親友の妹に転生しました   作:三和

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「…十秋。」

「……」

小学生の時に私の事情でコイツと別れ…そして、こうして学園で再会…高校生になって、コイツの"悪癖"も治るか…そうでなくても、さすがに少しはマシになっているだろう…私はそう、思っていたのだが…コイツは結局、あの頃と変わってる様子は全く無かった…と言うより、更に酷くなった様にも思う…私とコイツが仲良くなる前にも…弾の家で無茶をしていたのは後から聞いたとは言え、私も一応知っていた…加えて言えば、私が居なくなった後…友人になったと言う中国からの転入生…"凰鈴音"。

…コイツの家庭内での問題にも首を突っ込み、激昂した向こうの父親から顔が腫れ上がるくらい殴られたと言う…しかも、後で一夏が凰鈴音に聞いた所…心配するそいつに対して、何度聞いても痛くない…としか、十秋は言わなかったと言う……まぁ、その後気合い注入の名目で…渋る千冬さんに拳で無理矢理、しかも前日に引っぱたかれた横っ面を殴らせると言う理解不能な事までしている…千冬さんもさすがに本気では無かったと思うが…それでも、目撃した一夏曰く…十秋の身体が数メートルは飛んで行ったとの事…ハァ…コイツは本当に、命が幾つ…と言うか、聞いてるこっちの心臓がもたん所だ…そして今、私が何をしているのかと言えば…

「…で、ずっとアレか?」

「…俺たちが授業に出ている間、千冬姉が話を聞きに行ったらしいが…いや、多分…実際は半分業務連絡みたいになったんだろうな…昔から千冬姉は色々不器用な所が有るしな…とにかく俺が戻ってた来た時にはもう、あの状態だ…完全に抜け殻状態だな…」

「…つまり、原因は千冬さんの対応ミス…か。」

要するに、私は今…一夏からの連絡を受けて、様子の可笑しくなった十秋の状態を確認に来ている所だ…私の親友、織斑十秋には想い人が居る…それは実の姉の織斑千冬…そして、それはそもそも…前世の頃から続く片思いだったと言う…と、言う話を私が聞き出せたのは…学園に来て、再会してからだ…一夏はどうやら、勘付いてる様子は無く…十秋の話だと、例の凰鈴音は元より…弾や数馬…それ以外の友人にも結局一度も話した事は無く、私が初めてだったと言う…ま、そもそも例の凰鈴音は元より…弾や数馬は元より…一夏にも話してないのに何故私には話してくれたのかと言えば…結局の所、私がいい加減放ってもおけなくなり…聞き出したからだが…コイツは小学生の頃からいつも何かを悩んでる節は有った…とは言え、それが恋心だったと言うのは…ま、鈍感な…いやまぁ、今思えば薄々気付けそうな瞬間は結構有ったんだがな…と言うか、こうして考えてみれば非常に分かりやすい…もちろん、前世からそうだ…などと言うのは…さすがにどうやっても分からん話だが…改めて、当時の私はどれだけ鈍感だったのかと思う…ま、実際私がアイツの友人でいられた期間自体…そこまで長くないと言えば言い訳は立ってしまうが…そして、私と十秋と学園で再会したあの時から…アイツの悩み方は明らかに酷くなりつつ有った…今考えると、前世から拗らせてるレベルだ…加えて、聞く限り言うチャンスは確実にいくらでも有ったのに結局言えないまま高校生…もっと言えば、例のモンド・グロッソの一件から千冬さんと離れ離れになり…連絡は定期的に取っていたものの、結局久々に十秋が顔を合わせたのが学園に来て初日…と言うか、聞けば再会したその初日から…千冬さんは十秋と話したそうにしていたと言うから、何でこの段階に至っても言わないんだと逆に不思議に思った程だ…それだけ狂う寸前まで拗らせてるレベルだと言うんだから最早…ヘタレと言うより、単なるバカとしか思えん…

もっと言えば、大体私と別れて少ししてから…さすがに私が見てた頃よりは過剰なスキンシップを掛けて来る回数は減ったと言うのに…今回で復活したと言うんだからな…千冬さんの城とも言える寮監室に行けば、久々の時間を満喫する様に部屋では抱き抱えられ…体臭まで嗅がれ、そのまま泊まってみれば風呂には突撃され…挙句に寝る時は抱き枕……どう考えても、千冬さんの方もかなりヤバい行動を取っている…私が見てた頃は小学校低学年の頃だからまだ分かるが…いくら同性で、実の姉と言っても…既に高校生の妹に平気でそれをやる時点でもう、脈アリか…あるいは、邪な気持ちは絶対有る様に思う…正直、こんなもの私だったらとっくに告白してる…と言うか、仮に私が十秋の立場だったら…早い段階でブチ切れて、一体何のつもりだと…早々に聞いてるだろうな…

その癖、それでも…僅かでも違ったらとか考えて…千冬さんにされるがまま…気持ちは秘める十秋ももう、筋金入りのアホとしか言えん…挙句には告白したくない、姉さんの負担になるとか言い始める始末だ…で、散々ウジウジし続けて…その結果が今のアレだ…

