦茶にしたいと…そう叫んでいる自分の心を私は何とか押し留める…

 

そんな事は出来無い…だって…

 

「貴女は…本当に、こんな風になったのが嫌じゃないの…?自分の思う通りに生きたいとは思わないの…?」

 

彼女の声が、震えてるから…私は、そこに希望も見えてしまったから…今なら、まだ後戻り出来るんじゃないかって…あの喜びと共に浮上する、罪悪感を消せるんじゃないか…そう思ってしまったから…

 

「…う~ん…どうかな、正直…もう良いかなって…」

 

「え…?」

 

「何かもう…そう言うの色々どうでも良くなっちゃったからさ…このまま、刀奈の物として生きるのも良いかなぁって…」

 

思わず彼女から離れ、彼女の顔を見る…そして、そこで私は絶望した…そして今漸く、この罪悪感の所為であのホテルを出て…ここに帰って来てから、彼女の顔をちゃんと見ていなかった事にも気が付いた…

 

「十秋、ちゃん…」

 

「それとも、やっぱり私は必要無い?なら、捨ててくれて良いよ…刀奈の好きな様にして?」

 

彼女の目は今まで見た事が無い程、暗く澱んで見えた…俗に、目のハイライトが消えると言う表現は創作物で良く見られる…ただ、現実にそうなると言うのはあまり聞かない…だから、それはあくまでも架空の表現…実際には、色々な条件が重なって一時的にそう見えるだけ…そう思ってる人が大半だろう…

 

ただ、私は知っている…良く言われる多くの条件にほとんど合致しないのに、現実にそう見える人が存在する事を…本当に、人の目の光が消えてしまう事が有る事を…それは主に、強いショックを受けた事による…過度なストレスなどが原因のパターンが多い…私は、実際に…"仕事"の場でそう言う人間を多く見て来た…そして、もっと言えば…その手の人間は、人間らしい喜びや悲しみ、怒り…そう言った感情が消失している事も…

 

私は、いつからか彼女が…ずっと、何かに悩んでるのは気付いていた…最終的に、その悩みも…ちゃんと聞く事が出来た…その上で私は…彼女が差し出した手を掴んで、縋ってしまった…自分の想いを押し付けた、秘すべきだった欲求をぶつけてしまった…彼女を壊してしまったのは私だ…

 

「ごめんなさい…ごめんなさい…十秋ちゃん、本当に…ごめんなさい…」

 

「!…どうしたの?何で、刀奈が謝るの?私、何かしちゃったかな…だったら、私の方こそごめ「違うの!貴女は何も悪くないの!」…良く分からないけど…泣かないで、刀奈…」

 

気付けば彼女の胸に顔を埋めて、子供の様に泣いてる私がそこに居た…そして、彼女はそんな私の背中を優しく撫でる…ああ…自分の罪に漸く気付けたのに、それでもまた私はこの子に縋ってる…私のずっと欲しかった物を与えてくれたこの子を救う筈だったのに、私の方が彼女に慰められて…そして、既に限界を超えている彼女を余計に苦しめる事になっている…

 

もう、私はこの子にどうしてあげたら良いのか分からない…

 

 

 

 

 

 

「…大丈夫…大丈夫だから…少なくとも、私の事で泣く必要なんて無いから…」

 

どれくらい経っただろうか…やっと落ち着いて来た時、それでもまだ…私を優しく撫でる彼女が居た…

 

「でも、貴女をそうしたのは私だから…」

 

「んー…そもそも、そこから違うんだよね…取り敢えず、疲れたでしょ?ほら、座ろう…良ければまた、膝枕でもする?」

 

「…床じゃなくて、ソファでお願い…」

 

「大丈夫。私の膝がそこまで柔らかいとも思えないし、刀奈に負担掛けたくないから…ちゃんとソファでするよ。」

 

そして、彼女に誘われるまま…私は彼女の膝の上に頭を着けて横たわる…正直に言えば、彼女の膝は適度な弾力を保っており…今まで使ったどんな枕よりも遥かに寝心地は良いと感じる…ウチに来た最初の頃こそ、皆で彼女の世話を焼いていたからするのはこっちの方だったんだけど…数ヶ月も経てば、寧ろこっちがされる立場になっていた…そしてそんな時…彼女はいつも、優しい笑顔で私を癒してくれた…

