「では、ここからはお二人のフリートークと「『すみません、ちょっと良いでしょうか?』」はい?」
「んん…失礼、ここに居るのはあいつでは有りません…私があいつが生きていた前提で…彼女とこれ以上この場で会話しても、意味が無いでしょう?」
「(やれやれ…助かった、やっと茶番も終わりだな…)「なので、ここからは映像に切り替える事は可能でしょうか?」は?」
「あの、それはどう言う…?」
「音声と映像、二つを雑誌の特典にしてはいかがでしょう?その方が話題性も有るのでは?」
「(いや、何を言ってるんだ…?)■●さん?それは意味が無いでしょう?だってこの場にあいつは居ない…」
「ああ、そうだな。単に私と千冬が共に映像に映るだけでは、意味が無いな。」
「でしょう?これ以上何をしようと?」
「千冬、私と戦って見る気は無いか?」
「は?■●さん、貴方…フェンシング出来るんですか?」
「いや、経験は無い。」
「……それでは本当に茶番でしょう、私は…さすがに素人に負けるつもりは有りませんよ?」
私の言った事を無視して、彼が更に口を開く。
「そうだな、有効面は頭部、胴体、腕の三種類で「いや、だから…私は素人には!」千冬、私はあいつにも言ってないがな…実は声だけでなく、他人の動きも真似られるんだ。」
「は?まさか、そんな…」
「千冬、私はあいつの剣を真似られる。私と、戦ってみたくはないか?」
馬鹿な…それは声を真似るのとはまるで違う分野だ…それ以前に、未経験者にそんな事出来る訳が…!
「そんな事、可能なんですか…?」
出来る筈が、無い…そう考える私の前で、彼は構えを取る……!
「馬鹿な…!」
その立ち姿…剣を持っていなくても分かる…あれは、確かにあいつの…!
「フッ…!」
彼が突き出した腕を振る…そんな筈は、無い!……理解を拒もうとする私の前で彼の腕が描きだした軌跡も、確かにあいつの剣そのもので…
「……どうかな?」
「驚きました…確かに貴方の動きは■■さんそっくりです…」
不思議と彼が構えて、腕を振るっている間ずっと…私には、確かにあいつがその場に居るかの様に見えていた…
「千冬、どうだ?」
「……正直認めたくは有りませんが、確かに先程の貴方は…完全にあいつの動きをコピーしていました。そう、ですね…貴方と戦いたいか否かと聞かれれば…実際に、戦ってみたいとは思います…ですが■●さん、それは無理だと思いますよ?」
「む…何故だ?」
「すみません、突然そんな事を言われましても…さすがに私の一存では決められませんし、何より…場所を用意出来ません…私も、お二人が実際に戦っている所を見たくは有りますが…」
「それに…■●さん、未経験者が経験者の動きを真似るのは…そう簡単に出来る事じゃ有りませんよ?」
「?…どう言う事だ?」
「分からないんですか?自分の腕を良く見てください。」
「む…っ、これは…?」
先程まで振っていた彼の腕は小刻みに震えていた…本当に未経験者だったんだな…
「あんな無茶な動き、未経験者がいきなりやって肩や腕にダメージが無い訳が無い。今の一連の動きだけで腕が痙攣してる様では…とても試合になりませんよ…」
「……盲点だったな、まさかここまで反動が有るとは…思ってもみなかった…」
「(さて…)すみません、取材はもう十分じゃないでしょうか…これ以上は、続ける意味も無いでしょう?」
「そうですね…では、取材はこれで終わりです。お二人共、今日はありがとうございました。」
やれやれ…やっと茶番が終わったな…彼が最後に妙な事を言い出すから、少々微妙な空気にはなってしまったがな…