「…どうせアレが告白なんぞ出来てるとは思えんがな…ただ、逆にそれなら千冬さんに何を言われたかも分からんが…とにかく結果はあのザマだ…散々人の為に奔走して、自分はどれだけ傷付いても…人の手もろくに借りようともせず、たった一人で突き進めた奴が…まさか、自分自身の恋愛でああなるとはな…何とも皮肉な話だ。」

「…辛辣だが…ま、確かにな…」

「…今回の場合、結局十秋が気持ちを告げるか否かでしか無く…本当に誰の手も借りられん…そこもまた、何とも言えん話だな…哀れなものだ…」

「…とにかく、もう十秋姉はこのまま学園に居てもどうしようも無い…部活の見学に行っていたお前より先に、セシリア呼んでみたが…あの十秋姉が、事情の全く知らないセシリアにもあの対応した時点でもう終わりだなと…俺もそう感じた。」

「…セシリアには事情を話したのか?」

「…ショック受けてな、もうアレなら…いっそ、十秋姉と縁を切っても良いって言ったんだが…何せ、この後休学した所で…今後学園に戻れる保証も無いからな…ただ、思った以上に引き下がらなくてな…『私は、彼女に親友になって欲しいと言われ…了承をしました…アレは、簡単な口約束のつもりでした覚えは有りません…ろくに何も知らなかった私が何かを言える立場には無いのも承知しております…ですが、私は…彼女の親友なんです…そうなると、私は確かに返事を彼女に返したのです…何も出来無いかも知れません…ですが、私はどうしても彼女がこうなってしまった理由を知りたいのです…せめて、せめて理由だけでも…お教え願えませんか?』…十秋姉はホント、罪作りだよな…十秋姉に惚れる奴は男女問わず多かったけど、何処までも友情で…そんな気持ちは無いとハッキリ言ってる奴でさえ…多くはセシリア並みに十秋姉を想ってくれてる奴が大半だ…けど、十秋姉は自分が悩んでても…自分の悩みは人にろくに相談しないからな…セシリアとしては、親友とまで言われたのに何も言ってないからな…裏切りと思われても仕方無いのに結果はアレだ…縁なんか切りたくないってさ…事情なら話したよ…俺の知る限りの十秋姉の事も含めて、敢えて何もかも話したら…最後はポカンとしてたな…」

「そりゃ、そうなるよな…」

前世の話を聞いて私は衝撃を受けもしたが…普通にアイツの想い人の話を聞いて…しかも一夏のこの言い方だと、千冬さんが昔から十秋にしていた事も大体話したんだろう…で、そこまでだけでも聞けたなら…偏見さえないのなら、そして…言われた人間が十秋に対して恋愛感情が無いのなら…あくまで友人の、普通の恋愛の話として聞いたのなら…必ず、思い浮かぶ感想は皆一つになるなるだろう…

「セシリアは聞いてる間、何度か首傾げてたよ…そして最後に、こう言った…『思った以上に面倒な性格と言いますか…いえ、私も彼女の立場なら…確かに、悩むのも分からなくも無いのですが…それでも、逆に聞きたいのですが…何故、十秋さんは結局織斑先生に気持ちを告げてないのですか?こうして話を聞いて思ったのですが…どう考えても、織斑先生も実の妹以上の気持ちを抱いてる様に思えるのですが…』…そりゃ、分からないよな…何せ俺も、もう正直分からないし…」

ま、前世の話を知らないと余計そう思うよな…とは言え、逆にそれを聞けたとしても…それでも何故告白してないのか…それだけ長く想いを秘めていると言うなら、尚更だ…とは言え、十秋は前世からのその気持ちを捨てきれていない未練込みだから尚…それを今更だと、自分を女々しいと…無意識にそう感じてるのだと私は思っている…ただ、あるいは違うのではないか?…とも、私は考えている。

本人が気付かないと意味が無いので、私も敢えて言っていないが…本当はアイツも、前世と今世…それぞれの織斑千冬、その二人が実質別人だともう何となく理解出来ているんだと思っている…その上で、今世で改めて実の姉になった千冬さんに惚れたんだと…ただそれだけの事で、惨めとかそう言う話じゃないのだ…背負わせたくないとか、そもそもそれ自体が実は勘違いなのだ…アイツ自身、前世の事は今更良いと言う様な言い方をしたのを…私は確かに記憶している…

つまり、そこまで行ってるのに今世で織斑千冬を好きな事を…自分の前世からの未練だと思い込んでいる…が、実際は…恐らく違う。今世で、改めて好きになっただけの話だ…未練では無い、今世の…織斑十秋の初恋の相手が織斑千冬だった…ただそれだけの事がアイツが認められない本当の想いなんじゃないかと、私は思っている…と言うか、仮にそれが違ったとしても…結局未練と考えるのが、そもそもの間違いなのだ…

前世は元より、今世になってからもずっと気持ちを告げていないのだから…初めからそれは未練でも何でも無い…それは、実際に気持ちを告げて…フラれて、そこで初めて芽生える可能性の有るものでしか無い……ハァ…アイツも気が付いていない問題を浮き彫りにしようとしてみたが、駄目だな…上手く纏まらん…大体、私がこうして色々考えた所で…本人に動く気が無ければどうしようも無い。