 

今も、彼女はあの時と同じ笑顔で私を見ていてくれる…ただ違うのは、その首元に有る鈴の付いた"首輪"の存在…それと、彼女の浮かべる笑顔の中で目だけが…暗く澱んでしまったまま…

 

「私、本当に貴女に世話になりっぱなしよね…」

 

「違うよ、刀奈が…私を救ってくれたの…そんな貴女だから、私はこうしたいって思うんだ…だからね、刀奈…そんなに悲しそうな顔しないで…私は本当に、これで良いって…そう思ってるんだよ?」

 

こんな時でも彼女は私に気を使う…私を癒そうとしてくれてる…そんな彼女の純粋な気持ちにつけ込み、弄び…壊してしまったのは私だ…罪悪感と同時にこの結果を喜んでもいる、醜い私なのだ…そう自罰しつつも…今の彼女は全て自分の言う事を聞いてくれるのだと言う事を思い出してしまう…そして、抗えない欲求が湧き上がる…

 

「ねぇ…十秋ちゃん…」

 

「何?」

 

「…その…服、脱いで貰っても良いかしら?」

 

外に出すまいと耐えられたのは本当に一瞬…すぐに"ソレ"は口から出てしまった…本当に、何をやってるのかしら…

 

「したいの?」

 

「ううん…取り敢えず今は、十秋ちゃんの身体が見たいだけ…」

 

「うん、分かった…上だけ?それとも…全部?」

 

「その…全部…」

 

「分かった…それじゃあごめん…頭起こして…さすがに立ち上がらないと脱げないから…」

 

「謝らなくて良いわ…今、退けるから…」

 

彼女の膝の上から上体を起こす…そしてソファから降りた彼女が私の前に立つ…そのまま特に、恥じらいとかは見せる事無く…彼女はすぐに上と下も脱ぎさり、生まれたままの姿になる…

 

「えっと…恥ずかしい…とか…」

 

「今更?刀奈には、こうなる前から何度も裸見られてるし…そう言うのは特に無いかな…もしかして、そう言う演技をしろって事?…それは、ごめん…ちょっと難しいかな…だって、貴女に見られても本当に恥ずかしくはならないし…私、そう言うの苦手だから…」

 

「あ、ごめん…そうしろって命令じゃないの…出来無いなら、良いから…」

 

「そう…で、この後どうするの?やっぱりする?それとも、このまま見てる?ポーズのリクエスト有るなら、出来そうならやるけど?」

 

「……」

 

彼女の言葉を聞きつつ…つい、そのまま見蕩れてしまう…人よりも多過ぎなくらい良く食べたりする割には、時に全く言って良い程食べない日も有る彼女…食生活が偏ってる事も多そうなのに、体質柄なのか…彼女の身体はちゃんと均整が取れていて…本人は起伏の少ない寸銅体系だと言ってるその身体は…単に筋肉以外の肉が少ないだけで、ちゃんと魅力的…と言うより、この身体…逆に余程の巨乳好きや大きいお尻しか認められないとかで無い限り…いや、寧ろ彼女の場合…逆に貧乳派に寝返る男性を増やしてしまいそうだ…そして、決して寸銅では無い…ちゃんとくびれは有るし、何より…今十秋ちゃんは正面を向いてるから見えないけど私は知っている…後ろを向けば、ちゃんとキュッと締まって…小さいのがまるで欠点にならないお尻がそこに有る…

 

彼女は寸銅では無い、スレンダー…間違い無く、女性としての魅力に溢れた身体だ…加えて言えば、私もそうだったんだろうけど…少しでも、そう言う素質が有る女性なら…いっそ彼女となら、友人としてのラインを越えてしまっても良いと…何なら彼女が望んでくれなくても(まぁ、そもそも十秋ちゃんの場合…本当に友人と思ってた相手なら、恋愛感情が全く無かったとしても拒絶出来無い気もするけど…)そのまま襲ってしまいたいと、そう出来れば…何ならそのまま人生が終わってしまっても良いと…そんな、してはいけない筈の間違いを実行してしまいたくなる様な…妖しい色気まで備えているのがこの"織斑十秋"と言う少女なのだ…

 

