親友の妹に転生しました   作:三和

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■●さんが来て、話の続きをとなったものの…この後はフェンシング選手としてのあいつの姿の話が大半で、選手時代のあいつの姿を実際に見ていた■●さんはともかく、そこには当然私の喋れる部分は特に無く(いや、有るには有ったが…剣道と比べてルールも何も色々異なるから、あいつの試合内容の知見を私に聞かれても正直困るのだが…実際の試合の映像を見せられたからまだ幾分か、マシでは有るが…)

 

それでもこうやって試合を見て改めて思うのは…本当にあいつは強かったのだ、と言う事だ…

 

フェンシングには先ずそれぞれフルーレ、 エペ、サーブルの三種目が存在する(それも今回初めて知ったのだが…)

 

有効面が、麺を被った顔の正面から横顔部分を含む「面」大体腰より上の胸の辺りを指す「胴」一番誤解されがちだが、甲手の手首より下…腕部分が有効面になる「小手」(まぁ単に有効面を打っても一本にならない場合も有るのだが、ここでは関係無いので省く)

 

基本、有効打突部位がこの三種類しか無い剣道に対し…フェンシングは三種目ごとに有効面は違う上…当然剣道とルールもまるで異なる…

 

フルーレは先に相手に剣先を向けた方に「攻撃権」が与えられそれを弾く、逸らすなどの行為をして相手に「攻撃権」が移り目まぐるしく攻防が入れ替わる試合内容となる…逆に言えば仮に双方同時に有効面を突いても攻撃権が無ければ負けになるルールだ…しかも攻撃方法は片手に持った細剣の突きのみに限定されているので相当習熟してないと厳しい物が有るだろう…そして、有効面は背中を含む胴体部分だけだ。

 

エペは非常に分かりやすく、スピーディーな試合が展開されやすい種目だ…何せ攻撃方法こそこちらも突きのみだが有効面は足の裏まで含む全身全てであり、こちらには攻撃権ルールは無く双方同時に剣先が当たっても両方の得点になるからな(一本取りで、一試合でどちらかの勝利がほぼ必ず確定する剣道についての知識しか無い私にはポイント制ルールについてどうしても若干の違和感を感じてしまうな…)

 

サーブルはこれまで突き技のみと思っていたフェンシングのイメージが壊れる光景を見た…何せこちらでは斬りつけるのも有効になるのだ…まぁ、斬る事が出来る以外はルールはほぼフルーレのままでは有るが…それでも有効面は上半身全てになっているので、フルーレより激しい攻防を見る事となった…

 

……まぁ言ってしまうと、あいつはこの三種目全てでどの選手よりも頭一つ抜けていたのだ…ただ、あいつは恐らく斬るよりも突きの方が得意なのはあいつの剣を実際に見て来た私には良く分かる…事実、サーブルでは戦いにくそうにしていた(まぁ、それでもあいつは勝っているのだが…)

 

しかし関係無い話だがあのセンサーシステム…いっそ剣道の方にも取り入れられないかと考えるのは私だけだろうか…?何せ剣道では有効面を捉えていても、審判の判断で無効にされる事も有る…センサー付きなら、当たればランプが必ず点灯して分かる様になっているからな…

 

「どうでしたか?」

 

取り留めの無い思考に耽っていた私に今回の取材担当の女性の声が聞こえ、ハッと我に返る…何だかんだ喋れるタイミングが少ないまま映像を見ていたので気を抜いてしまっていた様だ…幸い、質問と言うより感想を聞かれている様なので素直に答えれば良いか。

 

「凄いですね…ここまで強かったとは予想外でした…」

 

「……私事になってしまいますが、当時私は…貴女と彼女の対談を熱望していました…その、選手では無い私の意見で恐縮なのですが…何故かお二方の雰囲気が似ている様な気がしたのです…」

 

「似ている、ですか?」

 

「具体的にどの辺が、とは…私からもハッキリとは言えませんが…」

 

「……」

 

改めて今も流れている映像に目をやる……そう言われてみれば確かに似ている所も有るのかも知れないと、何となくそう思わなくも無い…が、自分の戦ってる姿を私自身あまり確認した事が無いので正直、何とも言えない所だ…あいつと同じく、社会人になってからは試合にだって出てないしな…

 

とは言え、集中しないと最早目で追うのも難しい程のスピードで突きを繰り出すあいつの姿は…不思議と荒々しさより、何処か美しさの様なものを感じる…

 

「実を言うとな…」

 

「え?」

 

■●さんが口を開く…

 

「あいつ自身、選手時代は相当にモテたらしい…私もそこら辺は踏み込めなかったから母からチラッと聞いたくらいだが…色々嫌な思いをした事も有った筈だと…後でこちらから本人に聞いても『別に…そんな事は無かったよ…』としか言わなかったが…」

 

これまた何となく、そこら辺も似ている様な気がして来る…もしかしてまんま学生時代や、モンド・グロッソ優勝者としての私の姿そのものだったのでは無いか…?

 

……と言うか、自然にやったからスルーしそうになったが…この人はまた声真似をしているな…

 

「いや、何ですか…今のは…?彼女の声にそっくりでしたが…」

 

「えー…この人の声真似です…」

 

「『何なら貴女の声も出せますよ?』」

 

一応真面目な話をしているのだが、そう言う時でもこの人は平気でぶっ込んで来るからな…別に空気を読めないのでは無く、敢えて読まないと言うタイプだから本当にタチが悪い…

 

「……貴方の声、特典にしても良いですか?」

 

驚いて声も出せなかったのかと思っていれば…復活も早く、商魂も逞しい…成程、思った以上に彼女はやり手のの様だ…

 

「『ふむ、では…後で要相談と言う事にさせて貰えますか?今は、彼女の試合をもう少し見たいので…』」

 

「私の声で返事しないで貰えませんか…?」

 

「千冬、どうせならあいつの声真似をした私と対談しないか?…まぁ、あいつの性格まで完全に再現は出来無いがな…」

 

「え!?そんな事までやってくれるんですか!?」

 

「『ええ、ギャラはこのくらいで…』」

 

「だから勝手に決めないでください…」

 

このまま放っておくと…確信犯かうっかりか知らないが…束の真似もしてしまいそうで恐ろしいのだが…

 

「何と言うか、苦労してたんだな…お前は。」

 

改めてこの人があいつの兄貴だった事を思い出し、同情する…真面目な時はとことん真面目だが、ふざける時はとことんふざけるからな…この人は。束との相性は良い様だが…こうして一緒に居ると、こっちはとにかく振り回されてる気しかしない……まぁ、悪い人では無いのだがな…

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