「…箒?どうした?」

「…いや、アイツの事をな…ま、私が考えた所で…正直、無駄なんだが…」

「…十秋姉の場合、こうなる前からこっちも早く千冬姉に言えと言ったが…無駄だったしな…そして、今は…遂に何の言葉も届かなくなっちまった…」

「…ショックかも知れんが、一夏。」

「ん?」

「…このまま十秋が現実を否定したままで居る事を選ぶ可能性も有る…それはもう、覚悟しておけ。」

「…俺に、それを受け入れろ…と?」

「…もちろん、難しいのは…分かっているが「いや、良い…俺はその可能性から目を背けようとしてたからな…言ってくれて助かった」そうか…」

結局全ては何処まで行っても、アイツがヘタレなだけ…本当にそれだけの話なのだ…そしてこれ以上、私たちの出来る事は何も無い…全ては、十秋次第だ…家に居る間に、何か…アイツの状態を変える、大きな出来事が無ければ…恐らく、それで全ては終わりだ…

…とまぁ、今は先の事を考えても仕方無い…何なら十秋本人はまだ、休学にすら入っていないからな…ま、この様子だと休学が取り止めになる事も無さそうでは有るが……まぁ、最後に思う事が有るとすれば…"あの"千冬さんが、やけにあっさり休学を認めたのもそれはそれで不思議に思う所では有る…千冬さんが十秋に対して…恋愛感情は無くても、邪な気持ちが有るかも知れないと言うのは…実際に見てた私でなくても、あの話を聞けば恐らく誰でも思うことだ…と言うか、セシリアも本当はそこまで察してて…敢えて言わなかったんだとも思っている…一応十秋がそこに居るし、気を使ったんだろうと思う…ま、それはそれとして…ただでさえ、もう高校生の妹…しかも、自分がよりによって教師をしている学校に通っていて、自分が寮監をしている寮に入っているのを良い事に…門限などお構い無しに、自分の部屋に連れ込んで…しかも泊まらせているのだ…それも、割と短い期間に続けて。一応血の繋がった家族とは言え、それはさすがにどうなんだと…同僚の教師や、何ならこの学園の理事長に注意されそうなものだがな…どう考えても、やっている事は公私混同だしな…ここは確かに居住空間で、私も十秋もここで生活をしているが…あくまでここは自分の家では無く、学園の施設なのだ……いや、あるいはそれで注意を受けるくらいならと思ったのか?と言うか、そもそも…十秋や一夏は危険に晒される可能性が有る為寮に住まわせると言う話だった様に思う…一夏の状況を考えればそれも当然で…いや、一夏はともかく…十秋は女だから問題無いのか…しかし…現在私と同室の先輩がついて行く事になってるとは言え、結局最終的に戻って来る予定で…ハァ…目を背けるのはやめるか…私は、千冬さんがワザとこの状況を作った様に感じている…一夏は学園に居るから、一応の安全はある程度保証される…抜け殻状態の十秋は生家である織斑家に戻る…一緒に行く先輩は一時滞在するが、ほんの二日程度でこっちに戻って来る…十秋が一人の時に、千冬さんが一人…家族の様子を見にいく名目で一週間程、休みを取り…織斑家へ…そして……そうだったらまぁ…と言うか、これは私の一種の妄想で何の証拠も無い…ただ、あくまで仮にだ…千冬さんが本当に十秋へそう言う想いが有ったとして…今までは一夏も居て三人で暮らしていた家に…多分、一夏と十秋がこの世に生を受けてから初めて…十秋と千冬さんの二人きりになるわけだ…それも、勝手知ったる自分たちの家で…その二人は、お互いに恋愛感情と情欲をそれぞれ抱いていて……ここまでにするか…ま、年齢や血の繋がりを考えれば倫理的には宜しくない話になるが…あくまで異性同士では無く、同性の話だから子供は出来んし…何なら、お互いにある程度並々ならぬ想いを抱いてるんだ…それならそれで寧ろ良い事の様にも思う…もちろん、色々と問題が有る事を除けばだが…一応私としては、私も現在住んでいるこの寮の中で行われるよりは気はまだ楽とも少し思う…まぁ、せっかく再会出来たのに…最終的にこのまま十秋が戻って来ないと言う事になれば、それはそれで少し残念にも思うが…ただ、十秋が幸せなので有ればそれは些細な事だ…どの道、いつか…どうにかして私もあの町に戻るつもりだし…また会えるだろう。

「箒?」

「っ…いや、何でも無い…十秋の事だが、結局なるようにしかならんさ…」

「…ま、そうだよな…」

…本当に、私の思ってる通りの事が起きるなら…寧ろ、十秋には幸せが待ってると思うぞ…一夏。あくまでも私の妄想でしかないが、やはりその可能性は高い様に私は思う…

…そこで話は終わると思った…が、そうならなかった…もちろん、単に私の予想が外れただけ…それだけなら、まだ良かったのだが…事態は私の全く予想外の状況に、それも…かなり混沌とした方向に転がって行く…











「…ハァ…何をやっているんだ、アイツは…」

寮の自室…現在は一時的に一人部屋となっているその部屋で私は頭を抱えていた…

「護衛と身の回りの世話をする為に十秋について行った更識先輩が実は恋愛的意味で十秋を好きだった、まぁ…そこまではまだ良い…先にその可能性は私も聞いている事だしな…ただ、何故そこで自分が恋愛感情を向けていない筈のその先輩に身体を許すんだ…しかも、一回ならまだしも…結局、求められるまま何度も…挙句には、その恋愛感情の無い筈の相手と奴隷契約…創作の話だと言われた方がまだこっちも納得出来るぞ…?」