間違っても、この身体は男性の目には触れさせたくないとすら思える…まぁ、一夏君に関しては…もう仕方無いと言うか…と言うか、寧ろ彼が襲おうとしないのが不思議にも思える…無論、その辺は…実は、織斑先生にも言える事では有るけど…と言うか、その辺どうも抜けてしまってる様に思える彼女なら…一夏君の友人で有る男子にもあくまで事故とは言え、見せてしまってそうだが…彼女の場合、軽く戸惑うくらいで…やってしまったと本気で謝る男子相手なら、寧ろ自分が悪かったと言ってしまいそうでは有る…本当に、今でも処女のままと言うのが奇跡とも思えて来る…と言うか、同性相手ですらこう言う関係になったのが未だ私だけと言うのも…

 

本当に、彼女のこの姿を見てると…頭の中全てが欲望に塗り潰されてしまう…そう言えば、時に男性は下半身で物事を考え…女性はあくまでも脳で物事を考えるなんて言われる事が有ると言う…まぁ、実際はあからさまにそれを体現してる男性は仕事上…見なくも無いけど、さすがに少数だ…とは言え、もちろん私も…理性がほとんど仕事をしてない、そう言う一部の男性には軽蔑の目を向ける方だ…

 

女尊男卑の考えに染まる気は無いし、男性全てにそう言う目を向けるつもりは無い…差別では無く、きちんとそこは区別を付けるべきだと…そう考えている…

 

ただ、欲望に満ちた視線を向けてしまった相手が彼女だったならば…正直、"家族"として表面上軽蔑はしても…内心、無理も無いだろうなとは考えてしまうだろう…別に裸じゃなくても、彼女は顔は元より…性格もかなり良いと言って良い…多少ネガティブ気質では有れど、元々の彼女の状態程度なら寧ろほとんどの男性は許容の範疇だろうし…何なら、それすら魅力に映るだろうし…と言うか、彼女の場合…恋愛感情無くても一度身内として判定すれば…大抵のワガママは、自分が多少嫌だなと感じる程度なら口には出さず…笑って聞くタイプで有る事を考えると…正直、彼女を嫌いになる男性はそれこそ、女性に対して何らかのトラウマを持つか…あるいは、そもそも女性に対してそう言う興味を持てない男性くらいの様に思う…

 

…うん、やっぱり…彼女は誰にも渡したくないと感じてしまう…彼女がそれを望まないと分かってても、自分の手の内に置ければと…そう考えてしまう…ハァ…とは言え、ワガママを言うなら…本当にこう言う形にするつもりは無かった…もちろん、嬉しくないと言えば嘘にはなる…でも、それは彼女が心からそう望んでくれればと……そこまで考えたところで、漸く思い出す…しまった、十秋ちゃんを放置したままだった…と言うか、改めて見れば彼女はその顔に困った様な笑みを浮かべるだけで特に不満みたいのは感じられない…本当に、彼女をこんな風にするつもりじゃなかったんだけどなぁ…もちろん、全く望んでなかったとは…言えないけど…

 

「…あの、ごめんね…寒くない?」

 

「家の中だし、今の所大丈夫だよ…それで、私はどうしたら良い?」

 

「…あの、家の中ってまさか…外でもそうしてくれるの?」

 

「刀奈がそう言うなら、そうするよ…出来れば、周りに誰も居ないタイミングが良いとは思うけど…」

 

…本当に何から何までただ全部聞くわけじゃなく、彼女の意思がまだ残っている事に喜べば良いのか…それとも、明らかに"私からの命令"で有れば衆人環視の中で有っても脱ぐと言っている事に落ち込めば良いのか…いえ、結局私がそうしない様に我慢すれば良い話よね…

 

取り敢えず…このままにしておくのはさすがに十秋ちゃんに悪いわね…

 

「その…出来ればそのままソファに座ってくれる?…要は、そのままでさっきみたいに…膝枕、して欲しいの…」

 

「えっと…私、小さい方とは言え…一応さっきトイレ行ったばかりだし…臭いと思うんだけど…」

 

まぁ、このウチのトイレ…ウォシュレットタイプじゃないし…洗ってはいないからね…完全に拭いただけ…さすがに、気にはなるか…でも、私はそうしたい…と言うか、何ならそれを直接嗅ぎたいとすら思う…私、こんなアブノーマル気味の嗜好が有ったのね…元々、十秋ちゃんの体臭は好きだと感じてたから…こうなったからそう言う欲求が芽生えたんじゃなくて…本当に、最初からそうだったのね…嫌な発見ね…