しかも奴隷の話は十秋の方から言ったと言う…件の先輩の証言以外、それを事実だと言える証拠は何も無いが…聞いてる限り、真実味は確かに有った…事実は小説よりも奇なりとは良く言われるが、赤の他人ならまだしも…身内に起きた出来事をそんな言葉で消化出来るわけも無い…

「こんな話、千冬さんは元より…一夏にすら言えんぞ…一体、私にどうしろと言うんだ…」

件の更識先輩と話す際、私はイライラを抑えるのに必死で…何とか話を流したが、一番問題なのは…私がその先輩と今、私は相部屋だと言う事だ…一応、十秋が自分で決めた事だ…その場に居合わせたわけでも無い私が何かを言える話では無いが、正直…その先輩とこの後顔を合わせないとならないのは気不味いなんてもの通り越して、確実に息苦しくなるレベルなんだが……ハァ…

「…文句を言っても、仕方無い…か。」










「…その、ただいま…箒ちゃん…」

「……おかえりなさい、楯無先輩。」

「…その、私「さっきの話ならもう要りません…聞きたい事は、既に電話で聞いてるので」……」

「あくまでも十秋本人が決めた事です…ただ、一つ…私から言っても良いですか?」

「…何、かしら…?」

「…やり口がやり口です…到底許される話では有りません…なので、仮に十秋本人が改めて契約を切りたいと言った場合は…無条件で、契約を切る…それを約束出来ますか?」

「…ええ、その時は…私も潔く、十秋ちゃんの事は諦める…元の、護衛と護衛対象の関係に戻る…そもそも、あの状態の十秋ちゃんと結んだ契約だもの…改めて撤回されても私は、文句は言わない。」

「…それなら良いです。後は私からはもう何も言いません…ま、安心してください…それでもアイツは、貴女に家族としての情は残すでしょうから…」

「…それはそれで、私には色々と辛いんだけどね…ま、十秋ちゃんの性格が性格だし…仕方無いわね…」

「…ふぅ…あ、すみません…もう一つ、良いですか?」

「何?…大抵の事は聞くわよ?」

「…例の貴女の関係者に他にもアイツを好いている人間が居ると言う話が有りましたね?」

「ええ…」

「…そっちはもう、貴女の方で話を着けてください…恐らく、今の十秋では…もう受け止められない。」

「…ふぅ…ま、抜け駆けした私の罪は重いものね…分かった、元々は私たち皆…十秋ちゃんの事は諦める予定だったんだもの…それが自然よね…」

「確実に、お願いしますよ?」

「…分かってる、"更識楯無"の名において…この国の暗部の当主として、私はその依頼を受ける…絶対に、成功させるわ。」

「…仮にそっちでどうなろうと、十秋をこれ以上巻き込まない様にお願いします…私からは、それだけです。」

「…場合によっては、それ相応の手段を取るって感じね…」

「…十秋には悪いですが、私は…やると決めたら絶対にやります…貴女方の事は既に一夏や十秋からある程度聞いています…どうせ調べたんでしょう?小学生の頃、私が何をしたのか…」

「…ふぅ…知ってた?当時貴女が襲った人たちは、幸い一命こそ取り留めたけど…全員、重い障害を抱えてしまってるそうよ?」

「…そこまで聞かされてはいませんが、私は…それについて何の弁明もする気は有りません。」

「…正しい事をしたって?」

「まさか。アレは、恥ずべき行いだった…ましてや、当時私は十秋を助ける為にやったわけでもない…強いて言うなら、ただの憂さ晴らしでした…二度と同じ事をするつもりは無い…その、つもりでしたが…そちらの出方次第では、私は…もう一度動きますよ?」

「…私たちと戦うつもり?間違い無く、殺し合いになるけど?」

「…それが、十秋の為になるなら…もう一度私は、昔の自分に戻ります…それとも、今この場で…私を殺して、止めますか?」

「…冗談よ、私にそのつもりは無い…貴女の手を汚させる気は、最初から無い…あくまでも私自身の手で、全部終わらせるわ。」

「…その言葉、信じますよ?」

「ええ、必ず約束は守る…コレは更識楯無としてじゃなく…"更識刀奈"の、私自身の誓いで有り…矜恃よ。」

「…分かりました…なら、これ以上は本当に何も言いません。」

「…ふぅ…正直、今までで一番…恐怖を覚えたわ…ねぇ、箒ちゃん?…一つ聞くけど…」

「…何ですか?」

…と言うか、ちゃん付けは何となく落ち着かないのだが…今更か。

「…本当に、もう誰にも…何もしてないのよね?」

…ふぅ…

「仮にやってたら、そちらにも情報が入っていたのでは?」

「…ま、それは…そうなんだけどね…」

嘗てやった事がやった事だからか、かなり疑われているな…ま、本当にあれから今日まで何もしてないのだが…当然ながら、いくつかの学校を転々とする内…私が虐められたり、あるいは…向こうで友情を育んだ者が虐められたりは当然有った…ただ、私の時も友人の時も…きちんと証拠を集めて、向こうを潰すと言う手段を取っている…

…と言うか私の場合、あまり露骨にやって一般人に悟られても困るし…一応女子で有る私に配慮するとの名目で多少控えめにはなっていたものの、それなりにきっちり…監視の付いてる身だったからな…結局の所、私の場合…偶然の(を装った)第三者(実際は私の監視者なので実質身内の様な者)の善意(……)の目撃証言を集めやすいのだ…学園に来てから一夏や十秋から聞いた更識家の話じゃないが、私を監視してる人間は私の通う校内にもちゃんと居たからな…ま、その事実を知っていたのは私と学校内のそれも…極一部の人間だけだがな…私が一夏や十秋、弾や数馬と通っていた小学校時代の経験も有り、事勿れ主義の教師たちに"予定外"の仕事をさせるのに私は手段を選ばなかったからな…私の正体を知らない教師たちからすれば、私の"ワガママ"の相手をするのはやりにくい事この上無かったろう…ま、その代わり昨今話題のモンスターペアレント…それも特に発言力を持っている親を潰したりもしてるんだから、寧ろ感謝して欲しい所では有るのだが…実際はあからさまに口に出す教師こそ居なかったが、ほとんど問題児扱いでは有った…とは言え、自惚れるつもりは無いが…それでも生徒の方は確実に味方は多く、何なら頼られる事も多く…"家庭の事情"で普段は家に親が居ない事になっていた私は良く友人の家で食事に誘われたり、そのまま泊まって行く事を勧められた事も有る…そう考えると、まともな常識を有している親たちの味方も多かった様に思う…

尤も、ある程度良好な人間関係を築く中で…口調が硬いとは良く言われたがな…が、私も今更直そうと思った所で完全に染み付いてしまっていて直せなくなっているからな…結局最終的にはそれも私の個性だと思ってくれた人間は多かったし、それ以外の人間もいつもやんわり言うくらいで全く受け入れられなかったわけでも無いし…何なら、それで私との付き合いをやめる人間は…まぁ、ゼロでは無かったが…少なかったな。

…ま、元々不器用な私がここまで人付き合いが出来る様になったのは、何処ぞのバカのお陰でも有るのだが…それを言った所で、全ては私の努力でしかないと否定を返して来るのは目に見えてるので…私も敢えて言わんが。私はあのバカのやっていた事を、私の出来る範囲で真似ただけなのだがな…

…とは言え、私はアイツ程"自分"を捨てる事は出来んし…その必要も無いと思っているが。向こうから自分の苦手分野の矯正を頼んで来た割に、実際はやる気が無いなら…私が手を尽くす必要は無い。ただ、単に成長が遅い…と、言うだけなら私も理解出来るし…そう言うのは人それぞれだ…やる気が有るなら私は見捨てる気は無い…どれだけ成長が遅いと言われた人間でも、日々コツコツ努力しているなら…大抵は僅かにでも進歩は有るものだからな…私自身指導者に向いているとは決して思ってないが、人に何かを教え…その上でそいつが成長する姿を見るのは中々に楽しい…私生活が一人だと色々と枯れ気味になっていた私の数少ない楽しみの一つでは有った…もちろん、逆も然りだ…私の場合出来るのは、基本は学校で習う様な勉強(と言っても、私はいつも暇過ぎて実際の学年分より上の段階まで手を出していたが…)と運動(ま、私より動ける奴はいくらでもいたがな…)くらいだからな…特に子供向けの娯楽については、単なる遊びと侮れず…意外に色々と発見や学びは多かった…

特段趣味も無かった私としては、それは中々の刺激だったし…時には生徒の立場も悪くない…ま、何とは言わないが…さすがに子供で有っても色々とどうかと思う様な遊びもいくつか有ったが…私もあからさまに法に触れてるとかで無い限りはうるさく言うつもりも無いし、何なら私も色々と楽しませて貰った…ああ言う少し、背徳的な刺激も時には良いと思う。

「箒ちゃん?」

「!…ああ、すみません…少し考え事を…ま、何にしても…貴女と十秋の事はもう取り敢えず良いです…ただ、先程の約束だけ…必ず果たして貰える様お願いします…」

「ええ、それはもちろん。」

つい色々脱線してしまったが、更識先輩との話はそれで済んだ…後は自動的に色々片が付く…そう思っていたのが間違いだと知ったのは、それからすぐの事。

「…凰鈴音が織斑家に向かった?」

「ああ、ほら…以前十秋姉がここに来るかもって話をしてただろ?アレ本当だったみたいでな…で、来る事になったのは良いが…予定より早く鈴が日本に来る事になったみたいでな…さすがに学園の方もいきなり来られても困るって話らしくてな…一時ウチに泊まらせて貰えないかって…本来なら家に誰も居ないし無理だが…今は十秋姉が居るしな、泊まるついでに様子を見て欲しいって頼んだんだ…ま、刀奈先輩の話を聞く限り…多少は安定したみたいだし、久しぶりに鈴に会えるのは十秋姉に取って良い影響も有るかと思ってな…」