 

「それでも、そうして欲しいの…と言うか、その…嗅ぎたいから…」

 

「…刀奈が良いなら、そうするけど…でも、臭かったらすぐに言ってね…服着るから。」

 

本当に聞いてくれるのね…一瞬感じた罪悪感はすぐに消える…やっぱり、嗅ぎたい…そして彼女がソファに座ってくれたので、私はまた彼女の膝の上に頭を下ろし…そこから身体の向きを変える…今まで部屋の中を映していた私の視界に彼女のおへそと…太ももの一部が目に入る…違うわね、このままだと…少し、嗅ぎづらい…

 

「少しで良いの…足、開いて…」

 

「…本当に良いの?」

 

「ええ、お願い…」

 

「なら、本当に臭かったら言ってね…」

 

彼女が足を僅かに開き…その隙間から…見えているそこをしっかり視界に入れながら私は深く息を吸い込む……あ…こっ、これ…思った以上にしゅごい…!良い意味で、そのまま意識が飛んでしまいそう…自分のソレの匂いだときっと臭いと感じてしまうんだろうけど…彼女のソレは、何故か…うっ…

 

「…あの、本当に大丈夫…?」

 

「…ええ…正直、このまま昇天する勢いね…」

 

「死なれても困るんだけど…」

 

「一応言っておくけど、良い意味でよ…」

 

「分からないって…何か、ヤバい薬使ってる人みたいな目付きになってるんだけど…」

 

「ウチの仕事でもそう言う薬の摘発に参加する事有るし…正直、実は興味は少し有ったんだけど…あんなのより断然こっちが良いわね…ん~……」

 

「…あまり聞きたくない無い話だなぁ…って、あの…刀奈の舌が伸びて来てるんだけど…まさか、舐めたいとか思ってる?」

 

「…良いかしら?」

 

「……さすがに駄目、いくら貴女の命令でもちょっと…だって、それで刀奈がお腹壊したりとかしたら嫌だから…そうするなら、ちゃんと洗ってからにして…」

 

そこで私は冷静になる…自分が嫌だからじゃなく…こんな状態でも、私の事を気にしてくれるのね…ふぅ…仕方無い、か…

 

「なら、せめてもうちょっとだけ…嗅がせて…」

 

「後ちょっとだけね…」

 

顔は見てないけど、その声音は少し困った様な…でも優しいソレ…そこについ安心しつつ、私はしばらくその匂いを堪能してる内…いつの間にか、本当に意識が落ちて行った…いっそこのまま、本当に死んでも良いと実はちょっと思ったんだけど…十秋ちゃんの事、このままには出来無いわよね…でも、ちゃんと戻って来れるかしら…




「十秋ちゃん…」

「何ですか?」

それはまだ、彼女が更識家…私の家で生活してた頃の事…

「…その、アレ…またお願いしても良いかしら…?少しの間だけで良いから…」

「…今は暇ですし、このくらい…少しと言わずいくらでもしますよ…どうぞ、私の事は気にしなくて良いので。」

「ありがとう…」




「…寝づらくないですか?」

「ううん…凄く、気持ち良い…」

「なら良いんですけど。」

いつからか、もうどちらから言い出したのかも分からなくなったこの習慣…私は"仕事"から帰ると…時折、彼女に"コレ"をお願いする事が多くなっていた…

最初はこっちがやってあげる側だったのに、いつからか立場は逆転していたり…

「…十秋ちゃん、疲れてない…?」

「疲れてるのは刀奈さんでしょう?私の事は気にしないで良いですから…眠かったら、寝ても良いですよ?」

「でも…」

「夕飯には起こしますから。」

彼女が私の頭を撫でる…目線を上に上げれば、彼女の普段以上に優しい表情をした顔がそこに有る…そう、私が彼女にお願いしてしまう事と言うのは膝枕…本当にいつからこうなったのか、切っ掛けは上手く思い出せない…高々一つ違いとは言え、一応歳上の私が…気付けば歳下以前に、護衛対象の筈の彼女にこうして甘える事が多くなっていた……そんな事を考えつつ…取り敢えず、落ちて行きそうだった意識をもう一度浮上させる…今日はもう少し、彼女と話してから眠りたい…