「……」

アレは、安定したと言っても良いのだろうか…確かに抜け殻では無くなった様だが…ま、それはそれとして凰鈴音が今の十秋と接触すると……

「箒?どうした?」

「…いや、何でも無い……何も無いと良いが…」

「?…何か言ったか?」

「…気にするな、取り敢えず…明日の事も有るし、私はそろそろ部屋に戻るぞ?」

「そうか、おやすみ箒。」

「ああ、おやすみ一夏。」

…あの先輩と二人きりで部屋に居ると余計気不味い事も有り、つい…こうして良く、一夏の所に訪れているが…結局、私達は今の所何の進展も無いんだよな…ま、一夏を急かす気は無いが……それはそれとして、正直…あの人の居る部屋に戻って眠るのは何となく嫌なんだよな…何と言うか、身の危険と言うヤツを感じてしまう…まぁ、私に恋愛感情は無さそうだし…気にしてもしょうがないのだが…あの先輩の場合どうも、たまたま好きになったのが同性なのでは無く…元々性愛の対象が同性だったのでは無いかと思う時が部屋に居る間多々有る…無いと思う、無いとは思うが…あの人からそう言う誘いを持ち掛けられた時…正直、私は断り切る自信が無い…何と言うかあの人は、こっちのパーソナルスペースに不快感を感じさせず入り込んで来るのが上手いのだ…

逆に言えば、今回の十秋の件が無ければ私もここまで警戒はしなかっただろう…他に身近にそう言う性指向の人間が居るかと言えば…確実に十秋は元々そうだったんだろうが、アイツは自分から誘いを掛けると言うのは基本的に無いだろうしな…それ以前に、今十秋はここには居ないのだが…

…などと、考えつつ…部屋のドアを…

「おかえりなさい、お風呂にする?ご飯にする?それともわた「その格好で部屋から蹴り出される?この場に千冬さんを召喚する?それとも、全裸にしてから部屋から叩き出す?好きな方を選んでくれて良いですよ、更識先輩?」…箒ちゃんノリ良くなったわね…後、お姉さん着替えて来るから…どれもやめて欲しいかなぁって…」

「…貴女も懲りない人ですね…」

この部屋に移って来て、初日でやられた水着エプロンでの出迎え…あの日は一瞬固まった末、完全無視を決め込んだが…まぁ、毎回この調子で絡まれれば慣れもすると言うものだ…

「…あの、ごめん…怒ってる?」

「私も短気な方だと思いますが、今更この程度では怒りません…ただ、『仏の顔も三度』と言う言葉はご存知で?」

「その…ごめんなさい…」

その場で土下座を始める先輩を見て溜め息を吐く…何よりこの人のタチが悪い所は、私が基本…"先に手は絶対出さない"を徹底してるだけであくまでも、"昔の暴力的だった私の本質そのものはそこまで変わっていない"…と言う事を何となく"察した上"で、それでもギリギリを攻めるのを楽しんでる節が有ると言う事だ…そりゃまぁ、確かに…昔に比べたらまだ丸くはなったかとは思うが…かと言って、短い期間に続けてこう言う事をやられたら…そろそろ私も我慢し切れなくなる…

「頭を上げてください。」

「…!…ヒィッ!?」

…私がこの学園に来るまでに学んだ事は色々有るが…その一つがコレだ…

「いい加減に、してください…ただでさえ、貴女の所為で…こっちはストレスが溜まってるんです…これ以上は例の約束とか関係無く、私が貴女をこの場でボロ雑巾にでもしたくなるんですが…そうしても宜しいのでしょうか…?」

人を本気で追い詰めたいなら怒鳴り声も、何なら怒った顔をする必要も無い…ただこうして両手で優しく、こちらから顔を逸らせない様に物理的に固定し…こっちはただ、至近距離で相手を見詰めながら笑顔で丁寧に…遜って、言葉でチクチクとやるだけで…人に恐怖と共に教訓を効果的に刻み込めると言う事だ…

「分かった!分かった!もうやらないから許して…!?」

「……」

…とは言え、仮にも裏で暗躍する事を生業にしてる筈の人間をここまでビビらせる程…私の脅しが洗練されていたとは気付いていなかった…さすがにここまで怖がられると上手く行った安堵より先に、困惑と罪悪感が勝つ…こんな事で、色々と大丈夫なのだろうかこの人は?私は所詮素人で、貴女は一応プロの人間でしょうに…

「…ふぅ…分かったなら良いです。」

私は更識先輩から離れる…

「…ハァ…今回が一番怖かった…電話で怒られた時もそうだけど、ここまで人に恐怖したのは初めてよ…」

「…つまり、私はプロの人間相手でもある程度通用する…と言う事ですか?」

「…まぁ、結構イケるかしらね…ちなみに、将来的にウチに来る気は無い?」

「…このタイミングでスカウトですか?」

「…コレは冗談じゃないし、もちろん誰にでも言ってるわけじゃないわ…ちゃんとした、ヘッドハンティングよ。貴女が興味有るなら色々とワガママも聞いてあげられるわ。少なくとも、ウチが後ろに付けば…貴女の証人保護プログラムに付いても完全に外せるわけじゃないけど…今よりは条件は緩和出来るでしょうね…」