「…ハァ…こんな所、またお母さんに見られたら怒られるわね…」

「まぁ、刀奈さんの立場だと仕方無いですね…とは言え、実際は示しが付かないから怒ってるだけとの事なので…目に付かない分には、あれでお母さんも大目に見てくれてたりするんですよ?」

「そうなの?」

「ええ。何ならあの人、本当は怒れる立場に無いですから…」

「どう言う事?」

「…私が言ったのは内緒にしてくださいね?この件で刀奈さんに怒った日…実はあの後、お母さんが私の所に来まして…『私もお願いして良いかしら』って、私にそう言いまして…」

「え…ホントに?」

「ええ「それで…やってあげたの?」もちろん。ちなみに、あの日の刀奈さんより長い時間寝てましたよ?起きた後は恥ずかしそうに『あの子には内緒にして』…って、言われましたね…」

「…それ、言って良かったの?」

「だって不公平ですしね…何せあの日だけじゃなく、それから何度もお願いされてますから…あ、でも…本当に内緒にしてくださいね?」

「分かった、約束する…」

そう言いつつ、これから何かに使えないかとも考える……っ…やめよう、倍にして返される未来しか見えないし…

「ちなみに、本音は元より…虚さんも…何なら、使用人の方々も一部を除いて頼みに来ますね…」

「!……マジ?」

割と衝撃的な言葉に意識が一気に浮上し、お母さんに頻繁に注意される言葉使いまでそのまま口を衝いて出る…いや…は?え?

「マジですよ。本音は、タイプ的に分かると思いますけど…虚さんも、割と常連ですね。」

「まぁ、あの子の場合…割と誰にでも甘えるし、十秋ちゃんが来る前は…普通に立場を超えて、ウチのマスコットみたいな扱いでは有ったけど…虚ちゃんも?」

「ええ…本音は自然に甘えに来ます…ちなみに、虚さんからは『最近、本音があまり甘えて来ないんですよ…それはそれでしっかりして来たのかとも思いましたが…急にだったので逆に心配にもなりまして…こう言う理由だったんですね』…って、言われましたね…」

「お母さんの事はともかく、虚ちゃんは…揶揄う材料には使えるかしらね…」

「…まぁ、お母さんの方はともかく…虚さんからは口止めされてませんし…言っても構わないとは思いますが、正直…十倍ぐらいの反撃が来るかも知れませんが…大丈夫ですか?」

「……やっぱりやめとくわ…」

確かに正直、普通にそれぐらいの復讐はされそう…あの子時々…ある意味、ウチのお母さんより怖い時有るからね…触らぬ神に祟り無し、ね…

「賢明ですね「と言うか忘れそうになってたんだけど…ウチで雇ってる人も?」…ええ、まぁ…」

「何か、ごめんなさいね…皆が…」

「いえ、気にしないで良いんですよ…私、単なる居候でしかないのに…皆良くしてくれて…本当にお世話になってますから…これくらいは。」

「…と言っても、貴女は普段一夏君と一緒に…皆に混じってウチの事をやってくれたりするし…大変でしょう?良いのよ、嫌だったら断っても?」

「別にそこまで嫌では無いですから…もちろん、楽かって言われたらそうとも言い切れないですけど「それと」はい?」

「貴女も一夏君も…"居候"じゃないわ。千冬さんに正式に護衛をお願いされてる人間で、何より…私は貴女と一夏君は…もう"家族"だと思ってる…そんなに寂しい事言わないで…それとも、私たちと"家族"でいるのは嫌?」

「まさか、光栄ですよ…そう言って貰えるのは…」

「だったらそんな風に言わないで…と言うか、相変わらず十秋ちゃん硬いわね…もう少し気を抜いても良いのよ?…まぁ、それは一夏君にも言える…と言うか、彼の方が硬いわね…今でこそ、貴女と方向性こそ違えど…ちゃんと優しい男の子なのは分かるけど、初対面の時からほとんど変わらない…時々、少し冷たくも感じる硬さだからね…」