「…将来的にはアリかも知れませんね…ま、今の所は保留で。」

「ええ♪考えといて♪」

まぁ、私と更識先輩とのやり取りに付いては余談だ…そして先輩と話してる間も、私の中には得体の知れない不安感が有った…別に凰鈴音が十秋と会う事自体は良い…実際、アイツにとって良い刺激になればとは思うし…もちろん、アイツが私の知らない人間に会うからと言って…そこに嫉妬などの不快感は特に無い…寧ろ、凰鈴音に関しては私も普通に会って話してみたいとすら思う…何度か凰鈴音の話を一夏や十秋から聞く機会は有ったが…どうも人柄そのものは嫌いなタイプでは無い様に思う…何なら、嘗ての私と同じく何度も十秋に振り回された人間…ともなれば、それは当然興味も湧くと言うもの。

…とは言え、何故か…その時の私は、今二人が会う事で何か…面倒な事が起こる様な…どうしてかは分からないが、そんな予感を覚えていた…

「…今の状態の十秋に裸の写真を送れとは、いったいどう言うおつもりなのでしょうか…?」

「本当にごめんなさい!もうしないから許して!?」

…まぁ、この件は取り敢えず良い…全く良くは無いが、取り敢えずは良い…本当に問題だったのはこの後に起きた事だ…

十秋と連絡が付かない状態が続き、こちらが気を揉んでる時に入ったのが凰鈴音から一夏への連絡…訪れてから三日も経って漸くの連絡…一体どう言うつもりなのかと思っていたのだが…

『箒、あたしは一体どうしたら良いのかしら…』

「……」

どうして私は、更識先輩が帰ってからそう経たない内に…新たに十秋と身体の関係を持ってしまった人間の話を…しかも、会う予定は有ってもまだ実際には顔を合わせても居ない女の話を…"一夏の携帯"で聞く羽目になってるんだかな…何故わざわざ一夏の携帯に掛けてまで、私を指名してくるのだか…取り敢えず、私は一旦携帯のマイクをミュートにして深呼吸をする…聞く限り、凰鈴音は相当焦っている様だが…私の方も一度落ち着かないと八つ当たりしてしまいそうだ…まぁ、聞いてる限り凰鈴音にほとんど落ち度は無い様に思う…何なら、今回身体を要求したのはコイツの語る内容が事実なら十秋の方だ…とは言え、親友がそれで癒されるなら…と言うだけで身体を許すコイツには呆れも少しは有るが…尊敬の念も同時に感じなくも無い…間違い無く、私には出来無いやり方だ…まぁ、もちろん…十秋ならと、状況にもよるが…私も場合によってはそう思わなくはないだろう…凰鈴音としても平時なら、そこまではしないとの事…まぁ、とは言え…私なら、コイツよりも相当悩むだろうし…何なら、今十秋は有る精神疾患を患ってしまっている可能性が高いとの事…その状態の親友を前にして、コイツは一人でケアを続けていたのだ…そりゃまぁ、こんな状態にもなるだろうな…このままだと、コイツも何れ倒れかねん様に思う…何だかんだ、良い友人になれそうな予感をも感じつつ…私は鈴に言葉を掛ける…

「良いか、鈴…」

…私の言葉を受けて沈み切っていた女の声に力が戻って行くのを感じてホッとする…ふぅ…やれやれ…二人揃って共倒れ、なとど言う最悪の展開はどうにか防げそうだな…まぁ、それは良いとして…また一夏や千冬さんに言えない話が増えてしまった…全く、正直凹みたいのはこちらの方だ…もう勘弁してくれ…電話を切った後、私はその場にしゃがみ込む…全く、外だから座る事も出来ん…変にズボンが汚れていると、深読みした一夏に心配を掛けてしまうからな…だが、せめて少し休んでから戻ってもバチは当たらんだろう…朝のこのランニングの習慣は今の私にとって一夏と二人きりになれる数少ない時間と化してしまったが…今日は正直、例の更識先輩の事も有ってか…私も疲れを感じている…鈴の話が見事にトドメになった…ま、今日のこの時間が潰れるのは少し惜しいが…明日に回すとしよう…十秋と違って私は、会おうと思えばいくらでも想い人に会えるのだからな…


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「っ!んっ…!」

 

目が覚めると、相変わらず寝たままの十秋にあたしは胸を吸われてたりする…と言うか、どう見てもコレで起きてる感じはしないし…ホントに何なのかしらコイツ…何かもう、"コレは自分の"ってマーキングされてる様な気になって来たわ…だから、アンタの物じゃないっての…!…まぁ、でも…今だけは良いけどさ…何なら、コイツ相手だとこうやって執着されるのも…あたし自身、そこまで悪い気はしないから色々と困るのよね……あ。

 

「っ!…ハァ…!ハァ…!」

 

所謂絶頂の気配を感じたけど、あたしは何とか快楽の波に抗って乳首を十秋の口から引っこ抜き…慌てて布団から出る……さすがに少し名残惜しくは有ったけど、生理現象には勝てない…まぁ、要するに催してしまったのだ…一応小さい方では有るけど、さすがに布団の上で漏らすわけには行かない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…ふぅ…」

 

何とか間に合い、あたしはトイレを出てから安堵の息を吐く…一度そう言う欲求から解放された所為か、あたしはさっきまでは気付いていなかった現実を認識する…

 

「…ハァ…相変わらず胸がヨダレだらけ…と言うか、明らかにトイレ行く前からアソコは濡れてるのよね…初日に十秋にはああ言ったけど、結局あたしも裸族生活続いてるのは何とも言えないわ…」

 