「…まぁ、私の場合…性分でも有りますから…一夏の場合は…私や姉さんの為なのか、割と普段から気を張ってる節が有るんですよね…同年代の友人相手なら、もう少し緩くも有るんですけど…」

「まぁ、千冬さんに付いては私も何とも言えないけど…正直、私の目から見ても十秋ちゃんは色々危なっかしい方だしね…自分がしっかりしないとってなるのは、私も分からなくはないかしらね…」

「…ハァ…ま、もう刀奈さんにも色々と見られてますし…今更否定もしにくいですけど…」

「…ホントよ、十秋ちゃんにしっかりしてって言うのは違うとは思うけど…そうね、逆かしら…繰り返しになるけど…ウチでぐらいは、もう少し気を抜いて良いのよ?」

「アハハ…まぁ、私的には十分緩めてるつもりなんですけどね…」

…とは言え、十秋ちゃんには言ってないけど…私は知っている…私たちと通う学校こそ違うとは言え…実は二人の学校にはウチに居る人が二人の護衛をする為、入り込んでいる…それとは別に、小学校時代の篠ノ之箒と言う少女との一件…それと、小学校時代の一時期…彼女本人はあまり気にしてなかったみたいだけど…傍から見れば虐めとしか言い様が無い目に遭ってた事も調べがついてる…まぁ、最終的に箒ちゃんとは一応和解って事になったみたいだし…十秋ちゃんへの嫌がらせも度が過ぎると言う段階に至る前に、一夏君と箒ちゃんが対処してた様だし…何より、彼女の方が全くと良い程気にしてなかった模様…そして現在、一夏君と十秋ちゃんが通っている通ってる中学校の方で、十秋ちゃんを中心に少々ややこしい事態になってる事も…一応、把握はしてる…

…まぁ、今は…箒ちゃんと入れ違いの様に中国から転入して来た凰鈴音と言う少女と、一夏君とで対処はしてる様だし…何なら彼女自身の人柄も特別、問題は無い…強いて気になる点を上げるなら、鈴音ちゃんが少し…十秋ちゃんに依存してる節が有るくらい…まぁ、十秋ちゃんの場合…転入して来たとか関係無く、クラスメイトが本気で困ってて放っておける様なタイプじゃないからね…ましてや、鈴音ちゃんが当初…モロに虐めとも言える被害に遭ってた事を考えればね…そんな時に助けられたともなれば、そうなっても可笑しくは無いとも言える…

…にしても、十秋ちゃんは元より…一夏君まで…あくまで、少しでは有るみたいだけど…中国語を話せる事にも驚いたけど…彼女が男女問わずモテる事が原因で、あそこまで校内の雰囲気が可笑しくなるって…ホント何なのかしらね…小学校の頃からそうとは言え、面倒見が良いのは間違い無く…十秋ちゃんの美点では有るけど…もう少し、自重もして欲しい所だわ…何なら、肝心の本人はその状況にほぼ気付いてすらいないみたいだし…

理由が理由なのと、パッと見分かりやすく問題が起きてると言うわけでも無いから…下手にウチの方で手を出すわけにも行かないし…そもそも、あくまで普通の公立中学での事だから…余計にこっちは手を出しにくいって事情も有るけど…まぁ、十秋ちゃんと普段一緒に居る事が多い所為か、巻き込まれる形になってる一夏君と鈴音ちゃんもそれなりに色々困ってもいるみたいだし…本当はどうにかしてあげたい所だけどね…

「刀奈さん?寝ちゃいました…?」

「…いいえ、まだよ…ごめん…ちょっと考え事してた…」

「…そろそろ休んだ方が良いですよ…顔色も悪いですし、後で倒れたとかなっても困りますから…」

「…貴女に心配掛けるより良いかしらね…分かった…」

「おやすみなさい、刀奈さん。」

「おやすみなさい…十秋ちゃん…」

私は目を閉じる…目蓋の裏に彼女の笑顔を焼き付ける様に、最後の瞬間まで…しっかり見詰めながら…

眠りに落ちる直前…私の頭を過ぎったもの…そこには蓋をしつつ…それでも、押し殺し切れなかった"ソレ"を頭の中で反芻しつつ…私の意識は沈む…

好きよ、十秋ちゃん…大好き…愛してる…今はまだ、絶対口には出せない言葉を思い浮かべながら…私は眠りに着いた…
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