…とは言え、服を着ててもすぐに着替えざるを得なくなるので正直面倒なのだ…と言うか、そうやってポンポン着替えてたら学園に向かう日までに服の洗濯は終わってないだろうし…と言うか何なら、多分出発の日に着る物が無くなってる…ちなみに『洗う前に匂い嗅いでも良い?』と言う十秋の要求にはビンタで返した…さすがに調子に乗り過ぎよ…てか、中身がここに居るんだからあたしの脱いだ服や下着の匂い嗅ぐ必要無いでしょうに…って返したら、いざ行為が終わってからはあたしを抱き締めて寝たいと……まぁ、それくらいならと了承した…とは言え、あたしの匂いが無いともう寝れないとか言われてもね…だから、あたしは今週一杯でここ出るんだってば…そんな事を考えつつ…取り敢えず居間のソファに座る…

 

箒には頑張れるって言ったけど…実質この三日ずっと身体を求められてるのに、休みらしい休みが食事の時と寝る時だけ…と言うか、初日の時点であたしが許可したのは胸を吸う事だけだったのに…気付けばつい、身体全部を許してしまっている…いや、許可を出したのはあたしなんだけどさ…十秋がそれで癒されるなら、そう思ったし…何なら、アンタなら良いとまで思った…何よりあの時は、あたしの方もちゃんと"そう言う欲"が有った…加えて言えばあたしたちの場合、十秋は元よりあたしの方も…身体を見られるのに相手が自分たちで有れば抵抗が無い…だって、あたしたちはどっちも身体に関して同じコンプレックスが有る…そもそも、小学生の頃に何度もお風呂で見せていて…お互いの身体で変わった事が有るとすれば、ほぼ身長だけ…

 

…まぁ、正直…あたしはそんなに変わってないんだけど…案外十秋が現実をすぐに認識出来無かったのはその所為も有るのかも知れない…まぁ、仮にそうだったとしてもあたしにどうこう出来る話じゃないんだけど…だって胸はまだしも、身長もどうやったって伸びなかったんだから仕方無いじゃない!

 

…ハァ…アンタは良いわよね、小学生の頃から食事の仕方偏ってたのに…それでもちゃんと女性らしい体型保ってたんだから…と言うか、バランスが本当に絶妙なのよね…本当にあの身体の欠点は胸が大きくな……いや、多分…まともな大きさ有ったらそれはそれでアレかも…アレどう考えても、胸が最低限しか無いからこそ…あんなに綺麗で…!

 

「…ハァ…何を考えてんのかしらね、あたしは…」

 

何が悲しくて、親友の身体の事を頭のなかで力説しないとならないのか…誰に聞かせるつもりも無いのに…まぁ、でも確かに…突き詰めて行くとアイツの身体…他に単に胸の大きい奴なら、あたしは対抗心を燃やすだけで済む…十秋みたいに少し有る程度なら…あたしよりも僅かでも大きい可能性有るなら…って感じで…いやまぁ、陰湿な嫌がらせとかはしないけどね…ただ、十秋に関しては違う…何と言うか、初めて裸見た時…あたしはいつものそう言うの忘れてクラっと来たから…同性で、別にアイツに恋愛感情無いどころか…何ならそっちの気が有るって認識した事も無いのに…

 

…ハァ…あの身体は、駄目だわ…本当に…初日にもアイツに似た様な事言った覚え有るけど、よっぽどの巨乳好きとか…後はある種の特殊性癖持ちとかで無い限り即座に理性が飛びかねない…正直、男は元より…女もそっちの気が有る奴に見られたら確実に終わりだわ…だから出し惜しみしてろと言ってるんだけど、アイツ分かってなさそうなのよね…と言うか、初日の事を思い出すと本当にゾッとする…アイツは裸のまま家に居た…それ自体は別にまぁ、良いのだ…自分の家だしね…ただ、家のドアに鍵も掛けてなかったのは頂けない…いや、本当にあの時来たのがあたしじゃなかったら多分…普通に襲われてたわね…アイツは、もう少し色々と自覚して欲しい…

 

…尤も、襲われたとしても"面倒だから犬に噛まれたとでも思って忘れる"はさすがにカチンと来たわね…あたし自身、沸点の低い方だと自覚は有るつもりだし…何なら十秋には何度も怒った事は有る…ただ正直、あの時は今まで十秋に怒った分を一瞬振り切った…てか、アイツがあそこまで自分を捨ててるとか…本当に思ってもみなかった…そりゃ、こっちの心配とか何もかも平気で振り切るわよね…だってアイツ、自分に価値を感じてないんだから…アイツの場合、他人の方が美しい宝石の様に見えて…自分の事は石ころか何かに見えてるのかしらね…まぁ、アイツの場合磨いたら凄い事になりそうでは有るけど……ふぅ…駄目ね、思考がちゃんと纏まらない…さて、もう昼過ぎね…さすがにそろそろ、アイツを起こさないと…

 

「多分、食事の後もまた身体求められるんでしょうけど…」

 

良いって言ったのはあたしだし…まぁ、もうちょっと頑張らないと…てか、箒は箒で大変そうよね…あたしの事は元より、例の刀奈って奴の事も自分の中で留めて誰にも言えないんだから…箒の立場もかなり辛そうでは有る…ま、あたしも…人に同情してる場合じゃないんだけどさ…

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